• 作成日 : 2024年10月4日

期間損益計算とは?計算方法からわかりやすく解説

期間損益計算は、会計上の基本的な概念の一つです。期間損益計算はどのような場面で用いられるのか、期間損益計算の概要と計算方法、費用収益対応の原則との関係について解説します。

期間損益計算とは

期間損益計算とは、企業が存続している期間を人為的に区切って、ある期間(会計期間)の損益を計算することです。

会計上、企業は半永久的に継続することを前提にしています。そのため、企業が存続している全期間を会計処理の対象とすると、会計情報の開示や税金の計算・納税を適切に行えません。そこで、企業は継続することを前提に、期間を人為的に定めて期間損益計算を行います。

期間損益の計算方法

期間損益の計算方法には、財産法と損益法があります。

財産法

財産法は、貸借対照表の純資産の額に注目した計算方法です。期首の貸借対照表の純資産額と期末の貸借対照表の純資産額を比較して、企業の期間における損益を計算します。

期首よりも期末の純資産額が多い場合は期間損益が黒字、期末よりも期首の純資産額が多い場合は期間損益が赤字となります。貸借対照表をもとに損益を計算することから、「資産負債アプローチ」とも呼ばれる方法です。

(例)期首純資産100万円、期末純資産120万円の場合

120万円-100万円=20万円(期間損益)

財産法で注意したいのは、純資産の額には損益(繰越利益剰余金など)の額以外も含まれることです。株主からの出資や株主への配当なども含まれるため、適切に損益を認識できないというデメリットがあります。

損益法

損益法は、損益計算書の収益の額と費用の額に注目した計算方法です。一会計期間の収益の総額と費用の総額を比較して、企業の損益を計算します。費用よりも収益が上回る場合は黒字、収益が費用を下回る場合は赤字となります。損益計算書をもとに損益を計算することから、「収益費用アプローチ」とも呼ばれる方法です。

(例)収益の総額が500万円、費用の総額が450万円の場合

500万円-450万円=50万円(期間損益)

損益法は適切に損益を把握できることから、現代で一般的に用いられている方法です。期間に対応させた集計が必要になるため、財産法に比べて計算が複雑であるというデメリットがあります。さらに、資産と負債の状況を直接把握しないために、利益の財産的な裏付けが必ずしも得られないのがデメリットと言えます。

費用収益対応の原則とは

期間損益計算のうち、損益法では「費用収益対応の原則」が重要な概念となります。費用収益対応の原則とは、期間収益と期間費用を対応させて期間損益を算出する原則のことです。

損益法では費用収益対応の原則に従って会計処理をしなければならないため、決算時には経過勘定について考慮する必要があります。経過勘定とは未収収益、前払収益、未払費用前払費用のことです。例えば、すでに現金で支払った費用について、来期以降の使用に対応する場合は前払費用として計上し、来期以降に費用に振り替えなくてはなりません。

期間損益計算は会計上の基礎的な概念

期間損益計算は、現代では収益と費用に注目した損益法が主流です。しかし、損益法の他に財産法という考え方もあります。損益法と財産法はいずれも期間損益計算の基礎となる計算方法であるため、会計の知識を深めるための基本として概要を把握しておきましょう。

なお、損益の把握は損益法によるのが一般的です。財産的裏付けという観点から財産法による純資産の増減に着目する企業もありますが、やはり損益法を補完する役割といえます。

したがって、期間損益計算を損益法にて計算するというスタイルは当面変わらないでしょう。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事

会計の注目テーマ