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  • 作成日 : 2021年2月19日

受取手形とは?決済、回収時の仕訳・勘定科目や売掛金との違いをわかりやすく解説

現金での取引は、確実ではあるものの、企業間取引においては柔軟性の高い取引とはいえません。期限に柔軟性をもたせ、現金の代わりに利用されているのが「手形」です。

手形には、約束手形為替手形があります。特に、受け取ることで将来の入金を約束してもらう手形は受取手形」の勘定科目で表します。将来、受け取る権利がある点では、同じく売上債権にあたる「売掛金」と同じです。この記事では、受取手形の性質、回収時や決済時の仕訳などを解説します。

受取手形とは?

受取手形とは、企業が経営上の取引を行うにあたり、取引をしている相手から受け取れる「為替手形」および「約束手形」のことです。いずれも、会社の債権に区分され、手形の振出日以降に設定された支払期日に、手形の額面金額を金融機関で受け取れます

手形の受取人は、受取手形を支払期日まで持っていた場合には、銀行に依頼して取立てを行ってもらい、預金という形で受け取りができます。受取手形の割引という形もあり、手数料を支払うことで、支払期日よりも前に銀行で現金化することも可能です。ほかにも、別の支払い用途に利用して、受取手形に裏書して、他者に譲渡もできます。

受取手形には、約束手形と為替手形があると説明しましたが、違いは、手形の振出人受取人支払人(引受人)が異なることです。

約束手形とは?

約束手形とは、手形の振出人が受取人に対して、指定された期日に手形上に記載されている額面金額を支払うことを約束したものです。振出人と支払人は同一のため、基本的には2者間の取引になります。

約束手形を活用すれば、すぐに現金で費用を支払わなくても、一定期間延期できるようになります。また、為替手形を活用すれば、手形の振出人から支払人に対して、決められた期日までに手形の受取人に支払いをするよう依頼することができます。

為替手形とは?

為替手形は、振出人が支払人(引受人)に額面金額の支払を依頼し、指定された期日に手形上に記載されている額面金額を受取人に支払うことを約束したものです。約束手形とは異なり、支払人という第三者がかかわってきます

振出人をA、支払人をB、受取人をCとした場合、為替手形が利用されるのは以下のような場合です。

  • Aは、商品の仕入れに際し、Cに100万円を支払わなければならない
  • Aは、Bに対して売上債権が100万円以上ある

為替手形の決済が実行された場合、BがCに対して額面金額を支払うことによって、CのAに対する売上債権、AのBに対する売上債権、BのAに対する支払債務が消えることになります。

支払いの際は支払手形を用いる

約束手形も為替手形も、受け取った手形については、会計処理上、「受取手形」の勘定科目を使って処理を行います。受け取る側ではなく、支払う側になった場合に使う勘定科目は、支払手形です。

約束手形の場合は、振出人と支払人が同一ですから、約束手形を振り出すことになったときは、「支払手形」を使います。

注意したいのは、為替手形の処理です。振出人の立場になった場合は、支払人に対して支払いを依頼するのみになりますので、振出人が実際に支払いを実行するわけではありません。「支払手形」の勘定科目を用いるのは、手形の額面金額の支払いを行う支払人です。払出人は、支払人に依頼することで、すでにもっている債権が減少するだけになります。

なお、支払手形を用いる場合も、約束手形、為替手形のしくみは、受取手形の場合と変わりません。立場が入れ替わるだけです。受取手形では債権だったものが、支払手形では支払い義務のある債務となります。

受取手形と売掛金との違い

受取手形、売掛金、いずれも企業間の信用取引であり、売上債権ともいわれます。すでに成立した取引について、後日代金の受け取りを約束したものです。現金を受け取る権利がある点においては、受取手形も売掛金も似た性質を有するといえるでしょう。

受取手形と売掛金の大きな違いは、第三者が絡んでくるかどうかです。受取手形は、銀行で振り出した手形を受け取りますので、仲介として銀行がかかわってきます。手形の発行にあたっては銀行の審査もありますので、一定の信用がある点が特徴です。

また、基本的には支払期日をまって額面金額を受け取ることになりますが、早く入金してほしいときは、銀行に手数料を支払うことで、早期に現金化できます。銀行がかかわることで信用力が上り、必要に応じて現金化が可能な点が売掛金との違いです。

一方の売掛金は、受取手形のように手形を介した取引は行われません。会計上は、単に未入金の債権を表します。第三者を通さない、取引相手との約束になるため、信用力という点では受取手形よりも落ちてしまうでしょう。

ただし、受取手形のほうが信用力は高いといっても、受取手形にも売掛金にも不渡りや貸倒れ、つまり回収できない可能性はあります。健全な経営を行うためにも、売掛金や受取手形の割合は大きくなりすぎないことが重要です。

受取手形の具体的な会計処理

次に、受取手形に関する具体的な会計処理を見ていきましょう。

売上を手形で回収したときの勘定科目・仕訳

(例)A社は商品売上50万円分を約束手形として受け取った。

借方貸方
受取手形500,000売上  500,000

(例)A社は商品売上50万円分を為替手形として受け取った。
借方貸方
受取手形500,000売上  500,000

売上を手形で回収したときは、「受取手形」(資産)の勘定科目を使って仕訳します。受け取った手形が、約束手形であっても、為替手形であっても、手形を受け取ったということに変わりありません。約束手形も為替手形も、同じ「受取手形」で処理します。

受取手形を支払期日に決済したときの勘定科目・仕訳

(例)約束手形50万円を銀行の当座預金で受け取った。

借方貸方
当座預金500,000受取手形500,000

約束手形、為替手形、いずれにも、支払期日支払地支払場所が記載されています。支払場所に設定されている銀行で支払期日に受け取るのが原則です。しかし、取引会社の指定する銀行と会社が離れているケースもあります。

支払場所まで足を運んで入金してもらうのは非効率ですし、現実には難しいこともあるため、受取人は普段取引する銀行に取り立てを依頼することが可能です。取り立てを依頼し、支払期日に決済が無事行われ、入金が実行された場合、上の例のような仕訳を行います。

約束手形の仕訳例を取り上げていますが、為替手形の場合も会計処理は同じです。

受取手形を裏書譲渡したときの勘定科目・仕訳

(例)約束手形50万円をB社に裏書譲渡し、買掛金と相殺した。

借方貸方
買掛金 500,000受取手形500,000

仕入代金を支払わなければならないものの、手元に現金がなく、すぐに支払いを実行できないケースもあります。すぐに支払いができないとき、活用できるのが手元にある受取手形です。

約束手形や為替手形は、手形裏面の必要事項を記載し、譲渡を受ける人の承諾を得ることで、裏書譲渡ができます。受取手形の裏書譲渡とは、手形に記載された額面金額を受け取る権利を他者に譲ることです。

例では、B社に対する支払債務である買掛金相殺のために手形を譲渡していますので、受取手形と買掛金を減少させる仕訳を行います。

なお、裏書譲渡するということは、裏書譲渡をする当人が支払いを保証するということです。もともとの支払人が支払いを実行できない場合、裏書譲渡をした人に支払いの義務が発生する点に注意しましょう。

受取手形について手形割引を利用したときの勘定科目・仕訳

(例)約束手形50万円について手形割引を行った。かかった割引料は2万円である。残高は当座預金に入金した。

借方貸方
当座預金480,000受取手形 500,000
手形売却損20,000

約束手形も為替手形も、実際に額面金額を受け取るまでに数カ月以上かかることもあります。支払期日には受け取れるといったものの、支配期日までに資金不足に陥ることもあるでしょう。資金不足を防ぐために活用できるのが、手形割引です。

受取手形は、銀行に持ち込むことで、支払期日よりも以前に買い取ってもらうことができます。手形割引の際は、利息分が差し引かれますから、手形売却損として処理を行います。

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受取手形を理解して資金繰りに活かそう!

約束手形、為替手形のうち、受け取った手形を「受取手形」といいます。受取手形は、売掛金と同じで、将来、代金を受け取る権利を持つ売上債権です。売掛金と異なるのは、銀行を介して手形が振り出されることです。売掛金と異なり、銀行が信用力を保証する債権となります。

また、受取手形は、裏書譲渡することで支払債務と相殺したり、手形割引を依頼することで利息を差し引いた分を早期に入金してもらったりすることが可能です。単に未入金を表す売掛金と異なり、できることは多いです。資金繰りに苦しくなった場合は、受取手形を活用して早期の健全化を図りましょう。

ただし、売掛金も受取手形も入金が後日に約束されたものですので、支払人より支払いが実行されない可能性もあります。現金や預金と比べると安定性は低いため、多く持ちすぎないよう、注意が必要です。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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