• 更新日 : 2026年9月15日

電子記録債権割引(でんさい割引)とは?利用方法や仕訳、メリットも解説

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Pointでんさい割引とは何か?

電子記録債権割引(でんさい割引)とは、支払期日前にでんさいを金融機関へ譲渡し、割引料を差し引いた資金を早期に受け取る資金調達方法です。

  • 利用には金融機関の審査が必要
  • 債権を分割して必要額だけ資金化可能
  • 不払い時は買戻しを求められる場合あり

Q. でんさい割引の割引料はどう計算する?

A. 「債権金額×割引率(年率)×残存日数÷365」で算出し、譲渡記録手数料などを加えた額が債権金額から差し引かれます。

電子記録債権割引(でんさい割引)とは、金融機関などに依頼して期日前に電子記録債権(でんさい)を資金化することです。利用する際は、金融機関などとの契約が必要な点や手数料が発生する点などに注意しましょう。

本記事では、電子記録債権割引(でんさい割引)を利用するメリットや注意点に加え、仕訳方法も解説します。

電子記録債権割引(でんさい割引)とは?

電子記録債権割引(でんさい割引)とは、支払期日前のでんさいを金融機関へ譲渡し、期日前に資金化する方法です。紙の手形割引に近い仕組みですが、手形の現物を持ち込まず、電子的な譲渡記録によって手続きを行います。

でんさい割引は支払期日前に債権を資金化する方法

でんさいを受け取った企業は、支払期日まで保有すれば原則として口座へ自動入金されます。早期に運転資金を確保したい場合は、取引金融機関へでんさい割引を申し込みます。

金融機関の審査に通ると、でんさいを金融機関へ譲渡し、債権金額から割引料や手数料を差し引いた金額を受け取れます。紙の手形割引と異なり、手形の郵送・保管や窓口への持込みは不要です。

利用には金融機関の審査と手数料が必要

でんさい割引を利用できるかどうかは、申込企業や債務者の信用力、支払期日までの期間、債権金額などを踏まえて金融機関が判断します。そのため、でんさいを保有していれば必ず資金化できるわけではありません。

また、割引料や譲渡記録に関する手数料がかかり、受取額は債権金額を下回ります。支払期日に債務者が支払不能となった場合、でんさいの譲渡に原則として譲渡保証記録が随伴するため、譲渡人が電子記録保証人として支払責任を負う可能性があります。

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電子記録債権割引(でんさい割引)とファクタリングの違いは?

でんさい割引とファクタリングは、どちらも売掛債権などを支払期日前に資金化する方法です。ただし、対象となる債権や契約の仕組み、審査対象、支払不能時の責任などが異なります。

でんさい割引は電子記録債権を金融機関へ譲渡する

でんさい割引は、保有するでんさいを金融機関へ譲渡し、割引料や手数料を差し引いた金額を受け取る方法です。利用には、でんさいの利用契約と金融機関の審査が必要です。

審査では、申込企業だけでなく、でんさいの債務者の信用力なども確認されます。また、債務者が支払不能となった場合、契約内容によっては、申込企業が金融機関から買戻しや支払いを求められる可能性があります。

ファクタリングは売掛債権を専門会社などへ売却する

ファクタリングは、請求書などに基づく売掛債権をファクタリング会社へ売却し、支払期日前に資金化する方法です。でんさいを利用していない企業でも利用できます。

一般的な償還請求権のない契約では、売掛先が倒産しても利用企業に買戻し義務はありません。契約内容によって取扱いが異なり、手数料はでんさい割引より高くなる場合があります。

電子記録債権割引(でんさい割引)の仕組みは?

「でんさい」を使った取引の流れをベースに、電子記録債権割引(でんさい割引)の仕組みを解説します。

そもそも、「でんさい」で取引するには、支払企業が金融機関に発生記録を請求して「でんさい」を発生させる方法と、支払企業がすでに保有している「でんさい」で支払う方法があります。支払企業がすでに受け取っている「でんさい」を使って納入企業に支払う仕組みを以下の図の左にまとめました。

merit of densai

金融機関を通じて譲渡記録通知(「でんさい」を発生させた場合は発生記録通知)を受けた納入企業は、支払期日になったら指定口座で代金を受け取れます。

そこで、代金を支払期日より早く受け取る必要がある場合は、納入企業が金融機関に受け取った「でんさい」の割引を申し込むことがあります(右図1)。ただし、でんさい割引を利用するには申し込む金融機関の審査で承認を得なければなりません。

申し込みを受け付けた金融機関は、「でんさいネット」に譲渡記録を請求します(右図2)。その後「でんさいネット」で譲渡記録が成立し(右図3)、金融機関が譲渡記録の通知を受けたら(右図4)、納入企業に割引料を引いた分の金額を入金する(右図5)、というのがでんさい割引の仕組みです。

電子記録債権割引(でんさい割引)の利用方法・流れは?

電子記録債権割引(でんさい割引)の利用方法は、金融機関や貸金業者によって異なります。一般的な流れは、以下のとおりです。

  1. 商取引後、納入企業が「でんさい」を受け取る(発生記録通知・譲渡記録通知を受ける)
  2. 納入企業が受け取った「でんさい」の割引を取引銀行に申し込む
  3. 取引銀行で審査し、審査結果を納入企業に通知する
  4. 承認の場合は、「でんさい」の譲渡手続きを進める(「でんさいネット」への譲渡記録請求)
  5. 譲渡記録成立後、取引銀行が納入企業に割引料を引いた金額を振り込む

なお、銀行によっては「でんさい」の利用にインターネットバンキング・ビジネスダイレクトの契約が必要な場合があります。利用時には、取引銀行に確認しておきましょう。

電子記録債権割引(でんさい割引)を利用したときの仕訳は?

電子記録債権割引(でんさい割引)を利用したときの仕訳のやり方は、基本的に手形債権の場合と同様です。ここから、商取引・「でんさい」の発生・でんさい割引の実行の3段階に分けて、でんさい割引を利用する納入企業の仕訳例を解説します。

まず、納入企業が支払企業(A社)に200万円の商品を販売した際の仕訳例が、以下のとおりです。

借方 貸方 摘要
売掛金 2,000,000円 売上 2,000,000円 A社へ〇〇販売

 

続いて、商品の代金としてA社から「でんさい」の発生記録通知を受け取る場合に、以下のように仕訳をします。

借方 貸方 摘要
電子記録債権 2,000,000円 売掛金 2,000,000円 A社「でんさい」受領

 

最後に、金融機関にでんさい割引を申し込み、割引が実行された際の仕訳例が以下のとおりです。

借方 貸方 摘要
当座預金 1,900,000円 電子記録債権 2,000,000円 でんさい割引の実行(割引料5%)
電子記録債権売却損 100,000円

割引にあたって引かれる手数料(割引料)については、上記のように「電子記録債権売却損」として計上します。

電子記録債権割引(でんさい割引)を利用するメリットは?

でんさい割引には、支払期日前に資金を確保できるだけでなく、紙の手形を持ち込む手間を省き、必要な金額だけ資金化できるメリットがあります。資金繰りの状況に合わせて、電子記録債権を柔軟に活用できます。

支払期日前に運転資金を確保できる

でんさい割引を利用すると、支払期日まで待たずに電子記録債権を金融機関へ譲渡し、割引料や手数料を差し引いた資金を受け取れます。売掛代金の回収前に仕入代金や人件費などの支払いがある場合でも、資金繰りを調整しやすくなります。

ただし、利用には金融機関の審査があり、必ず資金化できるわけではありません。

必要な金額だけ分割して資金化できる

でんさいは、債権の一部を分割して譲渡できます。たとえば100万円のでんさいのうち40万円だけを割引し、残り60万円を支払期日まで保有することが可能です。

紙の手形は一枚の券面を分割できませんが、でんさいなら必要額に合わせて資金化できるため、割引料の負担を抑えながら資金を確保しやすくなります。

紙の手形より手続きを効率化できる

でんさい割引では、紙の手形を金融機関の窓口へ持ち込んだり、郵送・保管したりする必要がありません。金融機関のインターネットバンキングなどを通じて譲渡記録を行うため、紛失・盗難のリスクや事務負担を軽減できます。

取引内容も電子的に記録されるため、債権の金額や期日、譲渡状況を確認しやすい点もメリットです。

電子記録債権割引(でんさい割引)を利用するときの注意点は?

でんさい割引は支払期日前に資金を確保できる一方、割引料や審査、不払い時の責任に注意が必要です。資金化できる金額だけで判断せず、契約条件や債務者の信用力、会計処理まで確認したうえで利用しましょう。

割引料や手数料を事前に確認する

でんさい割引では、債権金額から割引料や譲渡記録手数料などが差し引かれるため、額面どおりの金額は受け取れません。割引率や手数料は金融機関、支払期日までの日数、申込企業や債務者の信用状況によって異なります。

分割して必要額だけ資金化すれば費用を抑えられる場合もありますが、最低手数料が設定されていることもあります。実際の入金額を確認し、ほかの資金調達方法とも比較しましょう。

金融機関の審査に通るとは限らない

でんさいを保有していても、必ず割引を利用できるわけではありません。金融機関は、申込企業の財務状況や取引実績に加え、でんさいの債務者の信用力、支払期日、債権金額などを審査します。

支払期日が近い場合や債務者の信用状態に懸念がある場合は、申込みを断られる可能性があります。資金が必要になる直前ではなく、余裕を持って相談することが重要です。

支払不能時の責任を契約で確認する

支払期日に債務者の口座残高が不足すると、でんさいは支払不能となります。でんさいを譲渡する場合、原則として譲渡保証記録が随伴するため、譲渡人は電子記録保証人となります。そのため、支払期日に債務者が支払不能となった場合には、譲渡人が電子記録保証人として支払責任を負う可能性があります。

そのため、「譲渡すれば回収リスクがすべて金融機関へ移る」とは限りません。保証責任や買戻し義務、支払不能時の手続き、会計上の処理を契約書で確認しておきましょう。

電子記録債権割引(でんさい割引)の割引料はどう計算する?

でんさい割引の割引料は、一般に債権金額、金融機関が設定する年率、支払期日までの日数を基に計算します。実際には譲渡記録手数料や最低手数料などが加算される場合があるため、金融機関の見積額を確認する必要があります。

割引料は債権金額・年率・残存日数から計算する

割引料の一般的な計算式は、次のとおりです。

割引料=電子記録債権の金額×割引率(年率)×支払期日までの日数÷365日

300万円のでんさいを、年3%、支払期日まで60日という条件で割り引く場合、割引料の概算は次のようになります。

300万円×3%×60日÷365日=約14,795円

この場合、割引料のみを差し引いた受取額は、約298万5,205円です。

実際の受取額には各種手数料も影響する

実際の受取額は、債権金額から割引料だけでなく、譲渡記録手数料や振込手数料などを差し引いて計算します。

受取額=電子記録債権の金額-割引料-各種手数料

割引率は、申込企業や債務者の信用力、支払期日までの期間、金融機関との取引状況などによって異なります。また、金融機関によっては日数計算に366日を用いたり、最低手数料を設定したりする場合があります。申し込む前に、適用される割引率、手数料、最終的な入金額を確認しましょう。

手形の廃止に向けた動きが電子記録債権割引(でんさい割引)に与える影響は?

紙の手形の利用縮小に伴い、手形割引の代替手段として、でんさい割引の利用機会が増えると考えられます。利用者が増えても審査や割引料、支払不能時の責任がなくなるわけではありません。

紙の手形割引からでんさい割引への移行が進む

電子交換所における紙の手形・小切手の交換は、2027年3月31日に廃止されます。また、多くの金融機関が2026年9月30日を最終振出期限としているため、新たに紙の手形を受け取り、手形割引に利用する取引は減少します。

でんさいは金融機関への譲渡によって期日前に資金化できるため、従来の手形割引に代わる方法として利用拡大が見込まれます。政府や銀行界も、紙の手形からでんさいや銀行振込への切替えを推進しています。

参考:手形・小切手機能の全面的な電子化について|金融庁

分割割引によって必要な金額だけ資金化しやすくなる

紙の手形は券面金額の一部だけを分割して割り引くことができません。でんさいでは債権を分割譲渡できるため、必要な金額だけ金融機関へ譲渡して資金化できます。

たとえば300万円のでんさいのうち100万円だけを割り引き、残りを支払期日まで保有することも可能です。必要以上の割引を避けられるため、割引料の負担を調整しやすくなります。ただし、取扱可否や審査基準、所要時間は金融機関によって異なります。

審査や支払不能リスクは引き続き残る

手形廃止に伴ってでんさい割引の利用が広がっても、保有するでんさいを必ず割り引けるわけではありません。金融機関は、申込企業や債務者の信用力、支払期日、債権金額などを審査します。

また、債務者が支払期日に決済できなければ支払不能となり、契約内容によっては利用企業が買戻しや支払いを求められる可能性があります。企業は、手形割引から名称だけを置き換えるのではなく、利用契約、手数料、保証責任、会計処理を確認したうえで移行する必要があります。

電子記録債権割引(でんさい割引)は期日前に現金化する手法

電子記録債権割引とは、電子化された金銭債権(電子記録債権)を期日よりも前に金融機関や貸金業者に譲渡し、割引料を引いた分の現金を得る資金調達手段です。

手元資金に余裕がない際に、スピーディーに現金を得られる点がメリットとして挙げられます。ただし、手数料・割引料がかかる点や、あらかじめ電子記録債権(でんさい)の契約が必要な点に注意が必要です。

自社の取り巻く状況を踏まえ、電子記録債権割引(でんさい割引)の必要性を判断しましょう。

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