- 更新日 : 2020年9月17日
事業税の計算方法を正しく理解していますか?個人事業税と法人事業税の計算方法を解説

事業主が知っておくべき税金のひとつに「事業税」があります。
所得税は国に納める税金ですが、事業税は管轄する行政に納める地方税です。そして、事業税には「個人事業税」と「法人事業税」があります。
名前のごとく、個人が営む事業に対して課せられるものと、法人が営む事業に対して課せられる税金です。
個人事業税は所得税の確定申告に基づいて行政が算出して納付書を送付してくるため、自ら計算するわけではないのですが、ここではそれぞれの事業税の算出方法や税率および税率の判定に関する基準等を説明します。
個人事業税の概要と対象者
まず、個人事業税は上記のように確定申告に基づいて計算される税ですので、所得税の確定申告や住民税の申告をした人は、改めて個人の事業税の申告をする必要はありません。
では、個人事業税とはどのような個人事業主に課される税金なのでしょうか。
個人事業税の対象となるのは「法定業種」の事業を行っている個人事業主です。
しかし、現在、70の法定業種があり、ほとんどの事業が当てはまるようになっているため、一部の人だけが払う税金というわけではありません。
税率は業種によって異なっています。
第1種事業:37業種が含まれています。5%の税率で計算する業種です。
第2種事業には次の3業種が含まれます。これらの業種は、税率4%で計算します。
畜産業、水産業、薪炭製造業
第3種事業:次の30業種が登録されています。
第3業種では、次の28業種については、税率5%が課せられます。
第3種事業のうち次の2業種については、税率3%で計算をします。
あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復 その他の医業に類する事業、装蹄師業
個人事業税額の計算方法
個人事業税の計算方法は以下の通りです。
個人事業税の税率を計算するときは、「青色申告特別控除」を差し引く前の課税所得額を基準に考えます。
その課税所得額から事業主控除の290万円の差し引き、出た金額にそれぞれの税率を掛けた金額が個人事業税額です。
たとえば、青色申告特別控除を65万円受けている、出版業を営んでいる個人事業主であり、課税所得額が268万円であった場合の個人事業税は次のようになります。
333万円−290万円=43万円(個人事業主控除290万円を差し引いた額)
43万円×5%=21,500円(出版業の税率は5%なので、5%をかけます)
21,500円が個人事業税となります。
個人事業税は基本的には所得税の計算と同様におこないますが、青色申告特別控除額は適用されません。注意が必要です。
そのほか、「所得税の事業専従者給与(控除)額」なども適用外ですので、それらを差し引く前の課税所得額を出す必要があります。
適用される各種控除
個人事業主に適用される各種控除は、以下の通りです。
・損失の繰越控除:青色申告者は、事業の収益が赤字のとき、翌年以降3年以内の事業所得からその損失額を差引くことができます。
・被災事業用資産の損失の繰越控除:白色申告者であり、震災、風水害、火災など自然災害によって、事業用資産が被害を受け、金額的な損失を発生した場合には、翌年以降3年間、繰越控除ができます。
・譲渡損失の控除と繰越控除:事業用の資産を他者に譲渡したことによって損失があった場合、その損失額については、事業の所得から差し引くことができます。青色申告者は、翌年以降3年間、繰越控除ができます。
・事業主控除:年間290万円の控除があるため、事業所得及び不動産所得の合計額が、年間で290万円以下であった場合は、個人事業税は課されません。申告する必要もありません。
※事業主控除の年間290万円の控除は、営業期間が1年未満の場合には営業活動を行った月で割った額が控除額となります。
法人事業税の税率
他方、法人事業税も、所得にたいして課税されるという点では基本的には個人事業税と同じです。
地方自治体により税率が若干異なる場合があり、また事業規模や業種によって算出方法は違ってきますが、中小企業等の事業主がとりあえず把握しておきたい税率は下記の通りです。
・課税所得額:~800万円→税率7.3%
・課税所得額:800万円超→税率9.6%
まとめ
個人事業主も法人も、節税をする際に、まずは所得にかかる税金を正しく理解することが重要です。自身の事業について、節税するポイントがこれ以上ないかなど、もう一度見なおしてみてはいかがでしょうか?
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