- 更新日 : 2022年8月30日
軽減税率目前!飲食料品の消費税8%と10%を見極めるポイント

いよいよ10月から、消費増税にともない軽減税率が導入されます。連日、あらゆるテレビ番組で軽減税率についての解説が行われていますが、何度聞いても覚えられません。(執筆者:元国税局職員・お笑い芸人 さんきゅう倉田)
目次
軽減税率は「飲食料品」の判断が難解
基本的には、アルコールを除く「飲食料品」と「新聞」の譲渡が軽減税率の対象とされています。
しかし、この飲食料品にはどんなケースが当てはまるのかを理解するのが非常に難しいのです。外食は軽減税率の対象とならないので、自分の行為が飲食料品の購入なのか、外食なのかを正しく判断しないと、予期せぬ2%が発生するかもしれません。
「いやいや、そんなの簡単だよ」
その気持ち、わかります。最初はみんなそう思っていました。しかし、いざ制度について考えてみると、曖昧で複雑な事例がたくさんあるのです。
消費税8%と10%を見極めるポイント
テレビ番組の軽減税率ネタが尽きないことからもわかるとおり、消費税8%と10%の見極めは難しいです。しかし、次の3つのポイントを押さえるだけで、各段に理解は深まり、悩む機会は減少するでしょう。
(1)飲食料品の譲渡のポイントは「人の飲食用かどうか」
そもそも飲食料品の「譲渡」とは、いわゆる売買のことです。消費者の目線に立てば、食べ物や飲み物を買うこと。よって、外食や出張調理などは「サービスの提供」であって、「譲渡」に含まれないため消費税8%になりません。
そして重要なのが、軽減税率制度における飲食料品とは、人の飲食用のものを指すことです。人が食べられるものであっても、動物が食べるためのものは軽減税率の対象となりません。例えば、とうもろこしを動物の餌として購入すると10%です。
ややこしい事例は多くあります。アルコールは10%ですが、アルコールを作るための原料となるお米の購入は軽減税率の対象です。水道水、生きた家畜、熱帯魚、観賞用植物は10%ですが、ミネラルウォーター、食用に加工した肉、活きあじ(魚の種類はあじに限らない)、食用アロエは8%です。
判断に迷ったら、食べられるかどうかではなく、人の飲食料品かどうかを検討してみてください。
(2)外食のポイントは「飲食設備で食事したかどうか」
「外食」に該当すると、飲食料品の購入ではないので、消費税は10%となります。
軽減税率制度における「外食」とは、「テーブルや椅子、カウンターなどのある場所で、食事をさせるサービスの提供」をいいます(飲み物も含まれます)。
このテーブルや椅子、カウンターなどは、その規模や設置の目的を問わず、飲食に用いられるのであれば「飲食設備」とされ、飲食設備で食事するか否かで外食に当たるかどうか判断されます。
例を挙げると、
・屋台で買って備えつけのベンチで食べる
・コンビニのイートインコーナーを利用する
・公園内で営業するお店でそのお店で買った人しか使えないような椅子がある
などの場合は、外食に含まれます。
なお、出前や宅配といった「飲食料品を届けるだけ」の行為は、食事をさせるサービスの提供には当たりません。
(3)一体資産のポイントは「1万円以下」と「2/3以上」
一体資産とは、食品と食品以外のものがセットになって、それぞれの価格を分けることなく価格が提示されているものです。
この一体資産のうち、次の条件に当てはまるものは軽減税率の対象になります。
・一体資産の価格が税抜1万円以下
・そのうち食品の価値が3分の2以上
例えば、価値の高い重箱がついてくる5万円のおせち料理の購入は10%になりますが、ビックリマンチョコはウエハースの価値が3分の2以上なので8%となります。
一体資産と言っても、必ずしも軽減税率の対象とはならないので注意しましょう。
まとめ
10月1日から始まる消費増税と軽減税率。店内飲食かお持ち帰りを選択する以外では、あなたの行動で税率が変わることはありません。ただ、10%のものを避け、8%にのみ寄り添うことはできます。そのためには、正しい知識を身につけることが大切です。
あなたを10%から守るのはあなたの知識のみ。知識を活かして、8%と10%を見分けてください。

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株式会社久松農園 久松 達央 様
よくある質問
軽減税率の対象となるものは?
代表的なものは、飲食料品(酒類、外食、ケータリング等を除く)や定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞などです。詳しくはこちらをご覧ください。
スーパーの飲食料品の譲渡における軽減税率のポイントは?
「人の飲食用かどうか」が重要な点です。人が食べられるものであっても、動物が食べるためのものは軽減税率の対象となりません。詳しくはこちらをご覧ください。
軽減税率の対象になる一体資産はどんなもの?
一体資産の価格が税抜1万円以下、そのうち食品の価値が3分の2以上のものは軽減税率の対象になります。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。