- 更新日 : 2024年8月8日
軽トラは減価償却できる?耐用年数や勘定科目も解説
軽トラの取得金額が10万円未満のときは、一括で減価償却できます。しかし取得金額が10万円以上であるときや少額減価償却資産の特例が適用されないとき、一括償却資産に該当しないときは、法定耐用年数をもとに何年かに分けて減価償却し、経費計上します。軽トラの法定耐用年数は何年か、中古のときはどのように計算し帳簿に記載するのかについて見ていきましょう。
目次
軽トラの減価償却に必要な耐用年数とは
国税庁の耐用年数表によれば、軽トラの法定耐用年数は4年です。軽トラを新車で購入し、一括償却資産に該当せず、また少額減価償却資産の特例が適用されず、なおかつ一括経費計上しないときは4年に分けて減価償却します。
中古で軽トラを購入した際の耐用年数
中古で購入したときは、以下の計算式で耐用年数を求めます。
法定耐用年数を過ぎていない場合:法定耐用年数-経過年数×0.8
ただし、小数点以下の数字があるときは切り捨てます。また計算した結果、耐用年数が2年未満になったときは2年として考えます。
例えば、1年経過した軽トラを購入した場合は、法定耐用年数を過ぎていないので、4年-1年×0.8=3.2年となります。小数点以下は切り捨てるので、耐用年数は3年です。
また、5年経過した軽トラを購入した場合は、法定耐用年数を過ぎているので、4年×0.2=0.8年となります。耐用年数は少なくとも2年となるため、この場合は2年です。
軽トラを減価償却する場合の勘定科目と仕訳を解説
軽トラを減価償却するときの勘定科目は、車両運搬具が一般的です。10万円未満のときは消耗品費として処理できます。軽トラの取得価額によって勘定科目や仕訳がどう変わるのか解説します。
10万円未満の場合
軽トラの取得価額が10万円未満のときは、消耗品費として一括で経費計上します。摘要欄に営業用軽自動車などと詳細を記載しておくと、後から帳簿が見返しやすくなります。
消耗品費 | 80,000円 | 現金 | 80,000円 | 営業用軽自動車 |
10万円以上の場合
10万円以上のときは減価償却することが可能です。新車で購入したときであれば4年に分けて減価償却します。毎年同額ずつ減価償却する定額法では、以下のように仕訳ができます。
<購入時>
車両運搬具 | 800,000円 | 現金 | 800,000円 | 営業用軽自動車 |
<決算時>
減価償却費 | 200,000円 | 車両運搬具 | 200,000円 | 営業用軽自動車 (2020年80万円で購入) |
定率法では、4年の償却率は0.5であるため、最初の年の減価償却費は80万円×0.5=40万円と計算できます。
<決算時>
減価償却費 | 400,000円 | 車両運搬具 | 400,000円 | 営業用軽自動車 (2020年80万円で購入) |
20万円未満であれば、一括償却資産として3年間で減価償却もできます。
<購入時>
一括償却資産 | 150,000円 | 現金 | 150,000円 | 営業用軽自動車 |
<決算時>
減価償却費 | 50,000円 | 車両運搬具 | 50,000円 | 営業用軽自動車 (2022年15万円で購入) |
30万円未満で少額減価償却資産の特例に該当する場合は、一括で経費計上できます。
<購入時>
車両運搬具 | 250,000円 | 現金 | 250,000円 | 営業用軽自動車 |
中古で購入した場合
中古で購入した場合は、経過年数と法定耐用年数をもとに耐用年数を計算します。購入して4年経過した軽トラの耐用年数は2年のため、30万円で購入したときは次のように仕訳ができます。
<購入時>
車両運搬具 | 300,000円 | 現金 | 300,000円 | 営業用軽自動車 |
<決算時>
減価償却費 | 150,000円 | 車両運搬具 | 150,000円 | 営業用軽自動車 (2022年30万円で購入) |
法定耐用年数とメーカーが設定している耐用法年数は違う
定耐用年数とは、減価償却費を求めるための年数です。一方、メーカーが定める耐用年数とは、標準的な使用とメンテナンスを行い、消耗品を交換する、修理するなどをしても安全性が維持できなくなると予想される年数のことです。なお、メーカーが定める耐用年数の設定方法には特に決まりはなく、メーカーが独自の基準で設定します。
軽トラを適切に経理処理しよう
軽トラの経理処理は、取得価額や耐用年数によっても異なります。また、30万円以上のときは法定耐用年数で減価償却を行いますが、中古で購入した場合は耐用年数が変わる点に注意しましょう。
よくある質問
軽トラを減価償却する場合の法定耐用年数は何年ですか?
4年です。中古の場合は「法定耐用年数-経過年数×0.8」で計算します。例えば1年経過した軽トラの耐用年数は3年です。また、4年を過ぎた軽トラについては2年を耐用年数とします。詳しくはこちらをご覧ください。
軽トラを減価償却する場合の勘定科目は何ですか?
車両運搬具の勘定科目を使用します。しかし軽トラの取得価額が10万円未満のときは「消耗品費」、20万円未満のときは一括償却資産の「勘定科目」を用います。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
減価償却資産の耐用年数等に関する省令で耐用年数の疑問を解決!
「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」は固定資産についての耐用年数を定めた省令です。耐用年数とは資産の寿命、すなわちその資産がどれくらいの期間にわたって利用できるかを表すものです。 固定資産は「減価償却」という手法によって、この耐用年数に…
詳しくみるアパートやマンションの減価償却費計算を詳しく解説
賃貸アパートやマンションを購入した際は、法定耐用年数に応じて減価償却が必要です。本記事では、新築・中古に分けて減価償却費の計算方法と仕訳について解説します。なお、リフォームを行った場合の減価償却についても紹介しているので、併せてご確認くださ…
詳しくみるリース資産の減価償却を解説 | 減価償却費の計算から仕訳まで
機械や運搬具など、固定資産の種類によっては購入価格が高額になるものがあります。特に、規模の小さな会社で高額の固定資産を自己資金で取得すると、キャッシュ・フローが悪化することにもなるでしょう。購入時に一時的に費用を負担するのではなく、毎月の費…
詳しくみる車両運搬具の適用範囲は?仕訳方法から減価償却方法まで解説
「車両運搬具」は、例えば日常的に使っている営業車、業務で利用している車両全般を表すための勘定科目です。 車両運搬具は、業務で利用している車両がすべて含まれるものではなく、一定の基準が存在しています。今回は、車両運搬具の分類や線引きについてと…
詳しくみる美術品を減価償却するかどうかは100万円が分岐点
事務所の応接室に絵が飾られていたり、社屋のロビーに壷が飾られていたり、ビジネスの現場でも美術品を目にすることがあります。 美術品は事業に直接のかかわりはなく、使用するにつれて価値が減るものばかりとは限りません。しかし、税法では美術品に対して…
詳しくみる減価償却費の計算方法は?定額法・定率法の違いや注意点もわかりやすく解説
減価償却の計算は、取得した固定資産の種類によって異なります。本記事では、減価償却の計算方法を、具体例を用いて解説します。 また、減価償却の計算をするにあたって押さえておきたい注意点や、仕訳の方法もまとめて取り上げるため、ぜひ最後までご覧くだ…
詳しくみる