- 更新日 : 2024年8月8日
ホテル代・宿泊費を経費にする場合の仕訳と勘定科目まとめ
出張などでホテルなどに宿泊した場合は経費として計上できますが、どの勘定科目に仕訳するべきかわからないことがあるかと思います。ホテル代・宿泊費は、目的ごとに分けて考えることが必要です。基本的には、旅費交通費、福利厚生費、交際費の3つを使うことが多くなります。本記事ではそれぞれの勘定科目について、どのような場合が該当するかを紹介しましょう。
目次
ホテル代・宿泊費を仕訳する場合の勘定科目
出張や接待を伴う宿泊、社員旅行などで宿泊した場合は、その費用を会社の経費として落とすことができます。ホテル代・宿泊費を帳簿に記載する際に、どの勘定科目にするか迷うこともあるでしょう。
主に使用する勘定科目は、旅費交通費、福利厚生費、交際費です。
遠方の得意先や支店などへの出張に伴って宿泊した場合は旅費交通費、社員旅行で利用したホテル代・宿泊費は福利厚生費、取引先との接待で宿泊した場合は交際費を選びます。
また、業務に必要な知識や技能を身につけるために研修やセミナー、講座を受講する際に宿泊した場合のホテル代は、研修費という勘定科目を用いて経費に計上します。
ホテル代・宿泊費が具体的にどの勘定科目に当てはまるのか迷う事例もあるため、詳しく説明します。
ホテル代・宿泊費を旅費交通費で仕訳する
出張に伴ってホテル代や旅館代を支出した場合、勘定科目は旅費交通費を使います。
出張でホテル代を5万円支出した場合の仕訳は次の通りです。
借方 | 貸方 |
---|---|
旅費交通費 ¥50,000 | 普通預金 ¥50,000 |
借方に旅費交通費、貸方に減少した資産を計上します。貸方はほかに現金や当座預金など、どこから支出したかによって勘定科目を変えてください。
交通費との違い
旅費交通費とは別に交通費という勘定科目がありますが、交通費は所属している勤務地の業務に関する経費であり、それ以外の場所での業務に関する経費が旅費交通費です。
具体的には、次のようになります。
- 交通費:通勤定期代や、通常の勤務地から取引先への訪問など移動時の支払い。バスや電車の運賃、タクシー代、駐車場代など
- 旅費交通費:通常の勤務地以外に行く交通費と、それに伴う宿泊費
仮払いした場合
出張に伴うホテル代・宿泊費は社員へ先に渡すことも多く、そのような場合には仮払金という勘定科目で仕訳します。
社員にホテル代として、先に5万円を渡した場合の仕訳は次の通りです。
借方 | 貸方 |
---|---|
仮払金 ¥50,000 | 普通預金 ¥50,000 |
社員が出張から帰社後に領収書を受け取ったら、次のように仕訳しましょう。
借方 | 貸方 |
---|---|
旅費交通費 ¥50,000 | 仮払金 ¥50,000 |
仮払金に過不足があった場合は、多かった場合と不足した場合ごとに、次のような仕訳を行います。
【仮払い額が多く、差額を3,000円戻された場合】
借方 | 貸方 |
---|---|
旅費交通費 ¥47,000 普通預金 ¥3,000 | 仮払金 ¥50,000 |
【仮払い額が少なく、不足分の3,000円を請求された場合】
借方 | 貸方 |
---|---|
旅費交通費 ¥53,000 | 仮払金 ¥50,000 普通預金 ¥3,000 |
旅費交通費の上限などは社内規定によるため会社ごとに異なり、宿泊したときの食事代を旅費交通費に含めるかについては社内規定によります。
ホテル代・宿泊費を福利厚生費で仕訳する
社員旅行など、福利厚生目的でホテル代・宿泊費を支出した場合には福利厚生費の勘定科目で仕訳します。
社員旅行として100万円を支出した場合の仕訳は、次の通りです。
借方 | 貸方 |
---|---|
福利厚生費 ¥1,000,000 | 普通預金 ¥1,000,000 |
福利厚生費として計上できる要件
社員旅行であればなんでも経費計上できる訳ではなく、一定の要件があるため注意しましょう。
まず、国内旅行の場合は4泊5日以内、海外旅行の場合は海外での滞在日数が4泊4日以内という基準が設けられています。
次に、社員の参加率は50%以上でなければなりません。工場や支店ごとに行う旅行は、それぞれの職場ごとに50%以上の参加が必要です。参加がそれ以下の人数の場合、福利厚生費として認められないため注意しましょう。社員旅行に参加する対象は、パートタイマーやアルバイトなど非正規雇用の従業員も含まれます。
個人事業主の場合でも、従業員を雇用している場合は社員旅行を福利厚生費として計上できますが、個人事業主が1人だけの場合や、家族のみで経営している場合の旅行は福利厚生費に計上できません。
また、役員だけで行う旅行や質的に私的旅行と認められる旅行、金銭との選択ができる旅行も福利厚生費に計上できないため気をつけましょう。それら費用は「役員賞与」や「給与」などにして処理する必要があります。
研修費になる場合もある
このほか、社内研修などの目的で研修旅行をする場合もあります。このようなホテル代・宿泊費は「研修費」の勘定科目を使います。
研修旅行の費用に会社の業務を行うために必要な部分とそうでない部分がある場合、必要でない部分の費用は給与として課税されます。例えば、研修旅行で観光も含まれている場合です。
ホテル代・宿泊費を交際費で仕訳する
取引先などの接待に伴うホテル代・宿泊費は交際費として仕訳します。
得意先の役員をゴルフ旅行に招待し、10万円を支出した場合の仕訳は次の通りです。
借方 | 貸方 |
---|---|
交際費 ¥100,000 | 普通預金 ¥100,000 |
先に接待する社員に費用を渡す場合、旅費交通費と同じく仮払金で処理しましょう。
仕事上の接待であること
ホテル代・宿泊費を交際費として計上するためには、仕事上の接待であるかどうかが重要です。
また、仕事上の接待であれば宿泊費だけでなく、ゴルフのプレー代や食事代、謝礼金、お土産代などもすべて交際費として計上できます。
宿泊先で会議をする場合
得意先と宿泊先で会議を行うこともあります。この場合、会議としての実体があるかどうかで勘定科目を分けなければなりません。
レジュメの準備や講師を手配するなど会議としての実体がある場合は、会議にかけた費用はすべて会議費になります。昼食代や、休憩時のお茶代なども会議費です。しかし、会議という実体がなく懇親旅行といえる場合は、交際費として計上します。
ホテル代・宿泊費を研修費で仕訳する
ホテル代や宿泊費を研修費として仕訳する場合は、以下のようになります。
借方 | 貸方 |
---|---|
研修費 ¥50,000 | 普通預金 ¥50,000 |
研修費は「法人がその使用人の職務に必要な技術や知識を習得させまたは向上させるために支出する費用」となるため、自社で主催する研修やセミナー、講座の他、他社が主催するものに参加した際に要した費用も対象となります。
「業務に必要な知識や技術を身につけさせる」という点が条件となっており、研修の内容は業務に直結する、あるいは間接的に必要となるものでなければなりません。例えば、従業員が個人的なスキルアップや教養の向上を目的として参加するような研修や、趣味に関わる講座などは対象外となります。
また、研修旅行で観光が含まれている場合など、会社の業務を行うために必要な部分とそうでない部分がある場合、必要でない部分の費用は給与として課税されます。例えば、研修が3日、観光が1日という日程の場合、2泊目までのホテル代・宿泊費は研修費として計上し、3泊目は給料として支給する必要があります。
ホテル代・宿泊費は用途に応じて仕訳しよう
ホテル代・宿泊費は目的や用途に応じて勘定科目が変わります。主に旅費交通費、福利厚生費、交際費の3つです。勘定科目ごとに要件があり、計上できないケースもあるため注意しなければなりません。特に福利厚生費に計上する社内旅行は細かい要件があるため、よく確認しておいてください。得意先との接待でも、会議がメインになる場合は会議費になります。ホテル代・宿泊費の適切な勘定科目を把握し、正しく仕訳をしましょう。
【参考】
No.2603 従業員レクリエーション旅行や研修旅行|国税庁
よくある質問
ホテル代・宿泊費は旅費交通費で仕訳できる?
主に、遠方の支店などへの出張による宿泊の場合に旅費交通費で仕訳できます。詳しくはこちらをご覧ください。
ホテル代・宿泊費は福利厚生費で仕訳できる?
社員旅行など、社員の慰安のために宿泊した場合に福利厚生費の勘定科目で仕訳できます。詳しくはこちらをご覧ください。
ホテル代・宿泊費は交際費で仕訳できる?
取引先との接待を伴う宿泊の場合には、交際費で計上できます。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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