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  • 作成日 : 2019年5月9日
  • 更新日 : 2020年9月17日

固定資産税はどう抑える?「オフィス形態別」に負担を比較解説

春はなにかと出費が多い時期です。5月以降はさらに追い打ちをかけるように固定資産税や自動車税などの納税ラッシュが始まります。今回は、経営者なら知っておきたいオフィスの固定資産税に着目。自己所有か賃貸か、居住スペースがある場合など、ケース別に固定資産税の負担を比較解説します。(執筆者:税理士 並木一真)

固定資産税の課税の仕組み

そもそも固定資産税って何?

固定資産税は土地、家屋、償却資産に課税されます。土地とは宅地、田、畑などのことで、家屋とは住家、店舗、工場、倉庫などです。

また、償却資産も対象となります。償却資産とは、原則として事業用資産(無形固定資産以外)のことで、事業用の機械、備品などが挙げられます。ただし、自動車関係については自動車税が課税されるため償却資産から除かれています。

固定資産税は誰に対して課税される?

固定資産税はその年の1月1日現在における固定資産の所有者に対して課税されます。土地または家屋の所有者は、原則として登記簿に所有者として登記されている者となります(区分所有家屋については区分所有者)。

また、共有物(一の資産を複数の者が所有しているもの)については、その共有者が固定資産税を連帯して納付する義務を負います。

固定資産税の税率と納期はどうなっている?

固定資産税の標準税率は1.4%です。ただし、地方団体は財政上その他の必要があるときはこれと異なる税率を定めることができます。

したがって、原則として固定資産の課税標準額に1.4%を乗じた金額が固定資産税額となります(以下、端数処理や免税点については省略)。

さらに、都市計画法による都市計画区域のうち、原則として市街化区域内に所在する土地および家屋(償却資産は課税の対象外)については、都市計画税が0.3%(上限)課税されます。

また、固定資産税の納期は4月、7月、12月、2月中において、当該市町村の条例のもとに定められます。

ただし、特別な事情がある場合には、これと異なる納期を定めることができます。例えば東京23区内の2019年度の納期は6月、9月、12月、2月となっています。

固定資産税の価格はどうやって決まるの?

固定資産の課税は市町村が行います(東京都の23区については東京都)。

土地または家屋については、登記簿(※)から内容を把握し、実地調査を行います。償却資産については、毎年1月31日までに一定の内容を所有者が申告するため、その申告内容に基づいて価格が決定されます。土地または家屋は3年ごとに評価替えが行われており、土地の価格は公示価格の70%程度とされています。

(※)土地、または、家屋の表示に関する登記をすると、10日以内にその旨が当該土地または家屋の所在地の市町村長へ通知されます。

納税通知書と課税明細書が届いたら何をすればいい?

納税通知書または課税明細書は、納期限前10日までに納税者に交付されることとなっています。これらの書類が届いたら、まずは納期と価格を確認しましょう。

固定資産の価格が適正かどうかを調べる方法はある?

納税通知書または課税明細書には、固定資産の価格などの情報が記載されています。その価格などが正しいかどうかを調べるために情報開示制度があります。情報開示制度は、固定資産課税台帳(※1)や名寄帳(※2)の閲覧、固定資産評価証明書の取得、縦覧帳簿(※3)の縦覧などがあります。

(※1)市町村は、固定資産の状況および固定資産の課税標準である固定資産の価格を明らかにするため、固定資産課税台帳を備えなければなりません。なお、固定資産課税台帳とは、土地課税台帳、土地補充課税台帳、家屋課税台帳、家屋補充課税台帳、償却資産課税台帳を指します。
(※2)名寄帳とは、同一の所有者の所有する土地または家屋に関する固定資産課税台帳の登録事項を、所有者ごとにまとめて記載した帳簿です。
(※3)納税者は、自己の土地または家屋の価格が他の土地や家屋の評価額と比較することにより自己の価格が適正かどうかを判断するために、土地価格等縦覧帳簿または家屋価格等縦覧帳簿を一定期間縦覧することができます。

決定された価格に不服があったらどうすればいい?

固定資産課税台帳に登録された価格に不服がある場合は、少なくとも納税通知書の交付を受けた日から60日までの間に固定資産評価審査委員会に審査の申し出ができます。この審査の申し出をしたあとでないと訴訟することができないので、必ず審査の申し出をしましょう。

「オフィス形態別」固定資産税の負担比較

自己所有か賃貸か?

オフィスの所有形態としては、自己で所有するか賃貸するかの形態があります。自己所有物件の場合、その年の1月1日の所有者に固定資産税が課税されます。ただ、1月1日に登記はできず、建築日や購入日の翌年から固定資産税が課税されることとなります。

一方、賃貸物件の場合は、固定資産のオーナーが所有者ですので、原則として借主に固定資産税が課税されることはありません。ただし、次項で説明する特定附帯設備に該当するものについては、固定資産税が課税されるので注意しましょう。

自己所有で物件を購入するにあたって、不動産取得税、登記費用や建設資金などを銀行から借り入れるのであれば、借入金の返済なども考慮しなければなりません。したがって、オフィスを自己所有か賃貸にするかの判断は固定資産税だけの要素だけではなく、総合的に判断する必要があります。

特定附帯設備とは?

特定附帯設備とは家屋の附帯設備のことを言い、家屋の所有者以外の者が事業のために取り付けたものであり、かつ、当該家屋に付合したことにより家屋の所有者がその附帯設備も所有することとなったものを指します。

この特定附帯設備に関しては、取り付けた者の事業用資産の場合、償却資産として取り付けた者に申告納税義務が発生します。

特定附帯設備は、法人税法上も「当該特定附帯設備に要した費用は取り付けた者の費用として計上される」といった理由から、固定資産税においても、当該特定附帯設備に関しては家屋の所有者ではなく、取り付けた者の償却資産として課税されます。

例えば借主が賃貸オフィスに家屋と一体となっているエアコンなどの空調設備を取り付けた場合、当該空調設備については、取り付けた借主に固定資産税が課税されるので注意しましょう。

【借主に固定資産税が課税される特定附帯設備の例】
・発電機設備、蓄電池設備等の電気設備
・給排水設備、ガス設備
・スプリンクラー等の消化設備
・床、壁、天井仕上げ、店舗造作等
(注)特定附帯設備は、各市町村の条例により定められておりますので、詳細につきましては各市町村へお問い合わせ下さい。

自己所有物件でも居住スペース次第で固定資産税が安くなる?

宅地のうち住宅用地については、住宅政策上の見地から固定資産税を軽減する住宅用地の課税標準の特例が設けられています。

最低でも家屋全体の4分の1(25%)以上の居住用スペースがあれば、土地については固定資産税額が6分の1もしくは3分の1に減額されます(建物の構造、地上階数などにより割合が決定)。

また、新築住宅についても、居住用スペースが家屋全体の2分の1以上ある場合、一般住宅は3年、中高層耐火建築物は5年の間、家屋の固定資産税が最大で2分の1になります。長期優良住宅を2020年3月31日までの間に新築した場合は、新築から5年間(マンションは7年間)家屋の税額が最大2分の1に減額されます。

なお、新築住宅の減額の適用を受けるためには、居住用スペースの床面積を50㎡(貸家居住用は40㎡)以上、280㎡以下にしなければなりません(減額できる面積は、一の区画につき120㎡が上限となります)。したがって、固定資産税については一定割合の居住用スペースがあるかどうかで税負担額が変わることとなります。

固定資産税の負担を計算

例えば、土地200㎡(価格10,000万円)、2階建て家屋(長期優良住宅に該当、価格5,000万円)、1階部分(100㎡)を事業用、2階部分(100㎡)を自己の居住用スペースとして新築した場合における固定資産税の負担はどうなるでしょうか。

住宅部分の割合が家屋全体の2分の1以上ありますので、土地については6分の1、家屋については2分の1の減額が適用されます。

【固定資産税】
土地:10,000万円×1/6×1.4%=233,333円
家屋:5,000万円×1.4%-5,000万円×1.4%×100㎡(事業用1階)×1/2=525,000円
(※家屋の減額される金額 5,000万円×1.4%×100㎡(事業用1階)×1/2=175,000円)

合計 758,333円(233,333円+525,000円)
【居住用部分スペースがない場合】
土地:10,000万円×1.4%=1,400,000円
家屋:5,000万円×1.4%=700,000円

合計 2,100,000円

したがって、自宅兼オフィス(併用住宅)で、居住用部分が家屋全体の2分の1以上あると固定資産税が約134万円(2,100,000円-758,333円=1,341,667円)(約△63%)減税できることになります。

家屋については一定期間で減税効果は無くなりますが、土地については一定の居住用スペースの割合があれば永続的に減税効果があります。さらに、固定資産税は毎年発生する税金であり、長い年数で考えた場合にはかなりの税負担になります。オフィスを検討する際には、居住用部分をうまく組み合わせてみてはいかがでしょうか。※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:並木 一真(税理士/1級FP技能士/相続診断士/事業承継・M&Aエキスパート)

並木一真税理士事務所所長
会計事務所勤務を経て2018年8月に税理士登録。現在、地元である群馬県伊勢崎市にて開業し、法人税・相続税・節税対策・事業承継・補助金支援・社会福祉法人会計等を中心に幅広く税理士業務に取り組んでいる。

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