• 更新日 : 2024年8月8日

リース会計基準とは?改正に伴う影響は?

設備を調達したい会社(借手)に代わってリース会社(貸手)が新規購入して貸借する取引のことをリース取引といいます。このリース取引に関する基準などを定めた「リース会計基準」が、2008年4月1日から適用されました。本記事ではリース会計基準や改正に伴う影響について解説します。ぜひ参考にしてください。

リース会計基準とは

リース会計基準とは、ファイナンス・リースやオペレーティング・リースなどのリース取引の種類、会計処理について定めた基準のことです。日本はファイナンス・リースの取引手法が国際的な手法と異なっていたため、国際的な基準に近づけるための見直しとして、2008年4月1日以後の会計年度および事業年度からリース会計基準が適用されました。

その後、2019年にIFRS(国際財務報告基準)でリースに関する大きなルール変更があり、IFRS16号として新リース会計基準が適用されています。

リース会計基準が適用されるのは、金融商品取引法の適用を受ける会社とその子会社と関連会社、会計監査人を設置する会社及びその子会社、そして「中小企業の会計に関する指針」などの対象とならない企業です。

リース会計基準の改正について

2019年1月1日以降に開始する事業年度から、国際財務報告基準の「IFRS16号」が強制的に適用されることになりました。それによって、ファイナンス・リースとオペレーティング・リースに大別されていたリースの取引区分が廃止されたのです。

従来のリース取引ではファイナンス・リースによる売買取引と同等のリースは、資産計上をする処理(オンバランス処理)を、オペレーティング・リースによる賃貸借と同等の取引では、資産として計上しない処理(オフバランス処理)をする判断がされていました。

しかし、新しくリース会計基準が改正され2019年1月1日以降に開始する事業年度からは、原則として全てのリース取引がオンバランス処理(資産計上)されることになります。

ただし、リース期間が12ヶ月以内のいわゆる短期リース取引や、少額のリース取引においては、従来通りオフバランス処理(資産計上をしない処理)が可能です。この少額とは、IASB(国際会計基準審議会)の基準により5,000米ドル(1ドル115円換算の場合は575,000円)以下と設定されています。

リース会計基準の改正による影響とは

リース会計基準の改正による影響は次のような点があります。

まず、新しいリース会計基準では、リースに該当するような取引内容であれば形式上の契約にこだわりません。そのため従来ではリースと判断されていなかった賃貸借契約が、リースとして認識される可能性がある点です。

さらに、区分が廃止されたことで、これまで資産計上をしていなかったリースも資産として計上しなくてはいけません資産として計上することに伴い、リース債務として負債の計上額が増え、貸借対照表上の総資産額が増額します。総資産額が増えることにより自己資本比率が低下することが考えられるでしょう。

その他、損益計算書においても影響を受ける可能性があり、仕訳や決算書類の作成において対応させる部分が多いため注意が必要です。

そもそもリース取引とは

そもそもリース取引とは、事業用設備を調達したい会社(借手)に代わってリース会社(貸手)が新規購入し、合意された期間中に貸借をする取引のことです。リース取引の詳しい内容について知りたい方は、ぜひ以下の記事もご覧ください。

リース取引は一見するとレンタルと似ていますが、契約期間が大きく異なります。レンタルの契約期間は、一般的に1日から1週間、長くても月単位での契約が多いです。それに対してリースでは、最低半年程度から10年程度という長期間の契約に向いています。それでは、リース取引にはどのようなメリット、デメリットがあるのかを解説します。

リース取引の3つのメリット

リース取引の主なメリットとして、初期費用が少なくても設備導入ができる、融資枠を使わない、管理に関わる手間を抑えることが可能という点などが挙げられます。

リース取引による設備の調達は、自社で新規購入するよりも大幅に初期費用を抑えることが可能です。また、中長期間で設備を借りる場合であれば、リース料金の月額料金はレンタルよりも割安に設定されるため、会社の財政面を圧迫しにくいことも強みでしょう。

また、リース取引は銀行から借り入れをする訳ではないため融資枠を使いません。さらにリース取引は、設備の所有権がリース会社(貸手)にあるため各保険料、固定資産税などは貸手が支払う必要があります。定期メンテナンスも貸手に行ってもらえる場合も多く、自社で所有するよりも管理の手間を抑えることが可能です。

リース取引の2つのデメリット

リース取引のデメリットとしては、リース料金の支払い総額が高いこと、リース期間終了後でも設備・物件などの所有権はない点などが挙げられます。

リース料金には、リース会社が新規購入した際の購入費の回収はもちろん、保険料やリース会社の利益となる手数料なども含まれているでしょう。したがってリース取引の支払い総額は、自社で設備を新規購入するよりも最終的には高くなってしまいます。

さらに、リース期間が終了しても借手である会社には所有権がありません。リース期間が終了しても、再び設備・物件などを使用するためにはリース料金が発生してしまうというデメリットがあります。

リース取引のメリット・デメリットについては、以下の記事も参考にしてください。

リース会計基準への理解を深め、柔軟に対応しよう

日本の会計基準は、国際的な基準に近づけるために年々、見直しがされて改正が行われています。その一環で、リース会計基準も改正され2019年1月1日以降に開始する事業年度からは強制適用になりました。

改正によって、特に貸借対照表や損益計算書などの決算書類で影響を受けてしまう部分があります。企業活動において徐々に「所有から共有へ」や「サブスクリプション」などが普及し始めているため、今後もリース取引は欠かせないものになると考えられます。

リース会計基準について理解を深め、改正に対応していきましょう。

よくある質問

リース会計基準とは?

リース取引における会計処理について定めた基準のことです。2008年4月1日以降の事業年度から適用開始され、その後改正されて2019年1月1日以降に開始する事業年度からは新リース会計基準が強制適用です。詳しくはこちらをご覧ください。

リース取引とは?

リース取引とは設備を調達したい会社(借手)が希望するものをリース会社(貸手)が新規購入して、相互で合意した期間中に貸借をする取引のことです。詳しくはこちらをご覧ください。


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