- 更新日 : 2026年6月30日
【2026年】通勤手当の非課税限度額はいくら?改正のポイントを解説
通勤手当の非課税限度額は、令和8年度税制改正(2026年4月1日施行)により、マイカー等通勤の片道65km以上の区分が新設・引き上げられました。
- 交通機関利用の限度額:月額15万円で変更はありません。
- 交通用具利用の限度額:片道65km以上は最大66,400円に引き上げられました。
- 駐車場料金の加算:月額5,000円を上限に非課税限度額へ加算できます(新設)。
今回の改正に遡及適用はなく、2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当から新しい限度額が適用される点に注意が必要です。
令和8年度税制改正(2026年4月1日施行)により、交通用具(自動車・自転車等)を使用して通勤する社員への通勤手当の非課税限度額が改正されました。片道65km以上の区分が細分化され、非課税限度額が引き上げられたほか、一定の要件を満たす駐車場等の料金相当額を、月額5,000円を上限として非課税限度額に加算できる措置も新設されています 。
上記を踏まえ2026年4月支給分の給与計算から改正後の限度額を適用する必要があります。本記事では、改正の内容と2026年4月1日時点の現行ルールをわかりやすく解説します。
※本記事は、国税庁「通勤手当の非課税限度額の改正について」「通勤手当の非課税限度額の改正に関するQ&A」など、2026年4月1日現在の公表資料に基づいて作成しています。
目次
通勤手当の非課税限度額とは?
通勤手当とは通勤にかかる費用を会社が負担するもので、ほとんどの企業は就業規則等でその内容について定めています。
通勤手当は、電車やバスなどの公共交通機関を利用する場合だけでなく、マイカー(自動車)や自転車などの交通用具で通勤する場合に支給されることもあります。
税法上、通勤手当には非課税となる限度額が設けられており、限度額の範囲内で支給される通勤手当は所得税の課税対象になりません。ただし、社会保険上は通勤手当も「報酬」として扱われるため、社会保険料の計算には含める必要があります。
また、通勤距離が片道2km未満の場合は、支給された通勤手当は全額課税となります。
令和8年度改正のポイントとは?
令和8年度税制改正による通勤手当の改正のポイントは以下の2点です。
①65km以上の区分の新設・非課税限度額の引き上げ
これまで片道55km以上はすべて一律38,700円とされていました。今回の改正により片道65km以上の区分が「65km以上75km未満」「75km以上85km未満」「85km以上95km未満」「95km以上」に細分化され、距離に応じて45,700円から66,400円まで引き上げられています。
なお、55km未満の区分については今回の改正による変更はありません。
②駐車場料金の加算措置(新設)
今回の改正により、通勤のために一定の要件を満たす駐車場等を利用している場合(通勤距離が片道2km未満の人を除く)、駐車場料金相当額(1か月あたり上限5,000円)を通勤手当の非課税限度額に加算できることとなりました。
「一定の要件を満たす駐車場等」とは、通勤のために使用する交通用具の駐車のための駐車場等のうち、その通勤手当の支払を受ける人の勤務する場所の周辺、またはその人が通勤のために利用する交通機関の駅・停留所その他の施設の周辺にあるものをいいます。ただし、自宅周辺の駐車場・駐輪場は対象外となる点には留意が必要です。
【計算例】 通勤距離20km・駐車場代4,000円/月を会社が補助する場合
距離区分の非課税限度額(20km区分※)+ 駐車場代 4,000円(上限5,000円以内のため全額)= 合計で非課税
※片道20kmは「15km以上25km未満」に該当するため、交通用具に係る非課税限度額は13,500円です。これに、駐車場等の料金相当額4,000円を加算できます。 この場合、1か月当たり17,500円までが非課税限度額となります。会社が支給する通勤手当が17,500円以内であれば全額非課税となり、17,500円を超える部分は給与として課税されます。
2026年4月1日時点の現行ルールは?
公共交通機関(電車・バス等)を利用する場合の非課税限度額は1か月あたり15万円で、今回の改正による変更はありません。
交通用具(自動車・自転車等)を使用する場合の2026年4月1日時点の非課税限度額は以下のとおりです。(1カ月あたり)

なお、駐車場等の料金を本人が負担している場合は、上記の限度額に1か月あたりの駐車場料金相当額(上限5,000円)を加算した金額が非課税限度額となります。
適用対象となる通勤手当は?
今回の改正(2026年4月1日施行)が適用されるのは、2026年4月1日以後に支払われるべき通勤手当です。
以下の通勤手当には改正後の非課税限度額は適用されず、改正前の限度額で計算します。
- 2026年3月31日以前に支払われた通勤手当
- 2026年3月31日以前に支払われるべき通勤手当で、4月1日以後に支払われるもの
- 上記の差額として追加支給されるもの
なお、今回の改正に遡及適用はありません。 4月1日以後に支給されるべき分から順次、改正後の限度額を適用してください。
交通手段が複数種類ある場合はどうなる?
たとえば自宅最寄り駅までは自転車を利用し、電車に乗って会社まで通勤している場合で考えてみましょう。
所得税法では非課税限度額が定められているだけにすぎず、具体的にどのように支給するかまでは規定されていません。労働基準法においても、通勤手当に関して義務付けたり規定したりしていません。実際には就業規則による社内規定で定めることになります。
そのため、自転車通勤者は社内規程に基づき支給対象・支給方法を定めることもでき、駐輪場代を申請してもらうことで支給する方法をとることもできます。
電車などの交通機関の定期券代を1か月単位としても6か月単位としても問題ありません。6か月分を支給する場合における中途退職者の精算に関してあらかじめ定めておくことで、トラブルを回避することができます。
これらのことを踏まえて、
- 自転車通勤区間は駐輪場代
- 電車通勤区間は通勤用定期乗車券
を支払うこととした場合、交通機関を利用するほか交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券という区分に該当するため、1の駐輪場代と2の通勤用定期乗車券の合算金額が、最高限度額である15万円までであれば非課税になります。また、15万円を超える部分に関しては所得税の課税対象として計算されることになります。
なお、就業規則を変更するためには、会社の社内規程に基づく承認手続きに加え、労働者代表等からの意見聴取や、必要に応じた労働基準監督署への届出を行う必要がある場合もあります。取締役会決議の要否は、会社の機関設計や職務権限規程・取締役会規程に基づいて確認しましょう。
限度額以上の通勤手当を支払った場合はどうなる?
たとえば、片道70km区間を自動車で通勤している社員に対して、改正前の非課税限度額38,700円を超えて44,000円の通勤手当を支給していたとします。
改正前は38,700円を超えた5,300円が所得税の課税対象となり、基本給などと合算されて所得税が計算されていました。
今回の改正により、片道65km以上75km未満の区分の非課税限度額が45,700円に引き上げられたため、支給額44,000円は全額非課税となり、所得税の課税対象ではなくなります。該当する社員がいる場合は、2026年4月1日以降に支払われるべき支給分から給与計算システムの距離区分や非課税限度額の設定が正しく反映されているかを確認しましょう。
通勤手当の非課税限度額改正に伴い必要な事務手続きとは?
今回の令和8年度改正への対応として、実務上は以下の確認・対応が必要です。
- 交通用具通勤者のうち、通勤距離が片道65km以上の社員を抽出する
- 駐車場代を会社が補助している社員について、加算措置の適用可否を確認する
- 給与計算システムの非課税限度額の設定を更新する
- 就業規則に「非課税上限額を支給する」旨が規定されている場合は、改正後の限度額に合わせて規定を見直す
- 対象社員に対して、2026年4月支給分から改正後の限度額が適用される旨を周知する
- 4月支給計算前にシステム対応が間に合わなかった場合は、対象となる通勤手当の支給日や支給内容を確認したうえで、過大に源泉徴収した税額がないかを確認し、必要があれば精算・還付する
なお、中途退職者に改正前の源泉徴収票を交付済みの場合、改正後の支払金額に訂正し、摘要欄に「再交付」と表記したうえで再度交付する必要がある場合もあります。
税制改正の内容に沿って、給与計算の設定を見直そう
令和8年度税制改正(2026年4月1日施行)により、片道65km以上の非課税限度額が最大66,400円に引き上げられ、駐車場料金の加算措置(上限5,000円)も新設されました。
対象となる社員がいる場合は、2026年4月1日以後に支払われるべき支給分から改正後の限度額が適用されるため、給与計算システムの設定や就業規則の内容を早めに確認してください。
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