- 更新日 : 2024年8月8日
売上台帳とは?エクセル無料テンプレート・書き方・手書きの方法
売上台帳は、売上に関連する取引を記録するための帳簿の一種です。売上台帳には、商品やサービスの販売によって生じた収入の詳細(販売された商品やサービスの種類、数量、販売価格、販売日、顧客情報など)を記載します。
売上台帳は手書き・エクセルや会計ソフトなどで作成が可能です。
また、令和3年1月まで募集のあった持続化給付金は、まだ記憶に新しい事項だと思いますが、この給付金の申請には、個人事業主であっても、法人であっても、「対象月の収入額(合計額)がわかる売上台帳等を提出」することとされていました。
このようなときのために、月々の売上が明確になる資料をエクセルで作成する方法を考えてみましょう。
▼売上台帳のエクセルテンプレートをお探しの方は、こちらから無料でダウンロードできます。
目次
売上帳(売上台帳・売上管理簿)とは?
売上帳とは、売上を管理する帳簿のことをいいます。
売上元帳、売上台帳、売上管理簿といろいろな呼び方がありますが、次のような事項が必要となります。
- 対象月
- 売上日付
- 販売先(不特定多数の場合は省略可)
- 売上内容
- 売上金額
- 対象月の売上高合計
売上帳としては、販売先や売上内容もわかれば記載のあるほうがよいので、これらがわかりやすく並んだものということになります。
売上台帳の無料エクセルテンプレートダウンロードはこちら
「マネーフォワード クラウド会計」では、売上帳のテンプレート(ひな形)をエクセル形式にて無料で提供しています。以下のリンクからダウンロードが可能です。
▶売上帳(シンプル) | ▶売上帳(全14枚タイプ) |
簡単なしくみなので、運用に合わせてカスタマイズしてください。
売上台帳の作り方は主に3種類
パソコンやスマホの操作が得意でない場合や、時間がない場合は、税理士に売上台帳の作成を依頼する方法があります。費用はかかりますが、プロの手によって正確な台帳が作成され、他の業務に集中できます。
自分で作る場合は、主に以下の3種類が挙げられます。
会計ソフトを使用する
会計ソフトは売上データの抽出機能を備えており、簡単に売上台帳を作成できます。
基本的には「総勘定元帳」のような機能を使い、売上勘定のみを抽出することで、売上台帳を作成できます。
会計ソフトは操作が簡単で、初心者でも使いやすいガイドが多く用意されているので、個人事業主・法人問わずおすすめです。
マネーフォワード クラウド会計では、売上高の総勘定元帳が「売上台帳」に相当し、日々の仕訳を行うだけで、総勘定元帳をカンタンに自動作成できます。
法人の方はもちろん、個人事業主の方も多くご利用いただいているので、ぜひお気軽にお試しください。
- 【法人の方はこちら】マネーフォワード クラウド会計の詳細ページ
- 【個人の方はこちら】マネーフォワード クラウド確定申告の詳細ページ
表計算ソフト(例:エクセル)を使用する
会計ソフトを導入していない場合や小規模の場合は、表計算ソフトで売上台帳を作成するのがよいでしょう。
Excelなどのソフトウェアは、字体やフォント、罫線などのカスタマイズが可能で、見やすく使いやすい台帳を作成できます。
特に初心者の場合は、インターネット上で無料のテンプレートを利用することも可能です。
手書きで作成する
ノートやルーズリーフなどを使用して、必要な項目を記載することで売上台帳を作成できます。
費用をかけずに作成可能ですが、会計知識が必要で、記載ミスや計算間違いのリスクがあります。そのため、初心者にはやや推奨しにくい方法ではあります。
売上台帳(月別)のエクセルでの作り方・書き方
月の売上件数が数件の場合は、手書きで売上帳を作成することも可能ですが、ここではエクセルをつかって簡単に売上帳を作成する方法を紹介します。
売上は、売掛金などと異なり基本的に増加するだけです。返品や取消があっても対応できるようにしておきましょう。
また、エクセルがなくてもGoogleスプレッドシートを利用することもできます。
売上台帳のフォーマット・記載項目
ここでは、個人事業主を対象とした売上帳とします。法人の方は事業年度だけを調整してください。
また、ここでは説明を簡略化のため、免税事業者用の売上帳とします。
消費税の課税事業者は区分経理が必要ですので、後半部分において課税事業者向けの改良方法を説明します。
全体像は上の図のとおりです。シートは全部で14枚準備して、合計シートでまとめる形です。
得意先のみリスト形式でコード化していますが、利用しなくても問題ありません。
令和2年度の持続化給付金であれば、合計シートの提出でよかったかと思いますが、念のため該当月のシートも提出しておけば安心かと思います。
エクセルテンプレート(全14P分)を活用した売上帳の使い方は、3ステップです。
1)得意先の登録
得意先シートによく使う得意先を登録します。
既存の得意先コードがある場合には、得意先シートのコードを上書きしてください。
2)売上を入力
それぞれの月のシートに、売上日、得意先コード(ドロップリスト)、取引内容、売上高を入力します。
返品や売上の取消の際は、どの売上について返品や取消があったのかを明らかにし、マイナス値で売上を入力します。
初期は37行目に月ごとの合計行がありますが、適宜行の挿入で追加してください。
3)合計シート
月の合計行のみがしめされるだけです。青色申告決算書の2ページ目と似た形式となります。
備忘録として、月の売上高に大きな変動があったときは備考欄を使用してもよいでしょう。
\売上高の総勘定元帳(売上帳)を自動で出力できる!/
売上台帳を手書きで作る際の項目別の書き方
売上台帳を作成する際、次のような項目を適切に記載することで、財務管理や税務申告、補助金申請などにおいて信頼性の高い基礎資料となります。
手書きであっても、これらの基本的なポイントを押さえておけば、正確で分かりやすい売上台帳を作成できます。
①タイトルと期間
売上台帳の先頭には、文書が何を記録しているかを示す明確なタイトルを付けます。
例えば「2024年3月 売上台帳」と記載することで、内容が一目瞭然になります。
②会社名・作成者名
台帳の作成者である企業名や個人名(屋号)を記入します。これにより、台帳が誰のものかが一目でわかり、特に税務上の申告や給付金の申請に際して重要になります。
③取引日
売上が発生した具体的な日付を記録します。これは「3月15日」といった形式で、各取引ごとに記載します。
④取引先情報
売上に関連する取引先の名前を記入します。企業の場合は正式な社名を、個人の場合は個人名を記載し、取引の相手が明確になるようにします。
⑤売上発生の要因
取引による売上が何によって発生したかを記述します。これは商品の販売、サービスの提供、プロジェクトの完了など、具体的な内容を記載します。
⑥売上金額
各取引の売上金額を正確に記載します。消費税が関係する場合は税込みか税抜きかを明示し、月末にはその月の合計売上を計算して記入します。
売上台帳を手書きで作成する際のポイント
エクセルを使わず、手書きで売上台帳を作成することも可能です。
手書きの場合、まずは売上台帳は読みやすく、追跡しやすいように整理されたフォーマットで作成する必要があります。列や行を明確にし、それぞれのセクションにタイトルをつけましょう。
また、読みやすい字で記入することが重要です。不鮮明な筆記は誤解を招く可能性があります。誤りが発生した場合は、消すのではなく、線を引いて正しい情報を横に書き加えることで訂正しましょう。
売上台帳は重要な財務記録であるため、紛失や破損から守るために安全な場所に保管する必要がある点にも注意してください。
\売上高の総勘定元帳(売上帳)をカンタンに作成・出力!/
個人事業主や法人で売上台帳が必要になるケース
売上台帳が必要となる主なシーンは、主に以下の4つです。
①確定申告時
白色申告を行う際、売上台帳は「収入金額を記載した帳簿」として重要です。確定申告の際には、この帳簿が必要とされ、正確な税金計算と報告に不可欠です。
また、確定申告関連書類は特定の期間保存する義務があります(会社法では10年、税法では7年)。
②所得税の計算
個人事業主や法人の場合、売上台帳は所得税や法人税の計算に必要です。
税額を算出するためには、その年の売上から必要経費や控除を差し引いた「課税所得金額」を把握する必要があり、売上台帳がこれを容易にします。
③収支管理
企業や個人事業主は、事業の収支を把握し管理する必要があります。売上台帳を用いることで、日々の売上が可視化され、収支のバランスを維持するための重要な情報源となります。
また、売上の集計や分析を容易にし、経営の効率化に貢献します。
④持続化給付金・家賃支援給付金の申請に必要だった
もう一度、持続化給付金と家賃支援給付金の申請に必要だった「対象とする月の売上台帳等」の要件を振り返ってみましょう。
持続化給付金
- フォーマットの指定はない
- 経理ソフト等から抽出したデータ、エクセルデータ、手書きの売上帳などでも構わない
- 書類の名称も「売上台帳」でなくてもよい
- 提出するデータが対象月の事業収入であること及び対象月の事業収入の合計額を確認できる資料を提出 (2020年●月と明確に記載されている等)
- 事業収入額が0円の場合は、対象月の事業収入額が0円であることを明確に記載
家賃支援給付金
- 経理ソフトから抽出した売上データ
- 表計算ソフト(エクセルなど)で作成した売上のデータ
- 手書きの売上台帳のコピー
- 202●年●月と明確に記載されていることを確認する
いずれも、「経理ソフト」か「エクセル」か「手書き」の売上台帳が必要となります。
ここでポイントとなっているのは、「月」が明確になっていることと、「月の合計額」が数値として表されていることです。
普段どおりに確定申告をしていれば、個人であれば「青色申告決算書の2ページ目」に、法人であれば確定申告時に別添として提出する「法人事業概況説明書」に月額売上高は記載されていますから、特に個別に準備する資料はなかったと思います。
【個人:青色申告決算書(P2)より】 【法人:法人事業概況説明書(裏面)より】
個人、法人にかかわらず確定申告において、上記、申告書類の赤枠部分を埋めて申告される方は特段、売上帳だけを意識されることはありません。
しかしながら、白色申告の場合や法人で「法人事業概況説明書」を作成していない場合には、売上台帳等が必要となります。
個人事業主と法人の売上台帳の保存期間について
売上台帳の保管期間について、法人と個人事業主で異なる規定があります。
- 法人の場合:会社法では10年、法人税法では7年の保管期間が定められています。特に、青色申告書を提出した年度に欠損金が生じた場合や、青色申告書を提出しなかった年度に災害損失欠損金が生じた場合は、10年間の保管が必要。
- 個人事業主の場合:青色申告でも白色申告でも、7年間の保管が必要。
会計ソフトで作成することで、データで保管できる(電子帳簿等保存)ので、場所を取らないメリットがあります。
まずは青色申告、次に会計ソフトかエクセルで売上台帳の管理を!
管理会計の一環として売上の管理は事業の基本中の基本です。
本来は売上帳の作成だけでなく、まずは青色申告ができるようなしくみを整えましょう。
白色申告であっても会計ソフトを利用して、申告をすると売上帳を手作りする必要はありません。
会計ソフトの扱いが難しい場合で、売上帳を作成したいときにはエクセルが便利なのかもしれませんね。
参考:帳簿の記帳のしかた
よくある質問
売上帳とは?
売上を管理するための帳簿のことで、持続化給付金・家賃支援給付金の申請に必要となります。詳しくはこちらをご覧ください。
売上帳の作り方は?
月の売上件数が数件の場合は手書きで作成することも可能ですが、エクセルを使うとより簡単に作成できます。詳しくはこちらをご覧ください。
売上帳の書き方は?
無料エクセルテンプレートをダウンロードし、手順に従って必要項目を入力してください。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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