• 更新日 : 2020年9月17日

ABC分析を極める!パレートの法則、ロングテール理論との関係は?

事業で取り扱う商品にも売れ筋のものとそうで無いものがあると思います。

人気の違う商品に、それぞれどれくらい手間をかけて管理すれば良いのかという疑問には、本稿で解説するABC分析が役立つかもしれません。

また、記事の後半では、パレートの法則やロングテール理論といった考え方を用いて、商品の効率的な管理方法をご説明します。是非、本稿を商品の管理にお役立てください。

ABC分析とは

ABC分析とは、商品を売上高などの重要度によって分類する方法で、重点分析などと呼ばれることもあります。

例えば、重要度を売上高として、売上高の順に取扱商品を並べ、累積売上高割合が70%を占める商品グループをA、70%~90%の商品グループをB、90%~100%の商品グループをCといったグループ分けを行います。

その結果、売上高への貢献度の高いAグループに分類された商品は、商品発注、在庫管理、販売管理などにおいて重点的に管理を行い、逆にCグループの商品は簡易な管理を行うことが、より効果的であるといえます。

もちろん重要度は売上高だけとは限りません。売上総利益や販売個数なども重要度となり得ますので、事業の実態に合わせて複数の重要度によって分析することが大切です。

ABC分析の分類方法と利用方法

言葉だけではわかりにくいと思いますので、実際に数値例を用いてご説明します。

ABC分析_データ

上図は、架空の家電量販店における、比較的大型の商品を売上高の多い順に並べ、合計売上高に占める割合とその累計割合を算出したものです。

品目別の売上割合の大きなものから足していき、累計売上割合が70%に達するパソコンとテレビをAグループ、累計売上割合が80%~90%の範囲にあるカメラ、電子レンジ、DVDプレイヤーをBグループ、それ以外の品目をCグループに分類しました。

このように取扱商品をお店全体の売上高への貢献度によってA、B、Cのグループに分けるのがABC分析の第一歩です。

しかし、単に商品をグルーピングしただけではABC分析をする意味がありません。ここから各商品の管理方針を決定することで、管理の効率化を図らなければなりません。

例えば、このお店では在庫管理についての方針を決定するために商品をグルーピングしたとします。そして、このグルーピングに基づき、以下のように在庫管理方法を行うこととしました。

・Aグループ
倉庫の保管場所については最大限広く確保する。過去の販売データを用いて、アイテム別の精緻な販売予測を行う。さらに、発注から納品までのリードタイムを考慮して、在庫が切れることのないよう発注を行う。

・Cグループ
倉庫には1種類につき1つのみ確保。販売予測は行わず、在庫がなくなった時に発注を行い、在庫切れによる機会損失もある程度は許容する。また、今後の動向によっては取扱いの中止を検討する。

・Bグループ
AグループとCグループの中間的な在庫管理。具体的には、適度な販売予測に基づき、毎月または在庫がなくなった時に発注を行う。

このように管理方法に強弱をつけることで、効率的に管理を行うことが最終的な目的となります。

ABC分析の他の管理方法との関係は?

読者の方の中にはパレートの法則というものをご存知の方もいらっしゃるかもしれません。

パレートの法則には様々な例が挙げられますが、取扱商品の場合には「商品の売上高の8割は、全商品のうちの2割の品目が生み出す」といった考え方を指します(この理論は、経済学者のパレートが発見した経験則で、経済以外の自然現象や社会現象についても応用できると考えられています)。

このように、パレートの法則は主力製品の重要性を強調する経験則ですので、ABC分析はこのパレートの法則に基づく管理方法だということがわかります。これらの理論によると、Cグループに分類された商品は、管理コストを削減するため取扱いの中止を検討することとなります。

しかし、最近ではインターネットを使った商品販売形態が増えてきました。これまでの店頭販売ではめったに購入されることのなかったCグループに属する商品も、インターネット上で希望者に検索されることによって、購入される機会が格段に増えました。

そして、インターネット販売では、店頭販売に比べ在庫のためのコストが安く済みますので、こういった売れ筋以外の商品の需要に応えるお店が増えてきました。そうすると、お店としてはますますCグループに属する品目が増えることになり、現在ではその影響が無視できなくなっています。

これをロングテール理論と言います。

ABC分析_グラフ

上図で言うと、ABC分析ではCグループに属する、G~Zのような商品がロングテールに該当します。これらの商品は個別の売上高は少ないのですが、ロングテールによって合計の売上高が全体に与える影響は大きくなっています。

まとめ

ABC分析やパレートの法則は取扱商品を重要度で分類し、管理方法を決定するには優れた方法です。しかし、近年では、インターネット販売の特徴である、検索機能と在庫コストの削減によって、Cグループに属する商品への需要が増え、全体の売上高に与える影響が大きくなってきています。

そのためABC分析のような管理方法に加え、売れ筋以外の商品については、ロングテール理論を用いた管理方法を行うなど、商品の適正に応じた管理方法を用いることで、より効率的な商品管理が実現できるでしょう。

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