- 更新日 : 2024年8月8日
バーチャルオフィス代を経費にする時の仕訳に使う勘定科目まとめ
レンタルオフィスやコワーキングスペースに加え、最近では住所だけをレンタルする「バーチャルオフィス」というオフィスの形態もみられるようになってきました。バーチャルオフィスは歴史が浅いだけに、勘定科目や仕訳に迷ってしまいがちです。
本記事では、仕訳例を交えながら、バーチャルオフィス代を経費にする場合の取り扱い方法を具体的に紹介していきます。
目次
バーチャルオフィスとは
バーチャルオフィスは、近年になってみられるようになった新しいオフィスの形態です。事業所の住所を貸し出すサービスのことをバーチャルオフィスと呼び、物理的なオフィスを貸し出すコワーキングスペースとは違ったものとなっています。
バーチャルオフィスは、自宅で事業をするためオンライン上で不特定多数に住所を公開するのに抵抗がある人や、通常のオフィスよりもコストを抑えたい人などに需要があるといわれています。
バーチャルオフィスの基本的なサービスは郵便物の受取・転送、電話番号・FAX番号の利用などが含まれるケースが大半です。これにプラスして、法人登記の代行、記帳代行、税務相談、融資や補助金のサポートなどのサービスが受けられるバーチャルオフィスもあり、その内容はバーチャルオフィスごとに千差万別です。
バーチャルオフィスには、初期費用がおさえられる、最短即日などの短時間で住所を得られる、固定電話やFAXを気軽に導入できるなどのメリットがあります。ただし、バーチャルオフィスは実際の場所を借りられるサービスではありません。仕事場所は他に用意する必要があるため、メリットが大きいかどうかは事業規模や業態に左右されやすいといえます。
バーチャルオフィス代の仕訳に使える勘定科目
バーチャルオフィスの歴史は浅く、実際に不動産を借りるわけでもないので、どの勘定科目を選べばよいか悩むことも多いでしょう。
バーチャルオフィスの仕訳に絶対的に正解といえる科目はありませんが、利用料の基本料金に相当する部分は「支払手数料」を使って仕訳をすれば間違いがありません。基本料金以外の部分(個人ロッカーのレンタル、会議室のレンタルなどのオプション部分)は、その性質をひとつずつ確認し、性質に応じて適切な勘定科目を選ぶ必要があります。
例えば、代表的なオプションの勘定科目の例としては、貸し会議室は会議費、書類保管は外注工賃、記帳代行は外注工賃などが適切だと考えられます。郵便物転送サービスがオプション扱いとなっている場合は、通信費を用いて仕訳するのが基本です。
なお、請求書や領収書が「バーチャルオフィス利用費」などでひとまとめになっている場合は、わざわざ再発行を依頼したり、仕分けをしたりする必要はありません。このような場合には、まとめて「支払手数料」と計上するのが一般的です。ただし、明細が記載されている場合には適切な勘定科目をしっかり選ぶようにしましょう。
バーチャルオフィス代を支払手数料で仕訳する
一般的に「オフィスを借りる」というと、賃借料で処理することを考えてしまいがちです。しかし、バーチャルオフィスは実際の物件を借りるわけではありません。そのため、賃借料を用いて計上するのは不適切です。
実際には、バーチャルオフィスを仕訳する際には支払手数料を用いるケースが多くなっています。ここでは、バーチャルオフィス代を支払手数料で処理する事例を紹介します。
仕訳例)バーチャルオフィスの月額利用料を現金で支払った。
バーチャルオフィスの月額利用料や基本料金に相当する部分は、上記のように支払手数料で処理します。
バーチャルオフィスのオプション利用料を仕訳する
先ほども説明した通り、基本料金以外のオプションサービスを利用した場合には、その性質に応じて費用を計上する必要があります。どの勘定科目が適切かはケースバイケースですが、ここでは郵便物転送サービスと貸会議室を利用した場合の仕訳例を紹介します。
仕訳例)バーチャルオフィスのオプションサービスとして、郵便物転送サービスを利用した。利用料は現金で支払った。
仕訳例)バーチャルオフィスのオプションサービスとして、貸会議室を利用した。利用料を現金で支払った。
バーチャルオフィスの仕訳では賃借料を使わないこと
賃借料は実在する場所やものを借りる際に用いる勘定科目であり、実在のないバーチャルオフィスには不適切です。賃借料ではなく、支払手数料などの勘定科目を用いて費用計上してください。
また、オプションサービスを利用した場合はその内容に応じて適切な勘定科目を選ぶ必要があります。神経質に考えすぎる必要はありませんが、実態にのっとった仕訳を心がけましょう。
よくある質問
バーチャルオフィス代は経費にできる?
バーチャルオフィス代だけでなく、それに伴うオプション利用料(郵便物転送サービス、貸会議室など)も経費として計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
バーチャルオフィス代を支払手数料で仕訳するポイントは?
利用したサービス内容によって、支払手数料より適切な勘定科目がある場合もあります(郵便費、外注費など)。その性質に最も合った勘定科目を選ぶようにしましょう。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
土地再評価差額金とは?会計処理の方法を仕訳例を用いて解説
上場企業の財務諸表を見ると、貸借対照表の純資産の部に「土地再評価差額金」が記載されていることがあります。「土地再評価差額金」がどのような勘定科目なのか、知らない方は多いでしょう。計上している会社としていない会社があるのは、なぜでしょうか。こ…
詳しくみる電話代はどの勘定科目で仕訳する?経費になるのはいつ?携帯電話・固定電話も分かりやすく解説
社外、あるいは社内でのやり取りで、必ずといっていいほど発生するのが電話代(あるいは電話料金)です。業務上、必要な電話代は経費として計上できます。この記事では、電話代とは何を指すのかその定義と範囲、電話代の勘定科目や仕訳、企業と個人事業主での…
詳しくみる送料にかかる消費税や軽減税率を解説
モノやサービスを消費したときにかかる消費税は、普段の生活の中で関わることが多くさまざまな場面で課税されます。 身近な税金であるだけに課税対象や税率など仕組みを正しく理解しておくことが大切ですが、間違えやすく注意が必要なのが「送料にかかる消費…
詳しくみる出資金はどんな勘定科目?組合や信用金庫へ出資した場合の仕訳例まで解説!
「出資金」という勘定科目を使用するケースは、法人、個人事業主を問わず発生します。この勘定科目が使われるのは、信用金庫から融資を受けるとき、株式会社以外の会社や組合に加入するとき、ゴルフ会員権を取得するときなどです。 しかし、これらの取引は頻…
詳しくみる車を経費にする場合の仕訳に使う勘定科目まとめ
車関連の費用は、事業で使用する場合は経費として計上できることがあります。また、車に必要な保険料や自動車税なども、経費計上可能なことがあるので、正しく仕訳をしておきましょう。仕訳に使う勘定科目や中古車を購入した場合の仕訳について解説するので、…
詳しくみる売上割戻引当金とは?仕訳から解説
製造業や卸売業において、一定額または一定数量の売上を達成した販売店などに対して、顧客との契約に基づき売上代金の一部控除を行うことを「売上割戻」と言います。また、売上割戻に対する引当金を「売上割戻引当金」と言い、売上割戻の見込額が引当金の要件…
詳しくみる