• 更新日 : 2020年9月17日

国民年金基金の節税効果やデメリットについて

国民年金は、日本に住所がある20歳以上~60歳未満の方全員に加入が義務づけられている公的年金であり、老後の生活を支えるための大切な制度です。万一のための障害基礎年金・遺族基金年金もありますし、保険料の全額が控除の対象となる社会保険料控除もあります。

さまざまなメリットがある国民年金ですが、これに上乗せして厚生年金に加入している会社員等に比べて、国民年金しか加入していない自営業やフリーランスでは、将来の受取額が、自営業やフリーランスで働く人の不安のひとつとなっています。こうした不安を払拭するための存在である「国民年金基金」をご存じでしょうか?「国民年金」と「国民年金基金」は同じもの、あるいは付随するものだと混同されがちですが、別物です。

今回は、国民年金にゆとりをプラスする、自分で加入する公的な個人年金「国民年金基金」のしくみと、節税効果などについて考えてみたいと思います。

国民年金基金とは?

会社員などは、国民年金に上乗せして厚生年金基金と老齢厚生年金に加入しています。これに対して、国民年金だけに加入している自営業者やフリーランスは、将来の受給額に大きな差があることは広く知られています。

この差を解消するために平成3年4月に創られた年金制度が「国民年金基金制度」です。国民年金基金制度は、国民年金法の規定に基づく年金です。つまり、国民年金に上乗せして受け取ることができる公的な年金制度なのです。自営業者など国民年金の第1号被保険者にとっての、老後の所得保障の役割を担います。

国民年金基金に加入することによって、自営業者やフリーランスの公的年金も会社員などと同じように、「2階建て」にすることができます。

・会社員等:国民年金+(厚生年金基金・老齢厚生年金)

・自営業等:国民年金+国民年金基金

加入によるメリット

国民年金基金は任意です。どうしても経済状況が無理だという方に強いるものではありません。そのうえで、少ない掛け金から始めることができますし、加入後にそれぞれの事情に応じて月々の掛金を増やしたり、減したりすることもできます。いろいろな年金のタイプがあり、現在おかれている状況や将来の見通しにあわせて選ぶことができるのです。

国民年金は将来的に支給開始年齢が70歳になるという報道がありますが、国民年金基金に関しては、現在、決められている支給開始年齢を変更することはないと国民年金基金連合会が明言しています。

加入による節税効果

民間で加入する個人年金の場合、平成24年1月以降に契約したものであれば、年額で最大4万円までしか所得控除されませんが、国民年金基金の場合、支払った金額は全て所得控除の対象となります。

よって、所得税や住民税の負担が軽減されます。国民年金基金から受け取る年金は、雑所得の公的年金控除が適用されます。民間の保険会社の年金を使用した場合には、同じ雑所得ですが公的年金等控除は受けられません。年金受給前または保証期間内に、万一死亡した場合は、ご家族に一時金が支払われます。(加入が保証期間付きのタイプに限ります)この一時金は非課税です。

国民年金基金の加入条件

日本に住んでいる20歳以上60歳未満の自営業者とその家族、開業医や弁護士、芸術家などの自由業、学生などの国民年金の第1号被保険者および60歳以上65歳未満の方で、自主的に国民年金に加入している方々が入ることができます。

国民年金基金に加入できない方

厚生年金保険や共済組合に加入している会社員等(国民年金の第2号被保険者)
・厚生年金保険や共済組合に加入している方の被扶養配偶者の方(国民年金の第3号被保険者)
・国民年金の第1号被保険者でも国民年金の保険料を免除(一部免除・学生納付特例・若年者納付猶予を含む)している方
・国民年金の第1号被保険者でも農業者年金の被保険者の方

国民年金基金のデメリット

メリットや節税効果の多い国民年金基金ですがデメリットもあります。最大のデメリットは物価スライド制に対応していないことです。将来の受取額は確定しているためもし、年金を受給するまでに物価が上昇してしまった場合、インフレになるわけですからお金の価値が下がります。実質的な年金額が下がってしまうというわけです。逆に、物価が下落すれば実質的な年金額は上がることになります。

また、国民年金基金は任意ですが、一旦加入すると自己都合でやめることは基本的にできません。どうしても年金を支払えない場合には2年間支払いを猶予することができます。後に未納分を支払えば年金は満額受給できます。

まとめ

国民年金基金は、自営業者やフリーランスが任意で加入できる年金制度です。国民年金の支給のみで暮らす老後の不安を解消できるとともに、掛け金は全額損金算入できるので、節税効果もあります。ただ、物価スライド制に対応していないというデメリットがあります。
将来の備えと、現在の節税効果を考慮に入れて、検討してみましょう。手続きなどの詳細は国民年金基金のホームページで確認できます。
(参考:制度について知る|国民年金基金ホームページ)

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