- 更新日 : 2024年8月8日
法人税申告書の別表7(1)とは?見方や書き方、注意点まで解説
企業を経営していると、欠損金を出してしまうことは珍しくありません。しかし、欠損金が出てしまったとしても、青色申告ならば赤字分を次の年度以降に繰り越すこともできます。
本稿では、欠損金を繰り越すために必要な法人税申告書別表7(1)について紹介します。主な項目や書き方について押さえておきましょう。
目次
法人税申告書の別表7(1)とは
法人税申告書別表7(1)は欠損金の繰越控除をしたい場合に必要な書類です。「欠損金又は災害損失金の損金算入等に関する明細書」という名称がつけられています。欠損金とは収入から経費分を引いた際に生じるマイナスの金額のことです。「赤字」とも呼ばれています。
なお、青色申告をしている法人の場合、欠損金は10年繰り越し可能です。ただし、国税庁によると、繰越控除ができる法人は「欠損金額が生じた事業年度において青色申告書である確定申告書を提出し、かつ、その後の各事業年度について連続して確定申告書を提出している法人」に限られる、とされています。
法人税申告書別表7(1)は国税庁ホームページ「令和5年4月以降に提供した法人税等各種別表関係(令和5年4月1日以後終了事業年度等分)」からダウンロードしてください。
また、法人税申告書の書き方については下記記事を参考にしてください。
法人税申告書の別表7(1)に記載する主な項目と書き方
法人税申告書別表7(1)では、大きく分けて以下の項目を記載します。
- 控除前所得金額・損金算入限度額
- 控除されていない欠損額・当期の控除額・来期以降の控除額
- 災害により生じた損失の額がある場合の繰越控除の対象となる欠損金額等の計算
ここでは、「控除前所得金額・損金算入限度額」「控除されていない欠損額・当期の控除額・来期以降の控除額」について説明します。
控除前所得金額・損金算入限度額
図の赤枠の部分です。別表4から「控除前所得金額」を転記します。その後、「損金算入限度額」を記載しますが、中小法人等事業年度である場合は、損金の100%算入が可能です。しかし、中小法人等事業年度ではない場合の損金算入限度は50%となります。
当期の控除額
図の黄色枠の部分「当期控除額」です。当期に控除する金額について記載します。
前期以前の欠損額
図の青枠の部分「控除未済欠損金額」の部分です。前期以前に発生した欠損金額で控除されずに繰り越されている金額を記載します。発生年度ごとに記載してください。
翌期繰越額
図の緑枠の部分「翌期繰越額」です。前期以降の欠損額から当期の欠損金控除額を引いた金額を記入します。
法人税申告書の別表7(1)を書く際の注意点
法人税申告書別表7(1)を記載する際に特に注意したいのは、当期の赤字がない場合でも繰り越しがある場合は提出が必要である点です。
青色申告している法人は欠損金を10年繰り越すことが可能です。ただし、それは青色申告の確定申告書を連続して提出した場合に限られます。欠損金が出た翌年以降に黒字になった場合、確定申告書を出していないと、欠損金の繰越は不可能です。
申告書を提出する際は、必要な別表も必ず添付してください。
欠損金繰越のためにも別表7(1)は重要
法人が青色申告をする大きなメリットは欠損金の繰越ができるところです。利益分から控除できるため、課税額を抑えることができます。ただし、欠損金を繰り越すためには、毎年の確定申告は必須です。法人税申告書別表7(1)には必ず繰越欠損金の金額も記載するようにしましょう。
また、前期以前の欠損額は年度ごとの記載が必要となります。こちらも欠けることなく記入するようにしてください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
買い替えの方がお得!?中小企業投資促進税制を使って賢く設備投資!
中小企業にとって、設備投資は大きな負担として両肩にのしかかります。しかし、一方で既存の古い設備のままでは生産性が向上しません。そういったジレンマを抱える方も多いのではないでしょうか。 そんな中、今回紹介する中小企業投資促進税制はうまく活用す…
詳しくみる寄付金控除は法人も受けられるか?
個人が国や地方公共団体、特定公益増進法人などに寄附をした場合には、所得控除を受けることができます。これを、寄附金控除と呼びます。また、政治活動関連への寄附金や認定NPO(特定非営利活動法人)などなどへの寄附金のうち一定のものについては、所得…
詳しくみる即時償却も可能!中小企業投資促進税制でかしこく節税
「中小企業投資促進税制」という制度をご存知ですか?この制度は、設備投資をおこなう中小企業の利益率アップを図るために導入された減税策です。条件が合えば、より高い節税効果が期待できる即時償却をおこなうことも可能なので、ここで解説する制度の概要を…
詳しくみる軽減税率の対応をしなかった事業者の末路。今からでもやるべき対応
軽減税率が始まって混乱しているのは、消費者だけではありません。お店や事業を行う個人事業者と法人は、さらに面倒な手続きに悩まされています。 レジを軽減税率対応のものに変更し、キャッシュレス還元事業の登録をするだけでなく、新しく導入された「区分…
詳しくみる法定実効税率とは?計算方法をわかりやすく解説
法定実効税率とは所得に対して課税される法人税、住民税、事業税の表面税率を使って所定の方法で計算される総合的な税率のことを指します。表面税率(もしくは合計税率)とは、法律が定めている税率のことを指します。税金の納付や申告の際には表面税率が、税…
詳しくみる税金を滞納するとどうなる?
日本に住んでいるかぎり、法律の定めるところにより私たちには納税をしなければならないという義務があります。税金を納付期限までに支払わなかった場合、どのようなことが起きるのでしょうか。今回は、国税(所得税や相続税など)を中心に、税金を滞納したと…
詳しくみる