- 作成日 : 2024年11月5日
経費精算のトレンドは?経理業務にまつわる最新の動向を解説
経費精算のトレンドは、デジタル化や法改正に伴い急速に進化しています。特に、経費精算システムの導入やAI技術の活用が注目されています。これらのトレンドを理解し、適切に対応することが企業の競争力を維持するために不可欠です。
本記事では、経費精算のトレンドについて、システムの導入やインボイス制度など様々な視点から解説します。
目次
経費精算のトレンドは?
経費精算や経理業務におけるトレンドとして、デジタル化と法改正が大きな影響を与えています。経済産業省が提唱する「2025年の崖」問題を背景に、デジタルトランスフォーメーション(DX)が急速に進んでおり、経費精算をはじめとする経理分野も例外ではありません。
「2025年の崖」は、企業が適切にDX推進を行わない場合、2025年以降に年間最大12兆円経済損失が生じる可能性を指摘するものです。レガシーシステムのような古いシステムを使い続けることでコストが増え、IT人材が不足することが原因で競争力を失うことに警鐘を鳴らしており、企業は積極的にデジタル化を進めることが求められます。
経費精算分野においては、経費精算システムの導入やAI技術による効率化が進展しており、これはDX推進だけではなく、労働人口の減少、働き方改革などによる人手不足のカバーにも貢献します。
また、ここ数年はインボイス制度の導入や電子帳簿保存法義務化など、法関連の動きも大きく、これらのトレンドに対応することは企業にとって急務であり、業界トレンドの変化を意識した業務運営が求められているといえるでしょう。
以下でデジタル化や、インボイス制度などの法関連についてそれぞれ詳しく解説します。
デジタル化の進展・業務プロセスの効率化
経費精算におけるデジタル化は、従来の紙ベースでの運用からシステム導入によるデジタルデータへの移行が該当し、導入企業も増加傾向にあります。
クラウドシステムの採用により、場所や時間を問わずデータにアクセスできるようになり、リモートワークにも対応可能できる経費精算システムも少なくありません。デジタル化によって申請から承認までの一連の流れが自動化され、経費精算ワークフローの大幅な効率化が可能になります。
また、予算管理との連携もでき、処理時間の短縮やエラーの削減が実現します。結果として戦略的な経費管理が可能となり、企業全体の効率化に寄与することも期待できるでしょう。
インボイス制度の導入、電子帳簿保存法義務化など
インボイス制度は2023年10月1日から本格運用されており、この制度によって適格請求書などの保存が仕入税額控除の要件となりました。そのため多くの企業で経費精算システムの改修や業務フローの見直しを迫られています。
また、電子帳簿保存法の改正により、2024年1月から電子取引データの電子保存が義務付けられました。こうした法改正により、経費関連書類のデジタル化と適切な保存システム構築が急務となっています。スキャナ保存制度も要件緩和されており、ペーパーレス化への動きが加速しているといえるでしょう。
人工知能(AI)を活用した経費精算
近年さまざまな分野での活用が進んでいる人工知能(AI)は、経費精算においても導入メリットが大きいとして注目されています。
ここで、経費精算においてAIはどのように貢献するのかを紹介します。
AIによるデータ処理の効率化
経費精算においてAI-OCR技術を活用することで、領収書やレシートのデータをスマートフォンアプリなどで読み取り自動的に入力、仕訳することが可能になりました。経理担当者が毎月行っている領収書やレシートの仕訳作業がほぼ不要となるため、業務効率化が大幅に実現します。
手動入力におけるヒューマンエラーも削減できるでしょう。経費申請をする従業員にとっても手軽に申請できるため経費精算のハードルが下がります。
音声認識によるデータ入力やレポート作成が可能
AIを活用した経費精算システムの多くは、音声認識での入力が可能です。必要事項を読み上げるだけで該当する欄に自動入力してくれるため、パソコンやスマートフォンなどのデジタルデバイスになじみがない層でも申請作業などがしやすく、面倒に感じにくいメリットがあります。
集計やレポート作成なども指示できるため、経費精算フローのみならず分析や監査対応などにおいても経理担当者の負担が大幅に減ることが期待できるでしょう。
不正検出機能の強化
AIによって不正を自動で検出する機能や各種アラート機能も搭載しており、経理担当者の負担になりがちな不正チェックもシステムに任せられます。
人の目ではないため見逃しリスクもほとんどなく、重複申請などの不正申請、または申請の不備防止に大きく貢献するでしょう。AIは過去のデータ分析によって学習し、高度なパターン認識能力を持つことがほとんどであるため不審な申請を早期に発見することが可能です。
結果として企業は不正リスクを低減し、安全性を高められる可能性があります。
インボイス制度によって複雑化した経費精算
インボイス制度の開始によって、経費精算のフローにも大きな変化が生じ確認点の増加や領収書などの仕分けが必要など、経理担当者の手間は増えました。
帳簿の記載ルールも変更になったため、経理担当者の負担はかなり大きいといえます。ここでは、インボイス制度によって経費精算関連業務はどのような影響を受けたのか、見ていきましょう。
適格請求書等の確認が必須に
インボイス制度の運用開始によって、適格請求書等の確認が必須になりました。これは要件を満たしていなければ、仕入税額控除が受けられないためです。その分の業務量が増加したことに加え、理解不足から誤った処理が行われるリスクもあるため、経理関係者や経費を使う従業員へのトレーニングが必要といえます。
また、適格請求書・適格簡易請求書の確認プロセスには時間と労力がかかるため、自動化ツール導入がますます進むことも考えられます。
3万円未満の取引でも領収書等が必要
従来は3万円未満の課税仕入れに関しては帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められていましたが、インボイス制度の運用開始後は原則として3万円未満でも適格請求書または適格簡易請求書が必要になりました。
この変更は、多くの企業にとって新たな負担となります。特に小規模事業者では3万円未満の取引数も多いため、新ルールへの対応策としてシステム導入やプロセス見直しが急務といえるでしょう。
領収書等の仕分けが重要に
適格請求書等とそうでない書類との仕分け作業も、インボイス制度の運用開始に伴って新たに必要が生じた作業のひとつです。仕分け作業自体は手動でも行えますが、企業によっては膨大な作業量になること、また人力ではミスの可能性が排除できません。
そのためここでも、自動化ツールによって効率的かつ正確性を高めることが求められています。
複雑化に伴いシステムの経費精算システムの導入が増加傾向にある
ここまで見てきたように、インボイス制度の運用開始は経費精算業務にかなりの影響を及ぼしています。経費精算業務の複雑化と業務量の増加は特筆に値するものがあり、これに対応するため、クラウド型の会計システムの導入を検討する企業が増えています。
こうしたシステムは、適格請求書の作成・保存機能のほか、支払先の登録番号の自動確認や経過措置を考慮した仕訳作成など、インボイス制度特有の要件にも対応していることが多く、インボイス制度による経費精算作業の混乱を極力抑えられるでしょう。
電子帳簿保存法義務化で経費精算の見直しを迫られた
電子帳簿保存法の義務化によっても、企業は経費精算プロセスの大幅な見直しを迫られています。この法改正は企業のデジタル化を推進し、業務効率を向上させることを目的としたものです。
電子取引データの保存方法や、帳簿書類の電子化に関する要件が厳格化されたことで、従来の紙ベースの経費精算から電子的な処理への移行が急務となっています。
電子帳簿保存法義務化が、経費精算にもたらした変化を紹介します。
法令遵守の重要性
電子帳簿保存法の義務化により、電子取引への対応が必須となりました。システム導入などにより、法令遵守と業務効率化を同時に実現する必要性に迫られたといえるでしょう。
電子取引データの適切な保存方法の確立や、スキャナ保存制度の活用など、新たな法令要件に対応するための体制整備が求められています。
システム導入のさらなる加速
企業は法令遵守を果たすために電子帳簿対応システムの導入を検討するようになり、インボイス制度も相まって導入速度はさらに加速しました。各企業は必要な機能を備えたシステム選定に注力しています。
特に、クラウド型の経費精算システムや会計ソフトウェアの導入が増加しており、これらのシステムは電子帳簿保存法の要件に対応しつつ、経費精算プロセスの効率化も実現しています。また、システム導入に伴う社内教育や業務フローの見直しも同時に進められており、企業全体のデジタル化推進にも寄与しています。
経費精算におけるシステム導入の重要性
DX推進、またインボイス制度や電子帳簿保存法などの法関連から見ても経費精算システム導入の重要性はこれまでになく高まっています。
業務効率化・法令順守の観点からも経費精算システムの導入は急務といえる
電子帳簿保存法の義務化によって、会計システムなどとともに経費精算システムは企業の経理業務に欠かせないものになったといっても過言ではないでしょう。
従来のシステム導入の目的であった効率化の実現、不正防止という視点だけではなく、適切に法令順守に対応できるシステムを選定する必要があります。
自社に適した機能があるかはもちろん、インボイス制度など関連の法令について今後も改正などが予測されるため、適宜カスタマイズできたり、導入サポートがあったりするシステムを選ぶことが重要になってくるでしょう。
電子帳簿保存法の対応と効率化を実現する「マネーフォワード クラウド経費」
従来のアナログな方法では対応できなくなりつつある経費精算のトレンドに対応するには、クラウド型システムの「マネーフォワード クラウド経費」がおすすめです。
マネーフォワード クラウド経費では、スマートフォンで撮影したレシートを即座にデータ化し、経費精算に必要な情報を自動的に処理します。また、クラウド上でデータが一元管理されるため、リアルタイムでの情報共有や承認が可能です。
経費の処理が迅速化し、無駄な時間を削減するだけでなく、ミスや不正のリスクも低減できます。業務全体の効率を向上、そして法改正への適合のため経費精算システムの導入は、多くの企業にとって今や必要不可欠なステップです。
経費精算のトレンドを先読みした対応が求められる
経費精算に限らず、トレンドを先読みすることは企業の競争力維持に不可欠です。日本経済全体において急務とされるDX推進や法改正に迅速に対応し、積極的に経費精算システムやAI技術を導入することで業務効率や法令遵守を実現できる可能性が高まります。
変化するビジネス環境に柔軟に適応し、持続的な成長を目指す体制が求められているといえるでしょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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