- 更新日 : 2026年7月23日
信用保証料の勘定科目は?返金有無で変わる仕訳と償却を解説
信用保証料の勘定科目で迷う経理担当者は少なくありません。短期融資なら支払手数料、保証期間が翌期以降にまたぐなら前払費用や長期前払費用、返金がない契約は繰延資産となり得る選択肢が複数あり判断に時間がかかります。本記事では、勘定科目の使い分けから仕訳例、償却処理までを実務目線で整理します。
信用保証料とはどのような費用?
信用保証料とは、中小企業や小規模事業者が信用保証協会から保証を受けるために支払う対価です。信用保証協会は中小企業の融資を円滑にする公的機関で、信用保証料はそのサービスへの対価という位置づけになります。
金融機関から融資を受ける際、本来は連帯保証人や担保が必要です。十分な保証を用意できない中小企業は、信用保証協会に保証人になってもらうことで融資を受けやすくなります。この保証の対価として、事業者が信用保証協会に支払うのが信用保証料です。
信用保証協会と金融機関・事業者の関係
信用保証協会は、事業者と金融機関の間に立ち、融資の保証人として機能します。

信用保証協会は、融資を希望する事業者からの申し込みを受けて信用調査を行います。事業内容や経営計画に問題がないと判断されると、事業者から信用保証料を受け取ったうえで、金融機関に信用保証書を発行します。金融機関は信用保証書の発行を受けて初めて事業者に融資を実行します。
事業者が返済できなくなった場合、信用保証協会が金融機関に対して代位弁済を行います。代位弁済は事業者に代わって金融機関へ返済する行為ですが、立て替えであり事業者の債務が消えるわけではありません。代位弁済後は、事業者は信用保証協会に弁済を続けます。
信用保証料が発生する場面
信用保証料は、運転資金や設備資金など、信用保証協会の保証を付けて借入金を起こす場合に発生します。
信用保証料が発生するのは、借入金や融資に信用保証協会の保証を付けるケースです。主に次のような場面が挙げられます。
- 運転資金の融資を受けるとき
- 設備投資のための借入金を起こすとき
- 創業時の事業資金を借り入れるとき
なお、信用保証は中小企業や小規模事業者のうち、金融業など一部の業種を除く企業を対象とします。たとえば小売業では、資本金5,000万円以下・常時雇用の従業員50人以下といった事業規模も条件に含まれます。
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信用保証料の勘定科目はどれを選ぶ?
信用保証料の勘定科目は、保証期間の長さに応じて支払手数料・前払費用・長期前払費用の3つを使い分けます。短期の融資なら支払手数料で全額費用化、翌期にまたぐ場合は前払費用、1年を超える部分は長期前払費用が一般的です。
保証期間に応じた使い分けの目安は次のとおりです。
| 勘定科目 | 振り分けの目安 |
|---|---|
| 支払手数料 | 当期内に保証期間が終わる短期融資 |
| 前払費用 | 翌期にまたぐが1年以内に費用化する |
| 長期前払費用 | 保証期間が1年を超えて続く |
当期内に保証期間が終わる場合は支払手数料
当期内に保証期間が完結する短期融資では、信用保証料を支払手数料として全額費用処理します。
つなぎ融資や数か月単位の短期借入で、保証期間が決算日までに終了するケースが該当します。期間対応の調整が必要ないため、支払時に一括で支払手数料として計上できます。決算時の振替処理が不要で、シンプルに処理できる方法です。
1年以内に費用化する場合は前払費用
保証期間が翌期に持ち越すものの1年以内に費用化される場合は、前払費用として処理します。
借入金の保証料が当期と翌期にまたがる場合、当期に対応する部分は支払手数料、翌期分は前払費用に振り分けます。前払費用は、事業年度終了日の翌日から1年以内に費用処理される信用保証料を表します。
1年を超えて費用化する場合は長期前払費用
保証期間が1年を超えて続く場合は、1年を超える部分を長期前払費用として資産計上します。
設備資金や長期の運転資金融資では、保証期間が数年にわたるケースが多くあります。事業年度終了日の翌日から1年を超えて費用処理される信用保証料が長期前払費用に該当します。1年基準により、前払費用と長期前払費用を区分して計上します。
20万円未満なら一括費用処理も可能
税法上の繰延資産に該当する信用保証料でも、支出額が20万円未満であれば一括で損金処理できます。
法人税法施行令第134条により、少額の繰延資産については支出した事業年度の損金として全額計上することが認められています。小規模な短期借入の信用保証料で活用できる規定です。
信用保証料の計算方法
信用保証料は、貸付金額・保証料率・保証期間・分割係数の4要素で計算します。返済方法によって計算式が変わるため、自社の融資条件に当てはめて算出します。
ここからは、東京信用保証協会の例で計算方法を見ていきます。
満期一括返済の場合
貸付金額 × 信用保証料率 × 保証期間の月数 ÷ 12
均等分割返済の場合
貸付金額 × 信用保証料率 × 保証期間の月数 ÷ 12 × 分割係数
据置期間(元本返済の猶予期間)がある場合
A 据置期間部分: 貸付金額 × 信用保証料率 × 据置期間の月数 ÷ 12
B 分割返済部分: 貸付金額 × 信用保証料率 × 分割返済期間の月数 ÷ 12 × 分割係数
合計: A + B
確定日保証(終期の日付をあらかじめ決定している貸付根保証など)の場合
貸付金額 × 信用保証料率 × 保証期間の日数 ÷ 365
計算式で出てくる信用保証料率は、事業者の決算内容や利用する保証制度によって決まります。2026年1月時点の東京信用保証協会の信用保証料率は、保証区分や料率区分により概ね0.30%〜2.20%の範囲です。
分割係数は次の表のとおりです。
| 分割返済の回数 | 均等分割 | 不均等分割 |
|---|---|---|
| 2〜6回 | 0.70 | 0.77 |
| 7〜12回 | 0.65 | 0.72 |
| 13〜24回 | 0.60 | 0.66 |
| 25回以上 | 0.55 | 0.61 |
信用保証料の額は、信用保証料率さえ把握できれば自分で試算できます。融資条件が決まった段階で計算しておくと、資金繰り計画に反映しやすくなります。
信用保証料の仕訳例
一般的に信用保証料の仕訳は、繰上返済時の返金有無によって前払費用と税法上の繰延資産のどちらで処理するかが決まります。返金がある契約は前払費用、返金がない契約は繰延資産として扱います。
返金がある契約は前払費用として仕訳する
繰上返済時に未経過分の返金がある契約は、信用保証料を前払費用として仕訳し、期間対応で費用化します。
役務の提供が完了していない部分を前払費用として資産計上し、期間が経過した分だけ費用に振り替えます。
(仕訳例 – 初年度)
期首に信用保証料100万円(保証期間120か月)を普通預金から支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払保証料 | 100,000円 | 普通預金 | 1,000,000円 |
| 前払費用 | 100,000円 | ||
| 長期前払費用 | 800,000円 | ||
支払保証料の計算: 1,000,000円 × 12 ÷ 120 = 100,000円
前払費用の計算: 1,000,000円 × 12 ÷ 120 = 100,000円
長期前払費用の計算: 1,000,000円 × 96 ÷ 120 = 800,000円
支払保証料に計上するのは、当期に繰り入れる信用保証料です。保証期間のうち当期の月数に該当する分だけを費用計上します。仕訳例では支払いタイミングが期首のため12か月で計算していますが、年度途中に信用保証料を支払った場合は、支払った月から事業年度終了月までの月数で計算します。
前払費用で仕訳する場合は、1年基準により前払費用と長期前払費用を区分する必要があります。仕訳上の前払費用は、事業年度終了日の翌日から1年以内に費用処理される信用保証料、長期前払費用は1年を超えて費用処理される信用保証料を表します。
(仕訳例 – 2年目)
前期首に信用保証料100万円(保証期間120か月)を支払い、決算整理として振替を行った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払保証料 | 100,000円 | 前払費用 | 100,000円 |
| 前払費用 | 100,000円 | 長期前払費用 | 100,000円 |
前払費用/長期前払費用の計算: 1,000,000円 × 12 ÷ 120 = 100,000円
2年目以降は、前期に前払費用として処理したものを支払保証料へ、1年以内に費用化する信用保証料を長期前払費用から前払費用へ振り替えます。
返金がない契約は税法上の繰延資産として処理する
将来の繰上返済でも返金が発生しない契約は、税法上の繰延資産として長期前払費用に計上し、毎期償却します。
税法上の繰延資産は、支出後も複数期間にわたって効果が継続する費用です。前払費用と異なり、役務の提供は完了しています。
(仕訳例 – 初年度)
期首に信用保証料100万円(保証期間120か月)を普通預金から支払った場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 長期前払費用 | 1,000,000円 | 普通預金 | 1,000,000円 |
税法上の繰延資産に該当するため、勘定科目は「長期前払費用」を用います。
(仕訳例 – 初年度末)
期首に繰延資産として計上した信用保証料のうち、当期分を費用に振り替えた場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 繰延資産償却 | 100,000円 | 長期前払費用 | 100,000円 |
繰延資産償却の計算: 1,000,000円 × 12 ÷ 120 = 100,000円
(仕訳例 – 2年目以降)
前期首に支払った信用保証料の当期分を償却する場合の仕訳は次のとおりです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 繰延資産償却 | 100,000円 | 長期前払費用 | 100,000円 |
償却費として処理するため、「信用保証料」ではなく「繰延資産償却」の勘定科目で償却していきます。
繰上返済で返戻金を受け取った場合の仕訳
繰上返済によって保証契約が終了した場合、返戻金の入金だけでなく、帳簿に残っている前払費用・長期前払費用の未償却残高も取り崩す必要があります。
借入金を繰上返済した場合、保証期間が短縮した分の信用保証料が返戻されることがあります。返戻金の受領タイミングによって仕訳が変わります。
(仕訳例 – 保証期間中に返戻金が入金した場合)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 30,000円 | 長期前払費用 | 30,000円 |
保証期間中は長期前払費用残高があるため、残高を取り崩す処理になります。
(仕訳例 – 返済完了後に返戻金が入金した場合)
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 30,000円 | 雑収入 | 30,000円 |
返済完了時点で長期前払費用残高は消化済みのため、雑収入として計上します。1,000円未満は返金しない規定が設けられている信用保証協会もあるため、利用先の規程を確認しましょう。
信用保証料の償却期間と償却処理
信用保証料を税法上の繰延資産として処理する場合、償却期間は原則として保証期間にあわせて月割りで計算します。保証期間が60か月であれば60か月で均等償却します。
繰延資産として償却する期間の考え方
税法上の繰延資産は、支出効果が及ぶ期間で月割り償却するのが原則です。
信用保証料は、保証を受けている期間にわたって効果が継続するため、保証期間と償却期間が一致します。たとえば保証期間120か月・信用保証料100万円の場合、毎期120か月で按分した金額を償却します。
ただし、20万円未満の少額繰延資産は支出時に一括損金処理できます。短期の少額借入では、この特例の活用も検討材料になります。
償却時の仕訳と勘定科目「繰延資産償却」
税法上の繰延資産として計上した信用保証料の償却時は、勘定科目「繰延資産償却」を借方に立てます。
償却仕訳は次のように行います。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 繰延資産償却 | 100,000円 | 長期前払費用 | 100,000円 |
決算整理仕訳として年に1回まとめて行う方法と、月次決算重視で毎月計上する方法があります。会社の決算方針にあわせて選択しましょう。
信用保証料の処理でつまずきやすいポイント
信用保証料の仕訳では、全額を当期費用にしてしまうミスや、前払費用と長期前払費用の区分忘れが起こりやすい傾向にあります。事前に処理パターンを確認しておくと、決算時の調整負担が軽くなります。
全額を当期費用にすると利益が過小計上になる
保証期間が1年を超える信用保証料を全額当期費用に計上すると、期間対応の原則に反して当期利益が過小計上になります。
1年を超える保証期間の信用保証料は、保証期間にわたって按分する必要があります。支払時に全額費用化すると、当期の損益が実態より悪く見え、翌期以降の費用が過少になる傾向があります。
1年基準による振替を忘れない
決算時には、長期前払費用のうち1年以内に費用化する部分を前払費用へ振り替える処理を忘れないようにします。
期末になると、長期前払費用残高のうち翌期1年分は前払費用に該当します。振替を忘れると貸借対照表の流動資産と固定資産の区分がずれるため、決算整理の手順に組み込んでおきましょう。
信用保証を活用した資金調達の実態
マネーフォワードの調査では、資金調達手法を選定する際に最も重視される項目は「金利や手数料などのコストの低さ」(30.5%)でした。信用保証協会の活用は、コスト負担と引き換えに融資の確実性を確保する選択肢として位置づけられます。
マネーフォワードが実施した創業時の資金調達に関する調査によると、資金調達の手法を選定する際に実務上重視された項目は次のとおりでした。
| 重視項目 | 割合 |
|---|---|
| 金利や手数料などのコストの低さ | 30.5% |
| 調達までのスピード | 26.1% |
| 無担保・無保証で利用できるか | 21.8% |
実際に検討または実施された手法において、「自治体の創業融資(信用保証協会利用)」を挙げた割合は11.8%でした。コスト負担を抑えつつ、無担保・無保証の選択肢として信用保証制度が一定の支持を集めている実態がうかがえます。
出典:マネーフォワード クラウド「創業時の資金調達において、手法を選定する際に実務上重視した項目【資金調達に関する調査データ】」(回答者:全体610名、集計期間:2026年4月実施)
信用保証料の勘定科目と仕訳を正しく押さえよう
信用保証料は、保証期間と返金条件によって支払手数料・前払費用・長期前払費用・繰延資産と勘定科目が変わります。当期内に終わる短期融資は支払手数料、翌期にまたぐものは前払費用や長期前払費用、返金のない契約は繰延資産として償却処理します。
20万円未満であれば一括費用処理も認められるため、自社の融資条件に合わせた処理パターンを把握しておくと安心です。信用保証協会の保証を活用する際は、勘定科目の選択と毎期の振替・償却を漏れなく行いましょう。
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よくある質問
信用保証とは?
中小企業などが金融機関から融資を受ける場合に、公的機関の信用保証協会が保証人となる制度を指します。詳しくはこちらをご覧ください。
信用保証料の計算方法は?
貸付金額に、信用保証料率や保証期間、分割回数などを考慮して計算を行います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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