• 更新日 : 2024年5月31日

電子帳簿保存法旧10条はどうなった?電子データの保存要件・改正点を解説!

電子帳簿保存法は、その発足以来、改正を重ねてきています。その中でも令和3年の税制改正において大きな改正がなされました。

この記事では、令和3年の税制改正で電子取引における取扱いがどのように変わったのかを説明した後、令和5年の税制改正で示された令和6年1月1日以降の電子取引データの取扱いを解説します。

電子帳簿保存法旧10条の内容とは?

まず、電子帳簿保存法旧10条はどのような内容であったのか、電子帳簿保存法の概要も含めて解説します。

そもそも電子帳簿保存法とは?施行規則との関係は?

電子帳簿保存法は、正式名称を「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」といいます。一般の企業において電子帳簿保存法における区分としては「国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存」「スキャナ保存制度」「電子取引」の3つの区分を意識することが重要となります。

なお、電子保存の一環として書類を微小まで縮小してフィルムに記録したCOM(マイクロフィルム)による保存もありますが、この記事では割愛します。

所得税法法人税法では、国税関係帳簿書類の保存にあたっては紙による保存が原則とされています。しかし、技術の発展でペーパーレス化が進み、紙による保存がかえって事業活動の妨げになる可能性が増加しました。

電子帳簿保存法は、技術革新やインターネット拡大による企業間などのやり取りの変化と、民間からの強い要望もあって創設された法令です。拡大する電子取引や電子データの保存ついて規定を設け、正しく保存をすることを目的としています。同法は平成10年の税制改正の一環として設けられ、その後、何度も改正を経て、現実に即した電子帳簿等の保存ができるように変化してきました。

なお、電子帳簿保存法を補足するルールとして、電子帳簿保存法施行規則(正式名称:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律施行規則)も電子帳簿保存法を見る上では、合わせて確認しておく必要があります。

なお、電子帳簿保存法と電子帳簿保存法施行規則については、行政ポータルサイトの「e-Govポータル」の法令検索を使って検索でき、内容を確認できます。

電子帳簿保存法に関してより詳しく知りたい方は、こちらをご参照ください。

電子帳簿保存法旧10条の内容

結論からいえば、令和3年の税制改正において電子帳簿保存法の旧10条の取扱いが時代の要請に合わなくなったため廃止され、同法第7条になりました。

電子帳簿保存法旧10条は、その但し書きに電子取引において「書面又はCOMに出力すれば、電子的記録の保存は不要である」とされていました。これは、電子帳簿保存法でありながら結局は書面保存による例外を設けていたといえます。
この旧10条が廃止されたことによって、電子取引においては例外なく電子データを保存することになりました。

先述のように電子帳簿保存法は、「電子帳簿保存」「スキャナ保存」「電子取引」の3つに分けて考えます。令和3年の税制改正では、電子取引の取扱いについて例外をなくすため旧10条の但し書きが削除され、他の改正とともに現7条として記載されることになりました。

現行の電子帳簿保存法第7条は次のとおりで、シンプルです。

電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律 第7条

所得税(源泉徴収に係る所得税を除く。)及び法人税に係る保存義務者は、電子取引を行った場合には、財務省令で定めるところにより、当該電子取引の取引情報に係る電磁的記録を保存しなければならない。

引用:電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律

電子帳簿保存法第7条の対象と範囲は?

電子帳簿保存法第7条では、電子取引における取引情報の保存が定められていると説明しました。ここでいう「電子取引」とは、取引情報のやり取りを電磁的方式で行う取引のことです。

具体的な電子取引には、EDI取引があります。EDIとは「Electronic Data Interchange」の略であり、企業間における電子的なデータ交換のことです。

EDI取引は、企業間において取引データについて通信回線を介して双方が合意した規約に基づいて、双方のコンピュータ間で交換することです。EDI取引が登場した1970年代においては大企業でよく見られる取引形態でしたが、近年はEDIの仕組みが標準化され、より使いやすいものになっています。

EDI取引以外で、最もよく利用する電子取引はインターネットによる取引と電子メールによる取引でしょう。特に電子メールに添付ファイルを添付して取引関係書類を送付することはよく行われています。

また、電子取引による電磁記録の保存義務の対象となるのは、電子取引によってやり取りをした全ての取引情報です。契約書や見積書発注書請求書領収書、送り状など、電子取引の取引情報に関わる全ての書類が保存の範囲に含まれます。

なお、電子取引とは全て電子上で完結するものをいい、電子メールで先に請求書を送っても、その後正式な請求書を書面で送付する場合にはその正式版の書面を保存する必要があります。

令和5年改正後の電子データ保存要件とは?

ネットワークなどでやり取りが完結している電子取引だからといって、データをそのまま保存するのでは十分とはいえません。データの裏付けとなる証拠がなければ、データ改ざんの可能性もあるためです。そこで、電子帳簿保存法における電子取引の要件について確認しておきましょう。

電子取引における基本的な保存要件

電子取引によって取引先から受領した書類、そして、当方から交付した書類の控え(注文書、契約書、領収書、請求書、見積書など)は、そのオリジナルの電子データの保存が求められます。その際に、「真実性の確保」「可視性の確保」をしなければなりません。

真実性確保及び可視性確保のためには、次の措置を講じる必要があります。

  1. システムの概要を記載した書類の備え付け(自社開発のシステムを使用する場合のみ)
  2. 見読可能装置の備え付け
    記録された電子データを確認できるようにディスプレイや書面などで表示ができるようにしておくことや、記録された取引情報を確認できるようにプリンタなどを備え付けておくこと
  3. 検索機能の確保(次のいずれの検索要件も満たすこと)
    • 取引年月日、取引金額、取引先の3つの項目で検索できること
    • 日付あるいは金額の範囲により検索できること
    • 2つ以上の任意の項目の組み合わせで検索できること
  4. 次のいずれかの措置を講じること
    • タイムスタンプが付された後のデータを受領する
    • データ受領後速やかにタイムスタンプを付す
    • データの訂正削除について、記録が残るシステムか訂正削除ができないシステムを利用する
    • 訂正削除の防止に関する事務処理規定を備え付ける

参考:電子帳簿保存法一問一答(Q&A)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~|国税庁電子帳簿保存法一問一答(問14及び問26参照)

令和5年税制改正における電子取引のポイント

令和5年度税制改正により、電子取引については次の改正がありました。施行は令和6年1月1日からですので、それまでに電子取引についてどのようにするかを検討しておきましょう。

① 検索機能の全てを不要とする措置の対象者見直し

基準期間の売上高が1,000万円以下の場合には、検索要件が不要となります。
ただし、電子データを印刷したものを整理された状態で提示できる場合に限られます。
なお、この基準期間とは消費税法第9条でいうところの基準期間となりますので、個人においては前々年の、法人においては前々事業年度の売上高になります。

参考:電子帳簿保存法一問一答(Q&A)~令和4年1月1日以後に保存等を開始する方~|国税庁電子帳簿保存法一問一答(問44参照)

② プリントアウト書面の保存を認める「宥恕措置」は、令和5年12月31日で廃止

令和5年12月31日までの電子取引データを印刷して保存している場合は、保存期間が満了するまでそれら書面を保存するのは問題ありません。
しかしながら、令和6年1月1日からは電子取引については電子データの保存は必須となります。

③ 新たな猶予措置が整備(令和6年1月1日より)

次の2つの要件の両方を満たせば、電子データ保管について検索要件及び改さん防止策などの対応は不要です。

  • 電子取引の要件に従って電子データを保存できなかったことについて、税務署⻑が相当の理由があると認める(事前申請等不要)
  • 税務調査等において、電子データのダウンロードの求め、電子データをプリントアウトした書面の提示などの求めに応じることができる

したがって、上記②を適用していた保存義務者は電子データの保存をして、当面は③で対応することもできるといえます。③の措置には今のところ期限はありませんが、少しずつでも電子データ保存に対応する必要はあるでしょう。

参考:パンフレット(過去の主な改正を含む)|国税庁令和5年度税制改正による電子帳簿等保存制度の見直しの概要

電子帳簿保存法のポイントをおさえてペーパーレス化を進めよう

メールによる見積書や請求書などの添付だけでなく、クラウドサービスの発展もあって、郵送などの紙によるやり取りから、ネットワークを介する電子取引が増えてきました。

電子上の保存は、膨大なデータをコンパクトにまとめることができるため、紙媒体による保存から運用を変えたいと考える事業者にも注目されています。

令和5年度改正による猶予措置において、しばらくは様子を見ることもできそうですが、近い将来、電子データ保存はビジネスのスタンダードとなるかもしれません。この機会にペーパーレス化を進めてみてもよいのではないでしょうか。


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