• 作成日 : 2022年7月29日

内装工事における減価償却と耐用年数の注意すべきポイントを解説

内装工事における減価償却と耐用年数の注意すべきポイントを解説

内装工事にかかった費用は、減価償却できます。内装費で使用される勘定科目は、主に建物や建物付属設備です。

内装工事費用を減価償却する際の耐用年数は、構造や用途によって異なります。また、自社所有建物か賃貸物件かで算出方法が変わることも理解しておきましょう。

内装工事費用と耐用年数の関係や、減価償却する際に注意すべきことを解説します。

内装工事費用は減価償却できる

内装工事とは、間仕切り壁・建具の設置、塗装工事、床・壁・天井の仕上げ工事など、建物の内部の工事のことです。建築工事が建物を最初から建てる工事であるのに対し、内装工事はすでに建てられている建物の内部の工事を指します。

減価償却は、年数の経過とともに資産価値が減少していく資産を取得した際に行う会計処理です。減価償却する場合、固定資産を取得した際にかかった費用を全額必要経費にせず、決められた使用期間にわたって分割し、必要経費に計上します。

減価償却資産とは、耐久性のある事業用資産のことです。内装工事で設置された資産は、高額で長期的に使用できるため、内装工事費用(内装費)は、減価償却資産と考えられます。

つまり、内装工事費用は減価償却が可能です。

減価償却について、詳しくは下記記事をご覧ください。

参考:国税庁 No.2100 減価償却のあらまし

減価償却における耐用年数とは?

償却資産の耐用年数は、対象の資産に関する一般的に考えられる効用持続年数が国に定められており、これは法的耐用年数とも呼ばれます。耐用年数はあくまで画一的に定めたもののため、各資産の実際の寿命や各メーカーで定めている耐久年数とは異なる点に注意が必要です。

各償却資産の耐用年数は、財務省令の別表「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」に定められています。該当する資産の種類・構造又は用途・細目にあてはまるものを確認すれば、耐用年数がわかります。例えば、鉄骨鉄筋コンクリートの事務所は耐用年数50年です。

内装費を減価償却する場合、内装の種類から各耐用年数を判断した上で、定額法で複数年にわたって同額の経費を計上していきます。

参考:東京都主税局 償却資産の評価に用いる耐用年数
参考:国税庁 No.2100 減価償却のあらまし

内装工事における耐用年数と勘定科目

内装工事であっても、構造や用途によってそれぞれ耐用年数が異なります。財務省令の別表を参考に、内装工事に関連する耐用年数を以下の表にまとめました。

構造・用途
細目
耐用年数
勘定科目
鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造のもの事務所用50年建物
飲食店用
(木造内装部分面積3割超)
34年
店舗用39年
れんが造、石造又はブロック造のもの事務所用41年
飲食店・店舗用39年
金属造のもの(骨格材の肉厚が4ミリメートル超)事務所用38年
店舗用34年
飲食店用31年
金属造のもの(骨格材の肉厚が3ミリメートル超4ミリメートル以下)事務所用30年
店舗用27年
飲食店用25年
金属造のもの(骨格材の肉厚が3ミリメートル以下)事務所用22年
店舗用19年
飲食店用19年
木造又は合成樹脂造のもの事務所用24年
店舗用22年
飲食店用20年
木造モルタル造事務所用22年
店舗用20年
飲食店用19年
アーケード又は日よけ設備主として金属製のもの15年建物付属設備
その他のもの8年
冷房、暖房、通風又はボイラー設備冷暖房設備(冷凍機の出力が22キロワット以下のもの)13年
給排水又は衛生設備及びガス設備15年
店用簡易装備3年

内装工事で使用する勘定科目は、建物や建物付属設備です。ただし、内装工事に間接的に関連する人件費は「諸経費」、事務所内に設置するデスクやパソコンなどは「備品」を使用します。

勘定科目を建物で考えるのは、壁や床の内装工事などのケースです。例えば、木造飲食店の壁を内装工事する場合、耐用年数は22年となります。

参考:e-GOV 財務省令 減価償却資産の耐用年数等に関する省令

自社所有建物と賃貸物件の違い

内装工事する物件が自社所有の建物か、賃貸物件かによっても、耐用年数に違いが生じます。それぞれの耐用年数を確認しましょう。

自社所有建物の内装工事の耐用年数

自社所有建物の場合、新築か中古かによって耐用年数の考え方が異なります。

新築の場合、建物の種類から法定耐用年数をチェックし、耐用年数を判断します。鉄骨鉄筋コンクリート造の飲食店(木造内装部分面積3割超)で床の内装工事をした場合、耐用年数は34年です。

中古物件を取得している場合、使用可能期間から耐用年数を算出します。使用可能期間(耐用年数)の算出方法は以下の通りです。

(法定耐用年数 – 経過年数)+(経過年数 × 20%)

ただし、築年数がすでに法定耐用年数を経過している場合は、法定耐用年数に20%をかけて耐用年数を算出します。また、計算結果に1年未満の端数が含まれる場合は切り捨て、2年を下回る場合は耐用年数を2年とします。

なお、内装費が中古資産の価格の50%を超える場合、新築のケースと同様に耐用年数=法定耐用年数です。

参考:国税庁 No.5404 中古資産の耐用年数

賃貸物件の内装工事の耐用年数

賃貸物件を内装工事する場合、国税庁が発表している「No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数」を参考にします。

本説明によると、「内装工事をおこなった建物の耐用年数や種類・用途・使用材質等を考慮して合理的に耐用年数を見積もる」ということです。合理的であれば何年であっても問題ありませんが、一般的に10〜15年とされています。

また、以下の条件を全て満たしていれば、賃貸期間を耐用年数として考えることができます。

  • 賃借期間の定めがある
  • 賃借期間の更新ができない
  • 有益費の請求または買取請求をすることができない

なお、冷暖房設置のように建物付属設備に該当する内装工事の場合は、各法定年数を用います。

参考:国税庁 No.5406 他人の建物に対する造作の耐用年数

減価償却する際に注意すべき点をケース別に紹介

内装工事の減価償却では、いくつか注意しなければならないことがあります。ここで、3つの注意すべきケースを紹介します。

改修工事の減価償却

改修工事とは、工事をおこなうことで当初よりも資産の機能を向上させることです。改修工事の内容によって、工事費用を固定資産に計上する場合と、必要経費に計上できる場合がある点に注意しましょう。

改修工事費用が資本的支出と判断されれば固定資産、修繕費に含まれると認められれば必要経費です。資本的支出と修繕費の定義については、国税庁の法令解釈通達で確認できます。

法令解釈通達によるそれぞれの定義は以下の通りです。

 資本的支出(資産に計上)修繕費(必要経費)
定義固定資産の価値向上や、耐久性を増加させる工事維持管理や、き損した原状を回復するために要した工事
例示・建物の避難階段の取付
・用途変更のための模様替え
・機械の部分品を品質や性能の高いものに取替
・機械装置の移設
・建物の移動や解体移築
・土地の水はけを良くするために行う砂利、砕石等の敷設

なお、資本的支出か修繕費か判断できない場合、以下のいずれかに該当すれば修繕費として計上可能です。

  • 金額が60万円に満たない
  • 対象資産の前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下

参考:国税庁 法令解釈通達第8節 資本的支出と修繕費

原状回復工事の減価償却

原状回復工事とは、工事をおこなうことで入居当初の水準まで資産の機能を回復させることです。先ほどの国税庁の法令解釈通達からわかるように、原状回復工事は基本的に修繕費に該当するため、必要経費として計上できます。

ただし、仕訳時に適用欄に「原状回復費用」であることを明確にしていなければ、資産計上しなければならない可能性がある点に注意しましょう。また、資産を廃棄する際は「固定資産除却損」で計上します。

オフィス移転時の減価償却

オフィスを移転する際の内装工事も、減価償却できます。他の内装工事と同様に、内装の種類から耐用年数を判断することがポイントです。

また、賃貸物件の場合、賃借期間の定めがある、賃借期間の更新ができない、有益費の請求または買取請求をすることができないといった要件を満たしていれば、賃貸期間を耐用年数にできる点も忘れないようにしましょう。

内装工事費用は用途で減価償却の耐用年数を判断

建物の内部の工事を意味する内装工事にかかった費用は、取得費用を全額必要経費にせず、直接法で減価償却可能です。減価償却費を計算する際に用いる耐用年数は、財務省令で規定されている法定耐用年数を参考にします。

ただし、法定耐用年数は工事の用途によって異なる点に注意が必要です。また、内装工事が原状回復工事にあたる場合、資産計上ではなく必要経費に計上できる可能性があるため、どのような内装工事をおこなうのか事前に理解しておきましょう。

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よくある質問

内装工事費用は減価償却の対象ですか?

建物と建物付属設備に分け、定額法で減価償却できます。詳しくはこちらをご覧ください。

内装工事における耐用年数は何年ですか?

構造や用途によって決められた、法定耐用年数で判断します。詳しくはこちらをご覧ください。


※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

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