• 更新日 : 2021年8月2日

財団法人とは?設立前に知っておくべきポイント

知っておくべきポイント

一般財団法人△△会、公益財団法人○○財団など世の中には多くの「財団法人」と名のつく団体があります。

そもそも財団法人とはどういった性質の団体なのか、あるいは「一般」財団法人「公益」財団法人とは何を意味する名称なのか。

ここでは「一般」と「公益」の違い、それぞれの設立方法など、財団法人とはどんな団体なのかを解説します。

「一般」財団法人とは何か?

登記だけで設立できる財団法人

一般財団法人とは平成20年12月1日に施行された新公益法人制度によって、設立が認められるようになった団体です。

それまでは財団法人を設立するためには主務官庁による許可が必須でした。しかし新制度施行によって、登記のみで設立が認められるようになったのです。登記は次の手順で行う必要があります。

1.設立者を決定します。この場合の設立者は1人でも2人でも問題ありません。
2.設立者の署名または記名押印がある定款を作成します。
3.公証人に定款の認証を受けます。
4.設立者は定款が認証されたら、定款に記載した財産を直ちに指定の銀行等に納めます。
5.それぞれ3人以上の評議員及び理事、1人以上の監事を選任し、評議員会・理事会を設置します。
6.理事及び監事は選任されたら、設立手続きが法令または定款に違反していないかの調査をします。
7.設立時の代表理事が設立登記を行って、設立が完了します。

一般財団法人設立のメリットとは

一般財団法人設立のメリットの1つは、法人として法的に認められることによって、団体の構成員個人ではなく、団体自体の名義(一般財団法人△△会など)で銀行口座の解説や不動産などの登記が可能になる点です。また、株式会社など他の団体とビジネス上の取引をする場合などにも、民法や商法における取引主体として認められるようになります。

登記をせずに銀行の名義等が団体の代表者や構成員個人のままでは、本人が死亡したり、交代したりするたびに名義の書き換え手続きをしなくてはなりません。団体内部で不動産などの所有権を巡って争いが起きるなどした場合には、団体の固有財産と個人の財産の区別が曖昧になり、問題を複雑化する危険もあります。

2つめのメリットは、登記をしている団体相手の方が、明瞭な取引がしやすくなるという点です。登記のない団体との取引は、代表者個人や構成員個人との取引なのか、団体としての取引なのかが曖昧になりがちで、これによって前述のように団体の固有財産と個人の財産の区別が曖昧になって問題が起きる危険があるためです。

一般財団法人と株式会社等との違い

一般財団法人と株式会社等の利益を追求する法人との決定的な違いは、「利益の分配」です。株式会社の場合は、利益が出ると株主らに対して配当金という形で利益を分配します。

しかし財団法人は名目上「非営利」の法人なので、利益の分配ができないのです。とはいえ、それ以外の面では両者の間に大きな違いはなく、一般財団法人も利益を追求する活動をしても問題にはあたりません。

「公益」財団法人とは何か?

「公益認定」を受けた財団法人=公益財団法人

公益財団法人とは内閣総理大臣あるいは都道府県知事によって「公益認定」を受けた財団法人です。公益認定は「公益認定基準」を満たし、かつ欠格事由に該当しないことにより受けられます。詳細は、公益法人認定法5条1号から18号に記載されています。

(公益認定の基準)
第五条 行政庁は、前条の認定(以下「公益認定」という。)の申請をした一般社団法人又は一般財団法人が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、当該法人について公益認定をするものとする。
一 公益目的事業を行うことを主たる目的とするものであること。
二 公益目的事業を行うのに必要な経理的基礎及び技術的能力を有するものであること。
三 その事業を行うに当たり、社員、評議員、理事、監事、使用人その他の政令で定める当該法人の関係者に対し特別の利益を与えないものであること。
四 その事業を行うに当たり、株式会社その他の営利事業を営む者又は特定の個人若しくは団体の利益を図る活動を行うものとして政令で定める者に対し、寄附その他の特別の利益を与える行為を行わないものであること。ただし、公益法人に対し、当該公益法人が行う公益目的事業のために寄附その他の特別の利益を与える行為を行う場合は、この限りでない。
五 投機的な取引、高利の融資その他の事業であって、公益法人の社会的信用を維持する上でふさわしくないものとして政令で定めるもの又は公の秩序若しくは善良の風俗を害するおそれのある事業を行わないものであること。
六 その行う公益目的事業について、当該公益目的事業に係る収入がその実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであること。
七 公益目的事業以外の事業(以下「収益事業等」という。)を行う場合には、収益事業等を行うことによって公益目的事業の実施に支障を及ぼすおそれがないものであること。
八 その事業活動を行うに当たり、第十五条に規定する公益目的事業比率が百分の五十以上となると見込まれるものであること。
九 その事業活動を行うに当たり、第十六条第二項に規定する遊休財産額が同条第一項の制限を超えないと見込まれるものであること。
十 各理事について、当該理事及びその配偶者又は三親等内の親族(これらの者に準ずるものとして当該理事と政令で定める特別の関係がある者を含む。)である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十一 他の同一の団体(公益法人又はこれに準ずるものとして政令で定めるものを除く。)の理事又は使用人である者その他これに準ずる相互に密接な関係にあるものとして政令で定める者である理事の合計数が理事の総数の三分の一を超えないものであること。監事についても、同様とする。
十二 会計監査人を置いているものであること。ただし、毎事業年度における当該法人の収益の額、費用及び損失の額その他の政令で定める勘定の額がいずれも政令で定める基準に達しない場合は、この限りでない。
十三 その理事、監事及び評議員に対する報酬等(報酬、賞与その他の職務遂行の対価として受ける財産上の利益及び退職手当をいう。以下同じ。)について、内閣府令で定めるところにより、民間事業者の役員の報酬等及び従業員の給与、当該法人の経理の状況その他の事情を考慮して、不当に高額なものとならないような支給の基準を定めているものであること。
十四 一般社団法人にあっては、次のいずれにも該当するものであること。
イ 社員の資格の得喪に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをする条件その他の不当な条件を付していないものであること。
ロ 社員総会において行使できる議決権の数、議決権を行使することができる事項、議決権の行使の条件その他の社員の議決権に関する定款の定めがある場合には、その定めが次のいずれにも該当するものであること。
(1) 社員の議決権に関して、当該法人の目的に照らし、不当に差別的な取扱いをしないものであること。
(2) 社員の議決権に関して、社員が当該法人に対して提供した金銭その他の財産の価額に応じて異なる取扱いを行わないものであること。
ハ 理事会を置いているものであること。
十五 他の団体の意思決定に関与することができる株式その他の内閣府令で定める財産を保有していないものであること。ただし、当該財産の保有によって他の団体の事業活動を実質的に支配するおそれがない場合として政令で定める場合は、この限りでない。
十六 公益目的事業を行うために不可欠な特定の財産があるときは、その旨並びにその維持及び処分の制限について、必要な事項を定款で定めているものであること。
十七 第二十九条第一項若しくは第二項の規定による公益認定の取消しの処分を受けた場合又は合併により法人が消滅する場合(その権利義務を承継する法人が公益法人であるときを除く。)において、公益目的取得財産残額(第三十条第二項に規定する公益目的取得財産残額をいう。)があるときは、これに相当する額の財産を当該公益認定の取消しの日又は当該合併の日から一箇月以内に類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは次に掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に贈与する旨を定款で定めているものであること。
イ 私立学校法(昭和二十四年法律第二百七十号)第三条に規定する学校法人
ロ 社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)第二十二条に規定する社会福祉法人
ハ 更生保護事業法(平成七年法律第八十六号)第二条第六項に規定する更生保護法人
ニ 独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人
ホ 国立大学法人法(平成十五年法律第百十二号)第二条第一項に規定する国立大学法人又は同条第三項に規定する大学共同利用機関法人
ヘ 地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第一項に規定する地方独立行政法人
ト その他イからヘまでに掲げる法人に準ずるものとして政令で定める法人
十八 清算をする場合において残余財産を類似の事業を目的とする他の公益法人若しくは前号イからトまでに掲げる法人又は国若しくは地方公共団体に帰属させる旨を定款で定めているものであること。

公益財団法人の税制優遇

より公益性が求められる代わりに、主に寄附に関する税制優遇が受けられるのが、公益財団法人の一般財団法人とは違う点です。

民間企業等の法人から寄附を受けた場合には、寄付金の一部を損金として算入できるので、その分課税対象額が減少し、課税額も減少します。寄附が個人からの場合は、寄付金に一部が所得金額から控除される(所得控除)ほか、住民税額からも控除が受けられます(税額控除)。

一般財団法人
公益財団法人
登記手続きのみで設立可能「公益認定基準」を満たし、かつ欠格事由に該当していない場合にのみ、「公益認定」を受けて設立が可能
利益追求のための活動をしても良い団体の本質が「公益目的」である必要がある
株式会社等とは「利益の分配」の面で大きく異なる税制優遇あり
税制優遇はなし(非営利型法人除く)

まとめ

財団法人とは利益追求を許された「一般財団法人」と、公益性を求められる代わりに税制優遇などが受けられる「公益財団法人」の2種類を指します。どちらにもメリット・デメリットがあります。財団法人の設立を検討している場合は、その点をよく理解した上で判断するようにしましょう。

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よくある質問

「一般」財団法人とは何か?

平成20年12月1日に施行された新公益法人制度によって、設立が認められるようになった団体です。詳しくはこちらをご覧ください。

「公益」財団法人とは何か?

内閣総理大臣あるいは都道府県知事によって「公益認定」を受けた財団法人です。詳しくはこちらをご覧ください。


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