• 更新日 : 2026年9月16日

所有権移転ファイナンス・リースとは?会計処理・仕訳例を解説!新リース会計基準でどうなる?

PDFダウンロード
Point所有権移転ファイナンスリースの会計処理とは?

所有権移転ファイナンス・リースは、売買取引に準じてリース資産・リース債務を計上し、自己所有資産と同様に減価償却する取引です。

  • 所有権移転条項など3条件で判定する
  • リース料は元本と利息に分けて処理
  • 2027年4月から新基準が原則適用され、借り手は原則として使用権資産・リース負債を計上

Q. 所有権移転外ファイナンス・リースとの違いは?

A. 所有権移転ファイナンス・リースは耐用年数をリース期間ではなく経済的使用可能予測期間で償却する点が異なります。

現行の会計基準では、「所有権移転ファイナンス・リース」は売買取引に準じた方法で会計処理を行います。

ただし、今後導入が予定されている「新リース会計基準」では、リースの定義や会計処理の方法が見直されるため、注意が必要です。

ここでは、所有権移転ファイナンス・リースについて、現行の会計基準による仕訳処理の方法や、新基準による影響などを解説します。

ファイナンス・リースとは?

ファイナンス・リースとは、リース契約のうち、実質的に資産を購入した場合に近い性質を持つ取引です。通常の賃貸借のように「一定期間だけ借りる」取引ではなく、借手が資産を長期間使用し、その経済的利益や費用負担の多くを引き受ける点に特徴があります。

ファイナンス・リースは解約不能でフルペイアウトのリース取引

ファイナンス・リースとは、主に「ノンキャンセラブル」と「フルペイアウト」の2つの要件を満たすリース取引です。ノンキャンセラブルとは、リース期間の途中で解約できない契約や、解約できても高額な違約金が発生するため、実質的に解約が難しい契約を指します。フルペイアウトとは、借手がリース対象資産から得られる経済的利益を実質的に享受し、資産の使用に伴う費用も実質的に負担する状態をいいます。つまり、形式上は借りている資産であっても、実態としては購入して使っている状態に近いリース取引です。

売買取引に近い性質がある

現行のリース会計基準では、ファイナンス・リースは売買取引に近い性質を持つリース取引と位置づけられています。そのため、単にリース料を支払った時点で費用処理するのではなく、借手側ではリース資産とリース債務を貸借対照表に計上する処理が基本です。たとえば、機械設備や車両などを長期間リースし、契約期間中の支払額によって資産価値の大部分を負担するような場合は、ファイナンス・リースに該当する可能性があります。

なお、ファイナンス・リースはさらに、契約内容に応じて「所有権移転ファイナンス・リース」と「所有権移転外ファイナンス・リース」に分かれます。

広告

この記事をお読みの方におすすめのガイド3選

続いてこちらのセクションでは、この記事をお読みの方によく活用いただいている人気の資料・ガイドを簡単に紹介します。すべて無料ですので、ぜひお気軽にご活用ください。

※記事の内容は、この後のセクションでも続きますのでぜひ併せてご覧ください。

新リース会計基準の教科書

新リース会計基準を理解するにはこの資料!
新リース会計基準への対応を進めるにあたって「何を」「どのように」運用変更する必要があるか、基礎から実務まで、じっくり見直すことができます。

無料ダウンロードはこちら

新リース会計基準に最短距離で対応するなら?

マネーフォワード クラウドリース会計

2027年度から適用される新リース会計基準に対応した、クラウド型のリース会計システムです。すでにご利用中の会計システムはそのままに、業務影響を最小化しながら利用することが可能です。

本資料では、特長や各種機能についてご紹介いたします。

資料をダウンロードする

リース契約のデータ化・リース識別・契約管理、大丈夫ですか?

リース契約の洗い出しに時間がとられていませんか?

マネーフォワード クラウド契約なら、契約書を取り込むだけでAIが新リース会計基準の要件に基づいてリース契約を自動で識別。

リース契約のデータ化・リース識別・契約管理をサポートします。既存のシステムとも連携してご利用いただけますので、他社会計システムや固定資産管理システムをご利⽤の企業もお気軽にご相談ください。

資料をダウンロードする

ファイナンス・リースとオペレーティング・リースとの違いは?

リース取引は、会計処理上「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に分けて考えます。両者の違いは、借手がリース資産を実質的に取得しているといえるかどうかです。

ファイナンス・リースは売買取引に近いリース

ファイナンス・リースは、前述のとおりノンキャンセラブルとフルペイアウトの要件を満たすリース取引です。リース期間中の解約ができない、または実質的に解約が難しく、借手がリース資産から得られる経済的利益や使用に伴う費用を実質的に負担する場合に該当します。会計上は、通常の賃貸借よりも売買取引に近い性質があるため、借手はリース資産とリース債務を貸借対照表に計上する処理が基本です。つまり、リース料を支払時の費用として処理するのではなく、資産の取得と借入に近い取引として扱います。

オペレーティング・リースは賃貸借に近いリース

オペレーティング・リースは、ファイナンス・リースに該当しないリース取引です。借手がリース資産を一定期間利用するものの、資産の経済的利益や費用負担を実質的にすべて引き受けているとはいえない取引が該当します。現行基準では、オペレーティング・リースは賃貸借に近い性質があるため、リース料を支払時または発生時に費用処理するのが基本です。セール・アンド・リースバック取引でも、リースバック部分がどちらに該当するかによって、売却損益の扱いやリース料の仕訳が変わるため、契約条件を確認して分類する必要があります。

所有権移転ファイナンス・リース取引とは?判定方法は?

ファイナンス・リースは、契約内容によって「所有権移転ファイナンス・リース」と「所有権移転外ファイナンス・リース」に分かれます。

所有権移転ファイナンス・リース取引は所有権が借手に移るリース

所有権移転ファイナンス・リース取引とは、ファイナンス・リース取引のうち、リース期間の満了時や契約条件により、リース対象資産の所有権が借手に移転すると考えられる取引です。形式上はリース契約であっても、実態としては借手が資産を取得する取引に近くなります。そのため、会計処理でも自己所有資産に近い扱いをします。たとえば、借手側ではリース資産とリース債務を計上し、減価償却についても、原則としてリース期間ではなく、資産の経済的耐用年数を踏まえて処理します。所有権移転外ファイナンス・リースよりも、購入取引に近い性質が強い点が特徴です。

ファイナンス・リースと判定した後、3つの条件で所有権移転かどうかを判定する

所有権移転ファイナンス・リース取引に該当するかどうかは、まずファイナンス・リース取引に該当するかを判定し、そのうえで、契約内容とリース対象資産の実態をもとに判定します。以下のいずれかに該当する場合、所有権移転ファイナンス・リース取引に分類されます。

  • 所有権移転条項があるリース:
    リース期間の終了後またはリース期間中に、リース対象資産の所有権が借手へ移転すると契約で定められている場合です。
  • 割安購入選択権があるリース:
    借手に、リース対象資産を時価より著しく低い価格で買い取れる権利があり、その権利を行使することが確実に見込まれる場合です。
  • 特別仕様物件のリース:
    借手の用途に合わせて特別仕様で製造・建設された資産であり、リース終了後に貸手が第三者へ売却または再リースすることが難しく、借手だけが使用することが明らかな場合です。

これらのいずれかに該当すれば所有権移転ファイナンス・リース取引、いずれにも該当しなければ所有権移転外ファイナンス・リース取引に分類されます。

所有権移転ファイナンス・リースに該当する場合の借手側の会計処理は?

所有権移転ファイナンス・リースに該当する場合、借手側では通常の売買取引に準じた会計処理を行います。リース資産とリース債務を計上し、支払利息や減価償却もあわせて処理する点が重要です。

1. リース資産とリース債務を計上する

所有権移転ファイナンス・リースでは、借手がリース対象資産を実質的に取得した取引に近いため、リース開始時に「リース資産」と「リース債務」を貸借対照表に計上します。計上額は、貸手の購入価額が明らかな場合には、その購入価額を使うのが基本です。貸手の購入価額が分からない場合は、「リース料総額の現在価値」と「見積現金購入価額」のいずれか低い金額を用います。これにより、借手側では資産の取得と債務の発生を同時に認識します。

2. リース料の支払いを元本と利息に分けて処理する

リース料を支払ったときは、支払額の全額を賃借料として費用処理するのではなく、リース債務の返済部分と利息相当額に分けて処理します。元本部分はリース債務を減少させ、利息部分は支払利息として費用計上します。利息相当額は、原則として利息法により、リース期間にわたって配分します。利息法を使うことで、リース債務の残高に応じた利息費用を各期に認識でき、借入に近い取引実態を会計処理に反映しやすくなります。

3. リース資産を自己所有資産と同じように減価償却する

リース開始時に計上したリース資産は、取得した固定資産と同じように減価償却します。所有権移転ファイナンス・リースでは、最終的に所有権が借手へ移ると考えられるため、減価償却の耐用年数はリース期間ではなく、原則としてリース物件の経済的使用可能予測期間を用います。償却方法についても、自社が同種の自己所有資産に適用している方法に基づいて処理します。つまり、通常の購入資産に近い形で、毎期の減価償却費を計上していくことになります。

所有権移転ファイナンス・リースの仕訳例は?

所有権移転ファイナンス・リースの場合、借手側は以下のような流れで会計処理を行います。

以下の仕訳例を通じて、それぞれの計上時点における適切な仕訳方法を確認しましょう。

リース契約開始時

所有権移転ファイナンス・リースに該当する場合には、リース契約がスタートするタイミングで、「リース資産」および「リース債務」を計上します。

それぞれの計上額については、貸手の購入価額がわかる場合にはその金額とし、その他の場合には、リース料総額の現在価値または見積現金購入価額を採用します。

たとえば、貸手の購入価額が100万円の場合には、以下のように仕訳を計上しましょう。

借方 貸方
リース資産 1,000,000円 リース債務 1,000,000円

なお、勘定科目については、「リース資産」の代わりに「機械装置」などの自社所有の固定資産に用いる科目を採用することも可能です。同様に、「リース債務」についても「未払金」などの科目で代用することもできます。

リース料支払い時

所有権移転ファイナンス・リース取引について、毎月のリース料を支払う場合には、元本部分と利息相当額に分けて仕訳処理を行わなければなりません。

支払リース料のうち、元本部分は「リース債務」、利息相当額は「支払利息」として計上しましょう。

たとえば、リース料として10万円支払った場合において、8万円が元本返済部分、残り2万円が利息相当額の場合には、以下のように仕訳処理を行います。

借方 貸方
リース債務

支払利息

80,000円

20,000円

現金預金 100,000円

減価償却費の計上(直接法の場合)

決算の際には、自社所有の固定資産と同様に、「リース資産」として資産計上した額について、減価償却費を計上します。

この場合の減価償却方法は、自己所有の固定資産に適用している減価償却方法と同一の方法により減価償却費を計算します。

また、算定した減価償却費の計上については、リース資産から直接減額する「直接法」か、減価償却累計額を用いて計上する「間接法」のいずれかによって相手科目を選択します。

たとえば、「直接法」によって減価償却費20万円を計上する場合には、以下のように仕訳を計上しましょう。

借方 貸方
減価償却費 200,000円 リース資産 200,000円

減価償却費の計上(間接法の場合)

先ほどのリース資産の減価償却費について、減価償却累計額を用いた「間接法」で計上する場合には、以下のように仕訳処理を行います。

借方 貸方
減価償却費 200,000円 減価償却累計額 200,000円

リース料の支払日と決算日が一致しない場合

リース契約の内容によっては、リースの支払日と決算日が一致しないケースも少なくありません。そのような場合には、期末までの利息の一部が前払いあるいは未払いの状態として、経過勘定を用いる必要があります。

たとえば、3月末決算法人において、その事業年度における最終のリース支払日が3月15日の場合には、3月16日から3月31日までの経過利息を未払計上します。

期末において未払計上する支払利息が1万円の場合には、以下のように仕訳を計上します。

借方 貸方
支払利息 10,000円 未払費用(または未払利息) 10,000円

リース期間満了時

所有権移転ファイナンス・リースの場合、リース期間満了時には「リース資産」から自社所有の固定資産へと振り替えます。

たとえば、リース期間満了に伴い、帳簿価額10万円のリース資産を機械装置に振り替える場合には、以下のように仕訳を作成します。

借方 貸方
機械装置 100,000円 リース資産 100,000円

残存耐用年数がある場合には、その他の自社所有の固定資産と同じように、リース期間の満了後も引き続き減価償却費を計上します。

新リース会計基準適用後はどうなる?

2027年4月からは「新リース会計基準(企業会計基準第34号)」の導入が予定されており、従来のファイナンス・リースやオペレーティング・リースの枠組みが大きく変わることが予想されます。

新リース会計基準の内容や具体的な変更点を確認し、新基準に対応するためのポイントを理解しましょう。

新リース会計基準とは?

新リース会計基準とは、国際的な会計基準との整合性を図ることを目的とし、これまでのリースの定義やリース取引に関する会計処理を抜本的に見直すためのルールです。2027年4月1日以降の連結会計年度や事業年度の期首から本格適用が予定されており、上場企業や大企業を中心に、多くの企業に影響を与えると考えられています。ただし、2025年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度の期首から早期適用することも認められます。

新リース会計基準は、IFRS第16号などの国際的な会計基準と歩調を合わせる形で策定が進められ、リースの概念を「資産の賃貸借」から「使用権の取得」に変えるというコンセプトを明確に打ち出しています。

参考:企業会計基準第34号「リースに関する会計基準」等の公表|企業会計基準委員会

リースはオンバランス化が原則

現行の会計基準のように、リースを「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」に区別し、ファイナンス・リースのみをオンバランス化するという会計処理から転換し、新基準では、原則としてすべてのリースをオンバランス処理に統一します。

このような一貫したオンバランス化によって、企業の財務諸表における透明性や比較可能性が向上すると考えられる一方で、資産・負債が著しく増加する場合には、財務指標への影響も拡大する可能性があります。

具体的な会計処理として、リース取引に該当する場合には「使用権資産」と「リース負債」として貸借対照表に表示しなければなりません。従来はオフバランスが認められていたオペレーティング・リースについても、新基準の下ではオンバランス化が原則義務化されることとなるため、各企業の事務負担は増加することが予測されます。

なお、リース期間が12ヶ月以下の「短期リース」や、企業の事業内容に照らして重要性が乏しく、リース契約1件当たりのリース料総額が300万円以下である「少額リース」などについては、一定の要件のもとで、使用権資産・リース負債を計上せず、リース料を費用処理する簡便的な取扱いが認められています。

リースの定義や識別方法

新リース会計基準では、借手は現行の会計基準のような「ファイナンス・リース」と「オペレーティング・リース」を区別するのではなく、まずその契約がリースに該当するかどうかを識別する必要があります。

新リース会計基準におけるリースとは、対価を支払うことによって、一定期間にわたってリースの対象資産を使用する権利を獲得できる契約のことです。

また、契約内容にリースが含まれるかどうかを検証する際には、以下の2点に基づいて判断します。

  1. 資産が特定されているか
    契約によって、リースの対象となる資産が特定されているかどうかを判断します。
  2. 借手がその資産を使用する権利を支配しているか
    借手がその使用方法を決定することや、その資産の使用によって得られるはずの経済的利益の大部分を享受できるかどうかを考慮します。

これらの要件を満たす契約については、その契約の名称にかかわらず「リース」と判定され、借手が使用権資産とリース負債として貸借対照表に計上する流れになります。

使用権資産とリース負債

リースの借手側は、リース開始日において、リース料総額の現在価値を「リース負債」として計上します。

それに対し、資産計上すべき「使用権資産」については、リース負債に付随費用や除去費用、リース・インセンティブなどを加減算して算定するため、必ずしもリース負債と一致するとは限りません。

使用権資産の償却と利息費用の計上

リース開始日以降、借手は使用権資産について減価償却を行い、リース負債については支払利息を計上します。

使用権資産の減価償却については、原資産の所有権が借手に移転すると認められるリースかどうかによって取扱いが異なります。
原資産の所有権が借手に移転すると認められるリースについては、原資産を自己所有していたと仮定した場合と同じ減価償却方法を用い、耐用年数は経済的使用可能予測期間、残存価額は合理的な見積額とします。
一方、所有権が借手に移転すると認められないリースについては、原則として借手のリース期間を耐用年数とし、残存価額をゼロとして減価償却します。 また、リースに関する利息相当額は、利息費用(支払利息)として各期に費用配分されます。

ただし、使用権資産の総額が重要性に乏しいと認められる場合には、簡便的な会計処理が認められています。たとえば、リース料から利息相当額を控除しない方法や、利息相当額をリース期間にわたって定額法で配分する方法を選択することも可能です。

ファイナンス・リースの判定と会計処理を理解して正しく仕訳しよう

ファイナンス・リースは、ノンキャンセラブルとフルペイアウトの要件を満たす、売買取引に近い性質を持つリース取引です。オペレーティング・リースとは異なり、借手側ではリース資産とリース債務を計上し、リース料の支払いを元本部分と利息部分に分けて処理します。さらに、所有権移転ファイナンス・リースに該当する場合は、自己所有資産に近い形で減価償却を行う点も重要です。仕訳を行う際は、契約書の所有権移転条項、割安購入選択権、特別仕様物件の有無を確認しましょう。また、新リース会計基準の適用後は、借手側のリースは原則として使用権資産とリース負債を計上する方向に変わります。現行基準と新基準の違いを押さえ、契約ごとに適切な会計処理を判断することが大切です。

PDFダウンロード

※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

※本サイトは、法律的またはその他のアドバイスの提供を目的としたものではありません。当社は本サイトの記載内容(テンプレートを含む)の正確性、妥当性の確保に努めておりますが、ご利用にあたっては、個別の事情を適宜専門家にご相談いただくなど、ご自身の判断でご利用ください。

関連記事

会計の注目テーマ