• 更新日 : 2021年3月18日

電子帳簿保存法2020改正版|PDFデータ取扱のポイント タイムスタンプは必須?

書類のPDF化は経理でよくある日常的な業務です。
ただ1つ気になるのは、そのデータが税金的に保存要件を満たしているかどうかです。

結局のところ、電子帳簿保存法の要件を満たさないと請求書や領収書をPDFにしても税金的に意味がありません
この記事では、そもそもの電子帳簿保存法の観点からPDF保存が認められるかどうかを説明していきます。

結論は、PDFデータで保存することはかなりハードルが高いです。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは納税者の帳簿書類の保存負担を軽くするために、紙ではなく電子データとして保存できることを定めた法律です。

電子帳簿保存法が対象とする書類は、税金(主に所得税や法人税、消費税など)に関係する帳簿と書類です。納税者が電子保存を行うには、帳簿と書類それぞれに対して税務署長の承認を受けなければいけません。後で説明する電子取引は税務署長の承認は不要で、電子保存が可能です。

また、電子帳簿保存法よりも対象書類が広いe-文書法という法律があります。
e-文書法は、税金の帳簿書類だけでなく一般的な書類も電子保存することを認める法律です。

ここまでを要約すると、帳簿や書類はe-文書法の対象のため要件を満たせば電子保存が可能です。ただし、税金に関係する帳簿と書類は電子帳簿保存法が優先され、電子帳簿保存法の要件を満たした上で保存する必要があります。

電子帳簿保存法2020年の改正のポイント

電子帳簿保存法は、1998年に施行された法律で今までに何度も改正されてきました
改正は基本的に要件を緩和するために行われているため、電子保存を行いたい事業者がより行いやすくなっています。

2020年の改正も今までの緩和する流れと変わらず、主に以下の緩和が行われました。

  • 過去分重要書類(※)ついて申請書を提出すれば保存可能になる
  • 公益社団法人日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)による認証を受けたソフトウェアは、申請手続きの一部が省略可能になる

※過去分重要書類とは、電子保存適用前の書類でお金や物の流れに連動する書類のことです。例として請求書や領収書があります。

電子帳簿保存法の対象書類

電子帳簿保存法では帳簿、書類及び電子取引を以下のように分類しています。
【帳簿書類】

帳簿       最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する帳簿
例:仕訳帳総勘定元帳、得意先元帳など
決算書類         最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する決算書類
例:貸借対照表損益計算書など、決算に関して作成されたその他の書類を含む

引用:国税庁より一部抜粋

【書類】

重要書類  資金や物の流れに直結・連動する書類
例:契約書、請求書、領収書など

一般書類  資金や物の流れに直結・連動しない書類
例:見積書、注文書、検収書など

引用:国税庁より一部抜粋

【電子取引】

電子取引(※)の
取引情報
取引に関して受領又は交付する書類(電磁的記録)
例:注文書、契約書、領収書など

※電子取引の具体例は、EDI取引やインターネット等による取引、電子メールの取引などがあります。

上記の帳簿と書類は税務署の手続きを行うことで電子保存が可能です。ただし、PDFとして保存するには帳簿と書類で要件が違います。
冒頭でも述べましたが電子取引は税務署の手続きが不要で電子保存が可能です。

電子帳簿保存法におけるPDF保存の可否

各書類のPDF保存の可否は以下の通りです。

項目PDF保存の可否   
帳簿×
決算書類
重要書類厳しい
一般書類厳しい
電子取引の取引情報厳しい

※上記の表は、執筆時点の要件(2020年10月以降に適用される要件)で判定しています。

各項目をそれぞれ説明していきます。

まず、帳簿についてはPDF保存を行うと検索機能の確保が厳しいため不可としています。

次に、決算書類は最初の記録段階から一貫して電子計算機を使用して作成する書類に限ります。この要件を満たせば決算書類のPDF保存は可能です。
なお、途中で紙に出力して手作業などを行う場合は、原則的に紙の保存になります。

次に、重要書類と一般書類は紙面で授受した後にスキャナ保存することを想定しています。
なお、紙面でなく電子データで授受する場合は電子取引に該当します。
紙面で授受した重要書類や一般書類をPDF保存するとスキャナ保存要件で要求される検索機能を確保することが非常に厳しいです。検索機能の要件は後述します。

最後に、電子取引の取引情報は電子保存について税務署の承認が不要であり、そもそも電子保存が可能です。
具体的にいうと、電子メールで注文書から領収書までのやり取りをした場合は、電子メール自体を保存しておくことが可能です。
ただし、電子取引の取引情報を別途PDFとして出力して保存する場合は、検索条件の確保が難しいため、現実的には厳しい状況です。

請求書などのPDF保存で注意すべき要件

以下では、重要書類、一般書類、電子取引の取引情報をPDF保存することに特化して注意すべき要件を説明していきます。決算書類については、作成の最初から一貫して電子データで作成すればほとんどの要件が満たされるため省略します。

なお、他の細かな要件(スキャナ保存要件)は以下の記事が参考になります。

タイムスタンプ要件

タイムスタンプとは、そのデータがその時に作成されたものであることを証明するために使用される技術で、タイムスタンプが付与されたデータは改ざんすることができなくなります。ただし、訂正や削除の履歴を残してデータを加工することは認められます。

次に、各書類で求められるタイムスタンプ要件を説明します。

まず、重要書類と一般書類をスキャンしてPDF保存する場合は、タイムスタンプを付与しなければいけません。
タイムスタンプは一般財団法人日本データ通信協会が認定した事業者(以下、タイムスタンプ発行事業者という)が発行するタイムスタンプを付与しなければいけません。
さらに、タイムスタンプはタイムスタンプ発行事業者によって従量課金や定額制などの料金が発生します。

次に、電子取引の取引情報はタイムスタンプについて以下の選択肢があります。

次のいずれかの措置を行う(規8①)
一 タイムスタンプが付された後の授受
二 授受後遅滞なくタイムスタンプを付す
三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
四 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け
引用:国税庁 電子帳簿保存法一問一答より

電子取引の取引情報は、タイムスタンプの付与は必須ではありません。
システムや事務処理規定などを作成することでタイムスタンプ要件を満たしていることになります。

PDF保存とタイムスタンプについてまとめると、現実的には以下の手順が必要です。
【重要書類と一般書類】

  • 重要書類、一般書類をPDF化する
  • タイムスタンプ発行事業者のサーバーにPDFをアップロードする
  • タイムスタンプが付与されたPDFを受け取る

【電子取引の取引情報】

  • 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備え付ける
  • 電子取引の取引情報をPDFにする

電子取引に関しては、あえてPDF化する必要がないかもしれません。
理由は電子メールやWEBサイト上の取引履歴などがあればその情報自体が保存要件を満たしているためです。ただし、閲覧できなくなることを想定して適切なデータ形式で電子保存を行うことも選択肢になります。

検索機能の要件

重要書類、一般書類、電子取引の取引情報をPDF保存するときに検索機能の確保を行わなければいけません。

検索機能の確保要件は以下の通りです。

国税関係書類に係る電磁的記録の記録事項の検索をすることができる機能(次に掲げる要件を満たすものに限る。)を確保しておくこと。

検索条件の確保
 取引年月日その他の種類に応じた主要な記録項目を検索の条件として設定することができること。

範囲指定
 日付又は金額に係る記録項目については、その範囲を指定して条件を設定することができること。
引用:電子帳簿保存法施行規則3条1項5号、及び同条2項より一部加工

まず、1つ目の検索条件の確保については対応することが可能です。
当然のことながら、PDFデータを保存する際に日付をデータの名前にすることで、日付で検索することができます。

次に、2つ目の範囲指定については、PDFデータでは対応することができません
範囲指定は、任意の日から任意の日までを検索して表示することが条件になっています。
具体例として、1月3日から4月15日までを指定してこの期間のPDFデータがすべて表示されなければいけません。

現実的に、PDFデータを保存する場合はPDFデータに日付情報をプロパティ情報として保持させるソフトウェアやWEBアプリケーションを利用しなければいけません。
したがって、重要書類や一般書類、電子取引の取引情報をPDF保存することは、タイムスタンプ要件はクリアできるものの、検索機能の確保が難しいため、まだまだハードルが高く厳しいものとなっています。

電子帳簿保存法の導入にはクラウド請求書ソフトがおすすめ

これまで説明したように電子帳簿保存法へPDFデータで対応することは現実的に厳しい状況です。しかし、ソフトウェアやWEBアプリケーションなど合わせて複合的に対応することで電子帳簿保存法の要件を満たすことができます。

マネーフォワード クラウド請求書クラウドBoxは、電子帳簿保存法の要件を満たすクラウド型のサービスです。
もちろん、クラウド請求書は紙の請求書にも対応しており、請求書の郵送を外注することが可能です。

マネーフォワードのクラウド請求書では、請求書作成後にクラウドBoxへ保存されます。
さらに、クラウドBoxで保存する限り電子帳簿保存法の要件を満たすため、別途PDF化することや紙へ印刷が不要になります。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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