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  • 更新日 : 2020年12月2日

消耗品費と雑費の使い分けは?仕訳の方法や注意点をわかりやすく解説

消耗品費と雑費の違いをご存じでしょうか。
実は、それぞれの科目には明確な定義や区別がないため、使い分けようとすると感覚的な判断になりがちです。
そこでこの記事では、消耗品費と雑費の使い分け方や、迷わないコツを解説していきます。
2つの違いを知っておくだけで、今後の判断がスムーズになるでしょう。

勘定科目の消耗品費とは?経費処理する場合

消耗品費とは、消耗性の費用の総称です。その厳密な定義は税法にはありません。
しかし、国税庁が公表する「帳簿の記帳のしかた」では以下のように説明されています。

1.帳簿、文房具、用紙、包装紙、ガソリンなどの消耗品購入費
2.使用可能期間が1年未満か取得価額が10万円未満の什器備品の購入費
※ 取得価額が10万円未満であるかどうかは、税込経理方式又は税抜経理方式に応じ、その適用している方式により算定した金額によります。
【引用】国税庁|帳簿の記帳のしかた-事業所得者用

上記の金額と使用可能期間を満たすことを前提に、消耗品費をさらに具体的に見ていくと以下のようになります。

消耗品費の内訳具体例
事務用消耗品コピー用紙、文房具、切手など
作業用消耗品手袋、ペンチ、ドライバー、ガソリン代など
包装材料包装用紙、リボン、レジ袋など
広告宣伝用印刷物チラシ、うちわ、カレンダーなど
見本品その他これらに準ずる棚卸資産
(事業年度ごとにおおむね一定数量を取得し、かつ、経常的に消費するものに限る)
展示用のフィギュア、ストロー、プラスチックのスプーンなど

注意:具体例は参考のために記載しているもので、業種や事業内容によって異なる場合があります。

簡潔にまとめると、消耗性の資産で、使用可能期間が1年未満または少額(10万円未満)という要件を満たすときに、消耗品費とすることが可能です。

ただし、金額が10万円未満かどうかについては事業者によって例外があります。詳しくは以下で説明していきます。

取得した価格が30万円未満であれば使える特例がある

税法の原則では、「使用期間が1年未満または10万円未満」という要件を満たさない消耗品を購入した場合、減価償却費として、一定の方法により各年分の費用を計上します。つまり、当該資産を購入した年度に、購入代金のすべてをその年度の費用とすることはできません。

しかし、例外として「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」という規定があります。これは、要件を満たす中小企業者が30万円未満の減価償却資産を購入し事業の用に供した場合、その年度において全額を費用処理できるものです。

この規定の適用を受けるための主なポイントは、次の通りです。

  • 青色申告者であること
  • 常時使用する従業員の数が1,000人以下であること
  • 資本金の額又は出資金の額が1億円以下であること
  • 確定申告書等に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付する」等、税務申告時に一定の処理を行うこと

この特例は租税特別措置法、いわゆる期限のある時限立法であるため、令和4年3月31日までの間に取得し事業の用に供する必要があります(令和2年11月17日現在)。
要件の詳細はこちらになります。

この規定の適用要件を満たしているか不安な方は、事前に税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

上記の特例の具体例として、23万円のパソコンを購入した場合で考えてみましょう。
特例を使わない場合は工具器具備品などの固定資産に計上し、各年度、減価償却費として一定の方法により計算した金額を費用に計上します。
特例を使った場合は、購入し事業の用に供した年度に、取得価額の全額を費用として計上します。
なお、費用の勘定科目は「消耗品費」ではなく、「減価償却費」とすることが一般的です。

雑費とは

雑費とは、他の勘定科目に該当しない費用や少額の費用、一時的な費用などが事業上発生した場合に用いる勘定科目です。
雑費も消耗品費と同様、税法上の定義はありません。

主な雑費の例には、以下のようなものがあります。

  • クレジットカードの年会費
  • 銀行の振込手数料
  • ゴミの処分費用
  • 少額の解約違約金
  • キャンセルの手数料
  • 有料サービス・動画の課金代金
  • 引っ越しの手数料
  • 清掃・クリーニングなどの手数料 など

「雑費」を使うときの注意点

雑費を使うときの注意点は、使用頻度と金額の2点です。

この場合の使用頻度とは、勘定科目の使用頻度のことです。
仕訳を入力する際、むやみに雑費として仕訳計上してしまうと、後から帳簿を見返したときに雑費の内訳や摘要欄まで調べることになってしまいます。使用頻度の高い取引は、雑費とは別に勘定科目や補助科目を設定すると、見やすい帳簿になります。

金額については、少額のものを雑費とするときに注意が必要です。
ここでは「いくらまでが少額」と具体的に定められるわけではなく、事業者の規模によります。
個人事業主では数千円から数万円、法人であれば数十万円でも少額といえることがあるでしょう。
雑費を少額とする理由は、決算書損益計算書)上で、雑費の金額が他の勘定科目(主に経費の勘定科目)よりも大きくなることを防ぐためです。
もし決算書(損益計算書)上の雑費の金額が大きいと、税務署や銀行に提出するときに雑費の内容について質問されることがあります。

この2つの注意点は、必ず守らなければいけない基準というわけではありません。しかし、どうしても雑費とせざるを得ない場合があったとしても、なるべくこの2点に気を付けましょう。

「消耗品費」と「雑費」を使い分けるコツ

消耗品費と雑費について、ここまでの説明を簡単にまとめると次のようになります。

【消耗品費】
消耗性で、使用期間が1年未満または少額(10万円未満)のものの購入費用
【雑費】
他の勘定科目に分類できない、少額で一時的な費用

以上から、消耗品費と雑費を使い分けるコツは以下のように比較できます。

 消耗品費雑費
物かサービスか目に見えて形ある「物」目に見えないサービス
使用頻度よく利用する、発生する一時的に発生する
金額10万円未満小規模の金額

※この表は税法や会計基準ではないため、あくまでも参考程度にしてください。

消耗品費の仕訳例

消耗品費の仕訳方法には、以下の2つがあります。どちらの方法でも厳密に行えば、財務諸表上の違いはありません。

ここでは、1個100円の消しゴムを5個購入し、決算時に1個余っていた場合を例にそれぞれ説明していきます。

「消耗品」から始める方法

購入時に「消耗品」という資産の勘定科目から仕訳を行い、決算時に使用した分を「消耗品費」に振り替える仕訳方法です。

購入時の例:1個100円の消しゴム5個を現金で購入した場合の仕訳

借方金額貸方金額
消耗品500円現金500円

購入した分すべてを、資産の勘定科目である「消耗品」として計上します。現金で支払っているため貸方は「現金」の勘定科目とします。

決算時の例:決算時に消しゴムが1個余っていた(4個使用した)場合の仕訳

借方金額貸方金額
消耗品費400円消耗品400円

決算時には、使用した消しゴム4個分の金額にあたる400円を、費用の勘定科目である「消耗品費」として計上します。貸方は購入時に計上した「消耗品」を消すために「消耗品」とします。

【結果】
貸借対照表には「消耗品(資産)」が100円、損益計算書には「消耗品費(費用)」が400円となります。

「消耗品費」から始める方法

購入時に購入費用すべてを費用の勘定科目である「消耗品費」で計上し、決算時に未使用の部分を資産の勘定科目の「消耗品」に振り替える仕訳方法です。

購入時の例:1個100円の消しゴム5個を現金で購入した場合の仕訳

借方金額貸方金額
消耗品費500円現金500円

購入した分すべてを、費用の勘定科目である「消耗品費」として計上します。現金で支払っているため貸方は「現金」の勘定科目とします。

決算時の例:決算時に消しゴムが1個余っていた(4個使用した)場合の仕訳

借方金額貸方金額
消耗品100円消耗品費100円

決算時に未使用であった1個分を資産の勘定科目「消耗品」に計上し、貸方は購入時の仕訳で費用計上していた一部を消すため「消耗品費」と計上します。

【結果】
貸借対照表には「消耗品(資産)」が100円、損益計算書には「消耗品費(費用)」が400円となります。

なお「消耗品費」から始める方法の例外として、簡便な方法での処理が認められています。これは企業会計原則「重要性の原則」で、重要性の乏しいものについて認められている方法です。実際の帳簿付けでは以下のように、この簡便な方法がよく使用されます。

簡便な方法の例:1個100円の消しゴム5個を現金で購入した場合の仕訳

借方金額貸方金額
消耗品費500円現金500円

購入した分すべてを、費用の勘定科目である「消耗品費」として計上します。現金で支払っているため貸方は「現金」の勘定科目とします。

決算時に、消しゴムが1個余っていた場合の仕訳はありません。

【結果】
貸借対照表に「消耗品」はありません。損益計算書には「消耗品費(費用)」が500円となります。

消耗品費に補助科目と摘要欄を使う

勘定科目「消耗品費」をよく使用する方は、さらに見やすく管理するために、補助科目と摘要欄を使用する方法があります。補助科目と摘要欄について、税法や会計基準などで厳密なルールは定められていません。事業者の管理方法であるため、補助科目と摘要欄は自由に設定することができます。

以下では、補助科目と摘要欄を使って見やすく管理する方法を説明します。事業者によって管理の方法はさまざまですので、補助科目または摘要欄のどちらかだけを設定しても問題ありません。

消耗品費に補助科目を設定する

補助科目には、勘定科目をさらに具体的にする役割があります。
よく使用される消耗品費の補助科目は、以下のようなものです。

【消耗品費の補助科目の例】

  • 事務用消耗品
  • 作業用消耗品
  • 包装材料
  • 広告宣伝用印刷物
  • 少額ソフトウェア

このような補助科目を設定することで、帳簿を見返すときにフィルターやタグのような役割を果たし、管理しやすくなります。
補助科目名にもルールはありません。よく集計する勘定科目に対して補助科目を設定すると、より集計しやすくなるでしょう。

消耗品費に摘要欄を使う

摘要欄は、すべての勘定科目に設定できるメモ書きのような役割を果たします。摘要欄には、仕訳だけではわからない具体的な内容を入力すると管理しやすくなります。

例えば、消耗品費の摘要欄には以下のように入力すると、後から見てもわかりやすくなります。

ポイント内容
勘定科目、補助科目をさらに具体的にするコピー用紙5セット、切手80円×20枚など
相手先、取引先を記入する○○社△△部門、□□銀行××支店など
クーポンやポイントの利用分を記入する請求金額2,000円うち500円分のポイント使用など

摘要欄の記載がわかりにくい場合、仕訳の根拠となる領収書や請求書、契約書まで見返すことになってしまいます。そうならないように、上の表を踏まえ適切な内容を入力しましょう。

まとめ

消耗品費はどんな業種でも使用する勘定科目です。その反面、雑費や固定資産との区別があいまいになりやすい科目でもあります。消耗品費と雑費は、勘定科目の使用頻度や少額かどうか、物かサービスかなどで区別し、固定資産とは金額基準と使用可能期間(耐用年数)で区別します。

実際の帳簿付けではなるべく「消耗品費」を使用し、どうしても分類できない場合は「雑費」を使用しましょう。
※ 掲載している情報は記事更新時点のものです。

【監修】マネーフォワード クラウド会計

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