• 更新日 : 2020年9月17日

簡易課税の計算方法には基本と特例がある!

消費税の納税額は、簡易課税という方式と原則課税という方式のいずれかの方法で計算します。その1つである簡易課税方式は、仕入れや設備投資、経費など仕入れの際に支払った消費税の金額を計算する必要はありません。

売上時にもらった消費税に対して、みなし仕入れ率と呼ばれる一定の割合を掛けることで計算した金額を、仕入れの商品を購入するときなどに支払った消費税と考え、納税するべき消費税の金額を計算する方法となっています。

簡易課税制度を受けるには、下の条件にあてはまらなくてはいけません。

・基準となる一定期間における課税される対象の売上金額が5,000万円以下であること
・「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署へ届け出ていること

年間の売上に伴う消費税額と、課税分の仕入れに伴う消費税額の計算は煩雑です。経理処理上、大きな負担がかかることから、中小企業の事務負担を少なくするため、売上時に預かった消費税から納税の金額を計算しても良いという仕組みが取られています。

一年を通した売上高に対して、区分された事業の種類ごとに定められたみなし仕入れ率を掛けて消費税の金額を計算しますので、課税の対象となる仕入れ額を考慮することなく、課税される対象となっている売り上げの額が把握できていれば納税の金額を計算することが可能です。

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簡易課税方式による計算方法について

簡易課税という方式での仕入れ計算方法は下の通りとなっています。

納める消費税の金額=課税される対象の売上に対する消費税の額-(課税される対象の売上に対する消費税の金額×みなし仕入れ率)

みなし仕入れ率は、事業の形態ごとに、第一種から第六種までの事業区分がなされていて、消費税の取り扱い上、控除の割合がそれぞれに定まっています。各事業の課税される対象となる売り上げの金額に対して、第一種事業は90%、第二種事業は80%、第三種事業は70%、第四種事業は60%、第五種事業については50%、、第六種事業は40%と定まっています。

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特例の計算方法とは?

前述の計算方法は、1つの種類だけの事業を行っている企業にのみ当てはまります。ただし実際には、複数の事業を行っている企業もたくさんあります。

仮にサービス業の会社が社用車を売却する場合、サービス業は第五種に該当し、資産の売却は第四種に該当するため、事業の区分が複数にわたります。また、不動産業の場合でも、事業内容によっては区分が変わるなど、注意する必要があります。

こういったケースでは、それぞれの事業の区分に当たるみなし仕入れ率を掛けた金額が仕入れに対しての税額控除の額になります。

具体的な計算方法は下記の通りです。

仕入れの税額控除の額=第一種事業の消費税の額×90%+第二種事業の消費税の額×80%+第三種事業の消費税の額×70%+第四種事業の消費税の額×60%+第五種事業の消費税の額×50%+第六種事業の消費税の額×40%

また、事業区分が複数にわたる場合、そのうち1つの事業区分、または2つの事業区分(3つ以上の事業がある場合)で、売上高が全体のうちで75%を超える場合は、以下のような特例による計算が可能です。
よって、納税額が少なくなる計算方法を選択することができます。

2つ以上の事業を行っており、そのうち1つの事業区分の課税される対象となる売上高が75%以上の場合の計算方法

簡易課税による方式を選択し、2つ以上の事業を経営している場合、そのうち1つの事業での課税される対象となる売上高が、売り上げ全体のうちで75%以上を占めるケースでは、課税される売り上げの金額全体に対して、その1つの事業のみなし仕入れ率を掛けることで、仕入れの税額控除の金額を計算します。

3種類以上の事業を行っており、そのうち2種類の事業区分の課税される対象となる売上高が75%以上の場合の計算方法

簡易課税方式を選択し、3つ以上の事業を経営している場合、そのうち2つの事業での課税される対象となる売上高の合計金額が、売り上げ全体のうちで75%以上を占めるケースでは、その2つの事業のうちみなし仕入れ率が高い事業での売上高に関しては、もともとのみなし仕入れ率が用いられます。

それ以外の売上高には、その75%以上を占める2種類の事業のうち低いみなし仕入れ率を用い、仕入れの税額控除の金額を計算します。

事業ごとの売上高を区分していない場合の計算方法

簡易課税方式を選択して、2つ以上の事業を経営している場合で、課税される対象となる売上高を事業ごとに区分していないケースでは、その売上高の全体に対して、2つ以上の事業のみなし仕入れ率のなかで最も低いみなし仕入れ率を用い、仕入れの税額控除の金額を計算する計算方法を使用します。

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まとめ

簡易課税の計算方法は事業の形態ごとに決まっていてシンプルな計算になりますが、複数の事業を経営し簡易課税の方式を採用している場合では、仕入れの税額控除の金額計算に際して、課税される対象となる売上高を各事業に区分することが計算方法の重要なポイントとなります。

参考:No.6505 簡易課税制度|消費税|国税庁

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※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:土屋 英則 (税理士)

税理士法人ゆびすい
ゆびすいグループは、国内8拠点に7法人を展開し、税理士・公認会計士・司法書士・社会保険労務士・中小企業診断士など約250名を擁する専門家集団です。
創業は70年を超え、税務・会計はもちろんのこと経営コンサルティングや法務、労務、ITにいたるまで、多岐にわたる事業を展開し今では4500件を超えるお客様と関与させて頂いております。
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