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  • 作成日 : 2020年11月2日

敵対的買収とは?M&A戦略における仕組みやメリットをわかりやすく解説!

敵対的買収

M&Aのひとつに「敵対的買収」という方法があります。敵対的買収といえば、株式会社ニッポン放送の株式を巡る、株式会社ライブドア(当時)と株式会社フジテレビジョンによるやり取りが有名でしょう。この記事では、敵対的買収について解説していきます。

敵対的買収とはM&A戦略のひとつ

敵対的買収とは、買収企業が買収対象企業を実質的に支配することなどを目的として、当事者(支配される立場の企業や株主など)の合意を得ないまま、買収対象企業の株式の多くを買い集めることをいいます。
ここでは当事者の合意を得ていないため「敵対的」と呼ばれ、逆に合意を得ている場合は友好的買収などと呼ばれます。
「実質的に支配する」とは、買収対象企業の議決権の過半数を保有することを意味します。つまり、発行済株式総数の50%超を保有することと同じです。

また、買収企業が株式を買い集める方法としては株式公開買付(TOB)を行うことが一般的でしょう。
株式公開買付とは、買収企業(支配しようとする企業)が買収対象企業(支配される企業)の株式につき、「買付期間・株数・価格」を公開し、市場外取引(証券取引所を通さない取引)で不特定多数の株主から買い集めることをいいます。

それ以外だと、買収企業は市場取引(証券取引所で行う取引)で株式を買い集めることになるでしょう。この場合は株価が上がっていく可能性が高くリスクも大きいため、買収企業は基本的に株式公開買付を選択することが多いといえます。

敵対的買収の方法と仕組み

敵対的買収の方法と仕組みを、買収企業側から説明します。
買収企業と買収対象企業が敵対的な関係にある場合、友好的買収やM&A(合併や事業譲渡など)という選択肢はないでしょう。したがって買収企業は、買収対象企業の株式の50%超を買い集めます。

先述の通り、買い集める方法は基本的に株式公開買付です。もし株式公開買付をしない場合は市場取引となり、株価が上がっていく可能性が高く、大量の資金が必要になってしまいます。

株式公開買付が成功し、買収企業が買収対象企業の株式の50%超を保有すると、株主総会で議決権を行使できます。その内容は、買収企業にとって都合の良い役員(取締役など)を選任することなどさまざまです。その後は、買収対象企業と協力して事業展開を行っていきます。

敵対的買収を仕掛けられた際の防衛策

ここでは、敵対的買収に対して買収対象企業がとることのできる防衛策を解説します。防衛策にはいろいろな手段がありますが、どれも買収企業の目的を阻むために行うものです。

ポイズンピル(ライツプラン)

ポイズンピルとは、買収企業の持株数がある水準を超えた時に、買収対象企業が既存株主に対して条件付きの新株予約権(※)を発行し、買収企業の持株比率を下げることをいいます。
ポイズンピルを行う上では、株主に新株予約権を発行することに対し、買収企業には株ではなく金銭の交付を行うことで買収企業の持株比率を下げます。

※新株予約権とは、簡単にいうと株主が新株を買うことができる権利のことです。新株予約権にはさまざまな条件を付けることができます。

ゴールデンパラシュート

ゴールデンパラシュートとは、役員の退職金を高額に引き上げることで、買収企業の買収意欲を低下させる防衛策です。
敵対的買収が成功すると基本的に役員が一新されるため、退職金を引き上げておき、買収企業の立場を少しでも不利にするという目的があります。

ホワイトナイト

ホワイトナイトとは、買収対象企業と友好的な関係を持つ第三者に、企業を買収もしくは合併してもらうことをいいます。買収企業より先に友好的な第三者に株式を取得してもらうことで、敵対的買収を阻止します。

焦土作戦

焦土作戦とは、買収企業が目的としている経営資源を買収対象企業から切り離すことをいいます。買収企業の目的を消すことで、買収意欲を減退させる効果が期待できます。
しかし経営資源を切り離した買収対象企業は、その後不利になってしまうでしょう。そこで上述のホワイトナイトのように、第三者に経営資源を渡し、防衛した後には元の状態に戻すことがあります。

敵対的買収で株価はどうなる?

買収企業と買収対象企業の株価について、まず買収企業の株価は上がることが多いといえます。これには、買収成功により今後の事業拡大などの期待が上がるためといった理由があるでしょう。しかし、近年では株価が下がる事例もあり、先述の防衛策の影響によるものかもしれません。

次に、買収対象企業の株価も上がることが多いでしょう。これは株式公開買付による影響と考えられます。しかし買収が終わった後は、防衛策などにより下がることもあるようです。

敵対的買収の後、双方の企業の株価は上がることが多いといえますが、買収した内容や買収企業の戦略、防衛策の影響などによってさまざまなケースがあります。

敵対的買収のメリットとデメリット

敵対的買収が行われた場合、買収対象企業にはメリットはないといえるでしょう。メリットがある場合は、そもそも敵対的関係になっていないはずです。
デメリットには、役員が一新され会社の環境が大きく変わることなどがあります。その結果、退職を希望する従業員が増えることなどもあり得るでしょう。

次に、買収企業のメリットとデメリットを詳しく解説します。

買収企業のメリット

  • 企業規模の拡大
  • 買収が成功すると、会社を1つ手に入れることになり、その会社の市場シェアを引き継ぐことになります。他業種の会社を買収すれば、その業種への販路拡大にもつながるでしょう。また、競合他社を買収できるとその市場で大きく成長することも期待できます。

  • シナジー効果による経営効率化
  • シナジー効果とは、複数のものが協力したときに生じる相乗効果のことです。
    例えば、運送費がネックとなっていた企業が運送会社を買収した場合、買収後は運送費を安く抑えることができます。

  • 経営資源の入手
  • 会社は従業員や知的財産、不動産などを抱えています。これらをうまく活用することで、さらに大きな成長が見込めるでしょう。
    近年では、会社を支配するという目的よりも、その会社が持っている権利やノウハウなどを入手するために敵対的買収をするケースもあります。

    買収企業のデメリット

  • 買収失敗の可能性がある
  • 買収対象企業には、敵対的買収に対してとり得る防衛策があり、買収企業は株式の50%超を集められない場合があります。
    このように買収が失敗した場合でも、買収企業は株式の購入費用がかかったり、証券会社などにアドバイザリー手数料を支払ったりすることは変わらないでしょう。
    失敗しても多額の資金がかかるため、敵対的買収はリスクが大きいのです。

  • シナジー効果を享受できない
  • 買収が成功したとしても、その後の経営統合がうまくいかなかったり、買収対象企業の力を引き出せなかったりするという問題点もあります。独自の技術やノウハウがあっても、買収の影響から従業員が退職することで使えなくなってしまうこともあるでしょう。

  • ブランドイメージの低下
  • 買収企業が買収対象企業のイメージや伝統を壊してしまうこともあります。
    具体的には、買収成功がかえって買収対象企業とのわだかまりを残したり、顧客が離れてしまったりすることがあるのです。

    日本企業の敵対的買収事例

    最後に、日本で実際に行われた敵対的買収の成功例と失敗例を見てみましょう。

    成功例

    2017年、フリージア・マクロス株式会社(買収企業)がソレキア株式会社(買収対象企業)に対して株式公開買付を行いました。
    ソレキアは、防衛策にホワイトナイトの方法をとりました。友好的企業として富士通が名乗り出て、株式公開買付を開始したのです。
    結果は、買付価格が上昇して最後には富士通がギブアップし、フリージア・マクロスの敵対的買収が成功しました。

    失敗例

    2007年には、米投資ファンドのスティール・パートナーズが、ブルドックソース株式会社に対して敵対的買収を行いました。
    ブルドックソースは防衛策としてポイズンピルの方法をとり、既存株主に新株予約権を発行しました。新株予約権の内容は、スティール・パートナーズに対して株式相当額の金銭を渡し、他の株主には新株を発行するという内容です。これによってスティール・パートナーズの持株比率は下がるため、ブルドックソースに対して差し止めを求めましたが、最高裁はこれを認めませんでした。
    スティール・パートナーズの持株比率は低下し、ブルドックソースの防衛が成功したことになります。

    敵対的買収についてご理解いただけましたでしょうか

    敵対的買収の仕組みから防衛策、メリット・デメリットなどについて解説しました。敵対的買収とは、当事者の合意が無いまま一方的に、株式の50%超を保有することです。防衛策にはいろいろなものがありますが、敵対的買収を行おうとする企業の目的を阻むことがポイントとなります。
    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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