• 更新日 : 2024年8月13日

証憑書類とは?経費精算時に証憑になる領収書とは?

証憑書類は、税法上でも請求書領収書などをはじめとして保存義務が定められている書類です。取引の事実を示す書類であることから、経費精算時においても重要視されています。この記事では、証憑書類の種類、作成目的や保存目的、保存方法や保存期間について解説していきます。また、経費精算時に証憑となる領収書で確認しておきたい記載内容についても解説していきます。

証憑とは?

証憑とは、取引の事実を証明するための証拠となるものの総称です。書面だけではなく、電子データなども証憑となります。証憑は、税務調査の際に取引の事実確認をするために使われたり、税法や会社法にて一定の書類の保管が義務付けられたりします。

証憑書類の種類

証憑書類にはさまざまなものがあります。ここでは、証憑書類をその特徴ごとに区分して、区分ごとに代表的な証憑書類をご紹介していきます。

金銭のやり取りに関する書類

金銭のやり取りに関する代表的な書類には、次のようなものがあります。

  • 請求書:商品やサービス提供の対価などとして金銭を請求するための書類
  • 領収書:代金の受領を証明する書類
  • (金銭)借用証書:借主が貸主に対して差し入れる金銭の借入や返済期日を証明する書類

契約に関する書類

契約に関する代表的な書類には、次のようなものがあります。

  • 銀行取引約定書:金融機関が融資取引を新規で行うときに債務者と取り交わす契約書
  • 賃貸借契約書:主に土地や建物などを貸し借りするときに取り交わす契約書
  • 取引基本契約書:継続的な取引の基本となる契約条件などを定めた契約書
  • 業務委託契約書:会社や個人の業務の一部を委託する際に、委託者が受託者と取り交わす契約書
  • 秘密保持契約書:自社の秘密情報を目的外で第三者に開示または漏洩させないことを義務付ける契約書

物品やサービスなどに関する書類

物品やサービスなどに関する代表的な書類には、次のようなものがあります。

  • 注文書(発注書:発注者が注文内容を記載して、受注者に示す書類
  • 注文請書:受注者が注文を受理したことを示す書類
  • 納品書:商品の納品者が発行する納品物の明細が記載された書類(納品の事実を記載)
  • 受領書:商品などを受領したことを証明する書類
  • 見積書商品やサービス提供取引内容について予め概算額などを記載した書類
  • 検収書:商品や成果物の検収を完了したことを証明する書類
  • 棚卸表:棚卸しの際に在庫商品の数量や金額を一覧化した書類

労働に関する書類

労働に関する代表的な書類には、次のようなものがあります。

  • 雇用契約書:雇用主が従業員に対して雇用契約を明示するための書類
  • 給与明細:給与総額や控除額などを従業員に通知するための書類
  • 賃金台帳:労働者の給与支払い状況に関する書類

そのほかの書類

次のような書類も証憑書類に含まれます。

  • 通帳:金融機関と預貯金者との間で発生した継続的な預貯金の受け払いを証明する書類
  • 議事録:社内や取引先との会議の内容や決定事項を記載した書類
  • 稟議書:社内において複数の関係者に合意を得るための書類  など

証憑書類の意義

証憑書類の意義を、作成目的と保存目的に分けて説明します。

証憑書類の作成目的

証憑書類とは取引の事実があったことを確認する書類であることを先述しました。ある企業の内部に向けた証憑には、従業員への給与明細や商品等の在庫管理、社内向け記録などがあり、外部に向けた証憑には、請求書や領収書、決算申告書作成に必要な書類などがあります。

社内向け、社外向けの別を問わず、税務調査などによってはいずれも提示することがあります。

証憑書類の受領と保存目的

証憑書類は、基本的には書面の受領後は破棄せずに一定期間保存する義務があります(※)。税法に関わる証憑は7年間などの保存義務があり、取引や金銭のやり取りの証明、法令遵守の証拠としての役割を果たします。

※後述するスキャナ保存のルールに則り適切に保存する場合には、書面を破棄し、電子データのみの保存でも問題ありません。

また、万が一取引先との間にトラブルが発生した際、取引内容を裏付け、適正に対処するための材料としても用いられます。

証憑書類の保存

重要な証憑書類は保存が必要です。ここでは、法的に定められた保存期間や保存方法について解説していきます。

保存期間

証憑書類の中には、保存義務が定められている書類があります。例えば、会社法により10年の保存義務の定めがあるのが、株主総会議事録や取締役会議事録、貸借対照表損益計算書などの決算書類、総勘定元帳や補助簿などの事業に関連する重要書類です。
このうち、会計帳簿については税法の規定にかかわらず10年間保存しなければなりません。

会社法に定めのない国税関係書類に該当するもの(総勘定元帳や棚卸表、契約書、領収書など)は、法人税法により7年(青色申告書を提出した事業年度で欠損金が生じた場合などは10年、2018年4月1日前に開始した事業年度は9年)、所得税法では5~7年の保存義務があります。

このほか、労働者名簿や賃金台帳のような労働に関する重要な書類は、労働基準法により5年(経過措置により改正法施行以後当面は3年も容認)の保存が必要です。

以上のように、証憑書類には法律により保存義務が規定されているものもありますので、一定期間、適切に書類を保存しておくことが必要です。

保存方法

証憑についての書類は、原本のまま書面をファイリングして保管します。電子メールやシステムを利用した電子取引については、原則として電子データでの保存となります。

近年、増加する電子取引に対応すべく創設されたのが、e-文書法電子帳簿保存法です。電子帳簿保存法は国税関係書類の電子保存に関する法律で、e-文書法は国税関係書類を含めたより広い範囲の書類の電子保存に関する法律になります。特に、電子帳簿保存法は幾度も改正が行われており、創設時よりも利用しやすい制度に変化してきました。

電子帳簿保存法の定める電子保存は、電子帳簿等保存、スキャナ保存、電子取引に区分されますが、このうち、電子取引による電子保存は義務化するように改正が行われています。電子メールやシステム上で受け取った国税関係書類(請求書や領収書、契約書など)は、紙での保存ではなく電子取引の要件にかなった電子保存が必要になりますので、保存方法についてよく確認しておきましょう。

電子帳簿保存法の詳しい内容についてはこちらの記事で解説しています。

経費精算において証憑となる領収書とは

領収書は、経費精算において証憑となる書類の一つです。受領した領収書には、次のような内容が記載されている必要があります。

  • 名称(領収書である旨の記載)
  • 代金を支払った年月日
  • 代金を支払った人や企業の名称
  • 何についての領収か(但し書きに記載)
  • 支払金額(発行者側からは売上代金)
  • 領収書発行者の名称や住所、連絡先

領収書は、印紙税額一覧表の第17号文書に該当する書類で、印紙税の課税対象となります。売上代金(領収書の代金)5万円未満のものについては非課税になりますが、5万円以上のものについては、領収書作成時に印紙税の貼付が必要ですので、受領時に確かめましょう。

証憑書類は取引を証明する重要な書類

証憑書類は、さまざまな取引の証拠となる重要な書類です。書面だけでなく、電子データによる証憑もあることに留意しましょう。請求書や各種契約書のような会社間の取引に直接関係する書類だけでなく、経費精算のために社員が会社に提出する領収書も証憑書類に含まれます。証憑書類を紛失してしまうと、取引を行った証拠を示せなくなってしまいますので、法定の保存期間を守りつつ、適切に保存するようにしましょう。スキャナ保存などの利用により書面のままでの保存ではなく、電子帳簿保存法に適した電子保存をすることで、システム上に保存する方法もあります。

よくある質問

証憑とは?

取引の事実を証明する書類やデータのことです。詳しくはこちらをご覧ください。

証憑書類の種類は?

請求書や領収書、取引本契約書、賃貸借契約書、見積書、納品書、雇用契約書、賃金台帳、などがあります。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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