- 更新日 : 2024年8月8日
経費削減とは?考え方や方法のまとめ
経費削減とは費用を抑えて利益率を上昇させる取り組みです。働き方の見直しやペーパーレス化、経費削減システムの導入などが適した手法です。
単に経費の削減を考えるだけでなく、業務効率化や自動化も目指す攻めの姿勢が求められるようになってきました。この記事では経費削減の考え方や具体的な方法、避けるべき経費削減を紹介します。
目次
経費削減とは?なぜ必要なのか
経費削減とは無駄な経費をなくして費用を圧縮することで利益率を高める取り組みです。企業活動は営業をはじめ売上を生むプロフィットセンターと、収益にはならずとも維持管理に必要なコストセンター部門に分かれます。
プロフィットセンターが売上アップに成功しても、コストセンターの経費も上昇してしまうと利益向上にはつながりません。企業が利益を挙げ続けるには経理のようなバックオフィス部門でのコスト削減が非常に重要です。
経費削減と良く似た言葉に「節減」がありますが、両者はニュアンスが異なります。節減は細かい部分での費用発生を抑える意図があり、経費削減はさらに抜本的な取り組みを指します。
使用していない部屋の電気を消す、書面やレシートの裏面をメモとして利用するなどが節減の代表例です。上記は、一般の家庭でも行われる取り組みであるため、経費削減とはいえません。
経費削減の具体例として経費精算システムの導入を紹介します。今まで紙で発行していた請求書や納品書のペーパーレス化によって、用紙代・印刷代・人員の作業コストを減らすことが可能です。
システムの導入によって人為的なミスの発生も防げるため労働時間の抑制にもつながります。
経費削減の考え方
支出を減らすことに主眼が置かれていた従来の取り組みから、経費削減のあり方は変わりつつあります。流通チャネルの抜本的な改革や、IT化推進のようなビジネスの変化も取り入れ高度化した施策が主流になってきました。
いわば、守りから攻めへの転換が図られているといえるでしょう。経費削減と同時に業務効率化や新規事業の展開も狙う一挙両得の姿勢が求められています。これからの経費削減において重要になる3つの考え方を紹介します。
働き方を見直す
現代の経費削減は、働き方改革とからめて語る必要があるといわれています。従業員の労働時間が減るとオフィスの使用時間も減るため、コスト削減で有利に働きます。たとえば働き方改革の推進によって残業を抑制して生産性を上げれば、オフィスの光熱費を減らすことが可能です。
働き方改革を推進する企業においては、社長や上司による残業抑制の呼びかけや、ノー残業デーの実施などの具体的な取り組みが行われています。しかし現場では「業務量が減らないため早く帰れない」との声が出ているようです。生産性向上も相まってこそ、労働時間の抑制という実質的な効果が現れます。
ペーパーレス化する
ペーパーレス化によって、用紙代・印刷代・書類の保管コストなどさまざまな費用を節約できます。
会計ソフトやクラウドサービスの導入によって、ペーパーレス化にとどまらず業務フローの効率化にも役立つでしょう。紙で管理していると膨大な情報の中から必要な書類を見つけ出すだけでも労力を要します。
情報の共有・検索が容易に行えるようになるほか、業務フローの自動化によってスピードの向上やミスの削減も期待できます。
経費精算システムを導入する
経費精算システムを導入して交通費や各種経費の精算を自動化することで、人件費の削減が可能です。
ネックになるのはシステムの導入費用や維持コストです。経費精算システムの導入によるコストカット効果以上に運用費用が生じると、あまり意味はなくなってしまうかもしれません。
システム導入に伴うメンテナンス費用はサーバの仮想化によって削減可能です。システムの設置場所に必要なサーバーの運営には、保守費用や電気代などがかかります。サーバーの仮想化によってオンライン上での管理が可能になれば、保守人員の削減にとどまらず老朽化によるシステム再構築の必要もなくなります。
経費削減しやすい費用と方法
企業活動で経費削減に適した項目は少なくありません。具体的には、通信費・光熱費・消耗品費・交通費・旅費交通費・支払手数料・業務委託費が挙げられます。
いずれも比較的容易にコストカットを実現できるため、ぜひ検討ください。ここでは経費削減しやすい項目と具体的な方法を紹介します。
通信費
従業員とのコミュニケーションツールに電話やメールを使用していては、通信費がかさみます。個人のスマートフォンで使えるSNSやチャットツールを導入すると、経費削減につながるでしょう。
企業によっては見込み顧客やアフターフォローに対して郵送でDMを送付している場合もあります。郵送からメールマガジンに切り替えると、用紙代や印刷代を節約できて経費削減に有効です。
また契約している通信会社の変更もおすすめです。料金プランは会社ごとで大きく異なるため、大きなコストダウンを期待できます。複数社から見積もりを取る余裕がない方は、一括比較サイトで効率的に相場をつかみましょう。
光熱費
光熱費も今すぐ手軽に始められる経費削減項目の一つ。クールビズやウォームビズの導入による空調の稼働削減、パソコンの省エネ設定の推奨などは比較的取り組みやすい方法です。
大きな効果を生み出すには社員一丸となって取り組むのがポイント。思い切って、照明設備のLED化やIoTビルオートメーションシステムの導入を検討するのもおすすめです。
従来のように空調や照明を人の手で操作しているとエアコンや電気がつけっぱなしになり、無駄な高熱費が生じかねません。自動化を推進し、人が入ったときだけ照明を付けたり、エアコンが室内の温度を感知して動作したりすれば無駄な電力の消費を抑えられます。
さらにIoTを駆使すれば、オフィスビル内のエネルギー状況の可視化も実現に向かうでしょう。データの収集によってどの部屋で電力の消費が大きいか把握できるため、電力の効率化・最適化につながる対策を立案しやすくなります。
消耗品費
消耗品の経費削減において有効な方法はペーパーレス化です。契約書や請求書などの書類を電子化することで、切手代や封筒代を節約できます。
消耗品の管理が甘いために余計なコストが生じている可能性も高いです。従業員が自由に使える環境だと持ち出したまま戻ってこなかったり、コスト意識の低下から使いすぎたりするリスクが生じます。
消耗品管理の担当者を付けて許可制を導入し、持ち出し時に記録を義務付けるようにするとコストダウンにつながります。
発注内容の見直しも効果的な手法の一つです。ネットショップのような同品質で安く買える業者を見つける、大量購入で単価を抑えるといった方法があります。
交際費
顧客や取引先との交際費は良好な関係を築き、業務を円滑に進めるために必要な経費です。一方で、懇親会や贈り物がどれだけ売上アップに拡大したかどうかについては、明確な数値化ができないため、コストを削ろうにも削りにくい側面を有します。
少々厄介な交際費ですが、有効な削減方法の一つが事前承認制で使いすぎを防止することです。接待を行う場合、目的・先方の名称・場所・出席人数などを記載した申請書を提出し、上長や担当者の審査を受けます。
ランチやディナーなどカテゴリごとに上限を設けるのもおすすめです。ランチの場合1回当たり5,000円以内、ディナーでは20,000円のように具体的な金額を設定します。あらかじめ上限を決めておけば、予想外の出費に悩まされるリスクを防げます。
旅費交通費
旅費交通費とは、簡単にいえば出張費のことです。出張を減らすためにWeb会議で間に合わないか検討しましょう。実際の移動がなければ、交通費のほか宿泊費や接待費も抑えられます。
出張の必要性がある場合、格安交通券・セット割・回数券の活用など、より安価な手法がないか検討してください。JALやANAではなく格安航空会社LCCの航空券を使うことで出張費は大幅にカットできます。
往来の頻度が多い場合定期券の活用を検討してもよいですが、前提として取引先に出向く回数を把握しましょう。頻度に応じて最も費用を抑えられる方法が異なるためです。
支払手数料
支払手数料とは銀行の振込手数料や登録手数料、解約手数料、各種証明書の発行手数料などです。取引先への支払いや従業員の口座へ給与を振り込む際に毎回生じるものであるため、積もり積もると大きな出費になり得ます。
ネット銀行に切り替えるのが簡単かつ即座に効果を実感できる方法です。窓口業務がないため都市銀行に比べて低く抑えられる傾向があります。ネット銀行の中でも手数料は差異があるため、利用先を変えてみてもよいでしょう。
支払手数料の経費削減には、当座預金の活用や銀行との交渉で減免してもらうなどの方法もあります。ただし審査が必要なケースも多くハードルが高いため、ネット銀行の活用を推奨します。
業務委託費
専門的な業務をアウトソーシングにかけている場合、業務委託費の高騰が深刻化しているケースもあります。開発コストを下げると競合に負けないサービスを開発するのは難しくなるため、多くの企業で悩みの種です。
有効な解決策は、今まで委託していた業務で社内公募を実施することです。委託業務を代行可能な人材を社内から探し出し、業務委託人材の代わりにプロジェクトにアサインします。
最初からいないだろうと諦めるのではなく、社内公募で募集をかければ、高いスキルを持つ人材が見つかる場合もあります。
委託先との値下げ交渉や、プロジェクトの縮小といった方法はリスクが高いため、まず社内で何とかできないか検討することがおすすめです。
避けるべき経費削減
経費削減といっても、むやみやたらに実施すればよいものではありません。やみくもに行うと逆に利益の低下や企業活動の停滞を招く危険すらあります。
やってはいけない経費削減を把握し、それを避けるよう改革を進めると失敗の確率が下がります。NGともいえるダメな経費削減は次の通りです。
サービスの品質を下げる経費削減
顧客満足度やサービスの品質に関わる付加価値業務は経費削減に適していないと考えられます。具体的には商品の製造や管理、営業などのプロフィットセンター部門での経費削減は極力避けるべきです。
なぜなら商材の品質が低下し、取引先や消費者からの信頼を失う恐れがあるからです。経費削減の本質的な目的は利益の向上にあります。コストダウンの数値目標を達成しても利益向上につながらないのであれば本末転倒です。
経費削減で失敗しないためには、どの経費を削減するか吟味しましょう。非付加価値業務でコストカットに注力し、利益を生み出す営業や開発には最大限のパフォーマンスを求めるのが理想的な在り方です。
従業員の士気を下げる経費削減
空調設備の利用を制限する、経費削減のノルマを課すなどの厳しい手法は従業員のやる気を損ねてしまう恐れがあります。劣悪な環境で仕事を強いられては力を発揮できないばかりか、体調不良を招く危険もあります。
そもそも、経費削減自体が従業員にとっては、インセンティブを感じにくい取り組みです。経営者にとっては重要でも、給料には影響しないため、従業員に主体的な活動を求めるのは厳しいかもしれません。
一方的にお願いするスタンスで経費削減を進めていくと、思うように浸透しないばかりか、従業員からの反発を招きかねません。具体的なアイデアを社員から募るというように意見を吸い上げると社員からの理解を得やすいでしょう。
経費削減を賢く行い利益率の向上を図ろう
経費削減に成功すれば、直接的には売上を生まないバックオフィス部門からの利益向上が実現します。
いきなりドラスティックな改革が難しくても、今すぐ取り組める簡単な方法も少なくありません。注意点はコストカットを意識しすぎて、やり方を間違えてしまわないことです。方向性や対策を謝ると、商品の質の低下や企業イメージの失墜を招く場合もあるため、注意が必要です。
よくある質問
経費削減とは?
経営活動で生じる経費を削減し、利益率の向上を目指す取り組みです。詳しくはこちらをご覧ください。
経費削減の方法とは?
経費削減しやすい項目は「通信費」「光熱費」「消耗品費」「交際費」「旅費交通費」「支払手数料」「業務委託費」です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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