- 更新日 : 2024年8月8日
業務用冷蔵庫を経費計上する際の勘定科目は?仕訳例も紹介
飲食店などにおける業務用の冷蔵庫はもちろん、オフィスに設置する冷蔵庫もビジネスに必要なものとして経費計上が可能です。その際の勘定科目は金額によって異なり、10万円未満であれば消耗品費、10万円以上は基本的に備品として資産に計上します。
本記事では、冷蔵庫を購入したときの勘定科目や仕訳例を紹介します。
目次
業務用冷蔵庫を経費計上する際の勘定科目
飲食店などで使用する業務用の冷蔵庫や、オフィスに設置する冷蔵庫を購入した場合、経費計上が可能です。会計処理は金額によって異なり、一定の金額を超える場合は備品として資産計上しなければなりません。
ここでは、冷蔵庫を経費計上する際の処理について見ていきましょう。
冷蔵庫を10万円未満で取得した場合
取得価格が10万円未満の場合、もしくは耐用年数が1年未満の場合は「消耗品費」として経費処理します。
冷蔵庫の法定耐用年数は6年のため、価格が10万円未満の場合のみ、消耗品費として経費に計上できることになります。
冷蔵庫を10万円以上で取得した場合
取得価額が10万円以上の冷蔵庫は原則として「備品」となり、固定資産に計上します。耐用年数の期間をかけ、毎年減価償却が必要です。冷蔵庫の場合、6年間にわたり減価償却で費用を計上することになります。
減価償却については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
なお、減価償却には特例があり、「少額減価償却資産の特例」による処理も認められています。
「少額減価償却資産の特例」とは、青色申告者である中小企業等で従業員数1,000人以下であれば、特例として取得した資産が10万円以上30万円未満の場合に一定額を全額損金に算入できる制度です。複数の資産がこの特例の適用を受ける場合、事業年度ごとに合計300万円の上限が定められています。
少額減価償却資産の特例については、下記記事でも解説しています。
一括償却資産として扱う場合
冷蔵庫が10万円以上20万円未満の場合、一括償却資産として資産計上することもできます。
一括償却資産とは、耐用年数に関わりなく3年間均等な金額で経費計上できる制度です。減価償却よりも計算を簡素化できるというメリットがあります。
一括償却資産を選択すれば、通常の減価償却よりも経費計上できる金額が多くなり、節税ができます。冷蔵庫であれば6年かけなければならないところ、3年間で償却をするため、1年あたりの経費を多く計上できるメリットがあります。
一括償却資産については、下記記事でも解説しています。
冷蔵庫を取得した際の仕訳例
これまで説明したように、冷蔵庫を購入した際の会計処理は金額により異なります。ここでは、それぞれのケースに分けて仕訳例を紹介します。
冷蔵庫を10万円未満で取得した場合
業務で利用する冷蔵庫を10万円未満で購入した際は、「消耗品費」の勘定科目を使います。また「少額減価償却資産の特例」の要件に該当する場合、30万円未満であれば同じく消耗品費として全額を経費に計上できます。
オフィスに設置する8万円の冷蔵庫を購入した事例では、以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
消耗品費 | 80,000円 | 現金 | 80,000円 | 冷蔵庫を購入 |
冷蔵庫を10万円以上で取得した場合
10万円以上の冷蔵庫を購入したときは、原則として資産に計上し6年かけて毎年減価償却を行います。
購入時には、「工具器具備品」の勘定科目を使います。工具器具備品はパソコンなどの事務機器や、事務机などのオフィス家具といった固定資産を計上する際に使う勘定科目です。
オフィス用に36万円の冷蔵庫を取得した場合、備品として資産計上する場合の仕訳例は、以下のとおりです。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
工具器具備品 | 360,000円 | 現金 | 360,000円 | 冷蔵庫を購入 |
さらに決算期に減価償却を行い、当期分を費用として計上します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
減価償却費 | 60,000円 | 工具器具備品 | 60,000円 | 減価償却 |
一括償却資産として処理する場合
20万円以下の冷蔵庫を一括償却資産で処理する場合、購入時に仕訳し、決算期に3年均等割の金額を計上します。
例えば、オフィス用に15万円の冷蔵庫を購入した場合は、以下の手順で処理しましょう。
購入時には以下のように仕訳します。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
一括償却資産 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 | 冷蔵庫を購入 |
決算にあたり、減価償却を行います。
借方 | 貸方 | 摘要 | ||
---|---|---|---|---|
減価償却費 | 50,000円 | 一括償却資産 | 50,000円 | 冷蔵庫を減価償却 |
冷蔵庫を経費計上することが難しいケース
冷蔵庫を経費計上することが難しいケースもあります。例えば、以下のような目的で購入する場合です。
- 個人事業主が自宅兼事務所に設置する
- 社宅に設置する
個人事業主が自宅を事務所にしている場合、日常生活でも使用しているエリアに冷蔵庫を設置することが多いでしょう。そのため、事業のために購入したとみなされづらくなります。
また、社宅に設置する冷蔵庫は事業に関連するものといえず、経費にできません。社宅に設置する冷蔵庫などの家電や家具類は本来、従業員の負担で設置するものです。会社が負担する場合は現物給与となり、課税対象となります。福利厚生費として処理することも可能ですが、全従業員を対象にするなどの要件を満たすことが必要です。
冷蔵庫の経費処理は金額により異なる
飲食店やオフィスなどに設置する冷蔵庫を購入した際は、経費計上が可能です。仕訳処理の方法は金額により異なるため、適切に行いましょう。
10万円以上の冷蔵庫でも、一括償却資産や中小企業等に認められた特例を利用できる場合があります。自社に合う方法を選んで、処理してください。経費計上が難しいケースもあるため、よく確認しておきましょう。
よくある質問
冷蔵庫を経費計上する際に使える勘定科目は何ですか?
10万円未満は消耗品費で経費計上し、10万円以上は基本的に備品として資産に計上します。詳しくはこちらをご覧ください。
冷蔵庫を仕訳する際のポイントは何ですか?
金額により勘定科目が異なり、少額減価償却資産の特例や一括償却資産が利用できる場合もあります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
株式交付費とは?繰延資産として計上できる?仕訳・勘定科目を解説!
株式募集にあたり、直接要した費用を株式交付費と言います。株式交付費は、費用でありながら、繰延資産の性格も有した勘定科目です。この記事では、株式交付費に含まれる費用の例、株式交付費の会計処理上の扱い、費用ではなく繰延資産として計上する際の仕訳…
詳しくみる前払費用の勘定科目と仕訳例や長期・短期前払費用との違いを解説
前払費用は、貸借対照表に資産として表示される科目で、決算ではよく使われるものの一つです。 貸借対照表の資産の部には、よく見ると流動資産だけではなく、固定資産の部にも「長期前払費用」として表示されている場合があります。 この記事では、前払費用…
詳しくみる立替金とは?仕訳方法や預り金などとの違いを解説
立替金とは会社内外に関わらず、取引先や従業員などが本来負担すべき金銭を一時的に会社が立て替えた際に仕訳処理するための勘定科目です。立て替えは一時的なものとし、相手から返済してもらうことが前提です。 本記事では立替金の意味や、似ている用語との…
詳しくみる弁護士費用の仕訳に使える勘定科目まとめ
弁護士への相談料や顧問料弁護士費用は、「支払手数料」などの勘定科目で仕訳をすることができます。ただし弁護士が個人として働いている場合は源泉徴収する必要が生じるため、仕訳の方法も変わることに注意しましょう。 この記事では弁護士個人に依頼すると…
詳しくみる農業簿記とは?一般の簿記との違いや特有の勘定科目などを解説
農業簿記とは農業を営む個人事業主や農業法人向けの会計の手法です。農産物を生産して販売し、売上が生じている場合には農業簿記をつけることができます。一般的な簿記とは何が異なるのか、また、農業簿記に用いる勘定科目には何があるのかまとめました。農業…
詳しくみる印鑑証明を取得したときの仕訳と勘定科目まとめ
印鑑登録を証明する書類として、法人の場合も個人事業主の場合も事業上、印鑑証明の取得が必要になることがあります。印鑑証明を取得した場合、どのような勘定科目で処理するべきなのでしょうか。この記事では、印鑑証明を取得したときに使える勘定科目を、仕…
詳しくみる