• 作成日 : 2024年10月1日

入金消込をエクセルで自動化したい!関数・マクロの活用方法を紹介

入金消込は、煩雑な作業であるうえ、ミスが許されない作業のため、なんとか自動化できないかと模索中の人もいるでしょう。本記事では、入金消込をエクセルで自動化する方法を解説します。

そのほか、エクセル以外で自動化するツールやシステムについても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

入金消込をエクセルで自動化する方法

入金消込をエクセルで自動化する方法としては、次の3つの方法が考えられます。

  • エクセルのテンプレートを使用する
  • エクセルの関数を活用する
  • エクセルのマクロを作成する

それぞれの方法について詳しく解説します。

エクセルのテンプレートを使用する

手軽に始められるのが、エクセルのテンプレートをダウンロードして使う方法です。エクセルには、テンプレートとして入金管理表がすでに用意されており、ダウンロードするだけですぐに使えます。

既存のテンプレートの管理項目の名称を自社向けにアレンジしたり、項目数を追加したりすれば、自社にあった形へ成形できるでしょう。

ただし、この方法では手動入力をすることになるため、確認作業が欠かせません。そのため、人的ミスも起こりやすい点は理解しておきましょう。

また、インターネット上で「入金管理表 エクセル 無料」と検索をすると、テンプレートを無料で配布をしているサイトがたくさん出てきます。それらのサイトをチェックして、自社に必要な項目を管理できるテンプレートをダウンロードしてもいいかもしれません。

エクセルの関数を活用する

エクセルの関数を利用する方法もあります。エクセルの関数は、特定の条件や値を求めるための計算式のことです。関数をセルに入力することで、求めたい値を自動で計算してくれるため、数値さえ入力すれば管理表の作成を自動化できます。

経理業務で用いられることが多い、基本の関数には次のようなものがあります。

  • SUM、SUMIF関数
  • VLOOKUP関数
  • IF関数

SUM、SUMIF関数とは、指定したセルの合計値を算出するための関数です。合計値を確認する際や、売掛金の残高を算出する際などに使用します。

VLOOKUP関数は、特定条件を指定し、それに該当するものを指定範囲からピックアップするための関数です。個別に管理している情報から、企業名や請求番号などの値を基準としてデータを抽出し、1つのテーブルやシートにまとめる際などに使用されます。

IF関数とは、設定条件を満たしているか否かで表示させる値を変化させたい場合に用いる関数です。たとえば、「表1に記載があれば表2に△と表示する」といった処理ができます。

詳しくは次項で解説するので、そちらもぜひ参考にしてください。

エクセルのマクロを作成する

業務で、決まった作業や繰り返し同じ作業を行う場合は、エクセルのマクロ機能を活用する方法も有効です。そうすれば、時間を大幅に短縮できます。

マクロとは、エクセルで行う作業を記録させ、あとからその作業を自動で実行させる機能です。実行したい作業を記録するだけのため、簡単な作業であればプログラミングなどの知識は必要ありません。

また、エクセルのシート上にボタンを作成して、記録した作業を登録することも可能です。ボタンを押すだけで記録された作業が実行されるため、誰でも簡単に必要な作業を実行できます。

実際には、入金管理表から未入金のみを抽出したり、入金一覧から未入金を照合して色付けしたりできます。

入金消込をエクセル関数で自動化する

実際にエクセルの関数を利用して入金消込を自動化する方法について解説します。

SUM、SUMIF関数

SUMは、指定範囲内の数値を合計する関数です。SUMIFでは、特定の条件下でのみ計算が実行されるように、範囲・条件を指定できます。

<式の書き方>

=SUM(合計範囲)

<式の例>

=SUM(B2:B12)

B2~B12までの数値を合計します

SUMIFでは、条件を指定して数値の合計ができます。たとえば、取引先がA会社、B会社、C会社、D会社の4つあり、各社への請求額の合計をそれぞれ計算するとします。

SUM、SUMIF関数

  • A列:各会社名が記載されている列(10行目まで)
  • B列:それぞれの会社への請求額が記載されている列(10行目まで)

<式の書き方:>

=SUMIF(検索範囲,検索条件,合計範囲)

<式の例>

=SUMIF(A2:A10,”A会社”,B2:B10)

B列(10行目まで)にある請求額のなかから、A会社のものをピックアップして、それを合計しなさい、という指示です。D2に表示されたのが、A会社への請求額となります。

VLOOKUP関数

VLOOKUP関数は、指定した範囲の中から、条件に合うセルを探すために用いる関数です。

  • A列:各会社名が記載されている列
  • B列:それぞれの会社への請求額が記載されている列

たとえばA社(C2)の請求額をD2に表示したいとすると、

VLOOKUP関数

<式の書き方>

=VLOOKUP(検索値, 範囲, 列番号, 検索の型)

  • 検索値:検索したい値
  • 範囲:検索する範囲
  • 列番号:取得したい値がどの列にあるのか
  • 検索の型:検索する値が見つからない場合、どのように処理するか(例:「FALSE」→完全一致の値を検索、「TRUE」→近い値も検索など)

<式の例>

=VLOOKUP(C2,A:B,2,FALSE)

入金消込をエクセルのマクロで自動化する

入金消込は、エクセルのマクロを用いても自動化可能です。ここでは、マクロを用いた方法を解説します。

前述したように、マクロとは行う操作をエクセルに記憶させて、作業を自動化させる機能です。たとえば、特定のセルをコピーして別のセルに貼り付ける、未入金の取引先だけを抽出して、特定のセルに貼り付けるといったような作業を自動化できます。

マクロで自動化する手順は、マクロの記録、マクロの実行の2つです。それぞれ詳しく見ていきましょう。

マクロの記録

まずは、行いたい作業をエクセルに登録させましょう。

  1. エクセルの表示>マクロ>マクロの記録と遷移する
  2. 任意のマクロ名を入力して、OKをクリック

次にマクロで自動化させる作業を記録していきます。ここでは、未入金の会社を一覧にして把握するために、フィルター機能を使って対象の会社を抽出して、別のエクセルファイルを作成する作業を想定します。

<入金管理表>

マクロの記録1

まず、備考欄にフィルター(データ>フィルターの順にクリック)をかけて、要確認のみにチェックを入れてOKをクリックします。

マクロの記録2

すると、入金が遅延しているB社が表示されるため、これをコピーして新しいブック(ファイル>新規>空白のブックの順にクリック)のシートに貼り付けましょう。

ブックの保存が完了したら、元ファイルに戻ってエクセルの表示>マクロ>記録終了の順にクリックをします。これでマクロの記録は完成です。

マクロの実行

同様の作業を行いたい際は、エクセルの表示>マクロ>マクロの表示の順にクリックし、保存したマクロ名を選択して実行をクリックするだけです。

入金消込をエクセルで自動化するポイント

入金消込をエクセルで自動化する際のポイントを3つ紹介します。

一定期間ごとに管理する

エクセルを一定期間ごとに管理することが大切です。請求年や請求月ごとなど一定期間ごとにエクセルファイルを分けて、管理するようにするとよいでしょう。

取引件数が多い企業の場合、消込件数もそれに応じて膨大にふくれあがります。さらに、入金消込で複雑な関数やマクロを活用している場合、処理する件数が増えるほどエクセルの動作も重くなってしまい、作業に時間を要することになるためです。

定期的に処理し、エクセルに負担がかからないような工夫をしましょう。

属人化を避ける

入金消込は、どうしても正確かつ手早く処理を行わなければならないため、どうしても経験値の高い人に業務が回りがちです。入金消込の作業が属人化してしまうと、担当者が異動や退職をした場合に対応できなくなる恐れがあるため、マクロを活用して誰でも同じように作業できるような対策をとりましょう。

消込作業は迅速に行う

入金消込は、未回収リスクを下げる点で非常に重要な作業です。取引先から入金が行われなかった場合、迅速に対処しなければ、期日を過ぎれば過ぎるほど取り立てを行えなくなります。売上を確実なものとするためにも、消込作業を定期的に行うフローを構築し、トラブルが発生した際にもスムーズに対応できるようにしておきましょう。

入金消込をエクセル以外で自動化するツールやシステム

入金消込は、エクセル以外でも行えます。ここでは、入金消込を自動化するツールやシステムを紹介します。

会計ソフト

会計ソフトとは、収支や支出など組織におけるお金の出入りを記録して、データを自動で集計できるツールです。会計ソフトの中に、入金消込機能が付属しているものもあるため、それを利用するのもひとつの方法といえます。すでに会計ソフトを利用している場合、オプションで入金消込機能がないかを確認してみるとよいでしょう。

クラウド会計システム

クラウド会計システムとは、パソコンにソフトをインストールすることなく、会計処理がインターネット上でできるシステムのことです。インターネットの環境さえあれば、場所を問わずいつでも消込作業ができます。

クラウド会計システムで作成した請求書データと、銀行とのAPI連携で得られる入金明細データを自動突合できる機能などもあるため、入金消込の自動化も可能です。

企業間決済サービス

企業間決済サービスとは、月額固定費や手数料などを支払って、次のような請求業務を丸投げできるサービスです。

入金消込をエクセルやツールで管理するとなると、業務フローの構築や担当者の教育などが必要です。その点、企業間決済サービスであれば、自社に代わって入金消込業務をすべて任せられます。

入金消込をエクセルで自動化しよう

入金消込をエクセルで自動化する際には、テンプレート、関数、マクロの活用が考えられます。テンプレートの活用は、誰でも手軽に始めやすい点は魅力ですが、手作業であるためミスがつきものです。ある程度自動化して、ミスも減らしたいのであれば、関数やマクロの利用を検討しましょう。

ただし、エクセルは作業量が増えるほど挙動が遅くなるため、一定期間ごとに入金消込を行うことが重要です。また、入金消込はエクセル以外のツールやシステムでも自動化が行えます。自社に合ったものを選んで、効率的に入金消込を行えるようにしましょう。


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