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  • 作成日 : 2014年6月16日
  • 更新日 : 2020年9月17日

「社長、本当に有効な節税方法知ってますか?」 税理士・服部先生が読み解くスタートアップの節税テクニック

服部先生

リソース、ノウハウが不足しがちなベンチャー企業やスタートアップにとって、お金に関する悩みが尽きることはないかと思います。その中でも、節税対策について頭を悩ませている経営者も少なくないでしょう。

そこで今回は、スタートアップ支援を得意とするSeven Rich会計事務所の代表で税理士の服部峻介氏に、スタートアップにとっての有効な節税テクニックや節税で陥りがちな失敗について伺いました。

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節税とは法律の範囲内で、制度や控除を活用し、税の負担を減らす行為です。まず、一般的な節税の方法としては2つあり、1つは決算の際に利益額を確定させ、そこにかかる税率を下げる、もしくは利益額そのものを減らすことで節税することができます。もう1つが税額控除を活用することで、納税する額を減らすことができます。

次に法人が納める税と税率について、基本的には法人税と法人事業税、法人住民税に加え地方法人特別税が納めるべき税としてあります。各税の税率を合わせたものを実効税率といい、資本金や売上によって前後するものの、以下が実効税率の基本となります。

実効税率(38.01%)=〔法人税(25.5%)+復興特別法人税(2.55%)+地方法人特別税(4.292%)+法人事業税(3.26%) +法人住民税(25.5%×20.7%)〕÷ 1+地方法人特別税(4.292%)+法人事業税(3.26%)

また、企業が納めるべき税金についてどういった種類があるのかを知っておくことで、最大限、節税することができると思いますので、以下に紹介していきます。

・法人税
・固定資産税
・消費税
・法人事業税
・法人住民税
・地方法人特別税
・印紙税
・復興特別法人税
など

以上のように、38%程度の税率は企業に重くのしかかってきます。特に、利益が出始めたスタートアップには、厳しいものがあるでしょう。しかし、節税することによって税率や税金は減らすことができます。そこで、明日からでも使える節税対策を税理士の服部氏に詳しく解説してもらいました。

スタートアップにとって有効な節税対策

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役員報酬がシンプルかつ効果的な節税対策

服部峻介(以下、服部):1番シンプルな節税は役員報酬を適正な額に決めることです。役員報酬を適正な額にするということはどういうことなのか。収支計画を作り、着地の利益を考えた上で、その利益を法人税として払うのか、役員報酬として受け取り、所得税で払うのかを適切に選択することが1番の節税になります。

どのレイヤーの方もそうなのですが、結構皆さん、役員報酬を適当に決められていて……。例として、月100万円・年間1200万円の役員報酬をもらいながらも、会社としては赤字が1000万円あるとする場合、所得税がものすごくかかります。

それは非常にもったいない話で、そうした状況ならば、役員報酬を年間300万円くらいにして、法人の赤字が少々マイナスくらいにし、所得税を低くするほうがお得なんです。

さらに、ほとんどの人が誤解していることで「役員報酬にかかるものは所得税だけ」だと思っているのですが、実はそこに住民税や社会保険がかかってきます。

なので、トータルで考えた時に法人税で払うのか、所得税として払うのか、適正な組み合わせがあるので、収支計画をしっかりと立てた上で、しっかりと考えてみて欲しいです。それだけで年間数十万円から、人によっては100万円以上の節税が見込まれます。

税理士に相談することで、収支計画を一緒に考えてくれたり、税額のシミュレーションを一緒にしてくれたりするので、税理士に相談してみたらいいと思います。

当然利益がしっかりと出てきて、会社にも社長にも利益が出てきたら、社長としてもらうべき役員報酬に設定していけばいいとは思います。

盲点! 意外な節税How To

そして、もう1つあるのが出張の日当というものがあります。これはものすごく得します。出張の日当とは何なのか。大企業にいる場合、出張すると日当2000〜3000円もらえるのですが、これって実は所得税がかからないんです。

そのため、少し大げさな例で説明をさせていただくと、ご本人が会社の社長でしたら日当1万円~2万円で設定でき、役職や業種によって年間100日近く出張すると思うので、100万円~200万円くらい所得税がかからないお金として、社長自身に払うことができます。

先ほどの役員報酬と合わせて、出張の日当を増やし、役員報酬を下げることで支払う所得税は減るし、その分、利益が出ていれば200万円を経費として認められるというのが1つあります。

宿泊代や飛行機代からお金を生み出すテクニック

次に、宿泊代において、旅費規程を作れば宿泊代でかかる費用は実費である必要がないということをうまく利用します。つまり、「うちの会社は東京に泊まったら1万円払う」と決めておいて、実際には3000円〜4000円くらいのカプセルホテルに泊まっても1万円もらうことができるんですね。そうすると経費がちょっと増えつつ、社長は所得税のかからないお金をもらえるといったのが出張の日当における2つ目の対策となります。

3つ目が、飛行機代も実費でなくて良いということ。旅費規程で正規料金を支払うことを規程して、実際は割引のチケットで移動すれば、その差額分は得しますよね。この節税対策は経理の人の業務負担を減らすという理由から認められているものなので、古くから使われており、多くの会社にも適用されている制度なので、しばらく使えるのかなと思います。といった具合で、出張関係の節税は結構知られていないので、適切にやると上手く節税ができ、経費も増え、社長の実質所得も増えるわけです。

ただ、支給金額が高過ぎると経費とならず、所得税も課されてしまいますので、金額設定には注意が必要です。ですので、こちらも税理士に相談しながら、会社の実情に合った金額設定や、規程等の整備をしたらいいかと思います。

また、ベンチャー企業やスタートアップのみならず、個人事業主や中小企業の社長にも使える制度で小規模企業共済というものがあり、役員報酬と出張費、小規模企業共済の3つを上手く活用するとかなりの節税になります。

節税テクニックのポイント
1、役員報酬を適正な額にした上で、利益を法人税等として払うのか、所得税等として払うのか考える
2、所得税のかからない出張の日当を実情に合った金額に設定する
3、旅費規程上で宿泊費と飛行機代は正規料金で設定する。

節税対策で陥りがちな失敗

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有効な節税対策を行なうことで企業の納税負担を減らすことができる一方で、節税対策をしていくうちに、目的と手段を混同し、会社に良くない影響を与えることがあるそうです。主にどういった影響があるのかについても伺いました。

節税のしすぎは会計を不明にする

服部:まず1つが「適正な会計数値にならない」ということで、利益が事業に対応しない利益となってしまうのです。節税のためにいろんな経費を入れてしまうと、事業に対して実際にかかった経費が出てこなくなるだけでなく、本来、事業で出るべき利益と節税後の利益がズレてしまう可能性がデメリットとしてあります。なので、できる限り予算と実績の比較といった経営管理資料も別で作った方がいいという話はしています。

節税に逃げずに、本業に専念すること

2つ目の弊害として、節税のために無駄な出費をしてしまうことがあります。3つ目がマインド的な話ですが、節税のことを考えている暇があるのならば、少しでも売上等経営者が考えるべきことを考えた方がいいということです。

節税に目を向けすぎることで、売上を作るための営業機会損失が出てきますし、経営者が経理といった管理部門のほうに時間を割くことで、経営者の方しかできない業務に時間を割けないといったことをなくすために、専任者や専門家に依頼することが大切なのかなと思います。経営者は業績が上向かないと過剰に節税に逃げがちなので、よく注意する必要があります。

節税の注意ポイント
1、節税対策をしすぎることで本来の事業でかかった経費や生み出した利益が分からなくなる
2、節税するための無駄な出費をしてしまう
3、節税に意識が集中することで、経営者が事業に専念できなくなる

まとめ

節税の基本的な対策としては、経費などを活用し税率のかかる利益額を減らしたり、制度を利用することで税額控除を行い、節税することです。そして、一般的に認知されていない節税テクニックとしては、役員報酬を適正な額に設定することや出張の日当を活用することなどが挙げられます。

ただし、節税対策にとらわれすぎると、収益を上げるという本来の目的から外れてしまう場合があるので、注意する必要があります。

収益を上げることに専念しつつ、適度に対策を行なうことで、無理のない且つ有効な節税対策となるのではないでしょうか? ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

取材協力:服部 峻介 (公認会計士 / 税理士 / 行政書士)

SevenRich会計事務所 代表設立から3年で、口コミのみでクライアント数160社超。社長が31歳と若く、20代、30代を中心とする若いスタッフが、「先生」という立場ではなく、「経営者の左腕」といった同じ目線で本気で経営者の悩みを解決しています。

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