• 作成日 : 2024年10月4日

決算申告とは?必要な書類や手続きの手順、期限などを解説

決算申告とは、決算に基づき法人税などの申告を行うことです。決算業務においては、税務上の手続きとして重要な役割を担います。この記事では、決算申告の内容や決算申告に必要な書類、決算申告の手続きや注意点について解説します。

決算申告とは

決算申告とは、確定した決算をもとに確定申告書を作成して税務署に提出することです。決算申告は、原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内に行わなくてはなりません。例えば、毎年3月末決算の法人は同年の5月31日までに決算申告を終える必要があります。

決算申告のもとになる確定した決算とは、株主総会などで承認を受けた決算書の内容のことです。実地棚卸や決算整理、決算書作成、決算書の承認、決算申告までの一連の流れを決算業務と呼ぶこともあります。決算申告は決算業務において、法人税額などを税務署に申告して納税する役割があります。

決算申告に必要な書類

決算申告に必要な代表的な書類を紹介します。

決算報告書(貸借対照表、損益計算書、キャッシュ・フロー計算書など)

法人税の申告書は、決算書をもとに作成されます。そのため、決算申告の際には貸借対照表損益計算書などで構成される決算報告書を添付する必要があります。決算報告書については、下記の記事で詳しく説明しています。

勘定科目内訳書

勘定科目内訳明細書は、貸借対照表や損益計算書に記載される勘定科目の発生金額や残高を示す書類です。決算書の内容を補足するための書類で、預貯金等、売掛金棚卸資産有価証券などの主要な16項目については、取引の詳細を記載することとなっています。勘定科目内訳明細書も、法人税の申告の際に添付が求められる書類の一つです。勘定科目内訳書については、下記の記事で詳しく解説しています。

事業概況説明書

(法人)事業概況説明書は、法人の事業内容や支店・海外取引状況、期末従業員の状況など、決算書だけではわからない情報を補足するための書類です。税務署管轄の法人は法人事業概況説明書、国税局管轄の法人は会社事業概況説明書を法人税の申告書に添付する必要があります。事業概況説明書については、下記の記事で詳しく解説しています。

確定申告書

確定申告書は、法人の一事業年度の各種税額を確定させ、申告するための書類です。申告する内容に応じて明細書などを作成し、確定申告書に添付します。法人の確定申告の種類や作成の流れなどの詳細は、下記の記事でご確認ください。

なお、合併や現物出資などの組織再編成を行ったときは契約書や計画書の添付、租税特別措置法の適用を受ける場合は適用額明細書など、状況に応じてその他の書類の添付が必要になることもあります。

決算申告の手順

決算申告は以下の手順で行います。

  1. 決算書を作成しておく
  2. 確定申告書を作成する
  3. 申告や納税を行う

決算書を作成しておく

決算申告は、確定した決算をもとに行います。そのため、決算書の作成が必要です。決算書とは、先に紹介した決算報告書のことです。実地棚卸などを行って一事業年度の決算書を作成し、定時株主総会などで決算書の内容に問題がないか確認してもらい、承認を受けます。

会社法により、定時株主総会は毎事業年度終了から一定の時期に招集しなければなりません。法人税申告との兼ね合いもあり、事業年度終了の翌日から2ヶ月以内に開催するのが一般的です。なお、監査役、会計監査人、取締役設置会社では取締役会などで決算書の承認を行い、株主総会では報告のみを行うこともあります。

確定申告書を作成する

決算書などをもとに、各種申告書を作成します。法人の場合、法人税の確定申告、消費税の確定申告、法人住民税(法人都道府県民税と法人市町村民税)の確定申告、法人事業税の確定申告が必要です。それぞれの確定申告書の作成を進めます。

例えば法人税の場合、法人税額を計算する前に法人税の計算の基礎となるその事業年度の所得金額(法人税の計算上、益金の額から損金の額を控除した金額)の計算が必要です。確定申告書への添付が必要な所得金額の計算の根拠となる明細書(別表)の作成も同時に進めます。

また、決算申告に必要な書類として紹介した勘定科目内訳明細書や法人事業概況説明書も、確定申告書を作成するタイミングで作成します。いずれも、法人税の申告の際に添付が求められる書類です。

申告や納税を行う

確定申告書を作成したら、提出期限までに申告書を提出しなければなりません。国税である法人税や消費税は管轄の税務署に、地方税である法人事業税や法人都道府県税民税は県税事務所などに、法人市町村民税は市町村役場などに提出します。

確定申告書の提出期限は、法人税、消費税、法人事業税、法人住民税のいずれも原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。それぞれの税金の納付期限は、原則として確定申告書の提出期限までと定められています。各種税金の納付方法により、提出期限内に納付まで済ませなければなりません。国税の場合、窓口納付や振替納税、クレジットカード納付などによる納付方法があります。

決算申告を行う際の注意点

決算申告で申告書を作成するためには、税務の知識が必要です。例えば法人税の計算では、決算書上の当期純利益と法人税申告書の所得金額は必ずしも一致しません。収益であるものの所得の金額には含めない金額、費用ではないものの所得の金額に含めなければならないものなどがあるためです。所得金額の計算において、益金や損金の額を調整することを税務調整といいます。

税務調整などにより税法に適った申告書を作成しなければならないため、必要に応じて税理士への依頼を検討しましょう。確定申告書の作成を社内で完結させることもできますが、正確な申告書を作成するには専門家に依頼するほうが確実です。

また、前述のとおり決算申告で作成する確定申告書の提出期限は、いずれも事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。申告や納税の期限に間に合うように、早めに決算申告のスケジュールを組んでおきましょう。

決算申告は計画的に行おう

決算申告とは、確定申告書を作成して提出することです。法人税や消費税などの申告納税の対象となっている税金の申告期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2ヶ月以内です。余裕を持って決算申告を行えるように計画を立てておきましょう。また、必要に応じて税理士などに申告書の作成を依頼することも検討しましょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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