• 更新日 : 2024年9月6日

債権・債務管理とは?よくある悩み・課題や効率化の方法も解説

経理担当者の中には、債権と債務の違いが明確ではない人もいると思います。本記事では、債権と債務の違いから債権・債務管理の概要や重要性、それぞれのフローまで詳しくまとめました。本記事を参考にして、債権・債務管理への理解を深めましょう。

債権・債務管理とは?

まずは、債権管理、債務管理についてそれぞれ解説します。

債権管理とは

債権管理とは、企業が事業で取得した売掛金や貸付金など、債務者に対して金銭の支払い・給付・返還などを要求できる権利(債権)を管理する作業のことです。

企業は商品やサービスを販売して終わりではなく、その後、売上代金を回収して初めて自社の利益となります。債権管理とは、この売上代金を回収する行為を円滑に行うために欠かせない作業です。

債権管理では、取引先の支払能力を確認しつつ、債権管理表を作成して、債権を適切に管理できるようにしておきましょう。

債務管理とは

債務とは、債権を持つ人に対して代金を支払う義務のことです。つまり、債務管理とは債権者に対して取り決めた期日までに、取り決めた内容で適切に代金の支払いが行われているかを管理する業務といえます。

債務管理では、現在の債務状況の把握だけでなく、支払うべき資金がしっかりと確保されているかどうかの管理も忘れずに行いましょう。

債権と債務の違い

債権と債務の違いについても、理解を深めておきましょう。債権とは、自社が他社に対して労力の提供、物品の給付、金銭の支払いなどのある行為を要求できる権利のことです。

たとえば、自社の商品やサービスを他社へ販売した場合であれば、代金を請求できる権利が当てはまります。

一方、債務は他社に対して上記項目について提供・給付・支払いなどを行う義務を負っていることです。

たとえば、商品やサービスを自社で購入する際に、金銭のやり取りをその場で行わず後日まとめて決済するとした場合、この時点で購入した企業は商品やサービスを提供した企業に対しての支払い義務が発生します。これが債務です。

債権・債務管理はなぜ重要なのか?

では、債権・債務管理はなぜ重要なのでしょうか?

債権管理とは、自社が他社に対して行う金銭要求(売掛金)を管理することでした。債権管理では、適切に与信を管理して確実な代金回収を実施します。つまり、企業におけるお金の流れをコントロールし、正しい資金繰りを行うために重要であるといえるでしょう。

一方の債務管理とは、自社が購入・利用した商品やサービスに対し、後日代金を支払う義務を管理することです。自社に債務が発生したということは、仕入先に債権が発生したことと同義であり、仕入先は自社に対して代金回収や督促の権利を持っています。

そもそも、企業間取引は信用で成り立っているものです。代金を支払う側(自社)も回収する側(仕入先)も、それぞれの債権や債務を適切に管理し、代金を期限通りに支払わ(回収し)なければ、企業としての信頼は崩れ、取引を断られてしまう恐れがあります。企業間の取引を適切に継続して行ううえでも債務管理は欠かせません。

債権・債務管理でよくある悩み・課題

債権・債務管理でよくある悩み・課題について解説します。

経理作業が煩雑化

債権管理における、経理作業の煩雑化が挙げられます。債権管理では売掛金と入金の紐づけ作業が発生します。これは経理作業において負荷の高い作業です。請求額と入金額の照合、売掛金と入金額の紐づけからの消し込みなどは、複雑かつ件数も多いため、記入漏れやミスが生じやすくなります。

また、債務管理に関しても同様です。買掛金と支払額の照合、消し込み作業は煩雑なうえにミスの発生が避けられません。

複数拠点の一元管理が困難

債権・債務管理においての課題として、管理情報が分散していることによる一元管理の難しさがあります。

企業の中には、複数の拠点を持っているというところもあるでしょう。しかし、拠点ごとに債権・債務管理ルールが異なっていることも多く、データの正確性を判断したり、集計・加工したりするなど、多くの労力がかかりがちです。採用している管理体制次第では、債権・債務管理業務全体の効率化低下を引き起こしている恐れもあります。

適正な業務体制の確保が困難

適正な業務体制の確保が難しいことも債権・債務管理でよくある悩みのひとつです。債権・債務管理の方法として、多くの企業がExcelなどを使って管理しています。

債権・債務を適切に管理するためには、一定以上のスキルや経験を持つ人材の配置が必要です。しかし、少子高齢化にともなう労働人口の減少により、高いスキルを持った人材の獲得が難しくなっており、十分な人員を債権・債務管理に配置できている企業は少ないのが現状です。

債権管理の流れ

債権管理の流れについて解説します。

1.コーポレートチェック

まずは、コーポレートチェックを行います。コーポレートチェックとは、新たな会社と取引を開始する前に取引先が暴力団関係などの反社会的勢力ではないか、法人が実在する会社であるかどうかを確認することです。

コーポレートチェックを怠ると、反社会的勢力に関連する事件や事故に巻き込まれた場合に、報道などで企業の社会的評価が低下する恐れがあります。

その際、商業登記簿をチェックすることが有効です。商業登記簿には会社の商号や所在地、事業目的、営業内容、設立年月日、代表者の住所・氏名、資本金などが記載されているため、実体を持った法人であるかの確認ができます。

2.与信管理・与信限度額の設定

続いて、与信管理を行います。与信管理では取引先の信用度や支払能力を精査し、与信限度額を設定します。

また、限度額については、安全な範囲で必要な金額を上限として設定することが重要です。部署間の認識の差で対立が生じやすい案件でもあるため、事前に取引先の格付けに関する社内ルールを共有しておくようにしましょう。

3.売上計上・請求書発行

売上計上では、書類の確認や売上事実の確認、売上伝票の計上、計上承認を経て作業が完了します。売上計上後、取引先に対して債務が存在することを確認し、期日までに支払いを完了するように促すために請求書を作成・発行して送付しましょう。

4.支払いの確認・入金確認

請求書にしたがって支払が実行されているか、入金確認を行います。その際、債権管理表を作成しておくとスムーズに対応できるでしょう。

債権管理表とは、売掛金残高一覧表と売掛金年齢表の2部で構成されます。売掛金残高一覧表は、会社が現時点で持っている債権がどのくらいあるかを示したものです。一方の売掛金年齢表とは、売掛金(債権)の詳細(いつ発生したのか、金額はいくらか、いつ入金されるのか)を示したものです。

これらを用いて支払い・入金の確認を行えば、煩雑になりがちな確認作業も効率化できるでしょう。

5.督促状の発行

入金が遅延している場合は、催促状を取引先に送付して未納代金を支払ってくれるように促します。催促しても入金されない場合は、督促状を送付しましょう。

その際、所定の期日までに入金が確認できない場合は法的手段に訴えるという文言を盛り込んで、プレッシャーをかけることも重要です。

6.入金消込・仕訳処理

最後に、入金消込と仕訳処理を行います。入金消込とは、入金確認後に銀行から入金明細を入手して債権管理データと突き合わせ、過不足などがないかを確認する作業です。

入金内容の把握が済んだら、会計データに消込仕訳を入力して、仕訳処理を行いましょう。

入金消込を行い債権残高の情報が正しく把握できれば、未回収が発生しても後手に回ることなく、未回収リスクを減らすことが可能です。

債権管理を適切に行うメリット

債権管理を適切に行うメリットを紹介します。

確実な代金回収

債権管理を適切に行うことで、売上金の回収漏れがなくなり、確実な代金回収が行えるようになります。

債権管理において、どの企業にどれだけ納品し、売上がいつ手元に入金されるかを確認することで、回収すべき金銭を把握できるようになるためです。

資金繰りの適正化

債権管理を適切に行えると、資金繰りの適正化を図れます。一般的に小規模な企業ほど、資金繰りが厳しく、支払いも遅れがちになる傾向にあります。しかし、債権管理をしっかりしておけば、支払いの遅れが生じても、対応策をすぐに考えられるでしょう。また、請求漏れも防げるため、資金繰りの適正化につながります。

債務管理の流れ

債務管理の流れは、以下のとおりです。

  1. 仕入先別に買掛金台帳を作成する
  2. 取引先別に支払予定実績表を作成する
  3. 支払日別に支払予定額を集計する
  4. 支払期日を守って支払う

まず仕入先別に買掛金台帳を作成します。月ごとに、前月の残高、当月発生額、当月支払額、当月残高を記録しておけば、仕入先別に買掛金残高がいくらあるのかを把握できるでしょう。

続いて、取引先別に支払予定実績表を作成し、支払日別に支払予定額を集計します。仕入業務は、不正や間違いが起きやすい業務です。出金記録と支払日別支払予定額とを付き合わせれば、支払漏れを防げるでしょう。

期日までに、支払いを行います。基本的には先方の指定通りのスケジュールで支払うようにしましょう。

債務管理を適切に行うメリット

債務管理を適切に行うことで得られるメリットもあります。ここでは、2つのメリットを紹介します。

支払スケジュールの遵守

債務管理を適切に行えれば、支払いスケジュールを遵守できるようになるでしょう。

とくに、資金繰りが厳しい会社であるほど日、週、月単位で支払予定を把握しておくことが重要です。また、支払スケジュールを確認しておけば、支払遅延も防げます。

取引先・金融機関からの信頼向上

ビジネスにおいて重要なのは、信頼関係です。債務管理を徹底しておけば、取引先・金融機関からの信頼向上につながります。

契約に対して支払いが遅延してしまうと、取引先からの信頼を失墜してしまうことになるでしょう。債務管理を行って、滞りなく支払いできていれば、取引先からの信用向上につながります。

債権・債務管理を効率化する方法

債権・債務管理を効率化するうえでは、債権リストの作成が有効です。

債権リストがあれば、債権の発生日時や支払期日、取引先名を把握でき、債権管理をスムーズに進められます。

リストは、ExcelやGoogleスプレッドシートを活用して作成する方法と専用の債権管理システムを用いる方法があります。

<Excel・スプレッドシート>

Excelやスプレッドシートを利用した管理は、コストをかけずに手軽に行える方法です。デメリットとしては、作成に手間がかかり、手動入力のためミスが起こりやすいことが挙げられます。

<債権管理システムの導入>

ここでは、販売管理システムと債権管理システムについて紹介します。

  • 販売管理システム

販売管理システムとは、受注から請求、入金までの一連の業務の管理にも対応しているシステムです。より高度な機能を求める場合は、債権管理システムを利用しましょう。

  • 債権管理システム

債権管理システムとは、請求書の発行、支払期日を過ぎた債権の督促、入金と連動した自動消込、売上管理など、債権に関する業務の効率化に役立つシステムです。クラウドサービスを利用すれば、複数拠点から請求情報の確認ができます。

債権・債務管理にはマネーフォワード クラウドがおすすめ

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  • 取引先ごとに請求書受領方法が異なっている
  • 事前稟議と請求書の情報が紐づけられていない
  • 請求明細ごとの仕訳作成に時間がかかっている

マネーフォワード クラウド債務支払であれば、事前稟議・支払申請の紐づけから仕訳作成まで一貫した運用フローを構築可能です。また、さまざまな受領・データ化方法で運用できます。

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また、マネーフォワード クラウド債権管理を導入すれば、煩雑になりがちな入金消込などの作業を自動化し、債権管理を効率化するのに役立ちます。

  • 請求データ取り込み
  • 入金データ自動連携
  • 一括入金消込
  • 仕訳データ連携

また、既存の販売管理システムや会計システムなど、さまざまなサービスと連携可能なため債権管理効率化を促進させる強い味方になってくれるでしょう。

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債権・債務管理の重要性を理解しよう

債権管理は、正しい資金繰りを行うために重要です。一方の債務管理も企業間の取引を継続して行ううえで欠かせません。

また、 債権・債務管理でよくある悩み・課題としては、経理作業の煩雑化や一元管理の難しさ、業務体制確保の困難さなどが挙げられます。これらの課題を解決するためには、債権・債務管理にはマネーフォワード クラウドの導入が有効です。

請求書受領業務や債権管理業務の効率化にマネーフォワード クラウドをお役立てください。


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