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  • 作成日 : 2021年2月12日

賞与引当金とは?仕訳例とともに会計処理方法や税務上の取り扱いを紹介

賞与引当金

「賞与引当金」は、決算時、適正な期間損益計算により財務諸表を作成するときに必要な勘定科目です。名称どおり、発生する可能性が極めて高い翌期の「賞与」に備え、引当金として計上します。この記事では、賞与引当金の意味と会計処理、具体的な仕訳の方法、税務上の取り扱いをわかりやすく解説していきます。

賞与引当金とは?

賞与引当金とは、引当金の一つであり、会社が従業員などに支払う賞与を前期に準備して、計算しておくための勘定科目です。
引当金とは、将来発生する可能性の高い費用や損失のことをいいます。引当金のうち、適正な期間損益計算の観点から、当期に属すると考えられる合理的な金額を引当金に繰り入れます。

賞与引当金については、適正な期間損益計算から導かれる、適切な財務諸表を作成するために必要な科目です。投資家などに対し、将来負担する可能性が高い賞与の額を明確にすることで、有用な情報を提供できます。

また、会社を経営する上で、従業員に対して給与や賞与の支払いを確実に行う必要があるため、会社にとっても翌期の支給が予測される賞与を準備することは重要です。
特に労働契約書などで賞与の支給が定められている場合には、当期の費用として賞与引当金を前もって計算しておく必要があります。前期に準備しておくことで、賞与を支給すべき時期に、支給すべき金額を確実に支払うことができます

翌期に支給する賞与についてはその支給額や支給日が確定しているわけではないため、確定債務には該当しません。
賞与引当金は、前期の支給実績などと照らし合わせて、翌期に支給する賞与のうち当期の負担に属する金額を合理的に計算して導き出します。

賞与引当金の具体的な仕訳例

賞与引当金にはどのような意味があるのか、具体的な計算と勘定科目を使って説明します。

賞与引当金繰入額の計算

賞与引当金として繰り入れるのは、翌期の賞与のうち当期に対応する部分です。支払予定の賞与のうち、支給対象期間が決算をまたぐ賞与について、賞与引当金として計上します。

年2回賞与を支給する企業も多いですが、たとえば賞与支給日が7月と1月であった場合、決算日に近い賞与が引当金の対象となることが多いです。以下、具体例で賞与引当金繰入額を計算してみます。

(例)翌期7月に支給する賞与(支給対象期間は1~6月)を合理的に見積もったところ、1,200,000円であった。当社の決算は3月である。

【計算】
 1,200,000円×(3カ月/6カ月)= 600,000円

【解説】
3月が決算となるため、翌期の7月支給予定の賞与のうち当期に対応するのは、支給対象期間は1~3月です。細かく計算すると複雑になるため、通常は翌期の賞与を支給対象期間の月数で割り、当期の決算までに対応する月数分の額を賞与引当金に繰り入れます。
例の場合、60万円が賞与引当金として繰り入れる必要がある金額です。賞与積立金の指標として使いたい場合は、毎月、賞与引当金を計算すると便利です。

賞与引当金繰入の計上

賞与引当金繰入では、「賞与引当金」、「賞与引当金繰入額」の2つの勘定科目を使います。

(例)翌期7月に支給する賞与(支給対象期間は1~6月)を合理的に見積もったところ、
1,200,000円であった。当社の決算は3月である。
借方貸方
賞与引当金繰入額  600,000賞与引当金  600,000   

【解説】
「賞与引当金」は、貸借対照表の負債にあたり、「賞与引当金繰入額」は、損益計算書の費用(販売費及び一般管理費に分類されます。賞与引当金を計上することによって、会計上は、翌期支給の賞与のうち、支給対象期間が当期に対応する部分を費用として認識するということです。

賞与引当金戻入の計上

賞与引当金は、あくまで翌期の賞与に対して、当期対応分を計上するものです。翌期に賞与を支給した場合、賞与引当金を解消する必要があります。以下、具体例で賞与引当金の戻し入れを見ていきましょう。

(例1)賞与120万円を7月に支給した。7月支給の賞与のうち、前期に賞与引当金として60万円を計上している。
借方貸方
賞与引当金  600,000現金預金  1,200,000
賞与  600,000

【解説】
前期に賞与引当金として計上した額について賞与の支給を行ったとき、今期に戻し入れの仕訳を行います。例1の場合、60万円がすでに負債として計上されていますので、借方に仕訳することで賞与引当金60万円は解消されます。支給額のうち、残り(今期に対応する分)は、費用項目である「賞与」として仕訳します。

(例2)前期では賞与120万円を見積もったが、今期が好調のため賞与150万円を7月に支給した。7月支給の賞与のうち、前期に賞与引当金として60万円を計上している。
借方貸方
賞与引当金  600,000現金預金  1,500,000
賞与  900,000

【解説】
前期の時点で発生の可能性が高い賞与については、賞与引当金として計上しているはずです。賞与自体がなくなることはほぼないとして、業績によって見積額より賞与支給額が多少変動することは考えられます。賞与額に変動があった場合も、基本的な仕訳の形は同じです。

賞与引当金の税務上の取扱とは?

会計上、必要とされる「賞与引当金」ですが、税務上は扱いが異なります

賞与引当金は損金には含まれない

会計上の費用と収益は、税務上は損金と益金です。費用と損金、収益と益金は概ね同じですが、異なる部分もあります。費用であるものの損金にならないもの、損金であるものの費用にならないもの。さらに、収益であるものの益金にならないもの、益金であるものの収益にならないものがあるためです。

費用であるものの損金にならないものの例が、「賞与引当金繰入額」です。税務上は、将来の見積りではなく、賞与の支給をベースにします。会計上は適切であっても、税務上、不確定要素のあるものを損金とすると、課税標準額を不当に下げてしまう恐れがあります。

そのため税務上は、賞与引当金繰入額は損金としません。税務上は、賞与を支給したときに、その支給額を損金とします。

過去には税務上、賞与引当金を損金にできましたが、平成10年を境に段階的に廃止されていきました。会計上と税務上とでは、賞与引当金の扱いに違いがあるので注意しましょう。

賞与引当金の会計処理のポイントをおさえよう!

賞与引当金は、適切な財務諸表を作成し、将来支給が予定されている賞与の積み立てをするために重要な勘定科目です。賞与引当金繰入と賞与引当金の戻し入れについて、仕訳の仕方を押さえておきましょう。
なお、会計上は計上が必要な科目ですが、税務上は損金不算入となります。混同しないためにも、会計上と税務上の違いもよく理解しておくことをおすすめします。

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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