• 作成日 : 2024年11月5日

経費精算はどう効率化する?課題の解決方法や注意点を解説

経費精算は、企業における経理業務のなかでも日常的に処理が必要となる業務です。だからこそ、効率化ができればその恩恵が大きい業務だといえるでしょう。

今回は、経費精算の基礎知識や業務の流れ、効率化により解決できる課題、その方法、注意点を解説します。

経費精算とは

経費精算とは、事業活動のために必要となったお金のうち、経費と認められる費用を会社から払い戻すことです。

たとえば、旅費交通費や接待飲食費、消耗品費などが経費として精算される費用です。

経費精算には、従業員が一時的に立て替える「実費精算」と、概算で代金を仮払いしておく「仮払精算」という2つの方法があります。これら2つの経費精算の流れの詳細は、後述します。

小口精算

小口精算とは、主に交通費・会議費・消耗品費など、頻繁に支出する少額の経費のことです。小口現金を用いて精算します。

小口現金とは、経費精算用として手元で管理しておく少額の現金のことです。現金出納帳で現金の出入りを管理します。

会社に小口現金を用意せず、給与と合算して支払う企業が増加傾向にあるようです。小口現金の管理は業務の負担が大きいため、給与と合算して支払ったり、電子マネー送金にしたりすることで、経費精算の効率化につながります。

交通費精算

交通費精算とは、通勤・顧客訪問など、業務で発生した交通費を精算することです。精算するのは、近隣への移動など、比較的少額の交通費です。従業員には、発生した交通費の金額だけではなくてルートや交通手段も申請してもらいます。

交通費の内訳は、電車代やバス代、タクシー代などです。従業員の移動が多いと、経費精算業務の負荷が大きくなります。

旅費精算

旅費精算とは、遠方への出張にかかった費用を精算することです。比較的高額な費用を精算処理します。そのため、現金手渡しではなく振込で精算することが多いです。

たとえば、宿泊費や出張日当、飲食費、出張にともなう交通費などが旅費精算として処理する費用です。

経費精算の流れ

ここからは、基本的な経費精算の流れを、実費精算と仮払精算の場合に分けて確認しましょう。

実費精算と仮払精算には、以下のような違いがあります。

<実費精算>

まずは従業員が立て替え、その後かかった費用を会社から払い戻す

<仮払精算>

概算で代金を仮払いして後から調整・精算する

実費精算の場合

従業員が立て替えてから実際にかかった費用を会社から払い戻す実費精算の場合は、以下のような流れで経費を精算します。

  1. 従業員が経費を立て替えて、領収書をもらう
  2. 社内ルールに従って経費精算書を作成し、領収書とともに申請する
  3. 決裁権限者が承認する
  4. 経理部門が確認し、会計処理をおこなう
  5. 立て替えた代金を従業員に支給
  6. 小口の現金を渡した場合は出納帳に記入する

この場合のメリットは、経費精算書の申請や会計処理が一度で済むことです。ただし、一時的に従業員に経費の全額を立て替えてもらう必要があります。

仮払精算の場合

代金を仮払いして後から調整・精算する仮払精算の場合は、以下のような流れで経費を精算します。

  1. 経費の概算費用をもとに仮払申請書を作成・申請する
  2. 承認者や経理部門が承認する
  3. 事前に従業員に仮払いする
  4. 仮払いされたお金で支払いをおこない、領収書をうけとる
  5. 実際にかかった費用の仮払精算書を作成し、領収書とともに申請する
  6. 承認者や経理部門が確認し、会計処理をおこなう
  7. 実際にかかった費用との差額を支給・返金する

この場合のメリットは、従業員の金銭的負担を抑えられることです。ただし、仮払いのときと後から調整するときに、それぞれ仮払申請書と仮払精算書を作成・申請してもらって会計処理をする必要があります。

経費精算の効率化により解決できる課題

経費精算が抱える課題には、以下のようなものがあります。

  • 入力ミスや計算間違いなど、ヒューマンエラーが発生しやすい
  • 従業員が立て替えた経費を払い戻すまでに時間がかかる
  • 申請書類の差し戻しでタイムロスが発生する

これらの課題は、経費精算の効率化によって解決可能です。それでは、それぞれの課題がどのようなものかなど、詳しく確認していきましょう。

入力ミスや計算間違いなどヒューマンエラーが発生しやすい

経費精算業務は、入力ミスや計算間違いなどのヒューマンエラーが発生しやすいことは課題です。たとえば、経費精算書の作成時に記入漏れや誤字脱字、計算間違いをしてしまう恐れがあります。手渡しで回覧中に、書類を紛失してしまう可能性もあるでしょう。

Excelで経費精算書を運用している場合には、フォーマットの一元管理が難しいです。最新のフォーマットがどれなのかがわからなくなってしまう、担当者によって異なる経費精算書フォーマットを使用してしまうなどの課題が発生しやすいでしょう。また、入力中に誤ってExcel内の関数を変更してしまう恐れもあります。さらに、第三者が容易に入力内容を改ざんできてしまうリスクもあるでしょう。

経費精算システムを導入して効率化を図った場合には、データ取り込みなどの機能によって手入力する部分が減ります。自動化が進むことでヒューマンエラーが少なくなり、会計処理の正確性を向上できるでしょう。

従業員が立て替えた経費を払い戻すまでに時間がかかる

従業員が一時的に立て替えた経費を払い戻すまでに時間がかかってしまうことも、経費精算業務の課題です。

Excelなどを利用している場合には、外出先で申請できず、オフィスに戻ってから経費精算書を作成する必要があります。さらに、承認者が不在の場合には作成した書類の承認作業が停滞してしまいます。

経費を払い戻すまでに時間がかかることで、以下のようなリスクもあるでしょう。

  • 締め日直前に経費精算の処理作業が集中してしまう
  • 月次の会計処理に遅れが生じる

この課題解決にも、経費精算の効率化が有効です。経費精算システムを導入すれば、外出先でも申請・承認作業ができるようになるなど、効率化を図れます。払い戻すまでにかかる時間を削減でき、締め日直前に処理作業が集中してしまうリスクも抑えられるでしょう。

申請書類の差し戻しでタイムロスが発生する

経費精算書の記入漏れや誤字脱字などのヒューマンエラーが発生しやすい状態では、申請書類の差し戻しが多くなってしまいます。この差し戻し作業によってなかなか精算処理が進まなくなってしまってタイムロスが発生することも、経費精算の課題のひとつです。

また、経理担当者と申請者どちらにとってもストレスになってしまうという課題もあります。

経費精算システムなどで効率化を図れば、ヒューマンエラーが絡む可能性が抑えられるため、申請書類の差し戻しを減らせます。従業員に余計なストレスがかからないようにもできるでしょう。

経費精算は、職種を問わず全社員が日常的に実施する業務です。たとえば、経費精算の効率化によって1月で従業員1人あたり10分短縮できた場合、20人の会社であれば月200分、年間2,400分=40時間の短縮につながります。

経費精算は、対象件数と関わる人数が多いです。その業務の効率化は、1回あたりで短縮できる時間が少なくても、手間や時間の大幅な削減につなげられる可能性があるでしょう。

経費精算を効率化する方法

経費精算を効率化する具体的な方法は、以下のとおりです。

  • 経費精算システムを導入する
  • ペーパーレス化を推進する
  • 法人カードを活用する
  • 経費精算フローの社内周知を徹底する

それぞれどのような方法か、確認していきましょう。

経費精算システムを導入する

経費精算システムの導入は、効率化に有効な手段です。経費精算システム上で申請ルールを設定できるため、入力ミスや規定違反の削減につながります。申請の際に違反を確認した場合に修正を促すアラートを表示でき、差し戻しの手間を減らせます。また、誰が処理する場合でもマニュアルに沿って進められるため、業務の属人化防止にもつながるでしょう。

経費精算システムに以下のような入力補助機能が搭載されていれば、活用することでさらなる効率化が可能です。

  • スマホのアプリなどで領収書やレシートを撮影し、認識した文字を自動入力する
  • 交通系ICカードを読み込む

スマホなどのオンライン上で経費を申請・承認できるシステムであれば、わざわざ会社に戻って処理をしなくてもよくなり、効率的に業務を進められるでしょう。

ペーパーレス化を推進する

ペーパーレス化を推進することも、経費精算の効率化に有効です。ただし、紙とデジタルの領収書が混ざってしまう場合、業務を効率化しにくい可能性があります。

経費精算システムを活用したペーパーレス化を検討する際は、以下の2点を確認しておきましょう。

  • 経費精算から承認までの一連の流れをすべてペーパーレスにできるか
  • 紙領収書の経費登録・データ化がスムーズかつ正確にできるか

法人カードを活用する

経費精算の効率化には、法人カードを活用することもおすすめです。法人カードとは、企業・法人と個人事業主向けのクレジットカードのことです。現金の出納を不要にできるため、以下のメリットがあります。

  • 利用明細書によって費用の可視化ができる
  • 小口現金精算が不要になる
  • ヒューマンエラーや不正行為の防止につながる
  • 従業員の金銭的負担を軽減できる
  • 経費精算システムによっては法人カードの自動取り込み機能もある

これらのメリットにより、経費精算業務の効率化を図れるでしょう。

経費精算フローの社内周知を徹底する

経費精算フローの社内周知を徹底することも大切です。経費精算業務の担当者が複数いる場合、精算方法に差異が生じるとスムーズに処理しにくくなる恐れがあります。

まずは経費精算業務のフローやルールを見直し、明確でわかりやすいルールを設定しましょう。その内容をマニュアル化して全社員へ周知徹底することで、経費精算の処理がスムーズになります。

経費精算を効率化する際の注意点

経費精算の効率化を進めていくために注意すべき点は、以下のとおりです。

  • 経費精算システムを選ぶ際のポイントを理解する
  • 経費精算システムを使う際のポイントも押さえておく

それぞれの注意点を確認しておきましょう。

経費精算システムを選ぶ際のポイントを理解する

先述のとおり、経費精算システムの導入は業務の効率化につながります。せっかく導入を検討するならば、経費精算システムを選択する際の以下のポイントを理解して、より自社にあった効果的なシステムを選びましょう。

  • 自社の事業規模とコストは見合っているか
  • クラウド型かインストール型か
  • スマホやタブレット、パソコンといった端末の種類を問わずに利用できるか
  • 操作方法が簡単か
  • 使用しているツールと連携できるか
  • サポートは充実しているか
  • 自社に必要な機能を備えているか
  • 最新の法令に対応しているか

たとえば、場所や時間を問わずにスマホなどから簡単に利用できれば、出先で経費を使ってすぐに申請できます。後から思い出して申請する場合よりも記憶がはっきりしているため、申請の正確性アップにもつながるでしょう。

経費精算システムを使う際のポイントも押さえておく

経費精算業務を最大限効率化するためには、システムを使う際のポイントを押さえておくことも大切です。経費精算システムを使う際のポイントには、以下のようなものがあります。

  • 社内規程に関するチェックを自動化するための設定をおこなう
  • 自社にあわせて承認フローを設定する
  • システム連携のための項目を選ぶ
  • 入力補助機能を活用する
  • 領収書の読み取りの入力精度を確保する
  • 法人カードの自動取り込み機能を使う
  • 会計システムとの自動連携機能を活用する

たとえば、社内規程に関するチェックをおこなうように設定しておくと、そのルールに従って自動で計算などが可能です。修正を促すアラートを表示するようにすれば、申請前に入力ミスや規定違反であることを通知でき、差し戻し作業を減らせます。

マネーフォワード クラウド経費なら申請から経費精算処理まで効率化できる

経費精算システムでの効率化を検討されている方には、マネーフォワード クラウド経費をおすすめします。マネーフォワード クラウド経費は、申請から経理処理まで効率化できる経費精算システムです。

申請・承認の作業がスマホで完結し、マネーフォワード ビジネスカードと併用すれば立替精算も不要です。

交通系ICカード、クレジットカードなどと連携すると、該当するサービスの明細データや領収書画像を自動取得できます。また、撮影した領収書やレシートをOCR入力・オペレーター入力する機能もあるため、より手入力の手間やミスを削減可能です。

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経費精算業務を見直して効率化しよう

経費精算は日常的に処理が必要となり、申請や承認などの処理に関わる人数が多い業務です。そのため、効率化を図った場合の効果が大きい業務だといえます。

経費精算業務には、「入力ミスや計算間違いなどのヒューマンエラーが発生しやすい」「申請書類の差し戻しでタイムロスが発生し、ストレスもかかる」などの課題があります。経費精算を効率化すると、これらの課題の解決にもつながるでしょう。

経費精算システムなどをうまく活用し、業務を効率化しましょう。


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