- 更新日 : 2026年7月27日
クリーニング代の勘定科目は?仕訳例と経費にできる条件を解説
クリーニング代は内容と目的に応じて複数の勘定科目を使い分けられます。
- 従業員の制服や作業着は福利厚生費で処理する
- 顧客向けのタオルやリネンは衛生費でまかなう
- 少額で突発的なものは雑費にまとめる
勘定科目は自社で運用ルールを決め、原則として継続して使いましょう。
作業着や制服、顧客用のリネン類のクリーニング代は事業の経費にできます。ただし、目的や対象によって使う勘定科目が変わるため、判断に迷う担当者は少なくありません。
この記事では法人と個人事業主に分け、勘定科目の選び方と仕訳例、経費にできる条件を整理して解説します。
クリーニング代の勘定科目はどう選ぶ?
クリーニング代の勘定科目は「誰のための支出か」「どのような性質の支出か」で判断します。同じクリーニング代でも、従業員の作業着なら福利厚生費、顧客用のタオルなら衛生費というように、対象と目的で選択肢が変わるためです。
判断に迷ったときは、次の観点で整理するとわかりやすくなります。
- 誰のための支出か:従業員/顧客/事業所全体
- 取引の性質:定期的か、突発的か、資産の原状回復か
- 金額の重要度:経営への影響と管理のしやすさ
このあと法人で使える主な勘定科目を順に見ていきます。
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法人がクリーニング代に使える勘定科目【一覧と仕訳例】
法人では、対象と目的に応じて複数の科目を使い分けます。
はじめに、使い分けの全体像を一覧で確認しましょう。
| 勘定科目 | 主な用途 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 福利厚生費 | 従業員の制服・作業着 | 全員対象・私用不可 |
| 衛生費 | 顧客用のタオル・リネン | 顧客の衛生環境のため |
| 外注費 | 業者への定期清掃・委託 | 契約に基づく外部委託 |
| 修繕費 | 退去時の原状回復 | 資産の維持・回復 |
| 雑費 | 少額・突発的なクリーニング | 年間で大きくならない場合 |
| クリーニング費 | 独立科目として管理する場合 | 金額が大きく単独管理したい場合 |
福利厚生費:従業員の制服・作業着のクリーニング
従業員の制服や作業着など、業務で着用する衣服のクリーニング代は福利厚生費で処理できます。
工場の作業服、飲食店のユニフォーム、旅館の浴衣、ホテルスタッフの制服など、業務上の必要から会社が支給した衣服が対象です。
福利厚生費として処理するには、次の条件を満たす必要があります。
- 一般に全従業員を対象としていること(特定の役員や一部の社員だけだと給与扱いになる可能性)
- 業務上、その制服や作業着の着用が必要であること
- 私用では使わない衣服であること
特定の役員の作業着だけ会社が負担すると、税務上は給与とみなされて源泉徴収の対象になりやすくなります。社内で「福利厚生規程」など書面のルールを整備しておくと、税務調査でも説明しやすくなります。
仕訳例:従業員全員の作業着をクリーニングに出し、クリーニング代1万円を現金で支払った
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 福利厚生費 10,000円 | 現金 10,000円 |
衛生費:顧客用のタオル・リネンのクリーニング
お客様向けのタオルやおしぼり、シーツなどのクリーニング代は衛生費で処理します。
飲食店のおしぼり、美容院やエステサロンのタオル、ホテルや旅館のシーツや枕カバー、クリニックの白衣など、サービス業で顧客に提供する物品のクリーニング代が該当します。
福利厚生費との違いは「誰のため」の支出かという点です。従業員のためなら福利厚生費、顧客のためなら衛生費と区別すると一つの目安として判断しやすくなります。会社によっては「衛生管理費」という名称を使うこともあります。
仕訳例:飲食店のおしぼりのクリーニング代2万円を現金で支払った
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 衛生費 20,000円 | 現金 20,000円 |
外注費:業者への定期清掃・委託
特定の業者と契約を結び、定期的に清掃やクリーニングを委託する場合は外注費で処理します。
外注費の対象となる支出には、次のようなものがあります。
- 工場の作業服を特定業者にまとめて委託している
- オフィスの定期清掃を業者に委託している
- 玄関マットやモップのレンタル交換とクリーニング
- アパート経営における害虫駆除や定期的なハウスクリーニング
外注費のポイントは「定期的・契約ベース」であることです。突発的な依頼ではなく、継続的なサービス提供に対して支払う場合に用います。
仕訳例:作業服のクリーニングを業者に委託し、今月分5万円を普通預金から支払った
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 外注費 50,000円 | 普通預金 50,000円 |
修繕費:退去時の原状回復ハウスクリーニング
賃貸物件の退去時に行う原状回復のためのハウスクリーニング代は、修繕費で処理することもあります。
入居者が退去した後の部屋を、次の入居者のために清掃する場合が典型例です。日常的な清掃というよりも、物件という資産の価値を維持し、再び貸し出せる状態に戻す行為になるため、外注費ではなく修繕費とする運用も見られます。
外注費との使い分けは「何をきっかけに行うクリーニングか」で考えると判断しやすくなります。時間の経過や契約に基づく定期清掃なら外注費、退去や工事など特定のイベントを契機とした原状回復なら修繕費という整理が一般的な目安です。
仕訳例:賃貸アパートの退去にともなうハウスクリーニング代7万円を現金で支払った
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 修繕費 70,000円 | 現金 70,000円 |
雑費:少額・突発的なクリーニング
他の勘定科目に該当せず、発生頻度も金額も小さいクリーニング代は雑費で処理できます。
たとえば、来客が誤って汚した絨毯のシミ抜きや、接待中に取引先の衣服を汚してしまった際のクリーニング代など、突発的に発生する少額の支出が雑費の対象です。
ただし、雑費が年間で多額になると会計の透明性が下がり、税務調査で内訳の説明を求められる可能性があります。同じ内容のクリーニング代が継続的に発生するようになったら、福利厚生費や衛生費など適した科目に切り替えるか、後述するクリーニング費の新設を検討しましょう。
仕訳例:来客が汚した絨毯のシミ抜きクリーニング代3,000円を現金で支払った
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 雑費 3,000円 | 現金 3,000円 |
クリーニング費:独立科目として管理する場合
クリーニング代の発生頻度が高く金額も大きい場合は、クリーニング費という独立した勘定科目で管理することもできます。
勘定科目は法律で厳密に決まっているわけではなく、企業が経営実態に合わせて自由に設定できる範囲があります。ホテル業や宿泊施設、大規模な飲食チェーン、製造工場など、クリーニング代が経営にとってインパクトの大きい支出になる事業では、独立科目を新設すると予算管理や前年比較がしやすくなります。
会計ソフトを利用している場合は、勘定科目の設定画面から新規科目を追加できます。一度設定したルールは、その後も継続して適用しましょう。
仕訳例:従業員の作業着のクリーニング代5万円を普通預金から支払った(クリーニング費で管理)
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| クリーニング費 50,000円 | 普通預金 50,000円 |
個人事業主のクリーニング代は経費にできる?判断基準と勘定科目
個人事業主がクリーニング代を経費にできるのは、その支出が事業に直接関連している場合に限られます。
法人と異なり、個人事業主は事業とプライベートの境界があいまいになりがちです。経費に計上するなら、その費用が事業の売上のために必要だったことを、客観的に説明できる状態にしておきます。
個人事業主が使う勘定科目は、主に「外注費」「雑費」「クリーニング費」です。事業主自身や家族従業員に対する「福利厚生費」は原則として使えないため、注意しましょう。
個人事業主が経費にできる衣服・できない衣服
事業でのみ使う衣服のクリーニング代は経費にできますが、プライベートでも使う衣服は経費にできません。
経費にできる代表例は次のとおりです。
- 工事現場で着る作業着のクリーニング代
- 厨房で着用する白衣やコックコートのクリーニング代
- 経営しているアパートの部屋のハウスクリーニング代
- 長期出張中、出張先で出したスーツのクリーニング代
一方、私用でも着るスーツやシャツなど、生活と兼用する衣服のクリーニング代は経費として認められません。
スーツのクリーニング代を経費にする条件
スーツのクリーニング代が経費になるかは「事業でのみ使うことを客観的に説明できるか」で決まります。
仕事と私用の両方で着る一般的なスーツは、家事上の支出(プライベート費用)と扱われるため、原則として経費にできません。
ただし、次のようなケースでは経費として認められる可能性があります。
- 特定の講演会や式典専用の衣装で、私用では一切着ない場合
- 長期出張中にやむを得ず出したクリーニング代
ポイントは「このスーツが事業専用であることをどう証明するか」という視点です。経費にする場合は、着用した会議の日時や相手先、目的を業務日報に記録しておくと、税務調査の際に説明しやすくなります。
自宅兼事務所のハウスクリーニング代は家事按分する
自宅の一部を事務所として使っている場合、ハウスクリーニング代は事業使用部分だけを経費にできます。
事業とプライベートが混在する支出は「家事関連費」と呼ばれ、業務遂行上必要な部分が明らかに区分できる場合に限って必要経費に算入できると所得税法施行令第96条に定められています。
按分の方法には主に2つあります。
- 面積基準:事業用スペースの面積で按分(広く使われる方法)
- 時間基準:事業で使用している時間の割合で按分
たとえば、自宅全体が60平方メートル、事業用スペースが15平方メートルの場合、事業割合は25%です。ハウスクリーニング代が8万円なら、経費にできるのは8万円×25%=2万円となります。残りはプライベート分として「事業主貸」勘定で処理します。
仕訳例:自宅兼事務所のハウスクリーニング代8万円を支払い、事業割合25%で按分した
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 外注費 20,000円 | 現金 80,000円 |
| 事業主貸 60,000円 |
按分の根拠は、面積を示す間取り図や業務時間を記録した日報など、第三者にも説明できる資料を残しておきましょう。
コインランドリー代・洗濯代の勘定科目と処理方法
コインランドリーや自社の洗濯機で作業着を洗った場合も、クリーニング代と同じように経費として処理できます。
コインランドリーは外部委託ではなくセルフサービスですが、業務で使う衣服を洗うために支払った費用は事業関連の支出です。勘定科目はクリーニング代と同じ考え方で選びます。
コインランドリーで作業着を洗った場合の勘定科目
コインランドリーで作業着を洗った場合は、頻度や金額に応じて雑費・福利厚生費・外注費から選びます。
判断の目安は次のとおりです。
- 突発的・少額の利用は雑費
- 従業員の作業着を定期的に洗っている場合は福利厚生費
- 業者と契約してまとめて洗濯を委託している場合は外注費
コインランドリーは外部の事業者が運営する設備ですが、定期契約に基づくサービスではないため、外注費よりも雑費や福利厚生費で扱うことが多くなります。
領収書が出ないときは出金伝票で対応する
無人のコインランドリーなど領収書が発行されない場合は、自分で出金伝票を作成して保存します。
経費計上には原則として領収書やレシートが必要ですが、無人サービスでは発行されないケースがあります。その場合は、次の項目を記入した出金伝票を作成しましょう。
- 支払日
- 支払先(例:◯◯コインランドリー)
- 金額
- 内容(例:作業着の洗濯代)
利用日時や金額がわかる写真、店舗の所在地メモなども補完的な資料として残しておくと、税務調査での説明がしやすくなります。出金伝票は文房具店や会計ソフトのテンプレートで作成できます。
クリーニング代を経費計上する際の注意点
クリーニング代を経費にする際は、勘定科目の統一・継続適用・インボイス対応の3点に注意します。
法人・個人事業主を問わず、これらを守らないと税務調査で指摘される可能性があるため、社内で運用ルールを整理しておきましょう。
業種・目的・頻度に合わせて勘定科目を統一する
同じ内容のクリーニング代は社内で同じ勘定科目に統一しましょう。
同じ「作業着のクリーニング代」でも、部署ごとに福利厚生費・雑費・外注費とばらばらに処理されていると、会計の透明性が失われます。税務調査では会計処理の整合性も確認されるため、社内マニュアルなどで勘定科目の運用ルールを明文化しておくのが効果的です。
一度決めた勘定科目は途中で変更しない
会計には「継続性の原則」があり、合理的な理由なく勘定科目を変更することは避けます。
ある期は外注費、次の期はクリーニング費というように、明確な理由なく勘定科目を切り替えると、期間ごとの業績比較が困難になります。税務署からも会計処理の信頼性が低いと判断される恐れがあります。
事業内容の変更などの合理的な理由があれば変更も可能ですが、その際は変更理由を社内で明確にしておきましょう。
インボイス制度に合わせて適格請求書を確認する
消費税の仕入税額控除を受けるには、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。
クリーニングはサービスの提供にあたるため、その代金は消費税の課税対象になります。2023年10月から始まったインボイス制度では、原則として適格請求書発行事業者からの請求書がないと仕入税額控除を受けられません。
ただし、免税事業者からの仕入れについても一定期間は経過措置が設けられています。経過措置の適用期間や控除割合は税制改正によって変動するため、最新の取扱いは国税庁の公式情報を確認しましょう。
衣類以外のクリーニング代はどの勘定科目で処理する?
エアコンや店舗、車両などのクリーニング代も、対象と目的に応じて外注費・修繕費・雑費から選びます。考え方は衣類のときと同じで、定期的に委託するなら外注費、退去や工事を機にした原状回復なら修繕費、突発的で少額なら雑費が目安です。対象物ごとの早見は次のとおりです。
| 対象 | 主な勘定科目 | 判断の目安 |
|---|---|---|
| エアコン・厨房機器の洗浄 | 外注費(または修繕費) | 定期委託は外注費、故障回復は修繕費 |
| 店舗・オフィスの定期清掃 | 外注費 | 契約にもとづく継続的な委託 |
| 退去・工事時の原状回復清掃 | 修繕費 | 貸し出せる状態に戻す支出 |
| 害虫駆除・ダクト清掃 | 外注費 | 定期的な衛生管理として委託 |
| 社用車の洗車・室内清掃 | 雑費(または車両費) | 少額・不定期なら雑費 |
詳しい考え方は、前述の外注費・修繕費・雑費の項目を参照してください。なお、高額になる工事や設備の入れ替えは、修繕費ではなく資産として計上が必要になるケースもあります。
クリーニング代など勘定科目の判定に悩む経理担当者は多い
クリーニング代をはじめ、経費の仕訳時にどの勘定科目を使うべきか迷う経理担当者は少なくありません。マネーフォワードが実施したアンケート調査では、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業は「適切な勘定科目や消費税区分(課税・非課税等)の判定」で、36.8%でした。
日々の仕訳業務における工数のボトルネック
調査結果では、勘定科目の判定に次いで「銀行明細やクレジットカード明細と帳簿の突合作業」が34.5%、「インボイス制度(適格請求書発行事業者の確認等)への対応」が27.2%、「証憑(領収書・請求書)の回収と内容の確認」が25.2%と続いています。この結果から、多くの経理担当者が日々の勘定科目の判断や目視での明細突合、法制度への対応に大きな負担を感じていることが読み取れます。
クリーニング代の仕訳においても、あらかじめ会社独自のルールを明確に定めておくことで、日々の判断における工数削減や業務効率化につながります。
出典:マネーフォワード クラウド、仕訳作業の工程において最も工数がかかっている作業【勘定科目に関する調査データ】(回答者:アンケート回答者881名のうち仕訳業務関与者、集計期間:2026年3月実施)
クリーニング代の勘定科目は会社の状況に合わせて選ぼう
クリーニング代の勘定科目は、福利厚生費・衛生費・外注費・修繕費・雑費・クリーニング費の中から、対象と目的に合わせて選びます。法人なら誰のための支出か、個人事業主なら事業に直接関連しているかが判断の軸です。
選択肢が複数あるからこそ、社内で運用ルールを決めて継続的に適用することが大切です。同じクリーニング代でも担当者ごとに勘定科目が違うことのないよう、明文化したルールに沿って処理しましょう。
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よくある質問
クリーニング代の仕訳に使える勘定科目は?
「福利厚生費」「衛生費」「外注費」「雑費」「クリーニング費」などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主がクリーニング代を経費にできるのはどんなとき?
経費にできるのは、仕事(事業)で使っていることが明らかな衣服に対するクリーニング代です。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主がクリーニング代を経費にできないのはどんなとき?
経費にできないのは、仕事(事業)で使っていない(明らかでない)衣服に対するクリーニング代です。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
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