- 更新日 : 2024年8月8日
灯油代の勘定科目と仕訳についてわかりやすく解説!
事業所で暖をとるため、ストーブの燃料になる灯油を購入することもあるかと思います。購入した灯油は事業の費用として計上できますが、どのような勘定科目に割り振るのが適切なのでしょう。
事業で灯油が出てくるケースには製造業の連産品などもありますが、この記事では一般的な暖を取る目的で灯油を購入するケースの仕訳、付随する灯油タンクの購入の仕訳を解説します。
灯油代の勘定科目は?
事業で使用する灯油代は、「水道光熱費」(費用)の勘定科目を使います。水道光熱費とは、水道代、電気代、ガス代などのエネルギーの使用に関連する費用のことです。
なお、水道光熱費には、工場で使用する水道光熱費などの製品を作るために要したものは含まれません。製造に必要なものであれば動力費や燃料費などの製造原価として処理します。
つまり、ここでの水道光熱費は、事務所で使用する照明、コンセントから供給される電気、給湯室で使用する水やお湯などをイメージしてもらえば良いでしょう。ストーブやファンヒーターなどで使用する灯油代も、事務所で使用するものであれば経費として「水道光熱費」に計上できます。
なお、灯油の購入が年1回しかないなど、購入頻度が低く、金額も少ない場合は、「雑費」で処理することも可能です。ただし、雑費だと具体的に何に使用したものかわかりませんので好ましくはありません。特段の理由がない限りは、「水道光熱費」で処理することをおすすめします。
灯油代の仕訳は?
「水道光熱費」の勘定科目を用いて、灯油代を処理する場合の仕訳例を見ていきましょう。
灯油代の仕訳例
(仕訳例)灯油代5,000円分を現金で支払った。
水道光熱費 | 5,000円 | 現金 | 5,000円 |
まず、灯油を購入したときの仕訳例から解説します。費用は発生主義により処理しますので、灯油代を購入した時点で、水道光熱費に計上します。
しかし、購入した時点で、すべて費用で仕訳することに問題がないわけではありません。実際には、購入した時点で灯油を消費するわけではないためです。ストック分として灯油を購入して、少しずつ使用するのが一般的でしょう。事業規模の大きい企業、大量の灯油を事業で使用する企業は、灯油の資産価値を適切に表示する必要があるため、重要性の観点から、期末時に余っている分があれば、余剰分を貯蔵品(資産勘定)で処理します。
なお、各事業年度に一定の数量を取得して、経常的に灯油代を消費する場合には、貯蔵品には計上せず、購入した事業年度に全額費用処理することもできます。
個人事業主は灯油代を経費にできる?
個人事業主であっても、仕事場や事務所などで使用したストーブやファンヒーターの灯油代は、水道光熱費として経費に計上できます。仕事を効率良く進めるための必要経費と考えられるためです。
ただし、購入した灯油を、仕事用にもプライベートにも使用している場合は注意しましょう。事業用で使用している分のみを経費にする必要がありますので、家事按分が必要です。
灯油代の場合は、ストーブやファンヒーターを使用する時間で計算するとわかりやすいです。たとえば、ストーブを使用する時間が、仕事用とプライベートの合計で年間500時間、仕事で使用した分はこのうち200時間だったとしましょう。200÷500=0.4で、仕事で使用した割合は40%になります。年間の灯油代が1万円だった場合、仕事の割合は40%なので、経費として計上できるのは40%の4,000円です。
(仕訳例)灯油代10,000円分を現金で支払った。ただし6割は私用分とする。
水道光熱費 | 4,000円 | 現金 | 10,000円 |
事業主貸 | 6,000円 |
灯油代以外の支出で、経費にできるか不安な場合は、以下の記事も参考にしてみてください。
灯油タンクは別の勘定科目となるため注意!
仕事に係る灯油の購入のために購入した灯油タンクも経費に計上できます。ただし灯油タンクは灯油代には含めず、別勘定で仕訳が必要な点に注意しましょう。通常は「消耗品費」の勘定科目を使って仕訳をします。
(仕訳例)灯油タンク500円を現金で購入し、同時に灯油代3,000円も現金で支払った。
消耗品費 | 500円 | 現金 | 3,500円 |
水道光熱費 | 3,000円 |
灯油代は水道光熱費として正しく仕訳しましょう
事務所や作業場でストーブやファンヒーターを使用することを目的に灯油を購入した場合、「水道光熱費」の勘定科目を使って仕訳をします。また、個人事業主でプライベートと兼用で使用している場合については、按分計算が必要です。以上のような注意点を押さえ、正しく仕訳できるようにしましょう。
よくある質問
灯油代はどの勘定科目で処理する?
「水道光熱費」の勘定科目で処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
個人事業主も灯油代を経費にできる?
事業で使用した分については経費にできます。家庭用と兼ねている場合は按分計算が必要です。詳しくはこちらをご覧ください。
灯油タンクを購入した場合は?
灯油タンクは「消耗品費」の勘定科目で処理します。詳しくはこちらをご覧ください。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。
会計の知識をさらに深めるなら
※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。
関連記事
前受金とは?仕訳例から、前受収益・仮受金との違いまで解説!
決算書の負債の部に表記される勘定科目の中に「前受金」というものがあります。商品の販売引き渡しや役務提供が完了する前に受け取った金銭を、前受けとして処理する際に使用する勘定科目です。 金銭を受け取った際に使用する勘定科目にはその他にも「前受収…
詳しくみるファクタリングとは?仕組みや仕訳・勘定科目の解説
ファクタリングとは売掛債権を売却し、手数料を差し引いた代金を受け取ることです。入金のサイクルを短縮し、資金繰りを改善できます。ファクタリングには債権を売却するだけの「買取型」のほか、倒産等のリスクに備える「保証型」もあるのが特徴です。また、…
詳しくみる椅子を購入した際の勘定科目は?仕訳方法を解説
会社のオフィスや会議室で使う椅子を購入した際、会計処理をするための勘定科目は「消耗品費」や「工具器具備品」を使用します。「10万円未満」で椅子を購入した場合は消耗品費、「10万円以上」であれば有形固定資産といったように、条件によって勘定科目…
詳しくみる年会費や入会費を払った時の勘定科目と仕訳の解説
年会費や入会費を払った時によく使う勘定科目として「諸会費」があります。しかし、諸会費と同じような意味合いのほかの勘定科目もあり、どの勘定科目を使えば良いか、迷うこともあります。そこで、ここでは諸会費とそれ以外の勘定科目や消費税の処理などを詳…
詳しくみる勘定科目「衛生費」とは?使い方や仕訳例
職場における健康増進や病気の予防などへの関心は高まりをみせる昨今ですが、ここでは「衛生費」に関する支出についてご紹介します。 これらの経費をどのように他の勘定科目と区別し、仕訳をするかを解説します。 衛生費とは? 衛生費とは健康増進、疾病予…
詳しくみる登録免許税の仕訳に使う勘定科目を解説
登録免許税は会社設立の登記や、登記事項を変更する際に納める税金です。会社を興す際は登記が必須なので、法人は登録免許税を納付しなければなりません。したがって法人の会計処理では、登録免許税の適切な仕訳方法を把握しておく必要があるでしょう。今回は…
詳しくみる