• 作成日 : 2024年8月19日

入金消込とは?定義や手順、効率化のポイントを解説

入金消込とは、取引先から入金があったタイミングで売掛金として登録されているデータを消す会計処理のことを意味します。
入金消込が正確に行われないと、取引先からの信用を失ったり、売掛金の回収漏れによって資金繰りが悪化したりするリスクがあります。
こうしたリスクを軽減するためには、Excelの関数・マクロの活用や、会計システムの導入などが効果的です。

本記事では、入金消込の定義や手順、効率化のポイントを解説します。

入金消込とは

はじめに、入金消込の定義と正確に行われない場合のリスクや影響について解説します。

入金消込の定義

入金消込とは、取引先から入金された際に、売掛金として登録されているデータを消す会計処理のことを指します。

例えば、ある商品を取引先に販売した際、代金は後から回収するケースが多くなります。
この場合、未回収の代金を売掛金とし、そのデータを一度計上する会計処理が求められます。

つまり、代金を回収する際に、計上していた売掛金を取り消す作業を「入金消込」と呼ぶのです。

入金消込が正確に行われない場合のリスクと影響

入力した入出金情報に誤りがあったり、入力漏れがあったりする場合、会社側は以下の影響を受けるリスクがあります。

  • 二重計上や不必要な催促を行うことで、取引先からの信用を失う
  • 売掛金の回収漏れにより、資金繰りが悪化する

上記の事態が深刻化すると、会社のイメージ低下や資金不足により、事業の継続が困難となる場合もあります。したがって、入金消込のミスを防げるように対策を講じることが大切です(詳しくは後述します)。

入金消込の経理で用いる勘定科目

入金消込の経理を正しく行うには、勘定科目に関する基本的な知識を知っておく必要があります。

前提として、勘定科目は「資産」、「負債」、「純資産」、「収益」、「費用」の5つに大別されます。各分類の概要と具体的な勘定科目は以下のとおりです。

通信費の種類具体例
インターネット関連インターネット回線利用料金、Wi-Fi利用料金、プロバイダ利用料金
電話代固定電話の月額利用料、携帯電話の月額利用料
送料切手代、宅配便の料金
テレビの放送受信料NHK放送受信料

取引ごとに、上記の勘定科目を借方(帳簿の左側)と貸方(帳簿の右側)に分けることを仕訳と呼びます。たとえば、商品を販売した場合には「売上」と「売掛金」が発生します。売上の発生(増加)は貸方、それに伴う売掛金の発生は借方に計上します。

入金消込の経理では、得に資産(売掛金や普通預金など)と収益(売上など)の勘定科目を利用します。次章では、入金消込の具体的な仕訳を紹介します。

入金消込の手順と仕訳

入金消込は、一般的に以下の2つのプロセスによって行われます。

  1. 売上および売掛金の計上
  2. 売掛金の回収

以下では、各プロセスで行う会計処理(仕訳)を解説します。

手順1:売上および売掛金の計上

はじめに、売上と売掛金を帳簿に計上します。取引先や顧客に対して、商品・サービスを販売した時点で仕訳を実施します。

例えば、50万円の商品を掛取引で販売した場合、売掛金(資産)の増加と売上(収益)の増加をそれぞれ記帳します。
前述のルールに基づくと、借方に売掛金、貸方に売上が計上されます。具体的な仕訳は以下のとおりです。

勘定科目内容具体例
通信費事業に使用される電話料金や郵便等、通信のために必要とする費用固定電話料金、切手代、携帯電話料金など
消耗品費事業に利用し、購入金額が10万円未満、使用可能期間が1年未満の物品の費用プリンター代、事務用品代、携帯電話本体の分割代金
広告宣伝費自社サービスや商品の販売促進目的で多くの人に広告宣伝するために必要とする費用ネット広告掲載費用、ダイレクトメール作成にかかった費用
交際費取引先や事業への関係者との接待など、事業に必要な交際に関する費用結婚祝金や香典、取引先への祝電・弔電

手順2:売掛金の回収

次に、商品・サービスの代金が入金された時点で、売掛金の回収を記録するために入金消込の作業を行います。
請求書の情報と実際の入金情報を照合し、内容に問題がなければ入金消込の仕訳を実施します。

50万円の売掛金を回収する場合、普通預金(資産)の増加と売掛金(資産)の減少をそれぞれ記帳します。前述のルールに基づくと、借方に普通預金、貸方に売掛金が計上されます。具体的な仕訳は以下のとおりです。

会計ソフト比較インストール型クラウド型
メリット・オフラインでも利用できる
情報漏洩、不正アクセスのリスクは少ない
インターネット環境に依存しないため操作性安定
・金融機関などとの自動仕訳が可能
簿記初心者でも操作しやすいソフトが多い
・人件費削減など業務効率化につながる
・モバイル端末にも対応しているものもある
デメリット・インストール作業が必要
バージョンアップなどの更新作業が必要
サーバーを管理する必要がある
導入コストとランニングコスト(サポート料)が必要
・利用できるパソコンに制限がある
・オンラインでないと利用できない
情報漏洩などのリスクを検討する必要がある
・継続にはコストがかかる
・インターネット環境に操作性が左右される
・簿記のしくみとシステム設計にずれがある

見てのとおり、取引時点で計上した売掛金について、同額を正反対の位置(借方→貸方)に記帳することで、売掛金を帳簿から消すことができます。以上により、入金消込の作業は完了となります。

入金消込を効率化するためのポイント

入金消込を効率化するには、可能な限り作業の自動化を図ることがポイントとなります。作業を自動化することで、二重計上や売掛金の回収漏れといったヒューマンエラーが生じるリスクを削減できます。また、経理業務にかかる負担の軽減にもつながります。

以下では、作業の自動化によって入金消込の効率性を高める方法を2つ紹介します。

Excelの機能を最大限活用する

Excelには、入金消込の自動化に役立つさまざまな機能が搭載されています。

例えば、関数機能がその一つです。
SUM関数を使えば、売掛金の残額などに関する合計を自動で算出できます。COUNTIF関数では重複のチェック、VLOOKUP関数では特定の条件(企業名など)に合致するものを一定の範囲から抜き出す処理をそれぞれ行えます。

また、マクロという機能も自動化に役立ちます。
マクロとは、あらかじめ作業を記録しておくことで、その作業の繰り返しを自動化できる機能です。例えば、「入金情報と取引先の照合」などの単純な作業を自動化できます。

入金消込の全工程を完全に手作業で行う場合と比べて、大部分を自動化できる点がメリットです。
ただし、データの入力は自動化できないため、その部分でヒューマンエラーが生じるリスクは残ります。また、関数やマクロを使いこなすための専門知識が必要となるため、業務が属人化しやすい点にも注意が必要です。

会計システムを活用する

より高い効率性を求める場合は、会計システムの活用がおすすめです。

会計システムには、仕訳や入金消込などの経理業務を自動化する機能が備わっています。

Excelと比べて自動化できる範囲が広いため、より経理業務の負担軽減やミス防止の効果を高めることが可能です。
また、多くの会計システムは簡単な操作で利用できるように設計されているため、属人化によって業務が滞るリスクも抑えられます。

ただし、会計システムの導入や運用にはコストがかかります。
また、必ずしも入金消込の自動化機能が搭載されているとは限らないため、導入する会計システムで自動化できるかどうかを確認しておくことが求められます。

なお、より一層効率化を図る際には、ERPとの連携も視野に入れることがおすすめです。
ERPとは、会計や販売などの基幹システムを統合し、データの一元管理を実現するシステムです。

ERPを導入することで、入金消込などの経理業務に必要なデータをリアルタイムで自動収集できるようになります。

より詳しくERP導入のメリットを知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

まとめ

取引先からの信用低下や資金繰りの悪化を防ぐためにも、入金消込は正確に行うことが求められます。また、取引数が多くなるほど経理の負担も増えるため、正確さだけではなく効率性も重視すべきです。

効率化のポイントは、Excelや会計システムによる作業の自動化です。
特に会計システムでは入金消込における作業の大半を自動化できるため、現場の負担軽減やミス防止につながります。

入金消込の効率化やヒューマンエラーの防止を実現したい方は、会計システムやERPの導入を検討してみてください。


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