1. クラウド会計ソフト「マネーフォワード クラウド会計」
  2. 会計の基礎知識
  3. 損益分岐点分析・CVP分析とは?計算方法や経営への活用法をわかりやすく解説
  • 更新日 : 2021年5月31日

損益分岐点分析・CVP分析とは?計算方法や経営への活用法をわかりやすく解説

損益分岐点分析・CVP分析とは?計算方法や経営への活用法をわかりやすく解説

損益分岐点分析(CVP分析)で求める指標は、財務分析の中でも基本的な指標の1つです。事業活動を行う上で、損益分岐点の考え方を知り、損益分岐点を分析する力を付けることは非常に重要です。
今回は、損益分岐点の基本的な考え方やその目的、実際に分析するための計算方法だけでなく結果として得られる情報について解説します。さらに、損益分岐点分析の活用法も紹介しますので、ぜひお役立てください。

損益分岐点分析(CVP分析)とは?

損益分岐点を明らかにするための手法を、損益分岐点分析(CVP分析)といいます。「CVP」とは、それぞれC(コスト:Cost)、V(販売量:Volume)、P(利益:Profit)の頭文字であり、コスト・販売量に基づく利益を分析する手法です。

そもそも損益分岐点とは何か?

損益分岐点とは管理会計上の概念の1つであり、売上高と費用の額がちょうど等しくなる「売上高」または「販売数量」をいいます。言いかえれば、「収支がちょうどゼロになる売上高や販売数量」ということです。つまり、損益分岐点を超えた「売上高」または「販売量」は、利益がプラスになることを意味します。

損益分岐点分析の目的

損益分岐点分析においては、費用を「変動費」と「固定費」に区分します。
費用を「変動費」と「固定費」に区分する理由は、売上がなくても発生する費用(固定費)があるためです。
会社のコスト削減でまず最初に取り組むのは、この「固定費」の削減です。それは、固定費は売上に関係なく発生するからです。会社は「売上は下げず」かつ「費用を下げる」ことを考えますので、販売数量と関係のない費用がまず削減の対象となるのです。
生産量や販売数量に比例して増減する費用(変動費)と比例しない費用(固定費)とを分けることを固変分解といいます。

図1)固定費と変動費から求める損益分岐点(イメージ)

損益分岐点

たとえば、生産した商品が1つも売れなかった場合、売上高と変動費はゼロですが、従業員の給与などの固定費は発生しています。
収支がゼロである時点の売上高(損益分岐点売上高)とは、売上=変動費+固定費となった時点の売上高です。上のグラフでは青い売上の線と赤い変動費+固定費の線が交わったところが損益分岐点となります。
このように、損益分岐点分析を行うことで、会社が少なくともいくらの売上高を計上しなければならないのかが明らかになります。

損益分岐点分析の計算方法

損益分岐点を求める

損益分岐点売上高は次のように表すことができます。

損益分岐点売上高

  • 変動費:売上高に比例して増減する費用(例:材料費、工員の労務費など)
  • 変動費率:売上高に対する変動費の割合
    (例:1,000円の売上高が増加するごとに変動費が600円発生する場合、変動費率は0.6)
  • 固定費:売上高に比例せず、一定して発生する費用
    (例:工場長の労務費、減価償却費など)
  • 図2)損益分岐点の求め方

    損益分岐点の求め方

    (単位:千円)

    2つのグラフの交差点が損益分岐点

    下の図2を参考に、実際に損益分岐点を求めてみましょう。
    製品の販売価格は1個15,000円、そのうちの変動費は9,000円で、固定費は3,000,000円とします。
    変動費率は 9,000円 ÷ 15,000円 = 0.6 となります。

    販売数量をXとします。
    図2の青い線は売上を示していますので、売上高は 15,000X と表せます。
    一方、赤い線を示す変動費+固定費は、9,000X + 3,000,000 と表せます。

    損益分岐点ではこの両者が等しくなるので、
    15,000X = 9,000X + 3,000,000
    という式を満たせばよいことになります。

    X = 500 となり、損益分岐点における販売数量は500個であり、損益分岐点売上高は、
    15,000 × 500(個) = 7,500,000
    750万円であることがわかりました。

    ここで重要なポイントは、費用を変動費と固定費に分ける時の考え方です。
    例えば、小さな会社で工場長も労働時間の半分は工員と一緒に働いている場合には、工場長の労務費の半分を変動費にするなど実際の状況に即した固変分解により正確な損益分岐点分析が可能となります。

    損益分岐点比率を求める

    損益分岐点比率とは、実際の売上高に対して損益分岐点売上高がどの程度の割合なのかをみる収益性の指標です。実際の売上高に比べて損益分岐点売上が低いほど、損益分岐点比率も低くなります

    損益分岐点比率 = 損益分岐点売上高 ÷ 実際の売上高

    図2の例で計算してみます。
    仮に製品が600個売れたとします。すると、売上高は15,000円 × 600個 = 9,000,000円です。

    損益分岐点比率 = 750万円 ÷ 900万円 = 約83%

    損益分岐点比率の割合は低いほど赤字への耐性が強いことを示し、不況に対する抵抗力の強さを示します。業種や業態などで変わりますが、一般に、損益分岐点比率は80%を下回っていればよいといわれます。

    安全余裕率を求める

    安全余裕率とは、実際の売上高と損益分岐点の差がどのくらいあるかを表す指標であり、1から損益分岐点比率を引いたものです。
    すなわち、損益分岐点比率は低いほどよいので、安全余裕度は高いほどよい指標になります。

    安全余裕度 = 1 – 損益分岐点比率

    図2の例では、
    安全余裕度 = 1 – 約83% = 17% 
    となり、現在の売上高があと17%減少すれば損益分岐点に落ち込んでしまうことを意味しています。

    損益分岐点分析の具体的な活用法

    損益分岐点分析の主な活用法は、次の3種類といわれています。

    1. 事業別損益分岐点分析による、高リスク事業・低リスク事業の明確化
    2. 投資計画を変更した場合、業績にどのような影響を与えるかを明確化
    3. 利益計画達成に必要な売上高の明確化

    1.事業別損益分岐点分析による、高リスク事業・低リスク事業の明確化

    損益分岐点売上高は、低いほど「安全性が高い」ということを意味します。
    すなわち、収支をゼロにするための売上高が低ければ、それだけ投資が失敗する可能性(事業がマイナスになる可能性)は低いということです。この損益分岐点分析を事業ごとに分けて行うことで、リスクの高い事業と低い事業を区別できるため、それぞれの戦略を立てることができます。
    事業ごとの損益分岐点分析では、たとえば「リスクの高い事業から撤退」や、「リスクの低い事業に注力する」といった意思決定を下すことが可能です。ただし、経営的な観点からは「リスクが高い事業=参入障壁が高くライバルの少ない事業」であるとも考えられるため、損益分岐点分析はあくまで経営戦略を決定する一つの要素として考えます。

    2.投資計画を変更した場合、業績にどのような影響を与えるかを明確化

    上記で示した損益分岐点売上高の公式は、次のようにより細かく表すことができます。

    投資計画業績への影響

    図3)変動費率を上げた場合の損益分岐点

    変動費率を上げた場合の損益分岐点

    投資計画の変更により、変動費率を想定よりも増加させた場合は、増加した費用を回収するために、損益分岐点売上高も増加します。

    変動費率を上げることが、損益分岐点を押し上げることは図3でも明らかです。変動費率の上昇は赤い線の傾きが急になることを意味し、損益分岐点売上高は、「販売数量」「販売価格」に分解することができますが、損益分岐点売上高も損益分岐点の販売数量も大きくなります。

    図4)固定費が上がった場合の損益分岐点

    固定費上がった場合の損益分岐点

    一方、投資計画の変更により固定費を当初の想定よりも増加させた場合は、「販売量を増やす」または「販売価格を値上げすることで回収」のいずれかで対応します。

    図4では変動費率は0.6のままですが、固定費が300万円から500万円に変わっただけで、図3と比べ損益分岐点は非常に大きな影響を受けていることがわかります。

    このように、損益分岐点分析は、投資計画を変更した場合の業績に与える影響を数値として表すことが可能です。

    3.利益計画達成に必要な売上高の明確化

    損益分岐点分析は収支がゼロになる販売状況を示すだけでなく、「このくらいの利益を達成するためには、いくつ売れば良いのか、いくらで売れば良いのか」という情報も得ることができます。
    上述の公式を次のように変えることで、利益に対する情報を得ることが可能です。

    利益計画達成に必要な売上高

    「変動費」や「固定費」に現状(または想定)の数値を当てはめ、「達成したい利益」に目標額を当てはめることで、「達成すべき売上高」を求めることができます。
    このように損益分岐点分析を活用することで、将来の達成目標を明示することができます。

    損益分岐点を明確にして、収益計画に役立てましょう

    損益分岐点分析が予算策定や投資の意思決定にあたってよく利用されるのは、損益分岐点を求めることで、「達成したい利益」に対する「達成すべき売上高や販売数量」を明確にすることができるからです。
    損益分岐点分析を行うにあたっての変動費と固定費の区分には注意しましょう。それには、自社で発生する費用の特徴を把握していなければなりません。まずは過去の会計データを分析することから始めましょう。

    よくある質問

    損益分岐点分析(CVP分析)とは?

    損益分岐点を明らかにするための手法のことを言います。詳しくはこちらをご覧ください。

    損益分岐点比率とは?

    実際の売上高に対して損益分岐点売上高がどの程度の割合なのかをみる収益性の指標です。詳しくはこちらをご覧ください。

    損益分岐点分析の具体的な活用法は?

    「高リスク事業・低リスク事業の明確化」「資計画を変更した場合、業績にどのような影響を与えるかの明確化」「利益計画達成に必要な売上高の明確化」があげられます。詳しくはこちらをご覧ください。


    ※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

    バックオフィスを効率化して経営をラクにするなら

    【監修】マネーフォワード クラウド会計

    会計・経理業務に関するお役立ち情報をマネーフォワード クラウド会計が提供します。
    取引入力と仕訳の作業時間を削減、中小企業・法人の帳簿作成や決算書を自動化できる会計ソフトならマネーフォワード クラウド会計。経営者から経理担当者まで、会計業務にかかわる全ての人の強い味方です。