• 更新日 : 2026年11月6日

EBITDAとは?計算方法や営業利益・EBITとの違い、EV/EBITDA倍率の見方を理解するには?

PointEBITDAとは何か?

EBITDAは、利息・税金・減価償却費を差し引く前の利益のことで、本業のキャッシュ創出力を示す指標です。

  • 計算式は「営業利益+減価償却費」が最も簡易
  • M&Aや海外企業比較で特に活用される
  • 設備投資・運転資本の負担は反映しない

Q. EV/EBITDA倍率とは何を表す指標ですか?

A. 企業価値(EV)がEBITDAの何倍かを示し、買収額を何年分の本業の稼ぎで回収できるかの目安になります。

EBITDA(イービットディーエー、償却前利益)は、企業が本業で生み出す収益力を簡易的に測る経営指標です。営業利益との違いや計算方法、EV/EBITDA倍率の読み方が分かりにくいと感じる実務担当者も多いはずです。この記事では、EBITDAの意味、4つの計算方法、メリットとデメリット、EBITや営業キャッシュフローとの違い、改善の考え方を整理して解説します。

EBITDAとは?

EBITDAとは、利息・税金・減価償却費等を差し引く前の利益のことで、本業の収益力(キャッシュ創出力)を簡易的に示す指標です。簡易的には営業利益に減価償却費を足して求めます。

EBITDAの定義と読み方

EBITDAは英語のEarnings Before Interest, Taxes, Depreciation, and Amortizationの略で、読み方はイービットディーエーまたはイービットダーです。日本語では「利払い前、税引前、償却前利益」と訳されます。

税率、借入金利、減価償却の方法は企業や国によって異なります。EBITDAはこれらの影響を取り除いて、事業そのものの稼ぐ力を比べやすくする指標です。なお、EBITDAは会計基準で定められた正式な利益項目ではなく、分析のために使われる指標である点を押さえておきましょう。

EBITDAを構成する5つの要素

EBITDAは、利益から次の要素の影響を除いた数値です。

要素 意味 除く理由
Earnings(利益) 会計上の利益 計算の出発点
Interest(利払い) 支払利息 資金調達方法による差を除くため
Taxes(税金) 法人税等 国や地域の税制による差を除くため
Depreciation(減価償却費) 有形固定資産の費用配分額 現金支出を伴わない費用のため
Amortization(償却費) のれん、ソフトウェアなど無形固定資産の費用配分額 同じく現金支出を伴わない費用のため

EBITDAが使われる3つのシーン

EBITDAは、M&A(企業の合併・買収)、グローバル企業の比較、設備投資が大きい業種の分析で特に使われます。

  • M&Aの企業価値評価:買収対象の価値を測るEV/EBITDA倍率の算出に使います。
  • 海外企業との比較:税率や会計ルールの違いの影響を小さくして収益力を比べられます。
  • 製造業・通信業・運輸業の分析:減価償却費が大きい業種でも、設備投資の規模に左右されにくい収益力を見られます。

EBITDAの計算方法は?

EBITDAに決まった唯一の計算式はなく、どの利益から出発するかで4つの方法があります。最も一般的なのは営業利益に減価償却費を足す方法です。

出発点 計算式 向いている場面
営業利益 営業利益+減価償却費 大まかな数値をすぐ知りたいとき
経常利益 経常利益+支払利息+減価償却費 借入金や営業外損益の影響を除きたいとき
税引前当期純利益 税引前当期純利益+支払利息+減価償却費±特別損益 一時的な損益を除きたいとき
当期純利益 当期純利益+法人税等+支払利息+減価償却費±特別損益 定義に忠実に計算したいとき

どの式でも、減価償却費には有形固定資産の減価償却費と無形固定資産の償却費の両方を含めます。特別損益は、特別損失なら足し戻し、特別利益なら差し引きます。

STEP1:営業利益から求める(最も簡易な方法)

営業利益に減価償却費を足せば、EBITDAを最短で求められます。損益計算書の営業利益は、支払利息や法人税を差し引く前の利益だからです。

計算例(説明用の仮の数値):営業利益が1,000万円、減価償却費が500万円なら、EBITDAは1,500万円です。

減価償却費は、製造原価や販売費及び一般管理費の明細、またはキャッシュフロー計算書の調整項目で確認できます。

STEP2:経常利益から求める

経常利益から求める場合は、支払利息と減価償却費を足し戻します。経常利益は営業外収益・営業外費用を反映した後の利益なので、利息の影響を戻す必要があるためです。

借入金が多い企業や、受取利息など営業外収益が大きい企業の分析に向いています。利息は支払利息だけでなく、受取利息を差し引いた純額で調整する場合もあるため、分析の前に自社の基準を決めておきましょう。

STEP3:税引前当期純利益から求める

税引前当期純利益から求める場合は、支払利息と減価償却費に加え、特別損益を調整します。資産売却益や災害損失のような一時的な要因を除き、通常の収益力を見るためです。

STEP4:当期純利益から求める

当期純利益から求める方法は、EBITDAの定義に最も近い計算方法です。法人税等、支払利息、減価償却費、特別損益のすべてを調整して戻します。税制の違いまで調整して海外企業と比べたいときや、M&Aで精緻に評価したいときに使われます。

EBITDAを使うメリットとデメリットは?

EBITDAのメリットは異なる条件の企業を同じ基準で比べられる点で、デメリットは実際の現金の動きや設備投資の負担を反映しない点です。

EBITDAのメリット:比較しやすく、設備投資の影響を受けにくい

EBITDAは税金・金利・減価償却の違いを除くため、国や企業規模が異なっても収益力を比較しやすくなります。大規模な設備投資をした期は減価償却費が増えて営業利益が圧迫されますが、EBITDAなら投資の規模やタイミングによる会計上の影響を取り除いて事業の実力を確認できます。

EBITDAのデメリット:現金の動きや再投資の負担は見えない

EBITDAは簡易的なキャッシュ創出力にすぎず、企業に実際に残る現金を示すものではありません。次の支出や変動が反映されないためです。

  • 税金と支払利息の支払い
  • 設備を購入するための実際の支出(投資キャッシュフロー)
  • 売掛金の回収遅れや在庫増加などの運転資本の変動

また、減価償却費を足し戻すため、事業を維持するために必要な再投資の負担も見えにくくなります。EBITDAが同額の2社でも、設備更新が不要な事業と巨額の更新が必要な事業では、手元に残る現金がまったく異なります。EBITDAだけで投資判断をせず、他の指標と併用することが大切です。

EBITDAを使った指標は?EV/EBITDA倍率などの見方

EBITDAは、EV/EBITDA倍率、EBITDAマージン、有利子負債EBITDA倍率の3つの形でよく活用されます。それぞれ、割安度、収益性、返済能力を測る目安です。

EV/EBITDA倍率とは

EV/EBITDA倍率は、企業価値(EV)がEBITDAの何倍かを示す指標で、買収額を何年分の本業の稼ぎで回収できるかの目安になります。

計算式は次のとおりです。

EV/EBITDA倍率=EV÷EBITDA

倍率が低いほど短期間で回収できる、つまり割安と評価されるのが一般的です。たとえばEVが7,500万円でEBITDAが1,500万円なら5倍となり、単純計算では5年分で回収できる水準です(説明用の仮の数値)。

水準は業種や成長性によって大きく異なるため、同業他社との比較が欠かせません。

中小企業のM&Aでも、この手法がよく使われます。中小企業庁の「中小M&Aガイドライン(第3版)」の参考資料では、EV/EBITDA倍率法が多く用いられると説明されています。株式価値は次の式で算定します。

株式価値=EBITDA×EV/EBITDA倍率-純有利子負債(有利子負債-現預金)

同資料では、EBITDAを簡易的に「営業利益+減価償却費」で算定するケースが多いこと、中小企業は株式の流動性が低いため30%程度ディスカウントするケースもあることが示されています。

参考:中小M&Aガイドライン(第3版)関連資料|経済産業省(中小企業庁)

EV(企業価値)の求め方

EV(Enterprise Value、企業価値)は、企業を買収する際に実質的に必要となる金額を表し、次の式で求めます。

EV=時価総額+有利子負債-現金及び預金

株式の価格に、引き継ぐ借入金を加え、手元資金を差し引いたものと考えると分かりやすいでしょう。

EBITDAマージン(EBITDA率)とは

EBITDAマージンは、売上高に対するEBITDAの割合で、減価償却負担を除いた収益性を示します。

EBITDAマージン(%)=EBITDA÷売上高×100

営業利益率は減価償却費の影響を受けますが、EBITDAマージンはその影響を除いて比較できます。設備投資が少ないサービス業やIT業では高めに、薄利多売の小売業などでは低めに出る傾向があります。目安は業種で大きく変わるため、同業他社や自社の過去実績と比べて判断してください。

有利子負債EBITDA倍率とは

有利子負債EBITDA倍率は、有利子負債を何年分のEBITDAで返済できるかを示す、財務健全性の指標です。

有利子負債EBITDA倍率=有利子負債÷EBITDA

数値が低いほど返済能力が高く、財務が健全と評価されます。金融機関との対話でも使われる指標のため、自社の数値を把握しておくと役立ちます。

EBITDAと営業利益・EBIT・営業キャッシュフローの違いは?

EBITDAと他の指標の違いは、減価償却費を足し戻すか、実際の現金の動きまで反映するかにあります。

指標 内容 減価償却費の扱い 運転資本・税金の支払い
営業利益 売上高から売上原価と販管費を引いた本業の利益 差し引く 反映しない
EBIT 利払い前・税引前の利益 差し引く 反映しない
EBITDA EBITに減価償却費を足し戻した数値 足し戻す 反映しない
営業キャッシュフロー 本業で実際に増減した現金 非現金費用として調整 反映する

EBITDAと営業利益の違い

両者の違いは、減価償却費を費用として差し引くかどうかです。営業利益は設備投資のコスト(減価償却費)を反映した利益で、EBITDAはそれを足し戻した数値です。設備投資に積極的な企業は減価償却費が大きくなるため、営業利益は小さく、EBITDAは大きく出る傾向があります。

EBITDAとEBITの違い

EBITは利払い前・税引前の利益で、EBITDAはEBITに減価償却費(DとA)を足し戻したものです。

EBITDA=EBIT+減価償却費

EBITは営業利益とほぼ同義で使われることが多いものの、営業外損益の扱いによって厳密には営業利益と異なる場合があります。分析のときは、どの定義で算出された数値かを確認しましょう。

EBITDAと営業キャッシュフローの違い

EBITDAは運転資本の増減や税金の支払いを考慮しないため、営業キャッシュフロー(営業CF)とは別物です。EBITDAが黒字でも、売掛金の回収が滞ったり在庫が急増したりすれば、営業CFがマイナスになることがあります。資金繰りの確認には、営業CFの併用が必要です。

本ガイドではそんな、“いまさら聞けないけど、知っておかないと恥ずかしいかも”という基本用語を、ギュッとまとめました。1冊持っておきたい保存版としてぜひご利用ください。

実務に役立つ67の指標_用語大全

EBITDAを改善するには?

EBITDAを改善する基本は、売上を伸ばし、原価や経費を抑えて、本業の営業利益を増やすことです。

売上や営業利益を増やす

売上や営業利益が増えれば、EBITDAも増えます。EBITDAが増えると、EV/EBITDA倍率は下がり、買い手から見て割安で魅力的な企業と評価されやすくなります。売上を増やす方法には、商品やサービスの価格見直し、新規顧客の開拓、既存顧客への追加提案などがあります。

原価や経費を削減する

原価や経費を削減すると営業利益が増え、EBITDAの改善につながります。仕入先との条件見直し、外注費の精査、業務の効率化によるコスト削減などが代表例です。バックオフィス業務の効率化も、販管費を抑える有効な手段です。

有利子負債を減らす

有利子負債が減ると、有利子負債EBITDA倍率が改善し、財務の健全性が高まります。ただし、返済に現預金を使えばEVの計算上の現金も減るため、返済がそのままEV/EBITDA倍率の改善になるとは限りません。負債の返済は、返済能力を示す指標を改善する施策として捉えておくとよいでしょう。

EBITDAは複数の財務指標と組み合わせて経営判断に活かそう

EBITDAは、本業のキャッシュ創出力を簡易的に測る指標で、「営業利益+減価償却費」で計算できます。税率や設備投資の状況が異なる企業同士を比べるときに役立ち、EV/EBITDA倍率にすればM&Aでの企業価値評価にも使えます。

一方で、EBITDAは設備投資の負担や運転資本の変動を反映しません。企業の実態を正確につかむには、営業利益、EBIT、営業キャッシュフローなど複数の財務指標を組み合わせ、同業他社と比較して判断しましょう。

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よくある質問

EBITDAとは?

EBITDAは、企業価値評価の指標で「利払い前、税引き前、減価償却前」を意味しますが、とくに決まった訳語はなく、簡易的には営業利益に減価償却費を加えて計算します。詳しくはこちらをご覧ください。

EBITDAの計算方法は?

EBITDAは目的に応じていくつかの計算方法が存在しますが、最も多く利用されるのが営業利益+減価償却費です。本業の利益である営業利益と減価償却費を加えた金額なので、企業のキャッシュベースに近い金額がわかります。詳しくはこちらをご覧ください。


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