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  • 更新日 : 2021年9月10日

返金の勘定科目・仕訳は?返品やキャンセルによる会計処理について解説!

返金の勘定科目・仕訳は?返品やキャンセルによる会計処理について解説!

商品の販売やサービスの提供を行う企業や個人事業では、さまざまな返金処理が発生します。例えばクレームによる返金や、クレジットカード決済のキャンセルによる返金などです。返金という事実だけであれば、敷金や保証金の返金もあります。商品に欠陥があった場合は、返金と同時に顧客から商品を返品してもらうケースもあるでしょう。この記事では、返金や返品が発生するケースの中でも、商品やサービスの返金・返品に焦点を当てて、仕訳や使用する勘定科目について解説します。

売上代金の返金・売り上げた商品の返品が発生するケース

売上の返金や売り上げた商品の返品が発生するのは、以下のような状況です。

  • 違う商品を送付してしまい、その返品を受けた
  • 受注時に商品数を誤ってしまい、超過分の返品を受けた
  • 販売した商品の中に不良品があり、返品を受けた
  • 返品権付き商品の返品を受けた
  • 注文が取り消しになり、先に入金されていた額を返金した
  • 注文の取消を受け、クレジットカードで決済された額を返金した
  • クレームを受けて商品を回収(返品)し、代金を返金した

この他にも、「取引先からの入金額が請求額よりも多かった」などで返金が発生することもあります。この記事では、返金や返品が発生するケースのうち、商品やサービスの返品や返金の仕訳を中心に見ていきます。

売上代金を返金したときの勘定科目・仕訳

収益認識の会計基準が公表され、原則、2021年4月1日以後に開始の事業年度(または連結会計年度)の期首からは、新収益認識が適用されることになりました。ただし適用が強制されるのは有価証券報告書の提出義務がある上場企業等で、中小企業等は引き続き従来の企業会計原則等による処理が認められます。この収益認識基準の変更を踏まえ、処理が分かれる箇所については、原則的な処理(上場企業等は強制)、容認される処理(中小企業等で容認される従来からの会計処理)に分けて説明します。

売上代金を返金した

【原則的な処理】
(仕訳例)販売した商品に破損があったとの連絡を受け、返品を受けた。この取引についてすでに取引先から入金を受けていたため、破損分の商品代金10万円を返金することで合意し、本日当座預金から取引先に返金した。なお、返品権のある販売で、販売当初、返品分として10万円(返金資産3万円)を見込んでいた。

借方
貸方
返金負債
100,000円
当座預金
100,000円
商品
30,000円
返済資産
30,000円

新収益認識基準(原則的な処理)では、返品権付き販売の場合、販売時に、返品に伴う返金見込み分に係る売上は、「返金負債」として以下のように控除して、収益を認識します。そのため、実際に商品の返品に伴い返金するときは、当初予想して計上した返金負債から、実際に返金した金額(上記でいえば100,000円)を取り崩します。
また、売上原価についても、返品されるであろう部分に相当する原価は、売上原価から控除して「返品資産」として計上されています。したがって、実際に商品の返品を受けたときは、当初予想して計上していた返品資産から、実際の返品分(上記でいえば30,000円)を商品勘定に振り替える仕訳を計上します。

商品販売時の仕訳の形:

借方
貸方
現金預金
×××
売上
×××
返金負債
×××
売上原価
×××
商品
×××
返品資産
×××

【容認される処理】
(仕訳例)販売した商品に破損があったとの連絡を受け、返品を受けた。この取引についてすでに取引先から入金を受けていたため、破損分の商品代金10万円を返金することで合意し、本日当座預金から取引先に返金した。

借方
貸方
売上
100,000円
当座預金
100,000円
商品
30,000円
売上原価
30,000円

このケースでは、売上については、貸方は支払方法(現金での支払いなら現金)、借方は売上として、すでに計上している売上を取り消します。返品された商品原価については、返品資産ではなく、売上原価を取り消します。

売上代金を返金した(返金分を区分したい場合)

【原則的な処理】
原則的な処理では、返品負債や返品資産としてはじめから返金見込みの分を区分しています。そのため、処理の方法は上の見出しで説明した流れと同じです。
【容認される処理】
(仕訳例)販売した商品に破損があったとの連絡を受け、返品を受けた。この取引についてすでに取引先から入金を受けていたため、破損分の商品代金10万円を返金することで合意し、本日当座預金から取引先に返金した。

借方
貸方
売上戻り
100,000円
当座預金
100,000円

商品代金の返品を受けたときは、「借方に売上を計上して取り消す」と説明しました。しかし、売上の取り消しでは「返金分がどれだけあったか」を後で確認できません。返金分を分けて処理したいときは、「売上戻り」の勘定科目を使います。

ただし、「売上戻り」は決算書には表示しない科目なので、決算時に売上と相殺しなければなりません。

クレジットカード決済のキャンセルにともない売上代金を返金した

【原則的な処理】
(仕訳例1)顧客からのキャンセルを受けて、すでにクレジット会社から入金のあったクレジットカード決済の5万円分を現金で返金した。

借方
貸方
返金負債
50,000円
現金
50,000円

クレジットカード会社と加盟店契約を結んでいる場合、顧客が分割払いやリボルビング払いを選択していても、加盟店には一括で代金が支払われます。新収益認識基準に従い、販売時に「返金負債」を計上しているはずですので、返金時には返金負債を取り消す処理を行います。
【容認される処理】
(仕訳例1)顧客からのキャンセルを受けて、すでにクレジット会社から入金のあったクレジットカード決済の5万円分を現金で返金した。

借方
貸方
売上
50,000円
現金
50,000円

従来の容認される処理では、販売時に「売上」で計上しているはずですので、返金時には売上を取り消す処理を行います。

【原則的な処理】
(仕訳例2)顧客と直接割賦契約をしたクレジットカード払いの注文30万円(原価20万円)についてキャンセルの連絡があり、すでに入金のあった1万円を現金で返金した。

借方
貸方
返金負債
300,000円
売掛金
290,000円
現金
10,000円
商品
200,000円
返金資産
200,000円

新収益認識基準により、回収期限や入金日をもって収益を認識する割賦販売の基準はなくなりました。売上時に認識した返金負債勘定を用いて返金分の処理を行います。

【容認される処理】
(仕訳例2)顧客と直接割賦契約をしたクレジットカード払いの注文30万円についてキャンセルの連絡があり、すでに入金のあった1万円を現金で返金した。

借方
貸方

売上
300,000円
売掛金
290,000
現金
10,000円
商品
200,000円
売上原価
300,000円

売上代金の返金を顧客側にしないときの勘定科目と仕訳

売上代金の返金に値する事実があっても返金しない理由はいくつか考えられますが、ここでは2つのパターンを例として取り上げます。

【原則的な処理】
(仕訳例)販売した商品5万円(返金負債として500円を計上)について破損があったとの連絡を受け、返品があった。すでに商品代金は入金されており、先方との話し合いの結果、破損分の返金は行わずに、次回の販売分と相殺することで合意した。

借方
貸方
売上
49,500円
前受金
50,000円
返金負債
500円

上記のケースでは、今回の返品分は売上の取り消しになるため、借方の勘定科目は「売上」および「返金負債」です。現金の返金は行わず、次回売上分との相殺になるので、次回の売上の内金として貸方には「前受金」を計上します。

【容認される処理】
(仕訳例)販売した商品5万円について破損があったとの連絡を受け、返品があった。すでに商品代金は入金されており、先方との話し合いの結果、破損分の返金は行わずに、次回の販売分と相殺することで合意した。

借方
貸方
売上
50,000円
前受金
50,000円

(仕訳例)取引先から売上分の入金があったが、10円多く入金されていた。継続的に取引している相手ではなく、振込手数料がかかることから、少額のため返金の必要はないとの連絡を受けた。

借方
貸方
仮受金
10円
雑所得
10円

超過分は、入金があったときに貸方に「仮受金」を計上します。そのため、返金の必要がないとの連絡を受けたら、計上している「仮受金」を取り消す処理が必要です。多く受け取った10円は、「雑所得」として処理します。

仕入代金が返金されたときの勘定科目・仕訳

ここでは、商品を仕入れたものの、「受け取った商品に欠陥があり、返金されたとき」などの仕訳をいくつかピックアップして説明します。

仕入代金が返金された

「仕入れた商品に欠陥があった」といった理由で返金があったときは、通常は仕入を取り消す仕訳を行います。

(仕訳例)仕入れた商品に破損があった。取引時にすでに支払いを済ませており、仕入先とは破損分を返品し、返品分を返金することで話がまとまり、本日破損分の10万円が当座預金に入金された。

借方
貸方
当座預金
100,000円
仕入
100,000円

仕入代金が返金された(返金分を区分したい場合)

販売した商品の返金を行ったときと同様に、仕入分の返金を受けた場合は「仕入戻し」の勘定科目を使うことで、返金を受けた分を区別できます。「売上戻り」と同様に「仕入戻し」は決算書には表示しない科目なので、使用する場合は決算時に「仕入」と相殺しなければなりません。

(仕訳例)仕入れた商品に破損があった。取引時にすでに支払いを済ませており、仕入先とは破損分を返品し、返品分を返金することで話がまとまり、本日破損分の10万円が当座預金に入金された。

借方
貸方
当座預金
100,000円
仕入戻し
100,000円

クレジットカード決済された仕入代金が返金された

クレジットカード決済で商品やサービスを購入するときは、購入時に貸方に未払金(クレジットカード利用分)を計上します。

クレジットカード決済は、すぐに決済が行われる場合であっても、実際の支払いは1ヵ月以上先になるケースがほとんどです。クレジットカード決済後すぐにキャンセルし、口座から利用分が引き落とされていないときは、以下のような仕訳を行います。

(仕訳例)5万円分の消耗品をクレジットカード決済で購入したが、誤った商品を注文したことに気づき、後日注文をキャンセルした。

借方

貸方
未払金
50,000円
消耗品費
50,000円

仕入代金が返金されないときの勘定科目と仕訳

仕入代金が返金されないときの仕訳のパターンについて、2つ取り上げます。

(仕訳例)仕入れた商品2万円について破損があったため、返品した。すでに商品代金は支払っており、先方との話し合いの結果、破損分の返金は行わずに、次回の仕入分と相殺することで合意した。

借方
貸方
前払金
20,000円
仕入
50,000円

このケースは、先に説明した売上の相殺と考え方は同じです。破損分は仕入を取消し、返金が行われなかった分は次回相殺する分の前払いと考えて、借方に「前払金」を計上します。

(仕訳例)取引先へ10円多く入金してしまった。継続的に取引している相手ではなく、振込手数料がかかることから、「少額のため返金の必要はない」と伝えた。

借方
貸方
雑損失
10円
仮払金
10円

入金した分は「仮払金」で処理しているはずなので、まず仮払金を貸方に計上して相殺します。本来よりも多く入金していますが、返金は求めないので借方は雑損失です。

返金の勘定科目・仕訳について理解できましたか?

返金や返品があったときは、取引を取り消すための仕訳が必要です。その際には、売上側の話なのか、仕入れ側の話なのかを意識する必要があります。商品の返品やキャンセルによる返金はよくある取引なので、取引時の仕訳をイメージしながら、どのような仕訳を行うか押さえておきましょう。

よくある質問

なぜ返金や返品が発生する?

商品の破損や欠品、納品の遅延のほか、本来の入金額との相違があった場合などに返金や返品が発生します。詳しくはこちらをご覧ください。

クレジットカード決済のキャンセルはどうする?

相手がクレジットカードで決済した分がキャンセルになったときは、その取引がなかったものとして、取引発生時の仕訳と逆の仕訳を行います。 詳しくはこちらをご覧ください。

返金しないケースはある?

返金に値する事実があっても、返金しないケースがあります。例えば、返金ではなく次の取引分と相殺することにした場合などです。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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監修:岩波 竜太郎 (公認会計士 / 税理士 / 経営学修士)

公認会計士・税理士・経営学修士。大手監査法人、ベンチャー企業を経て、2015年に独立開業。大手監査法人での海外経験や管理本部長としての幅広い経験を武器に会計アドバイザリー業務を主たる業務として行うとともに、東証1部上場企業である株式会社OrchestraHoldingsの社外役員をはじめ、経営アドバイザーとして複数の企業に関与。Webメディア等の記事執筆・監修業務も積極的に行っている。