• 作成日 : 2021年8月13日

借地権とは?借地権の種類やメリット・デメリット、注意点も解説

借地権とは?借地権の種類やメリット・デメリット、注意点も解説

建物の建設は、所有する土地にはもちろん、借りた土地に行うことも可能です。このうち、土地を借りて建物を建てる場合、借主を保護するための権利である借地権が発生します。具体的に借地権とは何か、借地権の意味と種類、メリットとデメリット、借地権の相続まで、借地権の全般について解説していきます。

借地権とは?どんな権利?

借地権のイメージ図

借地権とは、建物の所有を目的に土地を借りる権利をいいます。目的は建物の所有に限られますので、資材置き場や青空駐車場など、建物の所有が伴わない利用の場合は、借地権は発生しません。

また、借地権は、地上権、土地貸借権に分けられます。地上権は、賃借人が地主の承諾を得ずに地上権を登記し、第三者に譲渡や賃貸できる権利です。土地賃借権は地主の承諾を得た上で、第三者への譲渡や賃貸を行える権利です。

地上権の権利は非常に強く、土地所有者にとって不利な部分が多すぎるとされています。日本国内においては、借地権には土地賃借権が採用されることがほとんどです。

借地権の種類は何がある?

借地権を契約期限などの内容で分けると、古くからある「旧借地権」、借地借家法で定められた「普通借地権」と「定期借地権」の3種類があります。

旧借地権

旧借地権は、現在の借地借家法が制定される以前の法律が適用される借地権です。1992年7月31日までに契約が成立していたものは、旧借地権が適用されます。旧借地権は、堅固建物(コンクリートやレンガ造など)と非堅固建物(木造など)で契約の存続期間が別に定められています。

【旧借地権の存続期間】

 
期間の定めなし
期間の定めあり
契約時
更新時
契約時
更新時
堅固建物
60年
30年
30年以上
30年以上
非堅固建物
30年
20年
20年以上
20年以上

存続期間はあるものの、旧法は賃借人保護が重視されていたため、土地所有者の正当な理由が認められない場合は更新の拒絶はできないとされています。賃借人は契約終了後も、更新により引き続き土地を借りることが可能です。なお期間の定めのない契約で、建物が朽廃したときは、その時点で旧借地権は終了します。

普通借地権

普通借地権とは、現法の借地借家法に定めのある借地権で、定期借地権に該当しないものをいいます。存続期間は30年以上で、旧借地権と同じように契約の更新が可能です。更新は、1回目の更新は20年以上、2回目以降は10年以上で設定します。

正当な理由がない限り、土地所有者の一方的な契約解除はできません。ただし、建物の滅失等があった場合において賃借人が土地所有者の承諾なしに契約期間を超過して存続するような建物を再建したり、火災や朽廃で建物が消失して土地を借りる必要がなくなったりしたときは、土地の所有者は契約解除を申し出ることができます。

旧借地権は、賃借人の権利が重視され、土地がなかなか返還されないなどの問題がありましたが、現行法では所有者の権利も考慮されるようになりました。

定期借地権

定期借地権は、旧法で指摘されていた所有者への土地の返還の問題を改め、土地所有者が安心して土地を貸せるように創設されました。一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権の3つがあります。

  • 一般定期借地権
  • 存続期間50年以上、用途の制限がない定期借地権です。50年以上の契約を条件に、公正証書などで、契約の更新なし、建物再築による期間延長なし、満了後の建物の買い取り請求なし、の3つの特約を定めます。賃借人は、契約期間満了時に、建物を取り壊して土地を所有者に返還しなければなりません。

  • 事業用定期借地権
  • 事業用定期借地権は、賃借人が事業用建物を所有する場合に限り設定できる借地権です。存続期間は10年以上50年未満とされ、契約期間により一部契約内容が異なります。存続期間が10年以上30年未満の契約では、契約の更新なし、建物再築による期間延長なし、満了後の建物の買い取り請求なしの要件が自動的に適用。30年以上50年未満の契約の際には、3つの要件を特約として契約書に盛り込むことができます。
    なお、事業用途で50年以上の契約を結びたい場合には、一般定期借地権が適用されます。

  • 建物譲渡特約付借地権
  • 建物譲渡特約付借地権は、30年以上の借地権の設定に対し、契約満了後に土地所有者が賃借人の建物を買い取る約束をした借地権です。その他の定期借地権に付加する形で設定される権利であり、建物の状態悪化などにより地主が建物買取の権利を行使しない場合には、ベースとなる普通借地権、一般定期借地権、事業用定期借地権の契約満了をもって借地権が消滅する。

なお、建物譲渡特約付借地権が行使され借地権が消滅した後も、借地人は賃貸としてその家に住み続けることができます。

借地権付き建物のメリット・デメリットは?

借地権が設定された土地が建物とセットで販売されている物件を「借地権付き建物」といいます。借地権付き建物は、借地権の設定のない建物付きの土地を購入したときと何が違うのでしょうか。借地権付き建物のメリットとデメリットを解説します。

借地権付き建物のメリットは?

まず、借地権付き建物を購入するメリットをあげます。

長期間借りられる

借地権は、存続期間が10年以上で設定されるものであり、制度上は利用できる期間が定められています。土地と建物を所有する場合と比べると、いずれ返還しなければならないという縛りはありますが、借地権であっても、旧借地権や普通借地権は更新が可能です。いずれも、土地の所有者側に延長を拒否する正当な理由がなければ、契約は延長されますので、借地権付き建物の借地権の存続期間を延ばして、長期間借りることもできます。

購入時の費用を抑えられる

借地権付き建物は、土地と建物を両方購入するよりも、費用を抑えられます。地域などで異なりますが、借地権付き建物の土地の価格は、同じ土地の所有権を得るのに比べ60%~80%程度の費用で済みます。マイホームの初期費用を抑えたいときは、借地権付き建物の取得を検討してみるのも良いでしょう。土地の価格が高いエリアであるほど、取得費を大きくカットできる可能性があります。

土地に対する税金がかからない

土地の取得には多くの税金がかかります。購入時には不動産取得税が課税される上、毎年固定資産税や都市計画税も支払わなければなりません。その点借地権付き建物ではあくまで土地を借りる形になるため、これらの税金は土地の所有者が負担します。

借地権付き建物のデメリットは?

次に、借地権付き建物のデメリットを解説します。

地代を支払わなければならない

借地権は、土地を所有者から借りているときに発生する権利です。借地権付き建物は、土地を借り建物だけ購入しているため、土地の所有者に対して契約で取り決めた地代を支払わなければなりません。初期購入費用は抑えられても、存続期間や地代によっては、土地を購入するときよりも負担が大きくなる可能性もあります。将来的には土地の価格上昇により地代の値上げを要求されることもあるため、さらに出費がかさむリスクも伴います

売却などを自由に行えない

借地権でも、地上権であれば土地所有者の承諾を得なくても売却できますが、借地権の多くは土地貸借権です。もし借地権付き建物を売却したくなったとしても、土地の所有者から承諾を得なくてはなりません。また売却でなく、建物を増改築する場合であっても許可が必要なことがあります。あくまで土地を借りている状態であるため、土地を所有する場合と比べて、売却や増改築に制限があります。

借地権の相続は可能?

借地権は土地に対する権利です。相続が発生したとき、借地権をそのまま相続人に引継げるのか、あるいは所有者に返還しなければならないのか、迷う部分かと思います。

結論を先に述べると、相続が発生した場合、借地権を有していた人の配偶者や子など、法定相続人が相続したのであれば、相続時に所有者の許可を得る必要はありません。一般的には所有者に対して相続した旨を通知するだけでよく、特別な手続きも発生しません。

ただし、法定相続人が相続するのではなく、遺贈によって法定相続人以外の人が借地権を相続することになった場合は、第三者への譲渡として土地所有者の承諾が必要であり、承諾料も発生します。

また相続後、古い建物を増改築しようとする場合は、所有者の許可が必要です。そして借地権は財産的価値のあるものですので、相続税の対象になります。相続後は、土地所有者の許可を得て売却もできますので、相続後の利用も含めて、借地権を持ち続けるか、あるいは手放すか、ある程度決めておくと良いでしょう。

借地権付き建物を購入する際に気を付けるべき点は?

借地権の概要やデメリットを踏まえ、借地権付き建物の購入で気を付けるべきポイントを解説します。

ひとつは、借地権でもいくつかの種類があること。まず、地上権か土地賃借権かで、賃借人の権利は変わります。また、借地権でも、旧借地権か、普通借地権か、定期借地権かで条件が変わります。

前述のように、定期借地権は存続期間終了後、原則として土地を更地にして返還する必要があり、更新がありません。定期借地権で存続期間の短い物件だと長期間使用できませんので注意しましょう。ある程度長く使用したいのであれば、更新が認められる普通借地権で検討すると良いです。

もうひとつ、借地権付き建物の購入で注意したいのが、金融機関からの融資です。住宅ローンのような不動産ローンは不動産を担保にします。しかし、土地の所有者は建物の所有者と同一でないため、基本的に担保にできるのは建物のみです。そのため、融資可能額が低いこともありますし、対象の建物が古いと、融資が受けられないこともあります。

借地権について正しく理解しよう!

借地権は、建物の所有を目的に、土地を借りる権利です。土地の所有権は地主が持ち続け、借主は土地の上に建てた建物の所有権だけを持つことになります。土地と建物で所有権が分かれることから、建物の購入時に取得費を抑えられるなどのメリットがありますが、売却や増改築を行う際に土地の所有者に承諾を得る必要があるなど注意点もあります。借地権の相続を受ける際も、法定相続人以外が相続する場合は承諾や承諾料が必要ですので、相続後を見越した対策が必要です。まずは、借地権の概要だけでも押さえておきましょう。

この記事では、借地権付きの土地の購入を考えている人などをメインに説明してきました。借地権を設定して土地を貸し出す人のケースなど、土地取引については以下の記事で解説していますので、こちらもご覧ください。

【参考】国土交通省|定期借地権の解説
    国土交通省|定期借地権の解説

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株式会社久松農園 久松 達央 様

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よくある質問

借地権とは?

建物の所有を目的に土地を借りる権利をいいます。詳しくはこちらをご覧ください。

借地権は相続できる?

借地権は相続できます。法定相続人が相続するのであれば、土地所有者の許可は必要ありません。詳しくはこちらをご覧ください。

借地権付き建物の購入で注意すべき部分は?

更新の有無などもありますので、借地権の種類はよく確認しておきましょう。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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