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  • 更新日 : 2021年2月9日

【2020最新版】電子帳簿保存法とは?対象書類や適用要件、改正の歴史を解説

業務や経理に必要な帳簿や書類などの保存を、電子データで行うこと認めているのが「電子帳簿保存法」です。
電子帳簿保存法は、利便性の向上や社会情勢の変化に対応するために、何度も法改正が行われてきました。最近では、2020年に法改正がありました。

そこで、ここでは対象書類や適用要件など、最新の法改正に対応した電子帳簿保存法について解説します。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法は、帳簿や領収書・請求書などの処理に係かかる負担を軽減するために、電子データによる保存を認めるものです。電子帳簿保存法は大きく分けて国税関係帳簿書類(税法上、保存が義務付けられている書類)に関するものと、電子取引に関するものの2つに分かれます。

「国税関係帳簿書類に関するもの」とは、具体的には、決算書類(貸借対照表損益計算書)、注文書、契約書、領収書、仕訳帳現金出納帳売掛金元帳などの国税関係書類を、一定の要件を満たす会計ソフトなどにより作成し、電子データにて保存することができるというものです。ただし、税務署長の承認を受ける必要があります。

「一定の要件を満たす会計ソフトなど」とは、記録事項の訂正・削除を行った場合の事実内容を確認できたり、日付・金額の範囲指定により検索できたりするようなシステムを指しています。したがって、電子帳簿保存法を適用したい場合、要件を満たすシステムを導入しなければなりません

また、取引先から受け取った紙の請求書などは、税務署長等の承認を受けた場合、一定の要件のもとでスキャナによる電子データ保存が認められます。ただし、スキャナ保存する場合にはタイムスタンプの付与が必要になります。スキャナ保存は、スマートフォンやデジカメを活用することもできます。
「電子取引に関するもの」とは、注文書や契約書などの取引情報を紙ベースではなく、電子データで行った場合に、その電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならないと定めたものです。

電子取引の情報を電子保存することにも、一定のルールが定められています。

電子帳簿保存法の対象書類

国税関係帳簿書類に関するものに対する電子帳簿保存法の対象は、「帳簿」と「書類」です。さらに電子帳簿保存のみできるものと、スキャナ保存できるものに分かれます。これらをまとめたのが以下の表です。
【電子帳簿保存の対象】

種別内容
帳簿開始から一貫してコンピューターを使用して作成する帳簿

例:仕訳帳 総勘定元帳
補助簿(経費帳、売上帳など)を含めるかどうかは任意選択
決算関係書貸借対照表 損益計算書 棚卸表 など
計算、整理または決算に関して作成されたその他の書類

【スキャナ保存の対象】

書類内容
重要書類資金や物の流れに直結・連動する書類

例:契約書 納品書 請求書 領収書 など
一般書類資金や物の流れに直結・連動しない書類

例:見積書 注文書 検収書 など

電子帳簿保存の適用要件

電子帳簿保存を行うためには、税務署長などの事前承認が必要になります。今回の改正の対象である電子データの保存については、「国税関係帳簿の電磁的記録による保存等の承認申請書」を提出する必要があります。

承認申請書には、帳簿の種類、備え付けを開始する日、保存場所、帳簿の作成・保存に使用するシステムやソフトウェアの概要などを記載します。原則として、承認を受けようとする帳簿の備え付けを開始する日の3カ月前までに、所轄税務署長に提出する必要があります。

また、紙で受け取った請求書などを電子データとして保存したい場合は、「国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の承認申請書」を提出する必要があるのでご注意ください。

なお、過去分重要書類のスキャナ保存については、以下の書類で申請します。

  • 国税関係書類の電磁的記録によるスキャナ保存の適用届出書(過去分重要書類)
  • スキャナ保存の要件は以下の通りです。

    要件重要書類一般書類過去分重要書類
    入力期間の制限
    一定水準以上の解像度(200dpi以上)による読み取り
    カラー画像による読み取り
    (赤・緑・青それぞれ256階調<約1677万色>以上)
    ※1
    タイムスタンプの付与※2※3
    解像度および階調情報の保存
    大きさ情報の保存※4
    バージョン管理
    (訂正または削除の事実および内容の確認)
    入力者等情報の確認
    適正事務処理要件※5※6
    スキャン文書と帳簿との相互関連性の保持
    見読可能装置(14インチ以上のカラーディスプレイ、4ポイント文字の認識等)の備え付け※1
    整然・明瞭出力
    電子計算機処理システムの開発関係書類等の備え付け
    検索機能の保存
    税務署長の承認※7

    ※1:一般書類の場合、カラー画像ではなくグレースケールでの保存可
    ※2:受領者等が読み取る場合、受領後、受領者等が署名の上、特に速やか(おおむね3営業日以内)に付す必要あり
    ※3:受領者等が読み取る場合は読み取る際に付す、または受領等後、受領者等が署名の上、特に速やか(おおむね3営業日以内)に付す必要あり
    ※4:受領者等が読み取る場合、A4以下の書類の大きさに関する情報は保存不要
    ※5:小規模企業者の特例の適用を受ける場合(税務代理人が定期的な検査を行う場合)、相互けんせいの要件は不要
    ※6:過去分重要書類の場合、国税関係書類の入力に関する事務について、当該事務の係る処理の内容を確認するための検査を行う体制および手続きに関する規定を定めるとともに、これに基づき当該事務を処理することをいう。
    ※7:過去分重要書類については所轄税務署長等あてに適用届出書の提出が必要
    【引用】国税庁| 電子帳簿保存法一問一答 問12
    (※掲載当時。最新の情報は国税庁の Web サイトでご確認ください。)

    電子帳簿保存法に対応するメリット

    電子帳簿保存法に対応するメリットは、社内のペーパーレス化や電子化が促進されることです。紙原本の保管がなくなることで管理業務や保管スペースが不要になり、また紙原本のやりとりで発生した郵送作業が削減されます。これらによりバックオフィス業務がより一層効率化されることが期待されています。

    特にペーパーレス化や電子化においては、コロナ禍において多くの企業が対応不足を痛感したのではないでしょうか。それらの対応を進めている企業にとっては、電子帳簿保存法改正は追い風となるでしょう。

    電子帳簿保存法の注意点

    電子帳簿保存およびスキャナ保存の注意点を解説していきます。

    スキャン保存について

    スキャン保存については以下の3つに気を付けましょう。

    1:グレースケール(白黒)スキャンが認められるのは一般書類のみ
    2:書類が大きく、一度にスキャンできない場合は複数回のスキャンが可能
    3:スキャンした書類はすぐに破棄せず一定期間保持しておいたほうがいい

    1について、グレースケール(白黒)でスキャンすることが可能なのは一般書類のみです。特に重要書類(資金や物の流れに直結・連動する書類)はカラーでスキャン、または撮影しなければいけません。

    2について、契約書や請求書などが複数ページに渡る書類をスキャンする場合は、複数回に分けてスキャンすることが認められています。また、一度にスキャンできないからといって、書類の原本の大きさを変更した「コピー」をスキャンすることはできません。
    あくまでも、書類の原本を複数回に分けてスキャンしましょう。

    3について、スキャン後すぐに書類を破棄すると以下のケースで困る場合があります。

    【書面(紙)を保存する必要がある場合】

  • 入力期間を経過してしまった場合
  • 備え付けられているプリンターの最大出力より大きい書類を読み取った場合
  • 定期的な検査で不備があった場合
  • 上記のケースで困らないために、定期的な検査までの期間は原本(紙)の破棄をしないよう気を付けましょう

    承認申請の時期について

    電子帳簿保存およびスキャナ保存の申請は、その申請を行った直前の電子帳簿保存法の要件が適用されます。そのため、電子帳簿保存およびスキャナ保存の申請を2019年(令和元年)9月30日以前に行っている場合は、本記事で解説した要件での運用をすることができず、過去の要件に従った運用を行うことになります。

    電子帳簿保存法の改正は要件が緩和される方向の内容ですので、過去の要件を満たしている場合は改正後も問題ありません

    会計ソフトやクラウドサービスについて

    電子帳簿保存法の適用を受けようとする場合に、市販の会計ソフトやクラウドサービスを使用することができます。
    このような場合は、会計ソフトやクラウドサービスが公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による認証を受けたものであるかを確認しましょう。

    2020年度改正の電子帳簿保存法の変更・緩和点

    今回の改正では、電子的に受け取った請求書などをデータのまま保存する場合(電子取引に関するもの)の保存要件が緩和されます。

  • 改正前
  • これまでの電子帳簿保存法では以下a,bの保存方法が認められていましたが、多くの企業にとってこの要件に対応することは容易ではありませんでした。

    a.発行者のタイムスタンプが付された電磁的記録を受領した場合、受領者側が、データの受領後、遅滞なくタイムスタンプを付与
    b.改ざん防止等のための事務処理規程を作成し運用

    電子取引を行った場合の電子的記録の保存要件

  • 改正後
  • 今回の改正では新たにc,dの保存方法も認められるようになり、電子取引を行った場合の電子的記録の保存要件が緩和されました。政府は、これにより電子帳簿保存法を普及させ、企業の業務効率化・ペーパーレス化を進めたいという思いがあるようです。

    c.受領者側が、データを自由に改変できないシステム・サービス等を利用
    d.発行者側でタイムスタンプを付与

    新しく認められる保存要件

    改正のポイントは「タイムスタンプの付与」

    今回の改正のポイントは、必ずしも受領者側が「受け取った際にタイムスタンプを付与」する必要がなくなった点です。

    タイムスタンプとは、ある時刻にその電子データが確かに存在していたこと、またその時刻以降に不正な改ざんなどがされていないことを証明するためのものです。

    cの方法では、受領者側がクラウドサービスなどを利用することでタイムスタンプを付与する必要がありません。

    また、発行者側からタイムスタンプを付与した電子請求書等が送られてきた際も受領者側はそのまま受け取り電子保存できるようになります。

    電子帳簿保存法のこれまでの主な法改正

    2019年の改正点

    【法令の改正】

  • 新たに業務を開始した個人事業主の承認申請の提出期限の特例

  • 新規設立の法人は設立日より3カ月以内であれば電子帳簿保存およびスキャナ保存の手続きを行うことが可能でしたが、個人事業に対しては同様の特例がなかったため、追加されています。

    新たに業務を開始した個人事業主は、その業務を開始した日から2カ月を経過する日まで、電子帳簿保存およびスキャナ保存の手続きを行うことが可能になりました。

  • 過去の重要書類(過去分重要書類)のスキャナ保存が可能になる

  • 承認を受ける前に作成または受領(じゅりょう)等をした重要書類について、適用届出書を提出した場合には、一定の要件を満たすことでスキャナ保存をすることが可能となります。

    【運用上の見直し】

  • 承認申請手続きの記載事項や添付書類の一部省略が可能になる

  • 市販のソフトウェアを対象に、公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による要件適合性の確認(「認証」)を受けたものを利用する場合については、承認申請書の記載事項や添付書類を一部省略することが可能になります。

  • 事前相談体制の整備

  • 受託開発されるシステムや自社開発のシステム等を対象に、要件適合性に関する事前相談体制が整備されます。

    【入力期間について】

  • 重要書類の入力期間を「受領後1週間以内」から「おおむね7営業日以内」に改定
  • 重要書類の入力方式である業務処理サイクル方式において、入力期間を「最長1カ月プラス1週間以内」から「最長2カ月プラスおおむね7営業日以内」に改定
  • 受領者が読み取る場合のタイムスタンプ期間が「受領後3日以内」から「おおむね3営業日以内」に改定
  • 【その他】

  • スキャナ保存制度の定期的な検査の緩和

  • スキャナ保存制度の定期的な検査は「全ての事業所等を対象として1年に1回以上行う」ことが要件でしたが、「おおむね5年のうちに全ての事業所等の検査を行う」ことも要件として認められました。

  • スキャナ保存制度の検索機能の要件緩和

  • これまでの「書類の種類別」に検索できることに加え、「勘定科目別に検索が可能」な場合も要件として認められました。

    電子帳簿保存法に対応してペーパーレス化をすすめよう!

    新型コロナウイルスの影響拡大により、テレワークが進む中、企業の業務もペーパーレス化が進んでいます。電子帳簿保存法も、事業者が利用しやすいように、常に法改正を行っています。

    この機会に、電子帳簿保存法に対応してペーパーレス化をすすめることを検討しましょう。

    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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