• 更新日 : 2022年7月29日

経理担当者向け会計業務で使えるエクセル・テンプレートと関数を使わない方法も解説

経理担当者向け会計業務で使えるエクセル・テンプレート!関数を使わず経理効率化できる方法も?

マイクロソフト社のエクセル(Excel)はパソコンに最初からインストールされていることも多い、スタンダードな表計算ソフトです。
多くの人が使い慣れていて、会計書類等の作成にもエクセルを使っているという方も少なくないと思います。また、会計ソフトは利用しているが、その他の管理簿作成に役立てているという方は多いでしょう。
エクセルは機能豊富で便利な表計算ソフトですが、反面、ファイルの破損や誤記入といったリスクを感じたことはないでしょうか?
本記事ではエクセルだけを使って会計業務をするデメリットと、会計ソフトを利用するメリットなどをご紹介します。
合わせて会計ソフトの選び方もご説明しますので、会計業務の効率化を図りたいとお考えの方は参考にしてください。

目次

経理業務に使えるエクセル・テンプレートの使い方・記入方法

エクセル・テンプレートのダウンロードはこちら

このテンプレートを使うメリットは、貸借対照表損益計算書そして製造原価報告書の比較が簡単にできることです。
使い方は次の3ステップでできます。
テンプレートでセルに色がついている部分は計算式が入っていますが、ダウンロードして自由にカスタマイズして利用下さい。

1)勘定科目の設定

左側の勘定科目は自社で利用する勘定科目に適宜変更します。
必要な科目を追加し、不要な科目を追加してください。その際、計算式に影響があれば適宜修正下さい。

2)前期と当期の数値を入力

当シートは前期と当期の比較になっていますが、例えば「5年前と当期」でも、「第一四半期と第二四半期」でも自由に活用できます。また、右に比較したい年度を追加することも可能です。
各シートのページ設定>ヘッダー/フッターで表の名称を変更できます。
構成比などで、もっと詳細にみたいときは小数点以下を増やすこともできます。
また、単位は円となっていますがセルの書式設定などで千円単位や百万円単位に変更し、会社でよく使われる単位に変更ください。

3)必要部分だけを残す

初期値としてよく使用される勘定科目を設定していますが、利用しない行は削除して見やすくしても問題ありません。
また、貸借対照表、損益計算書、製造原価報告書と3つのシートがありますが、不要なシートは削除してご利用下さい。エクセルのフィルター機能を使って最終的に必要部分だけを残すという方法もあります。

テンプレートのカスタマイズに慣れれば、似たような表から事由にエクセル管理簿等を作成できるようになります。

エクセルを経理業務に使うデメリットとは?

エクセルはパソコンに最初からインストールされていることが多く、費用をかけずに使用することが可能です。
また、エクセルはサブスクリプション型のMicrosoft 365を購入する方法もありますので、必要な時期だけエクセルを利用する方法も選択できます。さらに、無料でオンライン版のOfficeを提供しています。オンライン版のOfficeを利用するには、Microsoftアカウントの登録とインターネット環境が必要です。

そんな便利なエクセルですが、会計書類等を作った場合に生じる問題点を挙げておきます。

表やフォーマットを作る手間がかかる

エクセルで会計書類等を作るためには、フォーマット作成から始めなければなりません。
会計帳簿には主要簿(総勘定元帳仕訳帳)のほか補助簿(現金出納帳、補助元帳、預金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳)があり、これらのフォーマットを一から作る必要があります。
何もない状態からの作表は、エクセルに不慣れな担当者にとっては意外に手間も時間もかかります。

関数やマクロなど難易度が高い

エクセルによる会計書類等の作成では、関数などを使っていたり、各帳簿間でのデータ参照を行ったりすることがあります。
難易度の高い関数の利用やマクロによる省力化には、エクセルについての深い知識・習得度が求められます。さらに簿記会計のしくみについても充分な理解が求められます。
総勘定元帳、固定資産台帳といった帳票などは、他の帳票との連携などを含め難易度の高い帳票といえるでしょう。

制度の改正やルールの変更に対応しにくい

自分でエクセルを使って会計書類等を作成した場合、制度の改正や会計ルールの変更などがあったときには自分で設定をし直さなければなりません。
例えば、減価償却方法の変更をした場合などは個々の固定資産について検証しなければなりません。
手間がかかるのはもちろん、場合によっては簡単に修正ができない場合もあります。特に、マクロの変更については、担当者が変わると仕様を変更したいと思った場合の編集難易度が上がります。

関数など帳簿フォーマットの設定を間違えると取り返しの付かないことも

エクセルで会計書類等を作るときには、セルの参照やマクロ機能などを使い、入力したデータを転記したり、自動で計算したりする利用が可能です。
しかし、このような機能は便利な反面、間違えてしまうと取り返しの付かないことになるリスクがあります。
間違いの修正に時間がかかったり、場合によっては設定が狂ってしまい元に戻せなくなったりします。さらに、そのファイルにアクセスできる誰でも編集できるようになっていると常に更新によるリスクを伴います。
確認ややり直しに多くの労力を要する恐れがあるため、十分な注意が必要です。

共有の際にも問題が起こりがち

エクセルのファイル共有とは、複数人が同時に同じファイルを開いて、データを更新することができる機能です。
通常の場合、他の人が編集中は「読み取り専用」でファイルを開き、別名で保存することとなりますが、ファイルの共有機能を利用すれば複数人が同じファイルを同時に開いて共同編集することが可能になり、作業効率が向上します。

しかし、エクセルファイルには共有することで起こる問題もあることに注意しなければなりません。
一人のユーザが編集を始めてから保存するまでに、「同じ箇所」が他のユーザに変更されてしまっていたら「競合の解決(どちらのユーザの変更を優先のか選択するウィンドウが表示される)」が発生しますので、内容を確認して選択します。
編集対象が複数人で競合した場合は、互いに連絡して優先する人を決めなければなりません。

また、使用しているエクセルのバージョンの違いにより機能が使えなかったり、ファイルが開かなくなったりすることも考えられます。

会計ソフトを使うメリット

「会計帳簿」を考えれば、その作成にはエクセルよりも会計ソフトを利用するほうが、効率的で便利です。会計ソフトのメリットとしては次のものがあります。

表やフォーマット作成、関数を組む必要がない

会計ソフトにはすでに各帳簿のフォーマットが準備されおり、自分で各種の会計帳簿を作成する必要はありません。
また、あらかじめ合計行や割合など計算式を埋め込んでおく必要もありません。

専用ソフトだから使いやすい

会計ソフトは、基本的に仕訳を入力すれば自動的に帳簿に転記されるしくみになっています。
会計ソフトを導入して初期設定するだけで、仕訳業務や固定資産の登録から、ソフトによっては自動仕訳などの機能があり、会計業務を大幅に効率化することができます。
また、最近の会計ソフトはユーザーインターフェース(見た目や操作性)にすぐれ、使いやすくなっています。

制度等の改正にもスピーディーに対応できる

制度改正や会計ルールの変更があった場合、エクセル帳簿なら自分で修正しなければなりません。
しかし会計ソフトを使っていれば、原則としてソフト会社が変更に対応してくれます。
会計ソフトにはクラウド型とインストール型の2種類があり、インターネットで接続されているクラウド型は必要なアップデートも随時行われます。
インストール型でも多くのソフト会社は制度改正等に対応するためのアフターサービスを利用(有償のことが多い)することで、必要なアップデートが自動で行われるためシステムを管理する手間が削減できます。

自分でこまめにバックアップをとらなくてもいい(クラウド型)

エクセルでは、データ損失を避けるために通常は10分間隔で自動的に保存されますが、自動的に修復されないこともあり、時には自動保存ファイルを探して手動で復元する必要があります。
その点、クラウド型会計ソフトの場合、ソフトウェアのプログラムも入力した会計データもクラウド上のサーバーに格納されるため、バックアップの必要はありません。
クラウド型の場合には、多くの場合、データサーバーを数カ所に分散してバックアップを取っているので万一1ヵ所のサーバーが使用できないトラブルが起こった場合でも安心です。
また、クラウド型はパソコンを入れ替えるときの手間もなく、万が一、会社のパソコンが故障してもデータを失う心配がありません。

計算ミスやエラーを防げる

会計ソフトは原則としてメーカーの検証作業に耐えたプログラムを装備しているため、エクセルと違って関数やマクロの設定ミスの心配がありません。
機能によっては、例えば仕訳で明らかに貸借を間違えたような場合にも確認を求める警告が出ることがあり、入力ミスが防げます。
日常的なエラーの減少により、スムーズに決算業務に取りかかれるようになります。

会計ソフトとエクセルを併用する使い方もおすすめ

会計ソフトの中には、エクセルのデータをインポート(取り込み)できるものもあります。エクセルデータのインポートができれば、エクセルとの併用も簡単です。

現金出納帳など一部の帳簿を慣れたエクセルで作成する

多くのクラウド型会計ソフトには金融機関やECサイトのデータは自動で取り込む機能が備わっていますが、現金の入出金は手入力で仕訳しなければなりません。
そのため現金出納帳はエクセルで作成し、インポート機能を利用して会計ソフトに取り込むといった使い方もおすすめです。

エクセルはたくさんの人が使い慣れているソフトです。エクセルで現金出納帳等を作成して会計ソフトに取り込むことで、エクセルと会計ソフトの両方の長所を活用することができます。
また、会計ソフトではエクセルのテンプレートがあらかじめ用意されているものもあるので、活用するとよいでしょう。

複数拠点の管理にもおすすめ

複数拠点があり、各拠点からの会計ソフトへのアクセスを許していないケースで、各拠点での入出金の閲覧が必要な場合にも、エクセルデータを本部に渡し、本部でデータインポートをする方法なら問題なく会計業務を進めることができます。

エクセルで各拠点別に現金出納帳等を作成すれば、現金残高の管理に利用できます。

データインポートを特定の期間、特定の部門、特定の勘定科目等、自社内のルールで決めて運用すれば一か月ごと、部門ごと、特定の勘定科目ごとの仕訳結果を閲覧することができます。
会計ソフトには残高試算表や補助元帳なども部門別にダウンロードが可能なものも多いため、現場の必要に合わせて臨機応変にエクセルで資料を連携することができます。

会計ソフトを選ぶポイントは?

会計業務にはエクセルだけを使うよりも会計ソフトを使った方が効率的ということがおわかりいただけたと思います。会計ソフトはいろいろな種類がありますが、以下ではどんな会計ソフトを選んだらよいのかを説明します。

クラウド型会計ソフトなら経理以外でも、どこでも作業可能

クラウド型会計ソフトとは、パソコンにインストールするのではなく、インターネットのサーバーを利用して提供される会計ソフトです。
パッケージを購入する必要がないため導入費用は抑えられますが、利用するには月単位や年単位でランニングコストがかかります。
クラウド型のメリットの1つに、インターネットに接続できるところなら、どこでも作業できるという点があります。
サイトにアクセスしてIDとパスワードを入力すれば使えるので、自宅でも会社でも場所を選ばず入力や閲覧ができます。複数人でも作業しやすく、税理士との共有も可能です。

銀行口座等と連携できれば入力の手間を削減できる

インターネットを利用するクラウド型会計ソフトでは、ネットバンキングと連携して取引明細を取り込み、自動で仕訳する機能が利用できます。
銀行口座と連携できれば、預金通帳を見ながら1つ1つ入力していく手間がかからないので、大幅に手間を削減できます。ただし、自動仕訳のチェックは必ずしておきましょう。

クラウド型会計ソフトの中には、銀行口座だけでなく、クレジットカード、電子マネー、通販など様々なサービスと連携可能なものもあるので、自社に必要な部分を自動化することで業務効率化に大きく役立ちます。

会計ソフトの入出力機能とエクセルのフル活用が便利

エクセルと会計ソフトを併用して会計業務を行う際には、エクセルやCSVデータなどによるインポートやエクスポート機能が便利です。
クラウド型会計ソフトの多くは、データ入出力機能であるインポート機能やエクスポート機能が充実しています。

会計ソフトにおけるインポート機能とは、会計ソフトに仕訳を手作業で入力するのではなく、他で作成したデータファイルを会計ソフトに読み込むことをいいます。
仕訳データだけでなく、勘定科目や補助科目、開始残高などを読み込むことができるものもあります。通常の入力は手作業で行っていてもある処理だけはインポート機能を使って入力するという使い方ができます。

また、エクスポート機能とは会計ソフトで作成したデータについて、エクセルをはじめ他のソフトで利用するために出力することです。
エクスポート機能を使って、会議資料に添付する管理会計の表を作成したり、プレゼンに使う経営資料を過去分から出力したりと、利用の幅が広がります。

例えば会計ソフトをデータベースと考えた場合、欲しいデータをエクスポート機能により出力して利用することで、会計ソフトの機能を補い、会社にあった資料が作成できます。
クラウド型会計ソフトの入出力機能とエクセルの合わせ技でよりフレキシブルな管理会計が実現できるという訳です。

マネーフォワード クラウド会計とエクセルの併用利用で業務を効率化

会計ソフトの中には、エクセル入力用のテンプレートが用意されているものもあります。
以下ではマネーフォワード クラウド会計を例にエクセルデータ取り込みの例を紹介します。
どのようなフォーマットでインポートしたらいいのか悩む必要はありません。

主な手順は以下の通りです。

1)テンプレートのダウンロード

マネーフォワード クラウド会計を開き、「自動で仕訳>連携サービスから入力>インポート」からテンプレートをダウンロードします。

テンプレートのダウンロード

2)データの入力

マネーフォワード クラウド会計 エクセルによるテンプレート例
テンプレートは出納帳形式で入力が可能です。科目や部門などを指定しデータを入力します。
会計担当者には入力方法のわかりやすい明細となります。

データの入力

3)インポートして完了

保存したエクセルデータを選択し、インポートボタンを押すと仕訳登録が完了します。
一旦とりこんだ仕訳が正しい場合は保存しますが、チェックをはずすと仕訳登録されないため、
確かな仕訳のみを登録できます。

インポートして完了
インポートして完了

まとめ

会計業務をエクセルだけに頼るのは非効率的な上に、リスクもあります。
会計ソフトとともに使えば、エクセルで生じるデメリットを解消し、会計業務をスムーズに行うことができます。
日々の帳簿入力の手間を減らせれば、会計業務に充てていた時間をメイン業務に充てることも可能になります。この機会に一度、会計ソフトを見直して、業務効率化を図ってみてはいかがでしょうか。

よくある質問

経理業務に使えるエクセル・テンプレートの使い方・記入方法は?

「1. 勘定科目の設定」「2. 前期と当期の数値を入力」「3. 必要部分だけを残す」の3ステップで完了します。 テンプレートのダウンロードはこちらから行えます。

会計ソフトとエクセルを併用する使い方とは?

現金出納帳はエクセルで作成し、インポート機能を利用して会計ソフトに取り込む方法で、複数拠点の管理などにおすすめです。詳しくはこちらをご覧ください。

マネーフォワード クラウド会計とエクセルを併用する方法は?

「1. テンプレートのダウンロード」「2. データの入力」「3. インポート」の3ステップで完了します。詳しくはこちらをご覧ください。


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