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  • 更新日 : 2021年3月23日

貸倒損失とは?計上される要件と仕訳の処理について

貸倒損失

売掛金などの債権の回収ができなくなった場合に行うのが「貸倒損失」の処理です。貸倒損失を計上し、損失で処理します。しかし、貸倒損失の計上には税務上、さまざまな要件などがあります。そこで、ここでは貸倒損失の要件や仕訳の処理について詳しく解説します。

貸倒損失とは

貸倒損失の考え方

貸倒損失の計上とは、売掛金などの債権が回収できなくなった(貸し倒れた)場合に、その分を損失にすることをいいます。しかし、税法上は貸倒ができるケースが限られています。
貸倒は一般的に「法律上の貸倒法人税基本通達 9-6-1)」「事実上の貸倒(法人税基本通達 9-6-2)」「形式上の貸倒(法人税基本通達 9-6-3)」の3つに区分されます。

法律上の貸倒は、問題なく損金の額に算入されますが、事実上の貸倒や形式上の貸倒を損金計上するためには損金経理が条件とされる。場合によっては損金と認められないこともあるので注意が必要です。

貸倒損失として処理できる3つの要件と処理基準

貸倒損失として処理できるのは、以下の3つの要件のいずれに該当する場合です。

要件内容
法律上の貸倒次の事実により債権のすべてまたは一部が切り捨てられた場合の貸倒
  • 法律による切り捨て

  • 協議などによる切り捨て

  • 期間や状態で妥当だと判断された切り捨て
  • 事実上の貸倒債務者の状況から見て債権の全額が回収できないと明らかになった場合の貸倒
    形式上の貸倒一定期間、取引を停止した後に弁済がない場合や回収費用が債権の額を超える場合の貸倒

    法律上の貸倒

    以下のように債権のすべてまたは一部が切り捨てられた場合は、法律上の貸倒として、その事実の発生した年度において損金として計上されます。

    (a)会社更生法や民事再生法などの規定によって債権が消滅した場合
    (b)債権者の協議、または行政機関や金融機関等のあっせんによる関係者会議で切り捨て額が決められた場合
    (c)書面により債務の放棄を通知した場合(債務者の債務超過の状態が相当期間継続するなどの一定の条件を満たした場合)

    ただし、(a)と(b)は切り捨てられる額を貸倒損失額として計上できるのに対し、(c)は書面で明らかにされた債務免除額のみが認められます。

    切り捨てが行われた場合の処理基準は、以下の通りです。

    <法律で切り捨てが行われる貸倒損失>

    法律が適用されて貸倒損失「を計上する」ケースは次の3つです。

  • 更生計画(会社更生法等の規定によるもの)に対する認可が決定された債権
  • 再生計画(民事再生法の規定によるもの)に対する認可が決定された債権
  • 特別清算(会社法の規定によるもの)についての協定が認可された債権
  • <協議などで切り捨てが行われる貸倒損失>

    関係者が協議を行い、その決定に基づいて切り捨てを行った貸倒損失には、主に2つに分けられます。

  • 債務者の負債を整理するため、協議(債権者集会によるもの)による決定で、合理的な基準が示されているもの。
  • 債務者の負債を整理するため、あっせん(金融機関、行政機関、その他第三者によるもの)により締結された契約で、合理的な基準が示されているもの。
  • <期間や状態で妥当だと判断されて切り捨てが行われる貸倒損失>

    法令や合理的な基準を示した協議やあっせんによる決定・契約がない場合でも、書面で債務免除額を明らかにすることで切り捨てを行うことができます。

    ただし、弁済を受けることができないことが明らかで、債務が超過している期間が継続していなければなりません。弁済を受けることができない状態かどうかについては、債務者の財産を時価評価相当額によって算定して判断します。

    債務が超過している期間については、超過の状態を脱せずに3〜5年程度が相当期間という考え方が一般的です。ただし、災害による被害を受けた場合や、取引先の倒産による不良債権が原因の債務超過では、より短期間を相当期間として認めることもあります。

    事実上の貸倒

    債務者の状況から見て債権の全額が回収できないと明らかになった場合、事実上の貸倒となり損金経理が可能となります。ただしこの場合は「債権の全額」でなければいけません。たとえば担保物がある場合は担保物の処分、保証人がいる場合は保証人からの回収をした後でなければ、貸倒として認められません。

    形式上の貸倒

    一定期間、取引を停止した後に弁済がない場合などには、形式上の貸倒として、売掛債権から備忘価額を控除した額を損金経理できます。ただし、対象となるのは売掛債権のみで、その他の債権は適用外です。

    貸倒損失の経理処理

    では、具体的に貸倒損失の仕訳を見ていきましょう。

    (例)裁判所の決定により、取引先の売掛金100万円が法律上消滅した。

    借方貸方
    貸倒損失1,000,000円売掛金1,000,000円

    (例)取引先が倒産し、債権者集会で債権の90%が切り捨てられることになった。弊社の所有している売掛債権は100万円である。

    借方貸方
    貸倒損失900,000円売掛金900,000円

    (例)一定期間、取引を停止した後に弁済がない取引先の売掛金100万円に対し、備忘価格1円を残して貸倒処理した。なお、形式上の貸倒の要件はすべて満たしているものとする。

    借方貸方
    貸倒損失999,999円売掛金999,999円

    上記のように、貸倒損失とする金額は状況に応じて異なります。気をつけましょう。

    債権の全額回収が不能になった場合の貸倒損失に関して

    債権の全額回収が不能になると事実上の貸倒れであると判断され、貸倒損失の適用が可能になります。全額回収不能の判断については、債務者の資産状況や支払い能力、周囲の状況などを加味した上で、総合的に判断する必要があります。
    また、一部に貸倒れが発生しても、その部分のみの貸倒損失の「計上」は認められません。さらに、担保物がある場合は、その処分後でなければ貸倒損失として処理できません
    長い間取引していた相手が取引を停止し、一定期間経過後に債務の弁済がない場合には、形式上の貸倒れと判断されます。この場合、次の要件を満たせば貸倒損失の「計上」が可能となります。

  • 最後の弁済時期(手形の支払期日を含む)か取引が停止した時期のうち、一番遅い日から1年が経過している場合。
  • 債権者側の支社・営業所のエリアを基準に算出した取立て費用(回収のため直接必要となる旅費交通費通信費、委託先の手数料など)が債権総額に満たず、督促に対して弁済がない場合。
  •  上記の条件を満たしていなければ、貸倒損失の計上はできないので注意しましょう。

    貸倒損失についてご理解いただけたでしょうか

    売掛金などの債権の貸倒には法律上の貸倒、事実上の貸倒、形式上の貸倒の3つがあります。それぞれ要件を満たすことで、貸倒損失を計上することが可能です。

    貸倒損失はその名のとおり、損失のため計上することで、利益や税額を低くすることができます。貸倒損失をしっかりと理解し、正しく計上することが重要です。


    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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