• 作成日 : 2022年7月15日

交通費の経費精算を解説 – 定期区間は精算できる?

交通費の経費精算を解説 – 定期区間は精算できる?

取引先への訪問、社外での研修、支店間の移動など、あらゆる場面における従業員の移動には交通費が発生します。業務上必要な交通費を従業員が支払った場合、どのような基準で経費精算できるのでしょうか。交通費の経費精算と、旅費交通費や通勤費との違い、領収書がない場合の対応、定期区間で経費精算の申請を受けた場合の取り扱いなど、交通費の経費精算全般を解説していきます。

交通費は経費精算できる?

交通費とは、業務活動において必要な移動に要した費用を指します。取引先への訪問に要した電車やバスの運賃、タクシー代、社用車や従業員の自家用車を利用した場合の駐車場代、社用車のガソリン代などがその例です。

休憩時間中に社員が外で食事をするために要した移動費は、業務上必要なものではないため、基本的には交通費として経費精算の対象にはなりません。

なお、法的には交通費を経費として精算する義務はありません。しかし、労働基準法第89条第1項第5号では「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合においては、これに関する事項を就業規則に定めなければならない。」と定めており、従業員に「その他の負担」に該当する交通費を負担させる場合には、その旨を就業規則に定める必要があります。

また、就業規則の作成義務がない企業も、交通費を従業員負担とする場合には労使合意による労働条件の合意が必要です。そのため、交通費の精算についての規則が設けられていない場合には、立て替えた交通費は精算できると考えてよいでしょう。

参考:労働基準法|e-Gov法令検索

交通費と旅費交通費の違い

上で説明したように、交通費は業務上発生したバスの運賃やタクシー代、駐車場代などの費用を指します。一般的には通常の勤務地から客先などへ移動する際に必要な移動・交通に関する費用全般が対象とされます。

一方の旅費交通費は、通常の勤務地から離れた場所で業務に当たるために必要な移動・交通にかかる費用を指します。新幹線代や飛行機代などの移動費用だけでなく、出張先での宿泊費や出張手当も旅費交通費の範疇です。

ただし、旅費交通費に該当する費用は会社ごとの出張旅費規程によって定められています。また、規模の小さな会社では旅費交通費と交通費を分けずに、すべて旅費交通費の勘定科目で処理する場合もあります。

交通費と通勤費の違い

交通費は業務を行う拠点から取引先への訪問、本支店などの拠点間の移動や、社外研修のための移動など、会社の業務上必要な移動にかかる費用が対象です。一方、通勤費は、従業員が自宅と会社を往復する際にかかる移動費を指します。

会社が交通費を従業員に負担させる際には就業規則で規定する必要がありますが、通勤費を支給しなければならない法的な義務はありません。しかし、多くの会社では福利厚生の一環として「通勤費手当」の名目で支給しており、支給の条件を就業規則や通勤費規則などに定めています。

交通費の領収書がない場合は?

領収書は経費を立て替えた証拠となる重要な書類です。交通費の立て替えにおいても、原則として経費精算時に提出する必要があります。しかし、バスの運賃や電車賃などの商習慣上領収書やレシートが発行されない交通費は、出金伝票や支払証明書などの書類を提出することで精算を行えます。

出金伝票は現金を支出した場合に作成する、相手科目や金額、日付、内容を記入する伝票です。支払証明書は、経費の支払いを証明するための書類で、支払日や支払先、支払額などを記入して作成します。あくまで経費の発生を記録・証明するための書類ですので、交通費の精算を行う場合には、移動経路や移動の目的なども詳細に記入しておくとよいでしょう。

支払証明書のテンプレートは下記ページからダウンロードできます。

定期区間の交通費は経費精算できる?

定期区間の交通費の経費精算は、会社が通勤手当を支給しているかどうかで扱いが異なります。

会社が通勤費を支給していない場合、通勤に必要な定期券代を従業員が支払っているため、交通費は定期券の影響を受けていないものとして経費精算を行えます。

次に、会社が通勤費を支給している場合、会社はすでに定期券の区間に対して交通費を支払っています。そのため、定期券の区間を含めて精算をしてしまうと、二重に交通費を支給することになります。よって、通勤手当を支給している場合は、一般的に定期区間を除外して交通費の精算を行います。

通勤費を支給している会社では交通費精算時に二重請求が発生するおそれがあるため、経理担当者による定期区間と交通費精算申請区間の重複チェックを行う必要があります。この業務は経理担当者に大変負荷がかかりますので、二重請求による差し戻しが何度も発生しないよう、定期区間を含む交通費経費精算のルールを従業員に周知しておくとよいでしょう。

自腹で定期を購入していた場合はどうなる?

定期券を従業員が自腹で購入しているケースもあります。毎日拠点間を往復する必要があるなど、業務上合理的な理由がある場合は、経費として精算できる可能性があります。

しかし、プライベートで利用する定期券のように、業務上の必要性や合理的な理由がない場合は、自腹で購入した定期券全額の交通費精算はできません。業務上、プライベート用定期券の区間内の移動が発生したときは、定期券の額ではなく、本来発生する交通費のみが精算の対象になります。

交通費精算における従業員とのトラブルを防止するためにも、通勤定期区間や自腹で購入した定期券の取り扱いなどを含めた交通費精算のルールを明確にし、従業員に周知しておくとよいでしょう。

定期区間の交通費は二重請求にならないようチェックが必要

取引先訪問や本支店間の移動など、業務上必要な移動にかかる費用を交通費といいます。交通費は就業規則で従業員負担が規定されていない限り、経費精算の対象となります。なお、交通費に似た移動費に通勤費がありますが、従業員の自宅と会社間の移動費である通勤費は法的な支給義務がなく、会社によっては無支給の場合があります。

会社が通勤費を支給している場合、従業員が会社に申告している定期区間と交通費の移動区間が重複する場合があります。この場合は交通費の精算と通勤費の二重請求にならないように、定期区間の交通費を差し引いて交通費を精算するようにしましょう。

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よくある質問

交通費は経費精算できる?

業務上必要な交通費であれば経費精算できます。 詳しくはこちらをご覧ください。

定期区間の交通費は経費精算できる?

通勤費を支給している会社で定期区間が重複しているときは、定期区間の交通費を除外して経費精算します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:冨田 建(不動産鑑定士・公認会計士・税理士事務)

43都道府県で不動産鑑定業務経験があり、各種媒体に不動産価格や不動産税務に関する講演及び寄稿も行う。
令和3年8月に不動産の評価手法・相続・税務、立退料の評価、戸建住宅の価格目線の把握法等を実例を交え一般向けに述べた自身二冊目の著書「不動産評価のしくみがわかる本」を上梓。
公認会計士世田谷会幹事・国土交通省公示価格鑑定評価員・その他公職にあり。
特技は12年間学んだエレクトーンで、公認会計士東京会第四回音楽祭で優勝経験あり。
事務所名 :冨田会計・不動産鑑定㈱

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