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  • 更新日 : 2020年12月23日

会計ソフトの摘要欄に書くべき内容と活用方法

標準的な会計ソフトには、借方と貸方に仕訳を入力できるよう、勘定科目や補助科目、金額の欄が設けられているほか、取引内容を記入できるよう摘要欄が設けられています。この「摘要欄」にはどのようなことを入力すれば良いのでしょうか。会計ソフトの摘要欄の意味と活用方法を紹介します。

会計ソフトの「摘要」とは

会計ソフトの「摘要」とは、取引の詳細を記入する部分のことです。

以下は、「マネーフォワード クラウド会計」の振替伝票の入力画面です。「マネーフォワード クラウド会計」では、振替伝票の基本的入力項目である日付、借方と貸方の勘定科目、補助科目、税区分、金額の横に、「摘要」が設けられています。

会計ソフトの摘要欄は、仕訳だけではわからない取引の詳細を入力する場所です。会計ソフトによって入力できる文字数は異なりますが、「マネーフォワード クラウド会計」なら取引の詳細を十分入力できるように文字数制限は200文字以内に設定されています。

何のために摘要欄へ記入するのか

会計ソフトにはなぜ摘要欄が設けられていて、取引の内容を入力するのでしょうか。摘要欄が必要とされるヒントは、帳簿の作成と保存の義務にあります。

帳簿作成では、整然かつ明瞭に取引内容を記入することが求められていることが、摘要の存在する理由です。この、「整然かつ明瞭」の要件を満たすには、取引の日付や科目、金額を記入するほか、相手方の名称や取引事由などを明確にすることが求められます。

通常の税務申告の際、摘要欄は確認されるような部分ではありませんが、税務署や国税庁からの調査があった時には、摘要欄の内容が取引の事実を示すひとつの根拠となるため役立ちます。仮に根拠のない、取引内容が不明確な経費などが計上されている場合は、税務署などから否認されることもあります。取引の根拠を示すという意味でも摘要欄の役割は重要です。

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会計ソフトにおける摘要欄の活かし方

摘要欄の入力は、情報検索の観点からも便利です。

例えば、通信費の例で考えてみましょう。勘定科目で分ければ、電話料金も、プロバイダ料も、切手代もすべて通信費です。補助科目を使えばこれらの勘定科目を項目ごとに分けることはできますが、さらに支店別に分けるのは難しいでしょう。

補助科目を増やしすぎると、かえって内訳の金額が分かりにくくなりますし、検索もしにくくなります。摘要欄は、補助科目だけではカバーできない、詳細な情報を入れたい時にも便利です。

マネーフォワード クラウド会計」は摘要欄の検索が可能です。摘要欄を登録している仕訳を対象に、検索により設定したワードで摘要欄にある仕訳を抽出できます。

通信費の例だと、補助科目を電話料金やプロバイダ代にして、摘要欄に支店名を入れれば、電話料金の中からさらに該当する支店の仕訳を抽出することが可能です。反対に、支店名を補助科目に設定し、摘要欄を使って、支店名の中からプロバイダ料などの該当する項目も抽出できます

摘要欄に記入する内容

摘要欄に記入する内容は、仕訳だけはわからない詳細な内容です。少なくとも、帳簿の作成や記入で求められている、取引相手の名前や名称、取引の内容については入れるようにしましょう。交通費なら行き先など、あとで検索することも考えて、入れておいた方が良い情報や便利な情報を追加します。いくら検索に便利だからといって情報があふれているとわかりにくくなるため、必要な情報は入れつつも簡潔に入力するようにしましょう。

摘要欄入力の具体例

摘要欄への入力について、通信費、接待交際費旅費交通費の例を紹介します。

通信費

【摘要欄】

摘要欄には、何の支払か(項目)、支払先(この場合プロバイダ)を入力します。上記の摘要欄に10月利用分と入れているのは、通信費の支払は後払いになることが多いためです。期末の未払費用計上時にわかりやすいように、摘要欄に何月分の支払か入れておくと良いです。

接待交際費

【摘要欄】

接待交際費は、損金算入できる範囲が決まっています。接待交際費と認定されるように、詳細を摘要欄に入れておくことをおすすめします。得意先の役員などとの飲食は、1人あたり5,000円以下のものは損金算入できますので、1人あたりの人数が割り出せるように、摘要欄に参加人数、目的、食事の場所などを入れておくと良いです。接待交際費は条件が細かに決められていますので、摘要に入力する以外にも、根拠になる資料は領収書などと合わせて保管しておきましょう。

旅費交通費

【摘要欄】

旅費交通費を入力する際は、後から妥当な価格か確認できるよう、移動の区間を入力しておくと良いです。目的も入れておくと、何のための移動だったのかもすぐに確認できます。

摘要欄入力時の注意点

摘要欄は空欄にしない

摘要欄は、帳簿の作成や保存の要件を満たすための重要な部分です。摘要欄に入力がないまま仕訳を登録すると、誰との取引か、取引内容は何かすぐに判明しません。領収書と照会するにしても、内容がわからないためすぐに確認するのが難しくなるでしょう。帳簿の作成や保存の要件を満たすためなのはもちろん、後から検索できるようにするためにも、相手先や内容は少なくとも入れておきましょう

内容は後で見てわかるように詳しく

税務調査でも確認の対象になることはありますが、多くは、経理担当者が過去の処理を確認する時などに摘要は確認します。経理担当者が見てわかるようにしておくのがポイントです。摘要を見て取引の内容がイメージできるように、わかりやすく、かつ具体的に入力しておくと良いです。

軽減税率の対応

消費税8%から10%への引き上げにともない、食品の消費など一部の消費は8%で据え置かれることになりました。(軽減税率)

この、軽減税率の導入によって事業者に求められるようになったのが、区分経理です。帳簿に記入する際は、相手方の氏名や名称、年月日、対価の額、取引内容に加え、軽減税率対象品目である旨を追加しなければなりません

従来の摘要欄への記載で変更があったのは、軽減税率対象品目である旨を記載する部分です。記載方法は指定されていませんが、※を付けるなど、一目で軽減税率が適用されていることがわかるようにしなければなりません

摘要欄を上手に活用しよう

この記事でも説明してきたように、会計ソフトの摘要欄は、勘定科目や金額、補助科目だけではわからない取引の詳細を記入するための部分です。取引先や取引内容などを摘要欄に入れます。

摘要欄に記載する内容は法律で決まっているわけではありませんが、帳簿の作成や保存義務の要件を考えると、少なくとも取引の相手、取引内容は入力しておきたいところです。軽減税率が適用されるものについては、一目でわかりやすいように目印を付けておきましょう。

そのほか、入力する内容については、後から内容を見てわかること、検索した時に検索結果が出てきやすいことを考えて活用しましょう。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。

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