• 更新日 : 2020年9月17日

寄附金控除・損金算入の基礎知識

個人や会社などが寄附を行った場合、控除や一定限度額までの損金算入などを受けられます。

寄附金控除を受けることができたり損金に算入できたりする寄附金とはどのようなものを指すのか、寄附金控除や損金算入はどのぐらいの金額までみとめられるのかなどをみていきましょう。

寄附金控除の寄附金について

寄附金控除として所得控除の対象となるのは、特定寄附金に当てはまる寄附金です。

特定寄附金に該当するのは以下のとおりです。

・国や地方公共団体への寄附

・公益社団法人や公益財団法人、そのほか社会の利益を目的とする事業を行う法人・団体への寄附。

ただし、広く一般に募集され、公益を増進することが目的で、緊急を要することが確実であるという要件を満たし、財務大臣が指定したもの限る

・特定公益増進法人への主目的の業務に関する寄附(特定公益増進法人の一覧は財務省の「特定公益増進法人」を参照)

・信託財産のための特定公益信託(公益信託の中で、一定の要件を満たし受託者が主務大臣に認証されたもの)への支出認定NPO法人(一定の要件を満たすとして認められた特定非営利活動法人)に対する寄附(参照:所轄庁認定・仮認定NPO法人名簿(PDF))

・一定の要件を満たした政治活動への寄附

個人と法人での扱いの違い

寄附金について、その扱いは個人と法人で異なります。

個人の場合

寄附金控除の寄附金について

個人に場合、寄附金控除として所得控除の対象となるのは、特定寄附金に当てはまる寄附金です。

特定寄附金に該当するのは以下のとおりです。

・国や地方公共団体への寄附

・公益社団法人や公益財団法人、そのほか社会の利益を目的とする事業を行う法人・団体への寄附。

ただし、広く一般に募集され、公益を増進することが目的で、緊急を要することが確実であるという要件を満たし、財務大臣が指定したもの限る

・特定公益増進法人への主目的の業務に関する寄附(特定公益増進法人の一覧は財務省の「特定公益増進法人」を参照)

・信託財産のための特定公益信託(公益信託の中で、一定の要件を満たし受託者が主務大臣に認証されたもの)への支出、認定NPO法人(一定の要件を満たすとして認められた特定非営利活動法人)に対する寄附(参照:所轄庁認定・仮認定NPO法人名簿(PDF))

・一定の要件を満たした政治活動への寄附
国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対して行った特定寄附は、所得金額から寄附金額を差し引いた「寄附金控除」として扱われます。

「寄附金控除」の控除額は、「特定寄附金の合計額(年間)」から2,000円を引いたものです。ただし、所得金額の40%相当額を特定寄附金の合計額の限度額とします。

政治活動への寄附や認定NPO法人・公益社団等への寄附については、この「寄附金控除」の適用か、「寄附金特別控除(税額控除)」の適用か、どちらか有利なほうを選ぶことができます。

政党等への寄附では、年間総額から2,000円を引いたものの30%相当額が「政党等寄附金特別控除額」になります。

認定NPO法人への寄附では、年間総額から2,000円を引いたものの40%相当額が「認定NPO法人等寄附金特別控除額」になります。

公益社団法人等への寄附では、年間総額から2,000円を引いたものの40%相当額が「公益社団法人等寄附金特別控除額」になります。

なお、これら「寄附金特別控除」の合計は、所得金額の40%相当が限度になります。

さらに、「政党等寄附金特別控除額」は25%相当額、「認定NPO法人等寄附金特別控除額」と「公益社団法人等寄附金特別控除額」の場合は、合計の25%相当額を限度とする規定があります。

また、「寄附金控除」と「寄附金特別控除」を併用した場合に合計額から引くことができるのは、両方で2,000円までとなります。

法人の場合

法人が支出した寄附金の扱いは、その寄附金の区分によって次のようになります。

・国や地方公共団体および公益社団法人や公益財団法人、その他公益を目的とする事業を行う法人・団体への要件を満たした寄附(指定寄附金):全額損金算入

・特定公益増進法人への主目的の業務に関する寄附(指定寄附金):「特定公益増進法人に対する寄附金合計額」と「特別損金算入限度額({「資本金・出資額」×「当期月数/12」×「3.75/1,000」+「所得金額」×「6.25/100」}×1/2」のいずれか少ない金額を損金に算入(下記の一般寄附金損金算入限度額の枠が余っている場合は使用可能)

・上記のいずれにも該当しない寄附(一般寄付金):「一般寄附金合計額」と「一般損金算入限度額({「資本金等額」×「当期月数/12」×「2.5/1,000」+「所得金額」×「2.5/100」}×1/4)」のいずれか少ない金額を損金に算入

寄附金の損金算入で注意しなければならないのは、実際に支出していることが要件である点です。

一般的な損益の経理上の処理では、未払計上が可能です。これが寄附金の場合には認められず、実際に決済されている必要があります。

東日本大震災に関係する義援金について

個人で支出した東日本大震災に関連する義援金については、一定の要件に該当する「震災関連寄附金」であれば寄附金控除の対象になります。

具体的には、「(「特定寄附金の合計額」+「震災関連寄附の合計額」)-2,000円」が寄附金控除額になります。

ただし、限度額については、特定寄附金(震災関連寄附金以外)の合計額は所得金額の40%相当額に当たる額、震災関連寄附との合計額は80%相当額に当たる額となります。

「震災関連寄附金」に該当するものについては、「東日本大震災に係る義援金等に関する税務上(所得税、法人税)の取扱いについて|国税庁」を参照してください。

また、「災害ボランティア・NPO活動サポート基金(社会福祉法人中央共同募金会)」および認定NPO法人への被災者支援関連の寄附については、「特定震災指定寄附金」として「寄附金控除(所得控除)」か「税額控除」のどちらかを選ぶことができます。

法人に関しては、義援金、国または地方公共団体への寄附か「指定寄附金」であれば、寄附して額の全てを損金に算入できます。

なお、控除や損金算入の適用を受けるためには、領収証等の必要書類を添付しての確定申告が必要です。

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