- 更新日 : 2024年10月4日
棚卸計算法とは?やり方をわかりやすく解説
棚卸計算法は、棚卸資産の在庫や原価の計算に関わる評価方法です。継続記録法と併せて確認しておくことで、棚卸資産評価の理解が進みます。この記事では、棚卸計算法のやり方やメリット・デメリット、関連する棚卸しについて解説します。
棚卸計算法とは
棚卸計算法は、売上原価や原材料費を計算するために必要な当期の売上数量または材料の消費数量を評価する方法の一つです。実地棚卸により棚卸時点での在庫を確認し、逆算により売上数量や消費数量を求めます。
棚卸計算法のやり方
棚卸計算法を実行するには、実地棚卸が必要です。実地棚卸とは、商品や材料の保管現場で実際に在庫の数量を数えて、期末の棚卸額を確定させることです。棚卸表のリストと在庫数を比較する方法などがあります。実地棚卸の際には、商品や原材料の状態を確認しておくことも重要です。必要に応じて、減耗や商品評価損を計上することもあります。
実地棚卸終了後は、期首の棚卸額に期中の仕入額を加算した金額から、実地棚卸で得られた期末の棚卸額を減算して、売上原価や原材料費を算出します。
計算式としては
となります。
棚卸計算法のメリット
棚卸計算法を算出するにあたって、期中の仕入額を把握する必要があります。しかし、期中の払出額までは把握しません。期末の実地棚卸により、簡易的に期中の消費量や販売量を計算するためです。そのため、事務負担を軽減できるというメリットがあります。棚卸計算法は厳密に計算しなくても問題のない、重要度の低い棚卸資産の原価の算出に向いています。
棚卸計算法のデメリット
棚卸計算法を利用する際に注意したいのは、原価を正確に把握できないことです。払出数量を把握しないため、期中に減耗などが生じても原価に含められるという問題があります。在庫の紛失などを把握できないため、商品や原材料の管理に問題があってもすぐに対処できません。よって、重要度の高い資産や単価の高い資産の管理などには向かないでしょう。
棚卸計算法と継続記録法の違い
売上原価や原材料費の消費量を求める方法には、棚卸計算法の他に継続記録法があります。継続記録法は、棚卸資産の受入額や払出額を継続的に帳簿に記録する方法です。
棚卸計算法と継続記録法では、棚卸資産の払出を記録するかどうかが異なります。また、棚卸計算法では実地棚卸を行いますが、継続記録法では実地棚卸は行いません。
棚卸計算法と継続記録法には、それぞれにメリットとデメリットがあります。双方のデメリットを補完し、より厳密な計算を行うために、重要度の低い棚卸資産を除き、棚卸計算法と継続記録法は併用するのが一般的です。
そもそも棚卸しとは
棚卸計算法と深く関連しているのが、棚卸しです。棚卸しとは、企業が販売のために有する棚卸資産の数量を確認して価値を評価することです。少なくとも年に一回、決算時における棚卸しが必要です。
棚卸しの手順やポイントなどについては、以下の記事で詳しく解説しています。
棚卸計算法は実地棚卸を伴う原価の評価方法
企業において、少なくとも年に一回は帳簿上の価値と実際の価値を比較するために実地棚卸を行います。実地棚卸と関連するのが棚卸計算法です。棚卸計算法は、実地棚卸による期末時の在庫から逆算して原価を算出する方法です。同じく原価の算出方法である継続記録法と併せて確認しておきましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
土地や建物にかかる固定資産税の計算方法
固定資産税とは、土地・建物などの所有者に課される税金で、市町村(東京23区だけは東京都)から送られてくる納税通知書に書かれた金額を4回に分けて支払います。ここでは、固定資産の概要や価格の決め方、計算方法を紹介します。 固定資産税とは 固定資…
詳しくみる変動対価とは?具体例や算定方法をわかりやすく解説
値引きやリベート、ペナルティなどが絡む取引では、最終的な取引価格が変動する可能性があるため、どのような会計処理をすればよいのか頭を悩ませる方もいるでしょう。こうした状況で重要になるのが「変動対価」という概念です。 この記事では、新収益認識基…
詳しくみる課税売上高とは?課税仕入れとの違いや消費税の仕入税額控除もわかりやすく解説
消費税の申告書の作成においては、課税売上げや課税仕入れの仕組みを正しく理解することが重要です。この記事では、課税売上高や仕入税額控除などの消費税額の計算において重要なポイント、インボイス制度における注意点などをわかりやすく解説します。 課税…
詳しくみる中小企業向けの会計ルールは2種類!中小会計要領と中小指針について解説!
中小企業の場合、決算は法人税の申告や会社法の規定で仕方なく行うことが多いものですが、経営管理や対外的な信用の面からも、一定のルールに則った決算を行うことは大切です。 この記事では、中小企業に向けた会計ルールである「中小会計要領」と「中小指針…
詳しくみる地方法人税はなぜ創立された?その理由と申告・納付方法について解説
地方法人税とは、平成26年施行された税制度です。 この税制度の創設の理由と申告方法、納付の仕方について、基礎知識をご紹介します。 地方法人税はどんな税制度? 地方法人税と聞くと、地方に納める税金のように聞こえますが、この税金は国に納めるもの…
詳しくみる【これは軽減税率?】レストランで残った食事。パックに詰めて持ち帰ったら?
2019年10月1日からスタートする消費税の軽減税率制度。主に「飲食料品」は消費税軽減税率8%の対象になりますが、飲食のシチュエーションなどによっては適用対象になりません。 本シリーズ『これは軽減税率?』では、事業者のみなさんが軽減税率につ…
詳しくみる