• 更新日 : 2024年5月17日

中小企業倒産防止共済(経営セーフティ共済)とは?掛金や、加入資格、メリット・デメリット

経営セーフティ共済は、取引先の倒産による中小企業の連鎖倒産を防ぐために創設された制度です。

共済への掛金は法人の損金や個人事業主の必要経費として処理されるため、節税対策としても効果的だといわれています。

そこで、今回は経営セーフティ共済についてみていきます。

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは?

経営セーフティ共済制度の概要

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)とは、取引先の企業が倒産した場合に一定の借入れが可能となる共済制度です。中小企業の連鎖倒産や経営難の長期化などを防ぐ制度として設けられており、次のような特徴があります。

  • 無担保、無保証人で掛金の10倍までの借入れが可能
  • 掛金は、損金または必要経費に算入が可能
  • 40ヶ月以上掛金を納めれば、掛金全額が戻ってくる

参考:経営セーフティ共済とは | 中小企業基盤整備機構

経営セーフティ共済の加入の流れ

経営セーフティ共済には、個人事業主または中小企業者等が加入できます。

個人事業主、中小企業者とも継続して1年以上事業を継続している者、小企業等協同組合法等により設立された組合で1年以上事業を継続している者がそれぞれ加入できます。

個人、法人、組合にはそれぞれ加入制限がありますので、見ていきましょう。

加入要件(中小企業者)

下記の範囲内にある中小企業者は、経営セーフティ共済に加入することができます。

業種資本金の額または出資の総額常時使用する従業員数
製造業・建設業・運輸業・その他の業種3億円以下300人以下
卸売業1億円以下100人以下
サービス業5,000万円以下100人以下
小売業5,000万円以下50人以下
ゴム製品製造業3億円以下900人以下
ソフトウェア業・情報処理サービス業3億円以下300人以下
旅館業5,000万円以下200人以下

引用:経営セーフティ共済の加入資格|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

組合についての加入要件等は、下記を参考にしてください。

参考:経営セーフティ共済の加入資格|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

加入が拒絶される要件

医療法人、NPO法人、外国法人は経営セーフティ共済には加入できません。また、取引先に対して売掛債権等が発生しない業種(一般消費者を対象とする事業、金融業者、不動産業者など)は加入対象とならない場合があります。

個人事業主においても、不動産事業においては掛金の必要経費算入が認められません。

さらには、次のような場合には加入することができません。

  • 住所や事業の変更を繰り返し行い、継続的な取引が把握できない場合
  • 事業の経理内容が不明な場合
  • 所得税や法人税の滞納
  • 経営セーフティ共済への重複加入

参考:経営セーフティ共済の加入資格|独立行政法人 中小企業基盤整備機

必要書類

加入手続きに提出が必要となる書類は以下のものがあります。

  • 契約申込書
  • 預金口座振替申出書
  • 重要事項確認書 兼 反社会的勢力の排除に関する同意書
  • 発行日から3ヶ月以内の商業登記簿謄本(法人の場合)
  • 所轄税務署の受付印のある所得税または法人税の確定申告
  • 所得税または法人税の納税証明書(その1)(納付したことを証する領収書でも可)
  • 所得税の確定申告書を作成の際に使用した帳票等(白色申告者のみ)

参考:預金取引のある金融機関で申込|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

加入手続きの流れ

経営セーフティ共済への加入手続きは、以下の窓口へ必要書類を提出することで行えますが、オンラインでの加入も可能です。

  • 会員(組合員)となっている委託団体
  • すでに融資などの取引を行っている金融機関の本支店

掛金の月額としては、5,000円から200,000円の5,000円単位で、加入時に設定できますが、後で金額変更も可能です。

ただし、減額は、以下に該当する場合と限られています。

  • 契約者の事業規模が縮小した場合
  • 事業経営の著しい悪化、病気等による急な出費などにより、掛金の納付が困難となった場合
  • 共済金の貸付残高と掛金総額の10倍相当の額の合計額が、8,000万円に達している場合

参考:掛金月額変更(減額)|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

なお、増額・減額を行うためには所定の手続きが必要となります。

また、将来に支払うべき掛金をあらかじめ一括して支払う前納制度もあります。前納申出書を事前に提出し、前納した場合には、利息相当額として、掛金月額の1,000分の0.9の前納減額金が支払われます。

この前納減額金については、一般に個人事業主では雑収入、法人では営業外収益として計上することとなり、いずれも課税対象となります。

参考:前納減額金 | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

なお、掛金総額が月額の40倍に達した場合は、掛金払込みを止めることが可能で、「掛金納付掛止届出書」を提出する必要があります。

また、この制度から貸し付けを受けている場合にも、払い込みを停止することが可能で、停止期間は6ヶ月です。

参考:掛金納付の掛止め | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構掛金の掛止めをしたい|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

経営セーフティ共済のメリット

経営セーフティ共済の最大のメリットは、取引先の倒産による連鎖倒産を防ぐための資金対策ができる点です。

無利子・無担保で共済金の貸付

経営セーフティ共済では、取引先の倒産で債権が回収できなくなったときに、一定の要件を満たせば無利子で融資が受けられます。

取引先の倒産とは、次のような状態をさします。取引先が夜逃げなどの場合には、次の条件には当てはまらず、融資が受けられないことに注意が必要です。

  • 法的整理(破産、再生、更生、特別清算)
  • 金融機関による取引停止処分
  • 私的整理
  • 大規模災害による手形の不渡り・支払不能 など

借入れができるのは、回収困難となった売掛金等の額と共済金貸付額の基礎となる掛金総額の10倍のいずれか少ない額の範囲内で、共済契約者が請求した額です。

返済期間は、5,000万円未満が5年、5,000万円以上6,500万円未満が6年、6,500万円以上8,000万円以下が7年になっています。なお、全ての借入れに6ヶ月間の措置期間があります。

経営セーフティ共済の融資は無利子であることに加えて、「無担保・無保証人」で受けられることが大きな特色です。

参考:共済金の借入れについて | 独立行政法人 中小企業基盤整備機構

解約時は解約手当金を受け取れる

経営セーフティ共済の解約方法は3通りあり、いずれの場合あっても、掛金を12ヶ月以上納めている場合には解約手当金を受け取れます。

  1. 共済契約者が任意のタイミングで解約できる「任意解約」
  2. 共済契約者の個人事業主の死亡や法人の解散などの場合で共済契約の継承が行われない場合に自動的に解約する「みなし解約」
  3. 掛金の払込が12ヶ月分以上滞った場合や共済契約者の不正行為などで中小機構側から解約する「機構解約」

掛金総額に対する解約手当金の支払割合

掛金納付月数任意解約みなし解約機構解約
1 ヶ月~ 11 ヶ月0%0%0%
12 ヶ月~ 23 ヶ月80%85%75%
24 ヶ月~ 29 ヶ月85%90%80%
30 ヶ月~ 35 ヶ月90%95%85%
36 ヶ月~ 39 ヶ月95%100%90%
40 ヶ月以上100%100%95%

引用:共済契約の解約|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

取引先の倒産以外でも融資が受けられる一時貸付金

取引先事業者が倒産していなくても、臨時に資金が必要になった場合には、掛金納付月数に応じて最大で解約手当金の95%まで貸し付けを受けることができます。
貸付額は、30万円以上(5万円単位)で、金融情勢に応じた金利負担があります。

一時貸付金の貸付限度額

掛金納付月数一時貸付金の貸付限度額
1 ヶ月~ 11 ヶ月0円
12 ヶ月~ 23 ヶ月掛金総額 × 75% × 95%
24 ヶ月~ 29 ヶ月掛金総額 × 80% × 95%
30 ヶ月~ 35 ヶ月掛金総額 × 85% × 95%
36 ヶ月~ 39 ヶ月掛金総額 × 90% × 95%
40 ヶ月以上掛金総額 × 95% × 95%
掛金総額が 800 万円の場合800 万円 × 100% × 95%(760万円)

引用:一時貸付金制度|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

相続事業承継も可能

共済契約中の個人事業主の死亡による相続や会社の合併・分割、事業の全部譲渡等が発生したときに一定の要件を満たしていれば、包括承継人や事業の全部の譲受人が、共済契約の引き継ぎをすることが可能です。この承継には要件があるため、よく確認しましょう。

参考:契約内容変更の概要|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

税制上のメリットも

経営セーフティ共済の掛金は、法人であれば損金に、個人事業主であれば必要経費に算入できます。

月々の掛金は出費であることには変わりはありませんが、受けられるメリットを考慮すると、無駄な出費ではありません。税務上の損金または必要経費に算入することで、節税に役立てることができます。

なお、経営セーフティ共済の解約については、令和6年度税制改正において制限が設けられたため注意が必要です。

改正の理由は、当共済を3年目や4年目にて任意解約し、100%の解約手当金を得たのち、再加入するなど本来の目的外での利用が散見されたためです。

改正により令和6年10月1日以後に解約した共済契約は、解約日から2年間は再加入しても掛金の損金算入または必要経費が認められなくなります。

経営セーフティ共済のデメリット

反対にデメリットとしては以下のような点が考えられます。

借入金額の10%が積立金から控除される

取引先の倒産時には無担保、無保証、無利子で借入れができるものの、相互扶助の考えに基づいて運営された制度であるため、借入金額の10分の1に相当する金額が納付掛金から取り崩されるしくみとなります。

そのため、決して安い金利負担ではないといえます。

参考:経営セーフティ共済FAQ|独立行政法人 中小企業基盤整備機構

加入40ヶ月未満で解約手数料がかかる

40ヶ月未満で解約すると一定の減額がなされますが、40ヶ月を経過すると掛金の100%(機構解約の場合95%)が返還されます。

もっとも、貸付金を受けている場合には、貸付残高分は解約手当金から控除されます。解約手当金は税法上益金あるいは事業所得となります。

経営セーフティ共済で危機を乗り切ろう

経営セーフティ共済は、取引先の倒産という危機時に貸し付けが受けられ、掛金が損金・必要経費となるので節税になる、解約しても掛金が戻ってくるなどのメリットがあります。

一方、貸し付けを受けると掛金の一部がなくなること、掛金納付期間が40ヶ月未満だと元本割れすること、解約後2年を経過するまでの掛金は損金にならないこと、解約手当金を受け取ると益金となるなどのデメリットがあります。その点も理解して加入を検討してください。


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