• 更新日 : 2026年4月23日

少額減価償却資産とは?特例の対象についても解説

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Point少額減価償却資産の特例で即時経費化するには?

少額減価償却資産の特例とは、中小企業や個人事業主が一定額未満の資産を購入した際、取得年度に全額を経費計上(即時償却)できる制度です。

  • 令和8年度改正で上限が40万円未満に拡大
  • 年間合計300万円までの取得額が対象
  • 青色申告を行う中小企業者等が適用可能

同一の資産について「一括償却資産」や「特別償却制度」「税額控除」との重複適用はできません。

少額減価償却資産の特例は、中小企業や個人事業主が一定金額以下の設備やパソコンなどを購入した際に、その事業の用に供した年度で全額を経費計上できる制度です。令和8年度税制改正では、1資産あたりの上限が30万円未満から40万円未満へ引き上げられ、より活用しやすくなる予定です。

本記事では、制度の基本的な仕組みから改正内容、適用対象、注意点などを解説します。

中小企業の少額減価償却資産の特例とは?

中小企業の少額減価償却資産の特例は、一定金額以下の固定資産を取得した場合に、その事業の用に供した年度に全額を損金算入できる制度です。通常は数年にわたり減価償却を行いますが、この特例を使えば即時に経費処理できます。令和8年度税制改正では対象金額の見直しも行われています。

参考:No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例|国税庁
参考:令和8年度税制改正の大綱|財務省

減価償却資産は、使用期間が1年以上の事業用固定資産を指す

減価償却資産とは、建物や機械、パソコン、車両など、事業で使用し、時間の経過とともに価値が減少する資産をいいます。取得価額が一定以上で耐用年数が1年以上のものは、購入した年に全額を経費にするのではなく、法定耐用年数に応じて複数年に分けて費用化します。これが減価償却です。

減価償却の意味や減価償却の対象になる資産については下記の記事で詳しく説明していますので、こちらを参照ください。

【少額減価償却資産と一括償却資産の違い】金額基準と処理方法が異なる

少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が対象で、一定金額未満の資産を取得した場合に全額を即時損金算入できる制度です。令和8年度税制改正では、この上限が従来の30万円未満から40万円未満へ引き上げられる見込みです。一方、一括償却資産は取得価額が20万円未満の資産について、3年間で均等償却する制度です。即時償却か、3年均等償却かという点が大きな違いです。

一括償却資産については下記の記事で詳細を解説していますので、こちらも参照ください。

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少額減価償却資産の特例の適用対象は?

少額減価償却資産の特例は、中小企業者等が一定金額以下の事業用資産を取得した場合に、その事業の用に供した年に全額を損金算入できる制度です。令和8年度税制改正では対象資産の金額基準が引き上げられる見込みですが、適用できる企業の範囲は限定されています。

対象企業

本特例の対象は青色申告書を提出する「中小企業者等」に該当する法人および個人事業主です。中小企業者とは、原則として資本金または出資金の額が1億円以下の法人をいいます。ただし、次のような場合は中小企業に該当しません。

  • 資本金1億円以下であっても、大規模法人(資本金1億円超など)に発行済株式または出資の総数または総額の2分の1以上を所有されている子会社
  • 複数の大規模法人にその発行済株式または出資の総数または総額の3分の2以上を所有されている法人

また、従業員数の基準も定められており、常時使用する従業員の数が500人以下である必要があります。なお、令和8年度税制改正では、対象となる法人から常時使用する従業員の数が400人を超える法人を除外する見直しが予定されています。

個人事業主については、事業所得を有する青色申告者で、常時使用する従業員の数が1,000人以下であれば対象となります。中堅企業(例:資本金1億円超の従業員数2,000人以下の法人)は、中小企業者に該当しないため本特例の対象外です。

区分 改正前 令和8年度税制改正後
中小企業(資本金1億円以下) 対象 対象(変更なし)
個人事業主 対象 対象(変更なし)
中堅企業(資本金1億円超従業員数2,000人以下など) 対象外 対象外(変更なし)
大企業 対象外 対象外(変更なし)

対象資産

対象となるのは、事業で使用する減価償却資産のうち、一定金額未満のものです。ここが令和8年度税制改正で見直される予定の部分です。

項目 改正前 令和8年度税制改正後
取得価額の上限 30万円未満 40万円未満へ引上げ予定
処理方法 事業供用年度に全額損金算入 同じ(即時償却可)
用途 事業用資産 同じ

改正前は「30万円未満」の資産が対象でしたが、令和8年度税制改正により「40万円未満」に拡大される見込みです。これにより、従来は通常の減価償却が必要だった価格帯の設備やIT機器も即時償却の対象となり、中小企業の設備投資を後押しする内容となっています。

少額減価償却資産の特例と重複適用できる制度、できない制度は?

少額減価償却資産の特例は即時償却ができる点が魅力ですが、他の減価償却制度や税額控除制度との関係には注意が必要です。制度によっては併用できるものと、同一資産については選択適用となるものがあります。

他の即時償却制度とは原則として重複できない

同一の資産について、少額減価償却資産の特例と「一括償却資産(20万円未満を3年均等償却)」は同時に適用できません。どちらか一方を選択することになります。また、特別償却制度や税額控除制度(例:中小企業投資促進税制など)と同一資産について同時に適用することもできません。即時償却を選択した場合、その資産は通常の減価償却や特別償却の対象にはならないため、制度間での併用は不可となります。

制度 同一資産での重複適用
一括償却資産 不可(選択適用)
特別償却制度 不可
投資促進税制(税額控除) 不可

このように、減価償却方法に関する制度同士は排他的に扱われます。

税額控除制度とは別資産であれば併用可能

本特例の適用を受ける資産は、租税特別措置法上の特別償却、税額控除、圧縮記帳と重複適用はできません。

つまり、同一資産について複数の特別償却、税額控除、圧縮記帳の制度は重複適用は不可ということです。

制度を選択する際は、即時償却による当期利益の圧縮効果と、他制度の税額控除効果を比較し、自社の利益状況や資金計画に応じて最適な方法を検討することが重要です。

少額減価償却資産の適用手順は?

少額減価償却資産の特例は事前申請が不要ですが、適用可否の判断から申告書類の作成まで一定の流れがあります。以下では、基本的な手順を解説します。

① 自社が中小企業者等に該当するか確認する

まず、自社が特例の対象である「中小企業者等」に該当するかを確認します。法人の場合は資本金1億円以下かどうか、また大規模法人に支配等されていないかを確認します。個人事業主の場合は青色申告を行っていることが前提となります。この段階で対象外であれば特例は利用できません。

② 取得資産が対象要件を満たすか判定する

取得する資産が減価償却資産に該当し、かつ取得価額が40万円未満であるかを確認します。事業用であること(貸付け用でないこと)、使用期間が1年以上見込まれることが前提です。税込・税抜の判定は各社の会計処理方法(税込経理又は税抜経理)により異なるため、経理処理基準に沿って金額を確認します。

③ 取得年度に全額を損金算入する

対象要件を満たす場合、事業の用に供した年度に全額を損金算入します。通常の減価償却のように耐用年数で按分せず、事業の用に供した事業年度の経費として処理します。会計上も固定資産計上後に即時償却処理を行う形となります。

④ 法人税(または所得税)の申告書に明細を添付する

法人の場合は、確定申告時に別表や適用額明細書など所定の書類に記載します。個人事業主も確定申告書に必要事項を反映させます。事前認定は不要ですが、申告時に特例適用の事実が明確に分かる形で記載する必要があります。

⑤ 証拠資料を保存する

最後に、購入時の請求書領収書、固定資産台帳などの資料を保存します。税務調査時に取得価額や事業使用の事実を説明できるよう、帳簿と証憑を整備しておくことがポイントです。

少額減価償却資産の特例の適用例は?

中小企業者等の少額減価償却資産の特例を適用するには、対象となる減価償却資産の取得価額全額を事業供用した事業年度に、損金に算入(費用に計上)する必要があります。

【資産に計上する方法】

損金に算入するための会計処理としてはまず、以下の例のように、取得時に資産に計上後、事業供用年度末に取得価額全額を費用に振り替える処理が考えられます。

(仕訳例)

一台22万円のパソコンを現金で購入し、すぐに事業の用に供した。対象の資産は、中小企業者等の少額減価償却資産に該当するものである。

借方 貸方
工具器具備品 220,000円 現金 220,000円

事業年度末日に、本年度事業の用に供したパソコンの購入代金22万円全額を中小企業者等の少額減価償却資産の特例を適用するために費用に振り替えた。

借方 貸方
減価償却費 220,000円 工具器具備品 220,000円

上記の仕訳では、資産を購入したことを示すために、取得時に資産の勘定科目で仕訳を行います。また、特例を適用するには取得価額全額を損金算入する必要があるため、減価償却費として全額を費用に計上する仕訳を行います。

【事業供用時に経費計上する方法】

特例の適用にあたって、取得価額全額を損金に算入することが要件であるため、以下の仕訳のように事業供用時に費用の項目で処理する方法も認められます。

(仕訳例)

一台22万円のパソコンを現金で購入し、すぐに事業の用に供した。対象の資産は、中小企業者等の少額減価償却資産に該当するものである。

借方 貸方
消耗品費 220,000円 現金 220,000円

少額減価償却資産の特例の注意点は?

少額減価償却資産の特例は即時償却が可能な有利な制度ですが、適用にあたっては金額制限や会計処理の違いなど、注意点があります。ここでは代表的な注意点を整理します。

年間300万円の限度額に注意する

本特例には、1事業年度あたり合計300万円までという上限があります。対象資産を複数取得した場合でも、即時損金算入できるのは年間300万円までです。令和8年度税制改正では1資産あたりの上限が40万円未満に引き上げられる予定ですが、この年間300万円の限度額は変更されない予定です。設備投資が多い年度では、合計額の管理が必要です。

税込経理と税抜経理で判定金額が異なる

取得価額が40万円未満かどうかの判定は、経理方式によって異なります。税込経理を採用している場合は税込金額、税抜経理の場合は税抜金額で判定します。このルールも令和8年度税制改正の影響を受けておらず、従来どおりです。消費税の扱いによって特例の適用可否が変わるため、処理基準の確認が欠かせません。

大企業の子会社は対象外となる場合がある

資本金1億円以下であっても、大規模法人に2分の1以上を支配されている場合等は中小企業者に該当しないケースがあります。そのため、資本金基準は満たしていても、グループ構成によっては特例を利用できません。企業区分の確認は事前に行う必要があります。

少額減価償却資産の特例を正しく理解して活用しよう

少額減価償却資産の特例は、中小企業や個人事業主が一定金額未満の事業用資産を取得した際に、取得年度で全額を損金算入できる制度です。令和8年度税制改正では1資産あたりの上限が30万円未満から40万円未満へ引き上げられ、より活用しやすくなる見込みです。一方で、年間300万円の限度額や中小企業の判定基準、他制度との重複不可といった重要なルールは維持されています。制度の仕組みと改正内容を踏まえ、自社の投資計画や利益状況に合わせて適切に選択し、税務上の効果を最大化しましょう。

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